百戦錬磨は好きすぎて押せない

紗々

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 僕たちは今度こそ、ヴィラのベッドでお昼までぐっすりと眠った。裸のまま、響さんと肌をピタリとくっつけて。響さんの腕の中で。たまらなく幸せだった。

 残りの数日間、僕たちは何度も深く愛し合った。僕の体を気遣いつつも欲情を隠しきれない響さんのギラギラとした目の色に、僕は体中が熱くなった。好きな人に強く求められることが、こんなにも嬉しいことだなんて。
 僕に辛い思いをさせたくないから立て続けにはできないと躊躇する響さんに、むしろ僕の方からもっと愛してほしいとせがんだりしてしまった。でもこんなはしたない僕でも、響さんは可愛い、可愛いと何度も言っては、身も心も深く満たしてくれたのだった。




「……今日で、……何日目ですっけ…ここ…」
「…もう4日目だ。早いな。……なんかずっとベッドにいる気がするな」
「ふふ。本当ですね」
「……ごめんな、美晴。これじゃただのヤりまくり旅行…」
「そ、そんな言い方しないでくださいよ!ちゃんと合間合間にいろいろ出かけたじゃないですか。綺麗な海も満喫してますし。僕は最高に幸せですよ」
「……ああ。……俺もだよ」
 
 響さんはすごく優しく微笑むと、僕の髪をいつものように撫でてくれた。ベッドに横になったまま、響さんの腕枕で。……あぁ、……幸せすぎる。……もう離れたくない。僕は響さんの手の感触に安心してうっとりと目を閉じた。

「……こうしてると、お前を二度と離したくなくなるよ」
「……っ、」

 同じことを考えてくれていたんだと思って、すごく嬉しくなる。

「……ふふっ」
「…?…何で笑うんだよ」
「だって……、今僕もまったく同じことを考えてたから。……このままもう響さんと離れたくないなぁって…」
「…………っ、…………そうか…」

 響さんはハッとしたように一瞬目を見開くと、嬉しそうに笑った。……幸せ。響さんが嬉しそうにしてくれるだけで、ものすごく幸せだ。いつも僕ばかり響さんに優しくしてもらってるから、僕も響さんを幸せな気分にさせられることがあるんだなぁって思うと嬉しくなる。

「……なぁ、……美晴」
「……ん?」

 僕は響さんの腕の中で頭なでなでを堪能しながら、うっとりと目を閉じたまま返事をする。

「こうして一緒にいられる時間がさ、もっと長くあったらいいよな」
「ん……、そうですね……」
「毎晩こんな風に一緒に寝るとかさ」
「うん……、最高ですね、それ……」
「だろ?」

 なでなで。

「はい……」
「ただでさえ平日は仕事だしよ、夜とか週末とか、どっちかに何か用事が入ったらなかなか会う時間もとれねー時ってあるだろ?」
「……うん……。……ありますね…」
「寂しいよな」

 なでなで。

「うん……」
「そんな日でもさ、せめて夜だけでもこうやって一緒に眠れたら最高だよな」
「ん……。きっと、疲れも寂しさも吹き飛んじゃいますね……」
「な。だから一緒に暮らそうぜ、俺たち」
「うん……。………………。ん?」

 響さんの腕となでなでと声を堪能していた僕は、最後の一言で突如覚醒し、パチ、と目を開いた。……ん?今、何て言ったの?響さん……

「だから、一緒に暮らそうって言ったんだよ」
「……。そ、そうですか……?」
「何だよ、そうですか?って」
  
 響さんは僕の間抜けな返事にふははと笑っている。や、だって……

「いっ…………一緒に暮らすって……、…どっ、どこでですか?」
「俺のマンションでだよ。決まってるだろ。お前んとこじゃさすがに狭いだろ。荷物も全部入らねぇよ」
「そっ!そんな……。む、無理ですよ……」
「何で無理なんだよ。離れてる時寂しいだろ?忙しい日でも一緒に眠れたら幸せだって思ってくれてるんだろ?同じ気持ちなら、いいじゃねーか。引っ越して来いよ」
「そっ、……そんな気軽に……。僕、そんなに収入多くないので……」
「?……だから何だよ」
「えっ…………ええ……?」

 だから何だ、って……。や、家賃を半分払うのは難しいって意味なんだけど……あんなお高そうなマンションの……。え、分からないのかな、響さん。僕がそれを説明すると響さんの方が顔を引き攣らせた。

「な、なんでお前が折半するんだよ……。俺が払うに決まってんだろ。変なこと気ぃ遣うなよ、お前…」

 なんだか僕の方が変なこと言ってるみたいな雰囲気を出されてしまった。……え?そう?僕、変…?……いや、普通だよね?おかしくないよね?一緒に暮らすなら、普通は生活にかかる費用って半分こじゃないの……?

「部屋は余ってるけど、寝るときは一緒に俺のベッドだぞ。広いから問題ないだろ?どうせくっついて寝てるしな」

 家賃の話なんかどうでもいいらしい響さんはすでに一緒に暮らし始めた後のことを考えている。

「……ひ、……響さん……。ちょっと待って……。やっぱりそんなのは変ですよ…。僕がお金出さないなんて、恐縮してしまうし、も、申し訳なくて…」
「まだその話かよ。覚えてないのか?お前。だいぶ前にも話しただろ?金の心配はしなくていいって」
「そ、そんな話しましたっけ……?」
「しただろ。家賃とかいいから炊事洗濯掃除と毎晩のマッサージって」

 ……え?……あれ?なんかそんな話したことあった気がする……。でもあれはだいぶ前に冗談で……。なんか、懐かしいな…。

「家事とかは適当でいいからさ。やんなくても。毎晩のマッサージだけは必須だぞ。エロいやつな」
「…………。」
「はぁ~……。あの話した時はまだお前俺の事なんて全然眼中になくてさ。ただの冗談だと思って笑ってたけど……、ついに実現する日が来たんだなぁ。感慨深いわマジで。こっちはあの頃からすでに本気だったからな」
「ひ、響さん……」
「…大事にするからな、美晴」
「…………は、はい……。あ、……ありがとうございます……」

 響さんは心底嬉しそうに僕をギュッと抱きしめておでこにキスをしながら頭を優しく撫でてくれる。
 ……な、なんか……、あっという間に一緒に暮らす感じになってしまった……。え、ほんとに?……い、いいのかな……。

「…………。」

 でも響さんは本当に嬉しそうに笑ってる。あんな素敵なマンションに住まわせてもらうなんてやっぱりものすごく恐縮するんだけど……。

 でも、一緒にいられる時間が格段に増えるなら、本当に嬉しい。僕にできることは何でもやろう。毎日料理を作って、片付けとか掃除とか。……マ、……マッサージ、とか……。



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