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1章 幼少期編

君キスの舞台は王立学園

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 最近自領の騎士団の訓練に明け暮れて、フリードリヒ様観察の邪魔をされかなりオコなスカーレットです。

 今日はもうすぐ入学予定な王立学園の事を話しちゃうよ。


 王都にある王立学園は基本的に全寮制で貴族は11歳から男女共に、平民は魔力があれば特待生としてそれ以外でも学力が高い者や貴族並の稼ぎのある商家の子供も受け入れている。

 学園は11歳から18歳までが通うが、貴族女子で婚約者が決まっている者は16歳前後で嫁ぐ人も少なくない。
 でもこの世界の成人年齢は18歳なので行き遅れと言われるのは20歳以降となるので本当に貴族女子は生きずらい世の中だ。

 ま、結婚する気0で実家に寄生する寄生虫予定の私には全く関係ないけどね。
 将来お兄様がご結婚されても経済的に迷惑を掛けないように、カフェや商会など多種多様な事業も成功させている私には金銭面で恐れるものはなし。
 既に私の将来設計は万端だ。その中にフリードリヒ様の見守りと出来ればフリードリヒ様とヒロインの結婚式がこの目で見られればこの生涯に悔いなしだ。

 話を戻そう。

 学園には貴族科、文官科、騎士科、魔法学科、の4つのコースに分かれている。
 
 貴族科は魔力の弱い貴族子息や、花嫁修業中心の貴族女子が所属する。フレディ様の婚約者となるはずのクラウディア様と憎っくきユリウスはこの科のはず。

 文官科は将来王宮へ出仕を希望する貴族や、成績優秀な平民が所属する。この科にはお兄様とジュリアン様が所属している。

 騎士科は、貴族の次男以降で家督を継ぐことの出来ない男子が中心だが、貴族女子や平民も多く所属する。学園在学中に優秀な成績の者は騎士団からのスカウトを受け、試験なしで騎士団への所属も可能になる。
 
 この科にはフリードリヒ様が通ってらっしゃる。でも時期的に私が入学するときにはご卒業されているから会う事もないだろう……残念。でも壁女子には接触イベントは厳禁だからちょうどいい。
 
 あ、でも卒業されたら第3騎士団から近衛隊へ移動になるはずよね?ジュリアン様の護衛にも入られるはずだから
、ジュリアン様がご在学中ならたまにお見掛けする事も可能?

 あーでもフリードリヒ様にお会いするとなると漏れなくジュリアン様が付いてくると思うとご遠慮したい案件だわ。うん絶対に接触は厳禁ね。
 今まで通りコッソリ観察が私の身の安全だわ。

 あ、騎士科はフレディ様もこの科だったはず。ジュリアン様の剣になるべく彼は騎士科で剣の腕を磨く。でも私の知るフレディ様はさすが王族というだけの魔力量があるので魔法科でもイケるんじゃないかな?
 
 あとは、フリードリヒ様の義弟のエドガー様。彼は私より一つ年上だけど、フレディ様の側近候補なので私達と同じ年に入学する事が決まっている。もちろん騎士科だ。
 
 最後に魔法学科は基本的に魔力量と魔法属性重視の学科だ。どんなに大貴族の子供でも魔力量が少なければ、膨大な魔力量を保持する平民の方が上に扱われる。
 
 この学科は将来魔術師団へ入団するために入る人が多い学科。ここで優秀な成績を残せば騎士団同様に魔術師団からのスカウトが来る。
 
 魔術師団は国の中でも重要なポストで、中でも治療魔法などが使える光魔法の持ち主は問答無用で魔術師団に引っ張られる。
 
 ヒロインちゃんは強力な光魔法の持ち主だからこの学園に来るとその力を教会に報告され聖女認定される。
 
 魔術科にはヒロインちゃんと魔術師団の団長の息子と私が所属するはずだ。
 
 学園の入学試験を受ける時も家族に貴族科を勧められたけれど、私に貴族科で学ぶ事ナシと宣言されたら断る事出来なかったわよね。知らなかったとはいえ入学試験を受ける頃には既に王妃教育が完了していたなんてお父様にしてみればぐうの音も出ない現状だもの。

 なんの制限もないモブの私は自分の身は自分で守れるように更に魔法の技術を磨くんだ。魔法学の研究も楽しそうだしね。

 モブって本当に便利だなぁ。こんなに好きな事をしても誰にも影響を及ぼさないんだもん。
 
 それに、ゲームの君キスをこの目で目撃出来るチャンスがあるんだもん楽しみ以外の何物でもないよね。

 学園に通うのが楽しみだ。

 王立学園への入学まであと二か月。
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