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1章 幼少期編

お呼びではないのでお帰りください

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 フレディ様とクラウディア様がお茶会の約束をしている四阿は王宮の王族専用の中庭の中にある。

 中庭に入るには入り口を警備している騎士の許可を得なければ入れないけれど、私の顔を見た瞬間2人いた騎士の一人が走り出し、もう一人の騎士が私とクラウディア様が一緒に居る事を不思議そうな顔をしていたけれど、すんなり通してくれた。
 
 それでいいのか騎士様よ。

 そうこうしながらクラウディア様を案内しつつ四阿へ向かった。

 

 四阿が見えた頃、目の前を何かが通り過ぎる。

 びっくりした私がクラウディア様を庇うように前に出ると何かに急に抱きつかれた。

「ふぁぇうお」

 驚きのありまり変な声を出した私の頭の上で楽しそうに笑う声が聞こえる。

「久しぶりだな、会いたかったぞスー」

 その声の主とはこの所ほぼ接触する頻度も下がっていて安心しきっていた私は思わず心の中で舌打ちをしてしまう。

「離してくださいジュリアン様」
 
 めちゃくちゃ嫌そうな声がでてしまった。

「相変わらずつれないやつだな。まぁそこが可愛いんだけどな」

「と、言うかどうしてジュリアン様がこちらへいらっしゃるんですか?今日はフレディさまとクラウディア様のお茶会だと先ほど聞いたのですが?」

 何故ジュリアン様がこの場にいるんだ?この時間は学園なのでは?と思ったけど前に王宮に居る方が長いとは聞いていたけど、なぜいま現れた。

「あぁ、騎士にスーが来たら知らせるように周知させてるからな」

 自慢気に言うジュリアン様にちょっと呆れてしまった。

 ところで主役のはずのフレディ様がいないのはどういう事なんだろうと思っていたら。

「兄上、そろそろ執務室へお戻りください。フリードが探していましたよ」

 そう背後から現れたのはフレディ様。

「っチィ、もうバレたか。スー一緒に執務室へ行かないか?スーが居れば執務もはかどると思うんだけどなぁ」

 私に対して無駄な色気を振りまきおねだりしてくるジュリアン様、か、可愛くなんかないぞ。
 それよりも、フリードリヒ様がいらっしゃるの?心めちゃくちゃ惹かれる。でも接触イベント厳禁だからここは心を鬼にしてでも断らなければ。

「行きません、私はクラウディア様をご案内してきただけですのでそろそろ失礼しようと思っております」

 そうニッコリ笑ってジュリアン様の腕を押し抜け出そうとするもあれ?出れない。
 私を抱きしめながらニヤニヤするジュリアン様をジト目で睨み上げるとようやく放してくれた。

 名残惜しそうに私から離れると、ジュリアン様は転移魔法を使い自分の執務室へ戻られた。

 はーやれやれ、自由すぎる王太子様だなもう。

「スー」

「ごきげんようフレディ様、お久しぶりですわね」

 ニッコリ笑顔を見せると、ふにゃんと可愛い笑顔を見せるフレディ様。私に近寄ってくるとまたもや彼も私を抱きしめて来た。

「フレディ様?」

「ん、消毒。」

「イヤイヤ、ジュリアン様は病原菌か何かですか?ダメですよお兄様をそんな風に言っては」
 さすがに酷いなと思ってフレディ様を嗜める。

「わかってる、でもスーに触れる奴はたとえ兄上でも嫌だ」

 うーん。小さい頃からフレディ様が私の事を大切に思ってくれているのを知っているだけに無碍には出来ないのよね。どっちかというと姉に甘えてくる弟って感じで可愛いものだ。
 だから抱きしめられてもジュリアン様ほどイヤじゃないのも不思議なものだよね。

 と、思っていたらフレディ様が私の顔にキスをしてきだした。あ、これはダメなやつよね止めなきゃと思っていると思わぬ方向から声が聞こえて来た。

「あらあら、まぁまぁ。フレディ様がスカーレット様にご執心というのは本当でしたのね」

 と、言う声が聞こえ驚いたのは私だけじゃなくフレディ様もで……。

 完全に忘れてましたわ。


 そこにはニマニマと、とても嬉しそうな顔をしたクラウディア様が瞳をキラキラと輝かせ立っていた。

 あ、コレダメなやつじゃ。

 

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