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2章 王立学園編

モブストーカー、クラス編成はこうだったっけ?

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 入学式が終わり、これから一年勉強するクラスの発表があった。

 王立学園は選択学科ごとのクラス分けではなく、通常のクラスは成績順だ。

 SクラスからCクラスまでに分けられる。

 Sクラスは貴族の成績優秀者と平民の特待生がメインのクラス。
 
 A~Bクラスは貴族の成績がSクラスには足りなかった者を配置するクラス。

 Cクラスは特待生ではないけれど、お金持ちの商家や平民の魔力持ち、たまに魔力の小さい貴族も配置される。

 要は実力主義なんだよねこの学園って。

 だから11歳から18歳までの学園だけど、優秀な人はスキップ制度で早々に卒業したりも出来る。

 ジュリアン様やお兄様も卒業までの単位は取得しているからいつでも卒業できるらしいんだけど、どうして学園に留まった??

 ジュリアン様は特に公務もあって忙しいんだからさっさと卒業した方が楽だろうに。何故だ?わからん。

 ま、それはさておき。

 私のクラスはと言うと……あれ?モブなのにSクラスなの?

 現時点で私以外のゲームのキャラ達のクラスはと言うと。

 Sクラスがフレディ様と、クラウディア様と、エドガー様。

 Aクラスにまだ会った事のない魔法師団の侯爵令息。

 Bクラスにユリウスだ。

 私の知るゲームの中で私と同じイレギュラーな存在のエドガー様。
 
 彼は私と同じで所謂モブだ。

 ゲームの中にフリードリヒ様の義弟など存在しない。

 この世界はゲームの世界ってだけではないのかもしれない。


 そう思っているうちにいつの間にか最初のHRすら終わっていた。

 や、ヤバイ。何も聞いてなかった。

 と、冷や汗をかきながらアワアワとしていると、スッと私の前に人が現われた。


「ごきげんようスカーレット様。お久しぶりですわ」

 私が顔をあげると、そこにはマイエンジェル

「ごきげんよう!クラウディア様お会いしたかったです」

 立ち上がるとクラウディア様の手を取りきゃぁきゃぁと再会を喜んだ。

 私とクラウディア様は、例のお茶会以降順調にお友達関係を育んでいて今では親友と呼べるような関係だ。

「スーまたそいつとばかり仲良くする。俺も構え」

 ぷぅと拗ねた表情をしたフレディ様が私とクラウディア様の間を邪魔するように入ってくる。

「フレディ様、ダメですよ。女性には女性のお付き合いがあるのですからもう少し空気を読んでください」

 そんなフレディ様の後ろからやってきたのは困ったような顔をしたエドガー様。

 久しぶりにエドガー様に会えた私は嬉しくて思わず飛びついてしまった。

「エドガー様お久しぶりです!最近はなかなか会えなくて寂しかったんですよ」

 うーん久しぶりのモフモフ。モフりたい欲に手がワキワキする。

 私に抱き着かれたエドガー様は驚きのあまり固まってしまった。

「なっ、スカーレット様こ、こ、こ、ココではだめですは、離れて……あ、殿下やめて私はそんな」

 何故かエドガー様が怯えてる。抱き着いたまま頭を捻っていると。

「スカーレット様。エドガー様をモフりたいのはわかりますが、淑女が人前で家族や婚約者以外の殿方に抱き着くのははしたないですわよ」

 そう耳元でクラウディア様が囁き私はようやくここがまだ教室内だと気が付いた。

 一気に恥ずかしくなった私はバッとエドガー様から離れると。

「ごめんなさいエドガー様。久しぶりにお会いできて嬉しすぎて……もういきなり抱きついたりしませんから許してください」

 シュンとする私を見て、周囲が「「「ん”ん”ん”、スカーレット様可愛すぎる」」」なんて思ってるなんて知る訳もなく落ち込んでいると。

「俺ならいつでも抱き着いてくれていいぞ……一応親戚だからな」

 照れながらそういうフレディ様に。

「あ、そう言うのは結構です」

 と、お断りした。

 私が抱き着きたいのはエドガー様が獣人だからだ。モフりたいんだ。あの魅惑のモフモフを。

 人のフレディ様には抱き着くうま味がない。

 ショックを受けるフレディ様を放置し、私はクラウディア様と一緒に学園内のカフェへ行くことにした。

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