私が転生したのは腐女子に優しい世界でした

支倉りおと

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私のまわりが過保護がすぎる件

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 朝の爽やかな日差しが窓から部屋の中へ降り注ぐ。
 朝が極端に弱い私は寝る時からカーテンをあけ放ち、朝の光が部屋を眩しく照らさないとなかなか目が醒めない。
 と、言うか寝汚い。お布団大好き人間だからなかなか起きられないのにはかわりないのだけどね。

 うう。起きたくないよぉ。内心ぐずりながらお布団の中で寝返りを打つと、何か暖かくて柔らかい物にぶつかった。
 その柔らかい物はふにふにとしているけれど、弾力もあってとても気持ちがいい。
「うへへへ。気持ちいい」
 
 目を瞑ったまま柔らかい物に手を伸ばすと柔らかいものから逆に抱きしめ返された。
 優しく抱きついてくる柔らかい物に縋りつくようにすると良い匂いまでする。
 なんていい夢なんだろう。でもこの香り嗅ぎ覚えがあるような……。
 そう思いながらもまたうとうとしはじめ夢の国へ旅立とうとすると、急に耳元でハァハァと荒い呼吸が聞こえた。と、同時にお腹に何か硬い物を押し付けられてる気がする。

 不審に思いだした私が、まだ眠っていたくて目を開けるのはイヤだけど、そーっと薄目を開けると、目の前には私を抱きしめ不必要な程の色気を振りまきながら、とろんとした瞳で私の体を撫でながら欲情していた。
 黙って居れば極上のイケメンである隣に住む幼馴染その1の進藤夏月しんどうなつきがいた。

「な、なっちゃんなんで私のお布団にいるの?」
 
 寝ぼけ眼なまま、私と幼馴染の間では日常の一コマに過ぎない通常運転のセクハラにそこまで驚きはしなかったけれど、一応驚いたふりをしてみせた私は、抱き着いて離れない夏月の腕の中から逃げようとするが、力ではかなわず余計きつく抱きしめられた。

「おはよう。陽菜がなかなか起きないから起こしにきたんだよ」
 
 欲情しているために赤く上気している頬が色っぽい。男の子なのに色っぽいなんて羨ましいぞ!このっ!ってそんな事考えてる場合じゃなかった。

「なっちゃん。起こしてくれるのはありがとうなんだけど、なんで一緒のお布団にいるの?」

 起こすのに一緒に寝る必要はないはずだ、なんで夏月はいつも私のお布団へ侵入するんだろう?

「だって、陽菜のいい匂い嗅ぎたかったんだもん。可愛い陽菜にスリスリしてたら気持ち良すぎて勃っちゃった。だから今から陽菜のしょ「バッカやろー!!人の妹になにしてんだこの馬鹿ナツ!!」

 バコーンと景気の良い音がする。声の主が夏月の頭をはたいた音だ。

 夏月の言葉を遮るように私の部屋に入ってきたのは。
 
 私の実の兄佐々倉唯斗ささくらゆいとだった。

 私にしがみつく夏月を引きはがすと今度は夏月の頬を抓りながら説教を始める。

「いてぇな、唯斗。可愛い俺の陽菜との朝のイチャイチャタイムを邪魔するなよ」

「誰が、お前のだ!陽菜は俺の妹であってお前の物じゃないだろ。俺の大切な妹に不埒な真似すんなって何度言えばわかるんだよお前はっ!!」

 怒り心頭の兄の唯斗と私の事が大好きすぎる幼馴染の夏月の2人に挟まれ私の朝はいつも大変だ。
 言い争う2人をいつものように夏月によって寝乱されたままの姿でベッドの上に座ってぼんやり眺めていると

 背後から抱きしめて来たのはもう一人の幼馴染で夏月の弟の進藤冬月しんどうふゆき

「ふーちゃんおはよう」

 私を後ろから抱きしめてくるのは冬月の挨拶みたいなものだ。
 それが分かっていたから冬月に、にへらと笑いながら挨拶すると、寝乱れたパジャマの下から入り込む冬月の手が私のささやかすぎる胸に伸びてきてフニフニと揉みしだく

「朝からこんなに可愛いおっぱい見せつけて僕を誘ってるのかよ」

 私の耳元で冬月が熱を含んだ声で囁くと、だんだんその手の動きは激しくなっていき本当にささやかすぎる私の胸はくすぐったさに我慢できなくなる
 
「あんっ、ふーちゃんだめぇ」

 思わず出た声に反応したのが

「「冬月!!なんでお前が陽菜のおっぱい揉んでんだよっ!!」」

 さすが、生まれた時からの幼馴染だ息がぴったり。
 
 2人に怒られてもなお私のささやかすぎるおっぱいを揉む手を止めない冬月が

「え?そこに陽菜のおっぱいがあったからかな?こんなに揉んでくださいって主張されたら揉むでしょ?」

 平然と答えながら2人に見せつけるように丸出しにされた私のささやかすぎるなおっぱいを2人に披露する冬月に私すらも唖然としてしまった。

 この幼馴染たちのセクハラは通常運転なので私はもう怒る事もめんどくさくなっていた。

 どうせなら2人ともお兄ちゃんと乳繰り合ってくれれば私にオイシイのに。スマホで連写したいわその光景を。
 私の体を触って何が楽しいんだよこの人たちは。
 こんなあるのかないのかわからないような、ちっぱいを見せつけられても誰もたのしくないだろうに。むしろ迷惑かけてスマンと私は思うくらいだ。
 どこまで行ってもBL脳な私はいつもそう思っていた。



 そのあとすぐに3人を私の部屋から追い出すと、私はしょうがなく準備をはじめた。

 なんの準備って?私が今日から通う私立東城学園の入学式だから学園に通うための準備だよ。

 真新しい紺色の2本ラインの入ったセーラー襟のブラウスとくすみオレンジと青のチェックのスカート。
 紺色の膝丈ハイソックス、最後にくすみオレンジのジャケットを羽織れば立派な東城生だ。
 オレンジのジャケットの袖と襟には蔦の絡まるようなデザインの刺繍が入っている。
 さすが私立の学校の制服、芸が細かい。
 こんな高そうな制服を買ってくれて、私立の学園に通わせてくれる両親に感謝しかない。
 
 何不自由なく生活できる幸せに感謝せねば。

 さて、準備も出来たので部屋を出ると3人が待ち構えていた。

 
 3人に連れられ、佐々倉家のダイニングにあるテーブルに座らされると、あれもこれもと世話を焼かれる。

「もう、お兄ちゃん、なっちゃんもふーちゃんも自分で出来るからみんなもご飯食べてよー」

 私がご飯を食べようとすると横からお兄ちゃんが食べさせようとしてくるわ、なっちゃんがお膝に乗るよう強要してくるわ、ふーちゃんは黙々と私の髪をアレンジしている。

「俺達は陽菜が用意してる間に食べたから大丈夫だ。陽菜あーん。食べないと今日持たないぞ」

 おにいちゃんは過保護だ。私が前世の記憶を思い出した時、高熱で倒れて生死をさまよってからは更に過保護になった。もう一人で出来る事も自分で先回りしてやっちゃう出来たお兄ちゃんだけど私をダメにするからよくない。

「陽菜ぁ~僕のお膝の上においでよ。椅子の上より柔らかくてきもちいいからさぁ。ついでにマッサージ(性的)もつけるよ」
 
 幼馴染その1の夏月もお兄ちゃんを上回るほどの過保護だ。夏月も私の生死をさまよった姿を見ているから私の言動や行動に敏感だ。そしてなぜかわからないけれど、夏月から異常な程溺愛されている。
 夏月を妄想のネタに使う妹もどきの私の何が可愛いんだかわからないけど、尋常じゃない程好かれている。それはいいんだけど、最近私を性欲の対象にするのはやめて欲しい。年々夏月は変態になって行ってる気がして困る。
 イケメンなのに残念すぎるから私の中で夏月は残念なイケメン扱いだ。

「ふーちゃんありがとう。いつも可愛い髪形にしてくれて嬉しい」

「別に、陽菜の髪綺麗だからもっと可愛くしたいだけ」

 幼馴染その2のふーちゃんは、お兄ちゃんと夏月そして私というポンコツ腐女子に囲まれた苦労人。お兄ちゃんと夏月に挟まれて困ってる私を助けてくれるホントに良い子。同い年なのにこんなにしっかりしてるなんてすごいなー。正直ふーちゃんが一番大人だと思ってる。普段は表情がほとんど動かないけれど、たまにその美しい笑顔を見せてくれたり、ギャップ萌えするのだ。
 そして実はクーデレな所が可愛い。デレたく ふーちゃんは死ぬほど可愛い。
 ふーちゃんも私に対して過保護だけど、あの2人より私を尊重してくれる所が大好きだ。

 


 そんな2人とお兄ちゃんと私の4人はずっと一緒に育った。
 それはもう、この4人に入り込もうと考える輩を年上の2人が排除しまくるものだからどうしても狭い世界で生きる事になるけれど、私はBLさえ感じられたら問題ないのでこの4人でいる事になんの不満もなかった。


 ほどなくして無事朝食を済ませた私達は揃って今日から通う事になる東城学園へ向かった。
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