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第四章 王立高等学園

大国皇太子は朝クリスにアプローチします

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翌朝 朝食会場にてエステラを見つけたクリスは側に寄った。
「おはようございます。クリス様」
「おはようございます。エステラ様」
二人は挨拶を交わした。

「隣良いですか?」
「そんな畏れ多いです」
エステラは困惑するが、
「何言ってるんですか?学園に身分差は?無いわ。未来の偉大な劇作家様が何言ってるんですか?」
「そんなわけないでしょ」
慌ててエステラは言う。

「大丈夫ですわ。皆さんそう言ってますから」
クリスはそう言うと微笑んだ。

「脚本はどうですか?大分進みましたか?」
「そうですね。ある程度は書けました」
「どんな題材にされたんですか?」
「シャラザールが現代に蘇るというストーリーなんです」
「成る程。皆興味を持ちそうな話ですね」
クリスはあっさりと頷いた。

「いつ頃に完成しそうですか?」
「来週早々には。出来次第お見せしますね」
「是非とも宜しくお願いします」
二人は食べ終わると食器を片付けて校舎に歩き出した。

「じゃあ私はここで」
エステラが言った。

「えっどうして?」
「お迎えですよ」
クリスの問いにエステラは前を見た。
前にはオーウェンとアレクがいた。

「私じゃ無いと思いますわ」
クリスは無視して行こうとする。

「クリス!ひどい無視するなんて」
オーウェンは抗議する。

「だって昨日はエカテリーナ様とご一緒されたじゃないですか?」
「エステラさん。酷くない?
俺ずうっとと子供の頃からクリスが好きで、王妃の意地悪でエドを婚約者にされたときも諦めきれなくて、親父らは無駄だからやめろって言うのに強引に留学してきたんだよ。」
「ちょっとオウ。関係無い方の前でその事言うのはやめて下さい!」
クリスが慌てて言う。

「ふんっ。クリスが意地悪言う限り止めない。そもそもサマーパーティでも俺告白していたよね!」
オウは嫌がるクリスを無視して隣のエステラにいう。

「はい。すごいなと思いました」
エステラは赤くなって頷いた。

「そう。気づいていないのはクリスだけだよ。あの時はやっとエドがクリスの婚約者じゃ無くなって、もう今しかないって思ったんだ。
ボケジャンヌとアレクに邪魔されたけど、もうここで言うしか無いと思って」
「あれは素晴らしいかったです。クリス様が皇太子殿下に冷たく婚約破棄された中でクリス様を助けられて」
エステラの目は輝いていた。

「なのにさ、クリスはメチャクチャ冷たいんだよ。どう思う?」
オーウェンが納得いかないって顔で言う。

「往々にして恋愛は成就しないので仕方がないんじゃ無いですか?」
エステラは夢見るように言う。

「いくら想ってもうまくいかないから人は更に盛り上がるんです」
エステラは冷たく言い放つ。

「えええ!
そうなの?
先日もせっかくデートに誘えたと思ったのにまたアレクらに邪魔されたんだけど。それも仕方がないの?」
「うまくいかなければいかないだけ燃え上がるんです。恋愛って」
エステラが二人を見て言う。

「でも頑張って下さいね。ドラフォード様。私応援してます。じゃ、私先に行きますね」
エステラは走っていった。

「ちょっとエステラさん!」
クリスが声をかけたが笑ってエステラは先に行った。

「オウひどいじゃ無いですか。
やっとエステラさんと仲良くなりかけたのに邪魔してくれて」
クリスはオーウェンに文句を言った。

「あーんクリス。僕もクリスと仲良くなりたい」
オーウェンはクリスにすり寄った。

「近いです!」
思いっきりクリスはオーウェンを押し返した。

「昨日はジャックの件。
わざわざ有り難うございました」
ここで言わないとまた言う機会が無いとばかりにクリスが言う。

「お節介かも知れないけどクリスの友達とも話せて僕も良かった。
でもジャックが大人になる前にドラフォードに来て欲しい!」
クリスとジャックの約束をほじくり返してオーウェンが言う。

「えっ子供との約束は絶対に守らないといけないと思います」
「ジャックには頼み込むから。
なんだったら親子でドラフォードに来てもらっても良いし」
「彼らを故郷から引き離すんですか」
「第二の故郷と言うことで」
「私も故郷が好きなんです」
「頑張ってドラフォードに来てくれるように努力するから」
他愛ない、いやオーウェンにとって大切な話をクリスと2人で出来てオーウェンは幸せだった。
その二人の周りを風も避けて吹いていた。
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