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帝国宮廷魔術師の独り言2 ドラゴンを手に入れるために侍女の友人を誘拐することにしました
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「ギャーーーー」
俺は激痛で目を覚ました。
腕を思いっきり騎士に捻り上げられたのだ。
「な、何をするのだ!」
俺が叫ぶと
「やっと起きたか、役立たずめ」
第一王子殿下の声がしたのだ。
「せっかく与えた高価な魔導具を壊して、一緒に行った暗部の者も全滅、おめおめ貴様一人逃げ帰ってくるとはどういう訳だ!」
殿下は完全に怒っていた。やばい、これは何とか言い訳せねば。
思い返すに、俺は反転してきた魔物たちに弾き飛ばされて、踏みつけられながらも、何とか、持っていた転移の魔導具で戻ってきたのだ。
でもその前にいたのが、トカゲ、な訳はない。トカゲの一叫びで魔物が反転するなんてあり得なかった。あれはそんなやわなものじゃない。
あの叫び声を聞いて俺は悪寒が走ったのだ。あれはそんじょそこらの魔物ではない!
そうだ。あれは竜、それも最強の古代竜だ!
「殿下、古代竜の子供がいたのです」
俺は思わず叫んでいた。
「古代竜の子供だと、嘘をつくな」
でも、殿下はすぐには認めてくれない。
「私はその遠吠えをはっきり見ました。それもマチルダの侍女が抱えていたのです」
「はああああ? 何を言っている。古代竜が子供とはいえ、人間に従う訳はなかろう」
「しかし、あの叫びはたしかに古代竜のものでした。その叫びに魔導具が破壊されて、恐怖に駆られた魔物たちが反転攻勢に出てきたのです。でないとあそこまで上手くいっていた作戦が失敗する訳はないではないですか」
殿下は中々信じてくれなかったが、俺は必死に言い訳した。ここで間違うと確実に殺される。
「本当に古代竜がいたというのだな」
第一皇子殿下は念を押された。
「はい、左様にございます」
「マチルダの侍女が連れていたというのだな」
「はい、左様にございます」
俺は必死に頷いた。
「ふんっ、とりあえず貴様の言うことは信じてやろう」
殿下はそう言うと立ち上がられた。
「古代竜を連れたマチルダとヴァージルを一緒にさせるわけにはいかん。必ず、まずその古代竜をこちらが手に入れるのだ。そのためにはどんな手段を使っても構わん」
第一王子殿下は俺に命じられたのだ。
「はっ」
私は礼をした。
「しかし、ザカリーよ。次はないと思え」
「判りましてございます」
俺は殿下の言葉に地面にはいつくばったのだ。
ギロリと光った第一王子殿下の眼光の前にはそれ以外何も出来なかったのだ。
俺は直ちに新たにつけられた暗部、俺の監視も兼ねているのだろうと転移して、リーズ王国に戻ったのだ。
そして、王立学園に潜入したのだ。
第三皇子の館もマチルダの館も警備が厳重で中々暗部を中に入れられなかったのだ。
学園で見た古代竜の子供は見た目はとても弱そうだった。
貴族の令嬢に抱き抱えられて鼻の下を伸ばしていやがるのだ。
なんて奴だ。
それを見た暗部の一人がこれなら簡単に拐えるだろうと言ったのだ。
咆哮した古代竜の子供を見ていた俺はそんな事ができるとは到底信じられなかったが。
まあ、それで成功すれば良いのだが。
俺たちが見ている前で、金で雇った男が古代竜の子供をかっさらおうとしたのだ。
その瞬間だ。古代竜は一瞬巨大化して男の手に噛み付いたのだ。
俺等は唖然としてそれを見たのだ。
「ギャッ」
男は手を血まみれにして吹っ飛んでいた。
「こ、殺される。化け物に殺される!」
恐怖のあまり分けのわからないことを叫んで逃げようとして、飛んできた騎士たちに拘束された。
まあ、この男は関係者ではないので、調べても何も出てこないだろう。
それよりも、これで古代竜を手に入れるのが難しいことがわかった。
よく見ると古代竜は侍女のパティとかいう女の言うことは聞いていた。
その女ごと拐えばいうことはないのだが、女はマチルダの庇護下にある。
それを誘拐するのは至難の業だった。
それよりも、その侍女の友達を拐かすほうが楽だ。
そして、娘の命が惜しければ古代竜と一緒に一人で来いと言えばよいのではないかと天才の俺は考えついたのだ。
侍女の友達を探るとその一人が子爵家の令嬢で護衛も付いていなかった。
俺たちは早速その令嬢の馬車を襲って、アジトに連れてこさせたのだ。
*************************************************************
さて、話はそろそろ佳境に入っていきます。
これから急激に話は進んでいくのでお楽しみに。
さて、私の書籍化された『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』
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俺は激痛で目を覚ました。
腕を思いっきり騎士に捻り上げられたのだ。
「な、何をするのだ!」
俺が叫ぶと
「やっと起きたか、役立たずめ」
第一王子殿下の声がしたのだ。
「せっかく与えた高価な魔導具を壊して、一緒に行った暗部の者も全滅、おめおめ貴様一人逃げ帰ってくるとはどういう訳だ!」
殿下は完全に怒っていた。やばい、これは何とか言い訳せねば。
思い返すに、俺は反転してきた魔物たちに弾き飛ばされて、踏みつけられながらも、何とか、持っていた転移の魔導具で戻ってきたのだ。
でもその前にいたのが、トカゲ、な訳はない。トカゲの一叫びで魔物が反転するなんてあり得なかった。あれはそんなやわなものじゃない。
あの叫び声を聞いて俺は悪寒が走ったのだ。あれはそんじょそこらの魔物ではない!
そうだ。あれは竜、それも最強の古代竜だ!
「殿下、古代竜の子供がいたのです」
俺は思わず叫んでいた。
「古代竜の子供だと、嘘をつくな」
でも、殿下はすぐには認めてくれない。
「私はその遠吠えをはっきり見ました。それもマチルダの侍女が抱えていたのです」
「はああああ? 何を言っている。古代竜が子供とはいえ、人間に従う訳はなかろう」
「しかし、あの叫びはたしかに古代竜のものでした。その叫びに魔導具が破壊されて、恐怖に駆られた魔物たちが反転攻勢に出てきたのです。でないとあそこまで上手くいっていた作戦が失敗する訳はないではないですか」
殿下は中々信じてくれなかったが、俺は必死に言い訳した。ここで間違うと確実に殺される。
「本当に古代竜がいたというのだな」
第一皇子殿下は念を押された。
「はい、左様にございます」
「マチルダの侍女が連れていたというのだな」
「はい、左様にございます」
俺は必死に頷いた。
「ふんっ、とりあえず貴様の言うことは信じてやろう」
殿下はそう言うと立ち上がられた。
「古代竜を連れたマチルダとヴァージルを一緒にさせるわけにはいかん。必ず、まずその古代竜をこちらが手に入れるのだ。そのためにはどんな手段を使っても構わん」
第一王子殿下は俺に命じられたのだ。
「はっ」
私は礼をした。
「しかし、ザカリーよ。次はないと思え」
「判りましてございます」
俺は殿下の言葉に地面にはいつくばったのだ。
ギロリと光った第一王子殿下の眼光の前にはそれ以外何も出来なかったのだ。
俺は直ちに新たにつけられた暗部、俺の監視も兼ねているのだろうと転移して、リーズ王国に戻ったのだ。
そして、王立学園に潜入したのだ。
第三皇子の館もマチルダの館も警備が厳重で中々暗部を中に入れられなかったのだ。
学園で見た古代竜の子供は見た目はとても弱そうだった。
貴族の令嬢に抱き抱えられて鼻の下を伸ばしていやがるのだ。
なんて奴だ。
それを見た暗部の一人がこれなら簡単に拐えるだろうと言ったのだ。
咆哮した古代竜の子供を見ていた俺はそんな事ができるとは到底信じられなかったが。
まあ、それで成功すれば良いのだが。
俺たちが見ている前で、金で雇った男が古代竜の子供をかっさらおうとしたのだ。
その瞬間だ。古代竜は一瞬巨大化して男の手に噛み付いたのだ。
俺等は唖然としてそれを見たのだ。
「ギャッ」
男は手を血まみれにして吹っ飛んでいた。
「こ、殺される。化け物に殺される!」
恐怖のあまり分けのわからないことを叫んで逃げようとして、飛んできた騎士たちに拘束された。
まあ、この男は関係者ではないので、調べても何も出てこないだろう。
それよりも、これで古代竜を手に入れるのが難しいことがわかった。
よく見ると古代竜は侍女のパティとかいう女の言うことは聞いていた。
その女ごと拐えばいうことはないのだが、女はマチルダの庇護下にある。
それを誘拐するのは至難の業だった。
それよりも、その侍女の友達を拐かすほうが楽だ。
そして、娘の命が惜しければ古代竜と一緒に一人で来いと言えばよいのではないかと天才の俺は考えついたのだ。
侍女の友達を探るとその一人が子爵家の令嬢で護衛も付いていなかった。
俺たちは早速その令嬢の馬車を襲って、アジトに連れてこさせたのだ。
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