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アル様に手をつないでカフェまで連れて行かれました
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私達は公園のベンチに座って二人を待つことにした。
「そう言えば、昔、小さい頃にコイン投げのゲームをした記憶があるんだよな。どっかの邸宅でさ」
いきなりアル様が昔話を始められた。
「中庭みたいな所に、設置された得点の書かれた入れ物にコインを投げた記憶があるんだけど、俺は全然出来なくて、小さな女の子にバカにされた事があったような・・・・。その子、俺より小さかったから、投げるのが俺より前で、狙って投げるんだけど、全然違う所に飛んでいくんだ。でも、何故か得点の高いところに入って、『シルは凄いのよ』って叫んでいたような気がするんだけど」
とアル様が私を見て言うんだけど、えっ、シルって昔、私がシルフィって言えない時によく言っていた名前だけど、どう見てもお貴族様のアル様と私の接点があったなんて思えないんだけど。
「私も茶髪の男の子が『俺は凄いんだぞ、見とけよ』といって、コイン投げるんですけど、的の傍には飛ぶのですが、全部外して、なあんだ、たいしたことないんだと思った記憶があります」
「違うぞ。そのピンク頭の女の子は『何だ。全然出来ないのね』って俺を馬鹿にしたんだ」
アル様が訂正した。
「えっ、そんな失礼な事言いましたっけ?」
「今も結構言っているぞ」
「そんな事は無いと思いますよ。それに私は平民ですから、小さい時にお貴族様のアル様と接点なんて、ある訳ないと思うんですけど」
「でも、どう考えてもその失礼なガキはシルフィだぞ」
「えっ、そうですか」
私は不満そうに言うが、
「そうか、俺たちは幼なじみだったんだ」
喜ばしそうにアル様が言われる。
「いやいや、止めてくださいよ。高位貴族のアル様と幼なじみなんてあり得ないですから」
「そう言いつつ、今一緒にいるけれど」
「それはタチアナ様とクンラート様のお二人のためにいるだけで」
「誰のためだって」
そこにクンラートがぬっと現れた。
「ベーレンズ様」
私は驚いて言った。
「いいよ、もうかしこまらなくて、クンラートで。なあ、タチアナ嬢」
「ええ、私もタチアナでよろしくお願いしますわ。シルフィさん」
クンラートの横には、いつの間にかタチアナ様もいらっしゃった。
「えっ、いえ、そんな」
「いつからいたんだ?」
慌てる私を横に置いておいてアル様が聞かれた。
「お前らが楽しそうに恋人の泉にコインを投げているところからかな」
「本当にあまりも楽しそうでしたので、声をかけなかったのですわ」
二人が言うんだけど、私たちはお二人を待っていただけなのに。
「いやあ、しかし、恋人の泉に二人で手をつないでお祈りするなんて、いつからそんなに親しくなったんだ?」
「えっ、私達は早く来すぎてしまったので、お二人を待っている間の暇つぶしで」
「へえええ、暇つぶしで恋人の泉にコインを投げられたんですか」
「それも二人共見事に命中していたけれど」
なんか二人にからかわれているんだけど。
「まあ、良いじゃないか。それでは行こうか」
そう言って誤魔化すとアル様は私の手を引いて歩き出されたのだ。
「えっ、アル様、手?」
私がいうと、
「人が多いから迷子になったら大変だろう。それでなくても、シルフィは方向音痴なんだから」
そうアル様に言われると確かにその通りなんだけど、でも、男の人と手を繋いだことなんて最近は全く無くて、とても恥ずかしいんですけど。
それに、なんか周りの女の子の視線が怖いのですが。
恐らく、見目麗しい男に、何故、あんな地味でブサイクな女の子が手を繋がれて歩いているんだろうって思っていると思うんだけど。
真っ赤になった私の思惑なんて関係なしにアル様はずんずん歩いていかれたのだ。
「そう言えば、昔、小さい頃にコイン投げのゲームをした記憶があるんだよな。どっかの邸宅でさ」
いきなりアル様が昔話を始められた。
「中庭みたいな所に、設置された得点の書かれた入れ物にコインを投げた記憶があるんだけど、俺は全然出来なくて、小さな女の子にバカにされた事があったような・・・・。その子、俺より小さかったから、投げるのが俺より前で、狙って投げるんだけど、全然違う所に飛んでいくんだ。でも、何故か得点の高いところに入って、『シルは凄いのよ』って叫んでいたような気がするんだけど」
とアル様が私を見て言うんだけど、えっ、シルって昔、私がシルフィって言えない時によく言っていた名前だけど、どう見てもお貴族様のアル様と私の接点があったなんて思えないんだけど。
「私も茶髪の男の子が『俺は凄いんだぞ、見とけよ』といって、コイン投げるんですけど、的の傍には飛ぶのですが、全部外して、なあんだ、たいしたことないんだと思った記憶があります」
「違うぞ。そのピンク頭の女の子は『何だ。全然出来ないのね』って俺を馬鹿にしたんだ」
アル様が訂正した。
「えっ、そんな失礼な事言いましたっけ?」
「今も結構言っているぞ」
「そんな事は無いと思いますよ。それに私は平民ですから、小さい時にお貴族様のアル様と接点なんて、ある訳ないと思うんですけど」
「でも、どう考えてもその失礼なガキはシルフィだぞ」
「えっ、そうですか」
私は不満そうに言うが、
「そうか、俺たちは幼なじみだったんだ」
喜ばしそうにアル様が言われる。
「いやいや、止めてくださいよ。高位貴族のアル様と幼なじみなんてあり得ないですから」
「そう言いつつ、今一緒にいるけれど」
「それはタチアナ様とクンラート様のお二人のためにいるだけで」
「誰のためだって」
そこにクンラートがぬっと現れた。
「ベーレンズ様」
私は驚いて言った。
「いいよ、もうかしこまらなくて、クンラートで。なあ、タチアナ嬢」
「ええ、私もタチアナでよろしくお願いしますわ。シルフィさん」
クンラートの横には、いつの間にかタチアナ様もいらっしゃった。
「えっ、いえ、そんな」
「いつからいたんだ?」
慌てる私を横に置いておいてアル様が聞かれた。
「お前らが楽しそうに恋人の泉にコインを投げているところからかな」
「本当にあまりも楽しそうでしたので、声をかけなかったのですわ」
二人が言うんだけど、私たちはお二人を待っていただけなのに。
「いやあ、しかし、恋人の泉に二人で手をつないでお祈りするなんて、いつからそんなに親しくなったんだ?」
「えっ、私達は早く来すぎてしまったので、お二人を待っている間の暇つぶしで」
「へえええ、暇つぶしで恋人の泉にコインを投げられたんですか」
「それも二人共見事に命中していたけれど」
なんか二人にからかわれているんだけど。
「まあ、良いじゃないか。それでは行こうか」
そう言って誤魔化すとアル様は私の手を引いて歩き出されたのだ。
「えっ、アル様、手?」
私がいうと、
「人が多いから迷子になったら大変だろう。それでなくても、シルフィは方向音痴なんだから」
そうアル様に言われると確かにその通りなんだけど、でも、男の人と手を繋いだことなんて最近は全く無くて、とても恥ずかしいんですけど。
それに、なんか周りの女の子の視線が怖いのですが。
恐らく、見目麗しい男に、何故、あんな地味でブサイクな女の子が手を繋がれて歩いているんだろうって思っていると思うんだけど。
真っ赤になった私の思惑なんて関係なしにアル様はずんずん歩いていかれたのだ。
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