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ここに決めたわ
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マグヌス様と、不動産を取り扱っているちょっと小太りな男性――ランバートに案内されて、大通りから少し離れた一件の閉店したお店に入りました。
元々はバーだったようで、カウンターの奥には棚があり、お酒の瓶が並んでいる。
ホコリはかぶっていない。誰かが手入れをしているのか、それとも最近閉店したのか、そのどちらかね。
背の低いテーブルは三つほどあって、ソファーで囲まれている。ゆっくりおしゃべりするには最適な場所ね。
「つい最近まで営業していたバーだったんですが、店長が高齢のため閉店しました」
ランバートさんが笑顔で説明してくれている。
マヌグス様は紹介してからは一言も発してないので、騎士だからよく分からないといった感じね。
「家具がそのまま使えるのか、詳しく調べてきます」
アルフレッドが私の側を離れてソファーやテーブル、カウンターの状態を調べに行ってしまったわ。
ランバートさんもついていったので、二人っきりになったわね。
しばらくしてからマグヌス様が口を開く。
「本当にカフェを開くんでしょうか?」
もちろんよ。冗談で言うわけないじゃない。
「はい。今後の人生をずっと誰かに頼って生きるわけにはいきませんので。自立するために働きます」
「さすが……聖女様……」
一人で勝手に盛り上がって感動しているけど「さっきの発言は嘘で、本当は気まぐれよ」と言ったら、どうなるのかしら?
ちょっと試したくなるけど、ここは我慢。キレイな聖女を演じておかないとね。
「開店したら遊びに来て下さいね」
「もちろんです。必ず立ち寄らせていただきます」
優良顧客一名手に入れたわ。順調、順調。
マヌグス様が来店したとなればお店の箔も付くだろうし、興味を持ってもらいやすくなるわね。
ささやかな暮らしが出来れば十分だし、大きな売上は必要ないけど、赤字は困るから……これで何とかなりそうよ。
ありがとうございます。マグヌス様。
「リアーヌ様、家具の状態は良好で、このまま使えそうです」
「アルフレッド、確認ありがとう。すぐにお店は開けそう?」
「はい。今日からでも使える状態です」
「では、決まりですね。一番良い場所だとオススメされたのですから、ここにしましょう」
アルド大公の命令を見て紹介した物件なら、条件に合う最高のものを用意してくれたでしょう。
何件も見に行く必要はないわ。
「では?」
ランバートさんは意外とせっかちね。
コロコロと意見なんて変えないから、愛想笑いなんてしなくても大丈夫よ。
「契約をさせてください。よろしくお願いします」
私がそう言うと、ランバートさんの笑みはますます深まっていった。
元々はバーだったようで、カウンターの奥には棚があり、お酒の瓶が並んでいる。
ホコリはかぶっていない。誰かが手入れをしているのか、それとも最近閉店したのか、そのどちらかね。
背の低いテーブルは三つほどあって、ソファーで囲まれている。ゆっくりおしゃべりするには最適な場所ね。
「つい最近まで営業していたバーだったんですが、店長が高齢のため閉店しました」
ランバートさんが笑顔で説明してくれている。
マヌグス様は紹介してからは一言も発してないので、騎士だからよく分からないといった感じね。
「家具がそのまま使えるのか、詳しく調べてきます」
アルフレッドが私の側を離れてソファーやテーブル、カウンターの状態を調べに行ってしまったわ。
ランバートさんもついていったので、二人っきりになったわね。
しばらくしてからマグヌス様が口を開く。
「本当にカフェを開くんでしょうか?」
もちろんよ。冗談で言うわけないじゃない。
「はい。今後の人生をずっと誰かに頼って生きるわけにはいきませんので。自立するために働きます」
「さすが……聖女様……」
一人で勝手に盛り上がって感動しているけど「さっきの発言は嘘で、本当は気まぐれよ」と言ったら、どうなるのかしら?
ちょっと試したくなるけど、ここは我慢。キレイな聖女を演じておかないとね。
「開店したら遊びに来て下さいね」
「もちろんです。必ず立ち寄らせていただきます」
優良顧客一名手に入れたわ。順調、順調。
マヌグス様が来店したとなればお店の箔も付くだろうし、興味を持ってもらいやすくなるわね。
ささやかな暮らしが出来れば十分だし、大きな売上は必要ないけど、赤字は困るから……これで何とかなりそうよ。
ありがとうございます。マグヌス様。
「リアーヌ様、家具の状態は良好で、このまま使えそうです」
「アルフレッド、確認ありがとう。すぐにお店は開けそう?」
「はい。今日からでも使える状態です」
「では、決まりですね。一番良い場所だとオススメされたのですから、ここにしましょう」
アルド大公の命令を見て紹介した物件なら、条件に合う最高のものを用意してくれたでしょう。
何件も見に行く必要はないわ。
「では?」
ランバートさんは意外とせっかちね。
コロコロと意見なんて変えないから、愛想笑いなんてしなくても大丈夫よ。
「契約をさせてください。よろしくお願いします」
私がそう言うと、ランバートさんの笑みはますます深まっていった。
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