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ノーディン王国その2

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聖女が追放され、ノーディン王国を守っていた結界がなくなった。

「国王! このままではケルンが魔物によって蹂躙されてしまいます!」

魔の森に最も近いケルンは、強固な城壁があったはずだが?
一日、二日程度では落ちん。なぜ、大臣どもはそんなに慌てているのだ。

「慌てる出ない。理由を申せ」
「ケルンには5000の常駐兵と冒険者が3000ほどいますが、魔物はその10倍です!8万もの数に包囲されているので、勝ち目なんてありません! 包囲される前に避難させるか、時間稼ぎとして使うしか……」

これから葬式が始まるような顔をしおって。せっかく鍛え上げた筋肉が萎えてしまうわ。
筋肉、筋肉か……良い案が浮かんだぞッ!!!!

オトモダチのピンチなのだから、使わない手はない!!

「なら、俺が、その8万の魔物と戦って見せよう」

宰相が膝をついて頭を抱えている。他の大臣どもは天を見て涙を流している。
名案とは、まさにこのこと!

国のトップが、危険をかえりみず戦場に飛び込む勇気に感動しているのだろう!!

ピンチこそチャンスとは家庭教師……いや、親父だったかな? まぁ、誰かが言っていたことだが、まさに今の状況にピッタリだ!!!! 俺はピンチをチャンスに変える男になるぞ!

「魔物は俺一人で倒せるだろうし、問題はない。一緒に派遣する兵は適当に選んでおけ」
「陛下……本当に行くのですか? 偽聖女を処分して、前の聖女に戻ってもらうことを優先したほうが——」
「お前はバカか?」

宰相の下らん話をぶった切ってやった。

ようやく俺の邪魔をする奴はいなくなったというのに、あの女を呼び戻すはずがないだろ!! 俺が発言するたびに反対ばかりして、気分が悪かったのだ。いなくなって、俺の機嫌がよくなったことに気づいていないのか?

まったく、これだからバカと付き合うのは疲れる。気分も悪くなってきたし、そろそろ筋肉を鍛えようじゃないか。

おっとその前に、クソ聖女のことで一つ思い出した。

「ロミルダはどうしている?」
「偽聖女として牢に入れています」
「聖魔法は使えるのだろ?」
「結界は、はれませんが、それなりには使えるようです」
「あれは良い女だ。牢に入れておくのはもったいない。俺と一緒にケルンに行かせるぞ」
「…………よ、よろしいのですか? 大罪人ですが」
「であれば、街を守った功績で赦そうではないか」

今日は冴えているぞ!!
そうだ、そうすればあの女を手に入れることもできる。街も守れて、一度で二度おいしい作戦。天才過ぎて俺が怖い。

「承知しました。そのように手配いたします」

宰相よ。素直でよい。お前はそれだけが良い点だ。
常人どもは、こうやって黙って従っていればよいのだ!!
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