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番外編
バレンタイン2026 ~愛しさと幸せの味~②
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店の中は白と黒を基調にしたデザインだった。
ピンクのリボンが壁や天井を伝い、飾り付けられている。ハート形の風船も白と黒、そしてピンクの三色で統一されていた。
商品を並べる台には、白黒の階段が置かれており、そこに三色のうさぎが並んでいる。
『バレンタインフェア』とお洒落な字体で書かれたPOPが、値段と共に商品の近くで揺れていた。
(なんというか……凄く可愛らしい、な)
俺は何とも言えない気まずさに襲われる。
店内の女性たちにちらちらと見られているのも、気まずさを助長している。
そして店の外からは見えなかったが、意外とカップルが多くいた。
恋人の買い物に付き合っている人たちの顔は様々だ。
一緒に楽しんでいる人もいれば、意識がどこか遠くに行ってるんじゃないかと思う人もいる。
恋人が商品のうさぎを手に取るたび、浮足立って写真を撮っているカップルもいる。
「可愛いすぎて俺の中のキャパシティーがビッグバンを起こしてます。どうしてくれるんですか、春さん」
「わかったから、一旦落ち着けってお前」
「落ち着いたら、春さんごと食べていいですか」
「いいわけあるか」
(独特な会話だな……)
高校生くらいだろうか。
運動をしているのが一目でわかる黒髪のイケメンと、色素が薄く、ちょっと儚さが感じられる男の子二人組は、賑やかな店内の中でもひときわ目立っていた。
(カップルか……いいな)
自分も蜜希さんとそう見られているのだろうか。
もしそうなら、うちのホテルで作った最高級のひと箱一万円するチョコを、会う人全員に配り歩きたい気分である。そんなことしたら不審者として通報されかねないので、やる気はないが。
俺は店内を歩き出す蜜希さんの背中を追いかけた。
「えっと、蜜希さんって、このうさぎ、好きでしたっけ」
「『ツガイうさぎ』ね。最初に僕に渡したのは暁月くんじゃん」
「それはそうですけど……」
射的で獲った物をあげるのと、自ら専門ショップに行くのでは、話が百八十度くらい違うだろう。
困惑した顔で蜜希さんを見れば、彼はズンズンと店の真ん中へと歩いていく。
周囲の視線もお構いなしだ。
もうここまで来たら、気まずくなっている自分がおかしいんじゃないかとすら思えて来る。
手に持った紙袋の存在だけが、俺の網膜にはっきりと映し出される。
「あ、ほら。あった」
「何がですか?」
「チョコ」
――チョコ。
端的で、なんとわかりやすい表現なのか。
俺は視線を下げ、蜜希さんの指先を見た。
ショーケースの中には蜜希さんの言う通り、箱詰めされたチョコやクッキー、マシュマロなんかが入っていた。
どれもツガイうさぎをモチーフにデザインされたものだ。
蜜希さんは顔を上げる。満月の瞳が俺を捉えた。
「どれがいい?」
「はい?」
「チョコ、好きなんでしょ?」
クッキーでもいいけど、と蜜希さんが言う。
俺は瞬きを繰り返した。
「え……と……」
「なにさ。欲しくないの?」
「欲しいです」
欲しいけど。待ってください。頭の整理が追い付かない。
「わー、食い気味じゃん」と笑う彼を前にしながら、俺は必死に頭を巡らせる。
しかし、どれだけ考えても俺の脳みそは『蜜希さんが俺にバレンタインチョコをあげる』というシチュエーションの説明はしてくれなかった。
「これは、夢ですか?」
「口に詰め込んで窒息したいって?」
「蜜希さんからのであれば、是非」
「ぜひじゃないんだよ、ばか」
蜜希さんは笑う。友達のアホさについ笑ってしまったかのような表情で。
……なんだかよくわからないけど、どうやらさっきまでの不機嫌は直ったらしい。本当に。なんでかはわからないけど。
楽しそうな表情につい心が射抜かれてしまったのは、気づかなかったフリで行きたい。
それよりも、だ。
蜜希さんはどうしてか俺にチョコ(あるいはそれに類似するもの)をくれるつもりらしい。
想像もしていなかったことに驚きは隠せないものの、この機会をみすみす逃すわけにはいかない。
俺はうさぎ型の飴を選んだ。
黒いうさぎ(オメガうさぎだ)が描かれた、まあるい缶に入った物だ。
「チョコじゃないけど、本当にそれでいいの?」
「はい」
チョコが特別好きなわけじゃない。
ただ、せっかく蜜希さんからもらうなら、長く楽しめるものがいいと思ったのだ。
蜜希さんは「そっか」と頷くと、缶を手に取った。
すぐにレジに向かうのかと思ったが、蜜希さんはぐるりと店内を見て回り出した。
俺はその後ろを付かず離れずの距離でついて行く。その傍らで、俺も蜜希さんに何か贈れないかと物色を開始した。
マカロン。
ケーキ。
バームクーヘン。
「意外とチョコ以外もあるんですね」
「そうみたいだね」
バレンタインなんて今まで面倒なイベントのある日だと思っていたが、こうして好きな人のために選ぶ時間というのは結構楽しいかもしれない。
(あ、これ、美味しそう)
ふと、目についたのはガトーショコラの写真だった。
うさぎの絵が描かれたそれは、『まるで生チョコ! 濃厚ガトーショコラ』という謳い文句が付いていた。
小さいし、食べやすそうだと手に取ってみる。
すると、商品の近くにPOPがあるのが見えた。
『ガトーショコラは“あなたが特別”という意味があるよ♪』
「特別……」
「暁月くん?」
「あっ」
ぱっと顔を上げれば、蜜希さんが首を傾げている。
どうしたの、と問われ、俺は慌てて「何でもないです」と答えた。何となく、蜜希さんにバレたくないと思った。
蜜希さんは特に気にする素振りもなく、別のところへと向かう。
その背中を見つめ、俺はこっそりガトーショコラをレジへと持って行った。
レジは空いていて、すぐに購入することが出来た。
重厚感のある黒いケースに白いリボンを付けられた箱を紙袋に入れてもらい、俺はそれをトートバッグに入れた。蜜希さんの家に置いて来たバッグは、蜜希さんの手によって戻って来た。
何気ない顔で蜜希さんの後ろに戻れば、蜜希さんは何かを考えていたらしい。
「うーん……」
「何を悩んでるんですか?」
「朝陽にお土産。何がいいかなって」
お土産。アルファの男に。ツガイうさぎの可愛らしい店で。
俺はにょきにょきと顔を出す感情に名前がつく前に、へし折った。
蜜希さんがブラコンであることは知っていることだし、そうでなければ蜜希さんじゃない。
……けど、何もこの幸せな雰囲気に入り込んでこなくてもいいんじゃないかとは、思ってしまうわけで。
同時に兄からラブリーなお土産を渡される弟の心境を察して、俺は蜜希さんの手を制した。
「……普通に東京名物とかの方が喜ぶんじゃないですか?」
「そう? 面白味なくない?」
「お土産に面白さ求めないでください」
東京は案外そういうものが少ない上、わざと狙うと滑るのが東京クオリティだ。
何故ならどこでも売っているがゆえに、新鮮味がないから。
そういうところは地方の方が強いと思う。
俺は言外にそう伝えると、蜜希さんは「そっか」と頷いてくれた。
手に持っていた商品を棚に戻したのを見て、俺はほっと胸を撫で下ろした。
よかった。危うく朝陽の部屋に蜜希さんのうさぎが飾られるところだった。
ツガイうさぎを知ってから調べてみたのだが、ツガイうさぎは本来、自分の恋人に送るものとして開発されたらしい。
思惑とは違う流行り方をしてしまったものの、そのテーマは変わらずにいる。
つまり、朝陽にツガイうさぎをプレゼントしたら、蜜希さんが朝陽の恋人ということになってしまう。
兄弟同士だしノーカンだろとか、そんなに過敏にならなくてもいいんじゃないかという言い分は尤もである。
しかし、俺は心が狭いので『そういう立場』は自分だけで良いと、わりと、本気で、思っているわけで。
悶々としている間に、蜜希さんはレジに向かう。
俺は考えすぎて暑くなってきたので、蜜希さんに一言告げて、外に出た。
「はああああああ~……」
迫りくる嫌悪感に、俺は盛大に息を吐き出した。
出て来た女性たちが驚いていたが、こっちはそれどころじゃない。
(俺、余裕なさ過ぎだろ)
紙袋。たくさんのチョコらしきもの。朝陽の存在。
そのどれもに反応してしまう自分に、嫌気が差す。もうちょっと余裕を持っていたいのに、それが出来ない。なんというザマか。
こんなのがアルファだなんて、嘲笑も出来ない。
自己嫌悪に浸っていれば、蜜希さんが顔を出す。
「なんか怖い顔してるね? どうしたの?」と問われ、俺は慌てて笑みを浮かべた。
「大丈夫です。ちょっと店内の空気に当てられたみたいで」
「ああ、まあ、そうだよね。男だけじゃこんなお店入ろうとしないもんね」
「自覚はあったんですね」と告げれば、「当然でしょ」と返された。
「僕だって入るの初めてだったし」
「え? じゃあなんで……」
「ここくらいしか思いつかなかったの」
何を? と、問いかけかけて、俺は言葉を飲み込んだ。
ああ、そうか。そうだった。
蜜希さんは俺にチョコを買うために入ったのだ。
この店を選んだのは、二人が共通で知っているキャラクターだからであって。
俺は少しだけ冷静になった。
お陰で変な方向に行きかけていた思考が、戻って来た気がする。
蜜希さんが買ったばかりの袋を漁る。
出したのは、俺の選んだキャンディの入っている黒い缶だった。
「はい、暁月くん」
「はい」
「どっちがいい?」
ピンクのリボンが壁や天井を伝い、飾り付けられている。ハート形の風船も白と黒、そしてピンクの三色で統一されていた。
商品を並べる台には、白黒の階段が置かれており、そこに三色のうさぎが並んでいる。
『バレンタインフェア』とお洒落な字体で書かれたPOPが、値段と共に商品の近くで揺れていた。
(なんというか……凄く可愛らしい、な)
俺は何とも言えない気まずさに襲われる。
店内の女性たちにちらちらと見られているのも、気まずさを助長している。
そして店の外からは見えなかったが、意外とカップルが多くいた。
恋人の買い物に付き合っている人たちの顔は様々だ。
一緒に楽しんでいる人もいれば、意識がどこか遠くに行ってるんじゃないかと思う人もいる。
恋人が商品のうさぎを手に取るたび、浮足立って写真を撮っているカップルもいる。
「可愛いすぎて俺の中のキャパシティーがビッグバンを起こしてます。どうしてくれるんですか、春さん」
「わかったから、一旦落ち着けってお前」
「落ち着いたら、春さんごと食べていいですか」
「いいわけあるか」
(独特な会話だな……)
高校生くらいだろうか。
運動をしているのが一目でわかる黒髪のイケメンと、色素が薄く、ちょっと儚さが感じられる男の子二人組は、賑やかな店内の中でもひときわ目立っていた。
(カップルか……いいな)
自分も蜜希さんとそう見られているのだろうか。
もしそうなら、うちのホテルで作った最高級のひと箱一万円するチョコを、会う人全員に配り歩きたい気分である。そんなことしたら不審者として通報されかねないので、やる気はないが。
俺は店内を歩き出す蜜希さんの背中を追いかけた。
「えっと、蜜希さんって、このうさぎ、好きでしたっけ」
「『ツガイうさぎ』ね。最初に僕に渡したのは暁月くんじゃん」
「それはそうですけど……」
射的で獲った物をあげるのと、自ら専門ショップに行くのでは、話が百八十度くらい違うだろう。
困惑した顔で蜜希さんを見れば、彼はズンズンと店の真ん中へと歩いていく。
周囲の視線もお構いなしだ。
もうここまで来たら、気まずくなっている自分がおかしいんじゃないかとすら思えて来る。
手に持った紙袋の存在だけが、俺の網膜にはっきりと映し出される。
「あ、ほら。あった」
「何がですか?」
「チョコ」
――チョコ。
端的で、なんとわかりやすい表現なのか。
俺は視線を下げ、蜜希さんの指先を見た。
ショーケースの中には蜜希さんの言う通り、箱詰めされたチョコやクッキー、マシュマロなんかが入っていた。
どれもツガイうさぎをモチーフにデザインされたものだ。
蜜希さんは顔を上げる。満月の瞳が俺を捉えた。
「どれがいい?」
「はい?」
「チョコ、好きなんでしょ?」
クッキーでもいいけど、と蜜希さんが言う。
俺は瞬きを繰り返した。
「え……と……」
「なにさ。欲しくないの?」
「欲しいです」
欲しいけど。待ってください。頭の整理が追い付かない。
「わー、食い気味じゃん」と笑う彼を前にしながら、俺は必死に頭を巡らせる。
しかし、どれだけ考えても俺の脳みそは『蜜希さんが俺にバレンタインチョコをあげる』というシチュエーションの説明はしてくれなかった。
「これは、夢ですか?」
「口に詰め込んで窒息したいって?」
「蜜希さんからのであれば、是非」
「ぜひじゃないんだよ、ばか」
蜜希さんは笑う。友達のアホさについ笑ってしまったかのような表情で。
……なんだかよくわからないけど、どうやらさっきまでの不機嫌は直ったらしい。本当に。なんでかはわからないけど。
楽しそうな表情につい心が射抜かれてしまったのは、気づかなかったフリで行きたい。
それよりも、だ。
蜜希さんはどうしてか俺にチョコ(あるいはそれに類似するもの)をくれるつもりらしい。
想像もしていなかったことに驚きは隠せないものの、この機会をみすみす逃すわけにはいかない。
俺はうさぎ型の飴を選んだ。
黒いうさぎ(オメガうさぎだ)が描かれた、まあるい缶に入った物だ。
「チョコじゃないけど、本当にそれでいいの?」
「はい」
チョコが特別好きなわけじゃない。
ただ、せっかく蜜希さんからもらうなら、長く楽しめるものがいいと思ったのだ。
蜜希さんは「そっか」と頷くと、缶を手に取った。
すぐにレジに向かうのかと思ったが、蜜希さんはぐるりと店内を見て回り出した。
俺はその後ろを付かず離れずの距離でついて行く。その傍らで、俺も蜜希さんに何か贈れないかと物色を開始した。
マカロン。
ケーキ。
バームクーヘン。
「意外とチョコ以外もあるんですね」
「そうみたいだね」
バレンタインなんて今まで面倒なイベントのある日だと思っていたが、こうして好きな人のために選ぶ時間というのは結構楽しいかもしれない。
(あ、これ、美味しそう)
ふと、目についたのはガトーショコラの写真だった。
うさぎの絵が描かれたそれは、『まるで生チョコ! 濃厚ガトーショコラ』という謳い文句が付いていた。
小さいし、食べやすそうだと手に取ってみる。
すると、商品の近くにPOPがあるのが見えた。
『ガトーショコラは“あなたが特別”という意味があるよ♪』
「特別……」
「暁月くん?」
「あっ」
ぱっと顔を上げれば、蜜希さんが首を傾げている。
どうしたの、と問われ、俺は慌てて「何でもないです」と答えた。何となく、蜜希さんにバレたくないと思った。
蜜希さんは特に気にする素振りもなく、別のところへと向かう。
その背中を見つめ、俺はこっそりガトーショコラをレジへと持って行った。
レジは空いていて、すぐに購入することが出来た。
重厚感のある黒いケースに白いリボンを付けられた箱を紙袋に入れてもらい、俺はそれをトートバッグに入れた。蜜希さんの家に置いて来たバッグは、蜜希さんの手によって戻って来た。
何気ない顔で蜜希さんの後ろに戻れば、蜜希さんは何かを考えていたらしい。
「うーん……」
「何を悩んでるんですか?」
「朝陽にお土産。何がいいかなって」
お土産。アルファの男に。ツガイうさぎの可愛らしい店で。
俺はにょきにょきと顔を出す感情に名前がつく前に、へし折った。
蜜希さんがブラコンであることは知っていることだし、そうでなければ蜜希さんじゃない。
……けど、何もこの幸せな雰囲気に入り込んでこなくてもいいんじゃないかとは、思ってしまうわけで。
同時に兄からラブリーなお土産を渡される弟の心境を察して、俺は蜜希さんの手を制した。
「……普通に東京名物とかの方が喜ぶんじゃないですか?」
「そう? 面白味なくない?」
「お土産に面白さ求めないでください」
東京は案外そういうものが少ない上、わざと狙うと滑るのが東京クオリティだ。
何故ならどこでも売っているがゆえに、新鮮味がないから。
そういうところは地方の方が強いと思う。
俺は言外にそう伝えると、蜜希さんは「そっか」と頷いてくれた。
手に持っていた商品を棚に戻したのを見て、俺はほっと胸を撫で下ろした。
よかった。危うく朝陽の部屋に蜜希さんのうさぎが飾られるところだった。
ツガイうさぎを知ってから調べてみたのだが、ツガイうさぎは本来、自分の恋人に送るものとして開発されたらしい。
思惑とは違う流行り方をしてしまったものの、そのテーマは変わらずにいる。
つまり、朝陽にツガイうさぎをプレゼントしたら、蜜希さんが朝陽の恋人ということになってしまう。
兄弟同士だしノーカンだろとか、そんなに過敏にならなくてもいいんじゃないかという言い分は尤もである。
しかし、俺は心が狭いので『そういう立場』は自分だけで良いと、わりと、本気で、思っているわけで。
悶々としている間に、蜜希さんはレジに向かう。
俺は考えすぎて暑くなってきたので、蜜希さんに一言告げて、外に出た。
「はああああああ~……」
迫りくる嫌悪感に、俺は盛大に息を吐き出した。
出て来た女性たちが驚いていたが、こっちはそれどころじゃない。
(俺、余裕なさ過ぎだろ)
紙袋。たくさんのチョコらしきもの。朝陽の存在。
そのどれもに反応してしまう自分に、嫌気が差す。もうちょっと余裕を持っていたいのに、それが出来ない。なんというザマか。
こんなのがアルファだなんて、嘲笑も出来ない。
自己嫌悪に浸っていれば、蜜希さんが顔を出す。
「なんか怖い顔してるね? どうしたの?」と問われ、俺は慌てて笑みを浮かべた。
「大丈夫です。ちょっと店内の空気に当てられたみたいで」
「ああ、まあ、そうだよね。男だけじゃこんなお店入ろうとしないもんね」
「自覚はあったんですね」と告げれば、「当然でしょ」と返された。
「僕だって入るの初めてだったし」
「え? じゃあなんで……」
「ここくらいしか思いつかなかったの」
何を? と、問いかけかけて、俺は言葉を飲み込んだ。
ああ、そうか。そうだった。
蜜希さんは俺にチョコを買うために入ったのだ。
この店を選んだのは、二人が共通で知っているキャラクターだからであって。
俺は少しだけ冷静になった。
お陰で変な方向に行きかけていた思考が、戻って来た気がする。
蜜希さんが買ったばかりの袋を漁る。
出したのは、俺の選んだキャンディの入っている黒い缶だった。
「はい、暁月くん」
「はい」
「どっちがいい?」
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