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chap14.夜中の出発
283.始まる会談
しおりを挟む「絆された? あの狂った王様に」
言われて、ラディヤは頭痛がしそうだった。そんなつもりなどないのに、朝からグラス城の会議室を訪れたラディヤに、ファントフィはずっと、その話ばかりする。
部屋にはラディヤとファントフィ、レタートズの三人だけ。会議が始まるまではリラックスできると思ったのに、むしろ苛立ちが増しそうだ。
「そんなつもりねえよ」
ラディヤが答えても、ファントフィは「本当にー?」とニヤニヤ笑いながら言う。
シグダードたちがグラスの城から逃げ出して、もう十日が経った。
街に逃げた水の玉は、ジョルジュとリュドウィグの部隊が、アロルーガとアメジースアの助力を得て片づけた。街にも被害はほとんどなく、街灯がいくつか壊れた程度で済んだらしい。
ヒッシュの領地には、ミラバラーテ家を中心とした援軍が向かい、毒の除去とトゥルライナーの討伐が行われることになった。
あれだけヒッシュの領地へ行くのを嫌がっていたラディヤが、ヒッシュの領地では先頭に立ち、現れた敵を一掃した話を聞いてしまったファントフィは、無力な人族に肩入れしたと言って、ラディヤをずっとからかっている。これでは、ララナドゥールに帰ってからも、ずっと同じことを言われそうだ。
「俺が全部やったわけじゃない。ストーンの援軍と、そこにいた奴らがやったんだよ。俺は自分に向かってくる奴らをぶっ壊していただけだ」
「……ふーん……」
「ニヤニヤしてんじゃねえぞ! 本当だ!! 俺は、本当はこっちに来たかったんだ。それを……お前がジャンケンで勝つからこんなことになったんだよ!」
「そんなに怒らないでよ。本当は負けてよかったって思ってるんじゃないのー?」
「思うわけねーだろ……」
ファントフィにも困ったものだ。今朝からずっとこの調子で、ラディヤの話など聞いていない。
ヒッシュの領地での証言から、ヴィザルーマのしていたことも明るみに出て、彼らは反逆者として捕らえられることになった。
主犯はカルフィキャットとされ、彼のヴィザルーマへの忠誠心が暴走した結果、あのような事態を引き起こしたと、議会が結論づけた。
カルフィキャットは処刑されることになり、ヴィザルーマは城の奥の塔に幽閉されることになった。
しかし、斬首が行われる予定の日の前日、カルフィキャットは暗い牢から忽然と姿を消してしまった。
ヴィザルーマもまた、幽閉が決まったその日に塔から飛び降りて、見張をしていた兵士が医術士を呼びに行き、戻った時には、すでにそこには誰もいなかったらしい。死体すら見つからず、捜索が続いている。
彼らの手駒になっていた者たちも手配されたが、誰一人、まだ捕まっていない。
自殺を装い、まんまと逃げおおせたヴィザルーマの仕業だろうと推測されたが、真相は分からなかった。
ただでさえ、圧政による不満と不安が広がっていたところに、ヴィザルーマとチュスラスの王座をめぐる争いまでもが露呈し、王家の権威は失墜した。
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部屋からいくつも毒が見つかったイルジファルアは、城から姿を消した。グラスの議会は、これまでの悪事が明らかになることを恐れての失踪と結論づけ、彼の後を追ったが、その消息は掴めないままだ。
王と、その次に権力を握っていた貴族が一度にいなくなり、かつてのヴィザルーマ派も城から遠ざけられていた者たちも戻ってきたが、城は議会を中心に、真相の究明と事態の収拾に追われている。
ラディヤには、これからのストーンの苦労が見えるかのようだった。チュスラスが倒れ、それまで抑圧されていた者たちが不満を表に出している。簡単には進まないだろう。
混乱を避け、王家を守るために、ヴィザルーマの悪行は伏せてしまおうとする動きもあったようだが、すでにヒッシュの領地でのことは、レタートズやラディヤたち、キャラバン隊や、リーイック、彼らと共にそこを訪れた者たちが知ってしまっている。
レタートズはすでにララナドゥールにヴィザルーマの毒と解毒薬の件を報告していたし、隠しても無駄だと言って、ストーンが説得したらしい。ヒッシュの領地への援軍は速やかに結成され、事実を知ったオイニオンたちや領主にとって悪い方向にことが進むことはなかった。
もしも口封じのためにオイニオンたちや領主を傷つけるなら、トゥルライナーや雷の塔の影に隠れて議会の手駒を殲滅するつもりでいたのだが。
「おい……分かってるんだろうな? 俺はずっとヒッシュの領地にいたが、あそこは利用されただけだ」
何度かしている同じ話をラディヤが繰り返すと、ファントフィはニヤニヤ笑いながら肩をすくめる。
「ちゃんと分かってるよー。そんな怖い顔しなくても。ラディヤの報告書、ララナドゥールにも届いたみたいだよ。ヴィザルーマとチュスラスが持っていた毒も解毒薬も、イルジファルアのものも回収できたし、リーイックのデータもあるんだから、ララナドゥールも、もうこれ以上文句言わないだろ。僕も一安心だよ」
それを聞くと、ラディヤはホッとした。
シグダードたちが森の奥地の村での毒作りに関わったのではないかという疑いをはらすため、何度かララナドゥールとグラスを往復したせいで、もうくたくただが、ファントフィの助力もあったおかげで、議会を説得することができた。
ファントフィは、ラディヤが人族に絆されたと言うが、ファントフィだって、普段は無力と嘲る人族に手を貸したりしない。村での調査と、ララナドゥール議会の説得にも、普段の彼からは考えられないくらい熱心だったし、絆されたのは、彼の方ではないか。
「いつまでもしつこいんだよ……お前はそんなことばっかり言ってるから、シュラの捕縛に失敗するんだよ!!」
ついこの前の彼の失敗を指摘してみても、彼は平然と肩をすくめるばかりだ。
「だってあいつ、驚くほど逃げ足が速いんだよ? あんなの捕まえられないよ。あいつの屋敷、あいつが許可した奴以外が入ると毒が回って死ぬって言うし……怖くて……」
「いい加減なこと言ってんじゃねえぞ。あいつの屋敷は焼き討ちにあって、すでにないんだろ?」
「……知ってたかー……」
むしろ、知らないとでも思っていたのかと、ますます苛立って、ラディヤはファントフィを睨みつけた。
シュラの屋敷は、シグダードたちがグラスの街に入る前の晩に焼き討ちにあったらしい。ここ最近の、雷の塔やトゥルライナーによる被害と、それによってますます加速した不景気、物資不足による民衆の不安が集まり暴走したようだ。
不気味なものが広がったのは、毒狂いと言われた死神のせいだという噂が広がり、屋敷は一夜にして炎に包まれた。一部では、シュラに関わっていたことが露呈すると困る者たちが裏で煽ったのではないかという噂まで、まことしやかに囁かれたが、それを調べる術もない。
焼け跡からは、シュラとそこに住んでいたものたちの遺体は発見できずに、シュラはグラスと周辺国に指名手配されている。
ララナドゥールとしても、力を生み出し毒としたシュラを放ってはおけない。
「もたもたしてるから逃すんだ。先に捕縛しておくべきだった……シュラの追跡は、俺がやる」
「ラディヤはヒッシュの領地に帰るんでしょ? あそこで、まだヴィザルーマの毒が残ってないか調べるって言ってなかった?」
「じゃあ誰がやるんだよ? お前か?」
「まさか。僕はララナドゥールに帰るよ。議会への報告もあるし。アロルーガがやるってさ」
「アロルーガ? ミラバラーテ家の?」
「僕も協力することになってるけど、実際はアロルーガに任せっきりになると思う。僕、この会議が終わったら、すぐにララナドゥールへ向かうから」
「……あいつ、信じられるのか?」
「君は信じるんじゃない? だってシグが信じた奴だから」
「またその話かよ。やめろ……ばーか。誰があんな奴……俺はただ、村の連中とあそこの領主には恩がないわけじゃないから手伝っただけで……」
「ララナドゥールが欲しがってたよ。シグのこと」
「ああっ!? シグに何の用だ!!!!」
「正確に言うと、死神の一族が。魔法使いだし、蝶水飛族を魅了した奴なんて、あいつらが放っておかないだろ?」
「あいつら……ふざけやがって……」
「イルジファルアとシュラのことも、自分たちで追うって言ってるみたい」
「んなもん信じられるか!! あの連中が入ってくると、ますます面倒なことになる!! 絶対に入れるな!」
「だからアロルーガが名乗り出たんだよ。ララナドゥールからあんな奴らが来たら、ますますここが混乱する」
「だからって、アロルーガが信用できるとは限らねえだろ! あいつ、なんか胡散くせえぞ!!」
「そんなふうに言わないであげてよ。ミラバラーテ家も大変らしいよ? チュスラスとイルジファルアがいなくなって、全部仕組んだのはミラバラーテ家、なんて陰口叩かれてるみたい」
「ほっとけ! そんなもん!! まさかもう行き詰ってんのか!? ストーンの一族は!」
「すーっごく忙しいみたい。ヒッシュの領地であったことの調査と報告だけでも、すごい量だし……キラフィリュイザでのことは、ミラバラーテ家も批判される側だからね……」
「ちっ……リリファラッジがついてるんだ。しっかりしてもらわなきゃ困る。でないとここに、死神が来ることになるんだからな…………あの死神連中、ララナドゥールに戻ったら、ぶっ潰してやる!!」
「やめときなよ。あんなのに手を出して、ラディヤが行方不明になったら、ヒッシュの領地で待ってる奴らが悲しむんじゃない?」
「…………」
息巻いている自分に気づいて、落ち着くよう言い聞かせる。どうも、カッとなりやすくなっているようだ。
「ファントフィ、お前の方も、ちゃんと、ララナドゥール議会を抑えておけよ。ヒッシュの領地の奴らにもシグたちにも、グラスにだって、ララナドゥールとやりあう気なんかねえ! 今回のことは、ただの内輪揉めだ! そう説明しておけ!」
「分かってるよー」
「ちゃんと分かってんのか!?」
怒鳴っても、ファントフィはへらへら笑うばかり。
ラディヤは、苛立ちながら、円卓に着いた。
すでにお茶の準備がされていて、会議が始まる前に、怒りを抑えておいた方が良さそうだ。
村で渡された包みを取り出すと、ファントフィが、興味津々といった様子で覗き込んでくる。
「なに? それ!?」
「オイニオンが……あ、あの村の奴に無理やり押し付けられたんだよ!!」
「なに? その丸いの」
「村で作った饅頭だってよ……」
「僕にもちょうだい!」
言うが早いか、彼は箱に入った饅頭を両手で二つ取って口の中に入れてしまう。
「あーーーー!! てめえ!!!! 何しやがる!!」
「おいしーい。これ、今度ララナドゥールにも持ってきてー」
「ざけんなよ!! 俺まだ食ってなかったのに!!」
「まだいっぱいあるじゃん」
「あっても俺より先に食うな! 俺がもらったのに!!」
「ラディヤは、これから村に帰るんだろ? だったらいっぱい食べられるじゃん」
「よくない! お前もうララナドゥールに帰れ!! 帰れ帰れ!!」
怒鳴るラディヤの隙をついて、ファントフィは饅頭の箱を持って逃げ出す。そしてそれを、会議室の窓側に立っていたレタートズに差し出した。
「君も食べる?」
「いらない……あんな村のものなんて」
「そう? 美味しいのに。じゃあ、君からは、君たちが勝手に回収したものをもらおうかな?」
「……」
ファントフィが手を出すと、レタートズは存外簡単に、小さな瓶を渡した。
レタートズは、不満そうにそっぽを向く。
「気づいてたのか?」
「気づかないとでも思った? ヴィザルーマと組んで、あいつが作った解毒薬を横から掠め取るつもりだったんだろ?」
「……俺だって、一族に言われて、仕方なく来ただけだ」
「……本当にそれだけ?」
「……ちょっとくらい欲しかった」
「素直ー。これは全部、ララナドゥールに送るから。勝手に持って行ったらダメだよ」
「……」
顔を背けるレタートズを、ラディヤはずっと睨んでいた。あの村をあんな目を合わせた片棒を担いだ男を殴りつけてやりたいが、彼は一族と共に、ララナドゥールでの謹慎が言い渡されている。
レタートズは、ファントフィを睨んで言った。
「それで、ララナドゥールはなんて言ってるんだ?」
「解毒薬は、神力を打ち消すほどのものじゃなかったみたい。だけど、だからといって見逃せるほどのものじゃない。ラディヤの報告があったから、向こうも少しは態度を軟化させてるけど、議会の頭硬い奴らを説得するには、まだかかる。君にも協力してもらうから」
「俺が?」
「ヴィザルーマのそばにいたなら、あれの詳細を知ってるだろ? 大人しくここにかかった疑いを晴らすことに協力するなら、もう一族の使い走りはしなくていいようにしてあげるよ?」
「……ふん。生意気な奴だ……」
そう言って、レタートズはそっぽを向く。
ラディヤは、今にも殴りかかりたくなるのをなんとか抑えて、窓から外を眺めた。
シグダードたちは、今頃もう、グラスを去っているだろうか。
フィズがグラスの城を襲ったことに関しては、恩赦が与えられることになった。
シグダードはすでに死亡が発表されていたが、城下町に現れたフィズを連れて逃げた男が、白竜と共に町を疾走した話は、城下町で大きなニュースとなり、一連の事件は、グラス城を襲ったシグダードが亡霊となって二人の王を狂わせ、呪い殺そうとしたものではないかという噂が立った。
二人が追われることはなくなったが、今でも彼らが毒に関与したと信じている者はいるらしい。実は彼らが黒幕だという噂まであって、さらには、彼らが知っている情報やその力を求めて、貴族や周辺国が追っ手を出していると聞いた。
「借りは返したんだ……あとは、うまく逃げろよ……」
そう独り言を言って、ラディヤは会議室の扉に振り向いた。
もう会議が始まる時間だ。
扉が開いて、ストーンが率いるグラスの貴族たちが入ってくる。
ストーンは、友好的な顔を作って微笑んだ。
「お待たせしてしまいましたか? ララナドゥールの使者殿」
ファントフィが首を横に振る。
「いいえ。雑談に花が咲いていたところです。みなさんお揃いなら、早速始めましょう。ここと、ララナドゥールのこれからの関係のために……」
こちらもよそ行きの顔で微笑むファントフィに、ストーンも答えて席に着くように促す。
また面倒な会談の始まりだ。
ラディヤは、村からの土産の箱をカバンの中にしまった。今日はこれまでよりも、幾分穏やかに会議を進められそうだ。
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