虐げられた僕は、ライバルの最強王子のパーティになんて入りません! 僕たちは敵同士です。溺愛されても困ります。執着なんてしないでください。

迷路を跳ぶ狐

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32.俺の信頼する連中

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 なんとかロヴァウク殿下に状況を説明することができて、ほっとした。
 ロヴァウク殿下は上機嫌なようで、僕をテーブルの方に手招く。

「せっかくだ。貴様も食事をして行け」
「へ!??」

 僕は、びっくりしてしまう。

 テーブルの方には、すでに、僕らの勝負を見物していた人たちが戻り始めている。
 心配して駆け寄ってきたかと思えば、みんな僕らが戦うのをのんきに眺めているだけで、何か殿下に対して悪意があるのかと思ったが、そんな風でもない。
 みんな、ロヴァウク殿下がこういうことが好きって知っているんだろう。

 戸惑う僕に、ロヴァウク殿下は笑って言った。

「警戒しなくていい。俺の信頼する連中だ」
「……」

 殿下は簡単にそう言うけど、みんな貴族だろ!? 僕、反逆者の淫魔って言われている男なんですが!?

 貴族たちが集まる席に、僕が呼ばれるなんて、考えていなかった。
 そんなところに僕が入って行っていいのか? 場違いだろ!! どう考えても!!

 おろおろするばかりの僕。

 だけど殿下は、僕の手を握ってさっさと話を進めてしまう。

 僕をテーブルの方まで連れていくと、料理人の一人に、楽しそうに指示を出した。

「ロティスルート、食事を用意しろ」
「はーい。殿下ー、その子、あんまりいじめないであげてね」

 そう答えたのは、背中に小さな竜の羽がある男の人。竜族だろうか。殿下と同じくらい背が高くて、赤色のショートカットの、どこか鋭い目の人だった。

 殿下は今度は、テーブルでマフィンを口いっぱいに頬張りながら書類を読んでいる男に振り向いた。

「フィンスフォロース、レクレットだ。俺の好敵手だ」
「…………好敵手?」

 首を傾げるその人は、少し眠そう。かなりサイズが大きいブカブカの服を着た人で、僕より小柄で、大きな狼の耳と尻尾がある。茶色の髪は前髪が長くて、茶色い両目が隠れてしまいそうだった。
 彼は眠そうに大きなあくびをして、僕に手を差し出してくる。

「やあ…………ぼくはフィンスフォロース……フィースでいいよ」
「そ、そんな……貴族の方をそんなふうに呼べません……」
「君だって貴族だろー?」
「僕は……すでに家を追い出されていますし、反逆者……ですから……」
「え? 違うんだろ?」
「へ!?」
「殿下がそう言ってたー。殿下がそう言うってことは、反逆者じゃないんだろ?」
「殿下が……」

 ロヴァウク殿下に振り向くけど、彼はすでに道を塞いでいた竜の方に行ってしまっている。

 殿下が「レクレットは反逆者じゃない」って言って、フィンスフォロースはそれを信じたんだ。僕は誰からも、反逆者と罵られてきたのに。彼らはそれだけ、殿下を信じているんだ。

 殿下は、見上げるほど大きな竜と何か話して、もう一人、黒いローブを着た男とも、書類を片手に議論しているようだった。その顔は真剣で、僕に「好敵手ー!」って言って襲いかかってきた時とも似ているのに、真剣さが伝わってくる。

 ロヴァウク殿下って、どういう人なんだろう……無茶苦茶だけど、僕を反逆者じゃないって宣言してくれて、警備隊の人買いの捕縛にも協力してくれた。
 なんだかロヴァウク殿下から目を離せなくなってしまっていると、フィンスフォロースが、席に着くようにすすめてくれた。

「座りなよー。一緒にマフィン食べようーー」
「あ……ありがとうございます……」
「殿下の相手、大変だろー?」
「へ!? え、えっと……」
「遠慮せずに話せばいいよー。さっき見てたけど、すごい魔法を使うね。殿下の魔法をのっとっちゃうなんて。ぼくー、あんなの初めて見たーー……あれ、独学?」
「は、はい……」
「今度さー……どうやったか教えてよーー……ふあぁぁ……」

 大きなあくびをするフィンスフォロースは、皿の上のマフィンが全部なくなったことに気づいて肩を落としている。
 すると、ロティスルートがお菓子がいっぱい乗った皿を持ってきてくれた。
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