虐げられた僕は、ライバルの最強王子のパーティになんて入りません! 僕たちは敵同士です。溺愛されても困ります。執着なんてしないでください。

迷路を跳ぶ狐

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73.寂しかったのか?

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 眠れない夜になると思っていたのに、僕はいつの間にかぐっすり寝ていた。こんな無茶苦茶な王子に抱きしめられているのに、安心しきってしまったらしい。

 朝起きたら、開けっぱなしだったカーテンから朝日が入って来ていて、ひどく眩しく感じた。

 だけど、昨日僕の隣で寝ていたはずのロヴァウク殿下がいない。

 先に起きたのかな?

 起き上がって部屋の中を見渡しても、部屋には僕以外いない。上のベッドで寝ていたはずのライイーレ殿下までいない。

「ロヴァウク殿下? ライイーレ殿下?? どこですか?」

 部屋の中を探してみても、やっぱり二人がいない。

 先に起きて食堂に行っただけならいいんだけど……

 まさか、何かあった?

 二人とも、この国の王子なんだ。陰謀に巻き込まれて襲われる可能性は十分にある。

 僕は、机の椅子にかけておいた警備隊の上着だけをパジャマの上から羽織って、部屋を出た。
 この上着、魔物と戦うために丈夫にできているから、もしも賊と戦闘になっても、これだけで敵の魔法をそこそこ防いでくれるはず。

 ロヴァウク殿下、ライイーレ殿下……二人とも、無事だろうか。

 廊下に出て、しばらくキョロキョロしながら走っていたら、突き当たりの窓の外にある塔の屋根に、ロヴァウク殿下が立っているのが見えた。

 よかった……何かあったわけじゃなかったんだ。
 何してるんだ? あんなところで。

 僕は、飛行の魔法を使って窓から外に出て、その塔の屋根まで飛んだ。

「ロヴァウク殿下!」

 呼びかけると、彼はすぐに気づいて、振り向いてくれた。
 彼の肩に、ライイーレ殿下もちゃんといて、元気そうに「おはよう、レクレット」って言ってくれる。

「おはようございます、ライイーレ殿下、ロヴァウク殿下……よかったです……二人とも、無事で」
「無事?」

 首を傾げるライイーレ殿下は、屋根に降りた僕に飛びついてくる。どこにも怪我はしていないし、いつものライイーレ殿下だ。

「起きたらいないので、心配しました……何かあったのかと思って……ご無事で何よりです」
「朝日を見ていただけだよー」

 そう言って彼は呑気に尻尾を振っている。
 ロヴァウク殿下も、僕を見下ろして言った。

「俺が一緒にいるんだ。心配はいらない」
「だ、だって、ロヴァウク殿下だって、第五王子なんだし……ここにいる間は、僕が護衛につきます」

 すると、彼はちょっと驚いたような顔をしていたけれど、すぐにいつも僕をからかうときみたいに笑って、僕の頭を撫でてくる。

「そんなに寂しかったのか?」
「さ、寂しくなんかありません!! 王子が二人していなくなるから、びっくりしただけです!! 賊に連れて行かれたんじゃないかって……それだけです! 頭、撫でないでください!!」
「俺を連れて行ける賊などいるものか。俺はただ、レクが俺の体にしがみついて寝ているから、起こすのが勿体なくなって、そのままにしておいただけだ」
「しがみついてなんかいません!! 殿下が無理やり僕をベッドに連れ込んだんじゃないですか!!」

 怒鳴りつけても、ロヴァウク殿下は楽しそうに笑っている。僕、怒ってるのに。こんなことばっかり言って、殿下はどういうつもりなんだ。

「も、もう戻りましょう。こんなところにいると目立ちます。何してたんですか?」
「空を見上げていた」
「空?」
「この街は、随分魔物が多いと思わないか?」
「そうですね……確かに、あちこちで魔物は増えていますが、ここまで魔物が広がった街は見たことがありません……それなのに、領主は結界の道具の破損も魔物の増加も知らん顔なんて……全部押し付けられたここの警備隊は大変なのに……」
「気になるのか?」
「なるに決まってるじゃないですか。隊長たちだって、魔物を抑えようと頑張っているんだから……」

 ロヴァウク殿下を見上げると、彼はなんだか嬉しそうに僕を見下ろしている。

「……殿下? どうしたんですか?」
「いや……ここが気に入ったのか?」
「そ、そういうわけじゃ……」
「貴様がここの連中と仲良くしていると思うと、妬けてくる」
「何言ってるんですか! こんなときに!」
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