虐げられた僕は、ライバルの最強王子のパーティになんて入りません! 僕たちは敵同士です。溺愛されても困ります。執着なんてしないでください。

迷路を跳ぶ狐

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85.行くぞ

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 ロヴァウク殿下は、僕の手を握って言った。

「……行くぞ。レクレット」
「へ!? あっ……! て、手を繋がなくてもいけます!!」

 怒鳴っても、殿下は聞いていなくて、僕は簡単に彼に連れて行かれてしまう。

 門番たちが、僕らに振り向いた。

「……ここへは、他にもお客様が来ていて……け、警備隊も来ています。気をつけてください……」
「僕たち以外にもですか? ……ここ以外でも、魔物が増えているんですか?」

 僕がたずねると、門番たちは顔を見合わせる。

 そして、門番の一人が僕に振り向いて、口を開いた。

「あの……れ、レクレットさんですよね? その……ライイーレ殿下を騙した……」
「……違います。レクレットだけど、騙してません」

 やっぱり、分かっちゃうか……だけど、僕はライイーレ殿下にそんなことしたりしない。

 言い返そうとすると、背後から僕のことを、ロヴァウク殿下が強く引き寄せた。

「レクレットはそんなことをしていない。すべて策略で作られた話だ。それは俺が保証する」
「殿下……」

 門番たちは、ロヴァウク殿下を見上げて口を閉じた。

 やっぱり、殿下にこう言ってもらうと安心する。
 それでも、まだ何か言いにくいような彼らの前に、クロウデライが立って、彼らを睨みつけた。

「なんだよ? まだなんかあんのか?」
「あ、あの……冤罪であることは存じております。すみませんでした……」

 彼らは、丁寧に頭を下げた。

 けれどその時、僕らの頭上から何かが飛んできた。巨大な羽を持つ魔物たちの群れだ。

 城の周辺にまで出るのかっ……!

 すぐに剣を構える。

 飛んで来る魔物たちは、みんなまっすぐに僕らを狙ってくる。

 僕は魔法で体を強化して、魔物たちに飛びかかった。
 その口を大きく広げて飛びかかってくる魔物に向かって剣を振るい、一刀両断にする。魔物は簡単に砕け散って消えていった。

 一匹ずつの力は大したことない。むしろ、街に出た魔物たちより、ずっと弱いくらいだ。
 代わりに数が多い。どんどん湧いては、全部僕らに向かってくる。

 これ、魔物じゃない。全部、魔物に見せかけた使い魔だ。
 魔力で作り上げるそれは、魔物と似ているけど、魔法で作り出した奴の言うとおりに動くもの。ってことは、誰かが僕らを殺す気で差向けているってことか……
 チミテフィッドみたいなのけしかけてくるから、そういう気なんだろって思ってたけど……いきなり殺しにくるのかよ。
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