虐げられた僕は、ライバルの最強王子のパーティになんて入りません! 僕たちは敵同士です。溺愛されても困ります。執着なんてしないでください。

迷路を跳ぶ狐

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103.いずれ王に

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「旅行に行くために警備隊長になったんですか?」

 本当にそうかと思って聞いたけど、ロヴァウク殿下は首を横に振る。

「コティトオンと約束したからな。望むものをくれてやると。あれは、町が安全であることが、何よりの願いらしい。警備隊もまだ、新しく入隊した者ばかりだ。彼らに魔物退治を教えるために、ニュアシュもクロウデライも忙しいだろう。ディロヤルは俺がもらってきたから、領地をこれからどうするかという話もある」
「……だから、もらってきたってなんなんですか……そんなことして、伯爵家は怒らなかったんですか?」
「ディロヤルを差し出して、ランギュヌに媚を売り自分達は魔法の道具を大量に手に入れては暴利を貪っていた連中だ。少し話したらどうぞ持っていけとほざいていた。伯爵家はディロヤルでもっていたようだし、あそこにはもう、ここを任せられない。しばらくここには、俺がいる」
「……それならそうと、先に言ってください……旅行に行くためかと思いました」
「そっちは九割程度だ」
「九割!? ほとんど旅行目的じゃないですか!! じゃあ、ランギュヌ子爵はどうしたんですか!!」
「そっちも処理済みだ」

 ロヴァウク殿下は、僕に近づいてくる。

「それに、貴様のこともあったからな」
「僕? 僕がどうかしたんですか?」
「ずいぶん長くここに入り浸っているではないか」
「入り浸ってなんかいません……」
「貴様がここを離れられるようにならないと、俺との勝負に集中できないだろう?」
「え……」
「どうした? まさか、俺との勝負の約束を忘れたわけではないだろうな?」
「そ、その話、覚えていたんですか……?」
「ああ。もちろんだ。貴様との約束だからな」
「ロヴァウク殿下……」
「貴様はどうなんだ? 俺と来る覚悟はできたか?」
「え……あ……は、はい……」

 僕、ロヴァウク殿下とパーティを組んで行くって言っちゃったんだ……

 なんだか改めて言うと、急にまた恥ずかしい。

「えっと……こ、これから、よろしくお願い……します……」
「ああ」

 頷いて微笑む殿下が、なんだか嬉しそうに見えて、ますます照れる。

 僕は慌てて彼から顔をそむけた。

「そ、それにしてもっ……し、しばらくはここにいることになりそうだしっ……あ、あのっ……く、クレノジ殿下は……待っていてくださるんですか?」
「………………なぜ、クレノジの話を始めるんだ……」
「え!? だって……まだ出発までかなりかかりそうだし……荒野の城に辿り着くには、時間がかかると思うんです。だから……」
「…………」

 ロヴァウク殿下は、無言で僕に近づいてくる。なんだか珍しく真剣な目をしていた。

「……クレノジのところへ言っても、貴様は俺のパーティだぞ」
「へ!!??」
「……貴様……やはり、忘れていたな……」
「え!!?? わ、忘れてなんかいません!」

 そんなこと、あるはずない。だって僕、ずっとロヴァウク殿下に会いたかった。

 そんな気持ちを素直に伝えたつもりだったのに、殿下は見たことがないくらい真剣な顔をして、僕に近づいてくる。

「僕……あ、あのっ……! ロヴァウク殿下!??」
「……クレノジの話を始めるし、ここが気に入っているようだし、俺がいなくてもずいぶん楽しそうではないか」
「な、なんの話ですか……?」
「……」

 僕の手首を掴んだ殿下が迫ってくる。

 もともとかなり身長差があって、殿下の方が僕より圧倒的に背が高い。そんな人に見下ろされていることにも、最近になって、慣れてきたはずだった。
 威圧感を感じる彼の前に立って、多分僕がずっと敵わないであろう人を見上げるのは、嫌なことではなくなった。
 むしろ、そうして見上げると、自分にとっての目標が見えるようで嬉しかった。

 それなのに、今は何をされているんだ?

 そんな真剣な目をされると、微かな恐怖が湧き上がる。なんでそんな顔するんだ?
 拗ねてるのは殿下の方じゃないか。

 それなのに、恐怖と共に、胸の奥が微かに熱い。強く握られるようで、訳のわからない感情が滲んでくる。

 握られた手首が、少しだけずきんと痛む。だけど、なぜかその痛みが気持ちいいと感じている。

 なんなんだ。どうかしてる。

 このままでは、自分が変になってしまいそう。

「で、殿下? どうされたんですか?」

 震えながら、下手くそな笑顔を浮かべてみた。

 だけど、そんな顔はだんだん崩れていく。
 だって、僕を見下ろす彼の顔が近づいてきて、目を離せない。

 彼の大きな手が僕の頬に触れた。

「強引なこともすると言っただろう」

 なんのことだ……?

 そんなの、殿下が勝手に言っただけで、僕、承諾なんかしてない。するはずない。
 だって、僕だってもう我慢できなくなりそうなのに。

 それでも言い返せない僕の唇に、彼の唇が降りてくる。温かくて、ほんの少し濡れて冷たくて、微かにそれが触れただけで、僕は彼を突き飛ばそうになってしまった。
 だって、こんなに他人に接近されたの初めて。

 それなのに、相手の体はびくともしない。彼の方が、よほど力が強い。
 抵抗しても無駄なことが分かると、今度は恐怖が膨らんでくる。

 だって、なんで僕がこんなことされてるんだ?
 僕、元反逆者で淫魔って呼ばれてた捨てられ人族なのに。

 唇を重ねているだけだったのに、彼の柔らかい唇は、僕のそれを甘噛みするようにして味わって、閉じていた僕の唇をこじ開ける。濡れたものが中に入ってきて、それが舌だって分かると、僕はもうパニックだった。

 抵抗も虚しく、押し込まれたものが僕の口の奥まで入ってくる。中までじっくり味わわれて、苦しくて涙が出てきた。
 すると、殿下はやっと、それを抜いてくれた。
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