極悪で役立たずな僕に責め苦を与えると脅迫した悪名高い公爵様が今日も僕に甘い。監禁されて迫られてるような気がするのなんて、きっと勘違いだ!

迷路を跳ぶ狐

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3.こんな奴ら

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 ドキドキしながら馬車の前に立っていたら、後ろから呼ばれた。

「おい。トグディウトル」

 この声は……

 振り向けば、そこにいたのはキラキラの装飾品をいっぱいつけた嫌味な顔をした男と、明らかに人を見下したような目をした男。領主の息子のフィエイウル様とベントコライッド隊長だ。

 ……なんで来たんだよ……

 せめて二度と顔を見たくなかったのに、もう見ちゃったじゃないか。

 思いっきり嫌な顔をしてやりたいが、フィエイウル様たちの後ろには、僕が所属していた部隊のみんながいる。僕が下手な真似をすれば、彼らにだって罰を下しそうだ。

「なんですか……?」

 僕がたずねると、フィエイウル様は、ひどく馬鹿にしたような口調で言った。

「何だ? その目は。俺が、せっかく貴様を見送りに来てやったのに」
「……どうもありがとうございます」

 消え失せろ。

 そう言いたいけど、今は我慢しなきゃ。

 せめて最後くらい顔を出さないでいてくれたら嬉しいなって思ってたのに…… そもそも、僕がこんなことになったの、誰のせいだよ……

 ムカつく男だけど、一応領主の息子。

 後少しの我慢だ。ここから出発したら、僕はもう二度と、こんな奴の顔を見なくて済むんだから。

「……お見送り、ありがとうございます。心から感謝申し上げます。死ね……死ぬほど感謝します……」

 あっぶねーーーー!! 死ねって言いそうになった……

 そんな僕の内心を知らないフィエイウル様は、僕に近づいてくる。

「何だ? その態度は。俺が助けてやったことを忘れたのか?」
「助けた……?」
「お前の処分を、素材を集めるだけにしてやるように、公爵様に頼んでやっただろ?」
「…………」

 お前、素材はあいつが集めるからって言って、領主様に泣き付いただけだろ……

 すると今度は隊長が、僕を鬱陶しそうに睨んで言う。

「この男にそんな良識があるわけがないじゃないですか。お世話になったフィエイウル様に感謝するのは当然のことなのに、そんなことすらできないんですよ」
「ああ、なるほどな! こうして処罰されるわけだ!!」

 ゲラゲラと笑い出す二人。

 うるさいな……そんなこと言いにきたのか?

 多分そうなんだろうな……

 とにかく、こんな奴ら相手にしないに限るな。

 さっさと馬車に乗ろうとする僕。

 すると、フィエイウル様はまだ僕を逃さないとばかりに言った。

「おい……聞いているのか?」

 面倒臭くて、「聞いてます」と最低限の返事をすると、今度は隊長が言う。

「怯えてるんですよ。こんな奴、相手にしないに限ります。今回だって、約束の時間に遅れて公爵様を怒らせて!!」
「部隊のみんなに、もう大丈夫だと話しに行っただけです」

 僕がつい言い返してしまうと、隊長はますます喚き出す。

「そんな暇があったら公爵様に会いに行け!!」
「…………」

 そんなこと言ったって、そもそも、部隊は公爵に引き渡すって最後までうるさく言ってたのはフィエイウル様じゃないか。その方が公爵だってお喜びになるはずだ! って言って。
 隊長だって、素材を集める奴隷を多く引き渡せば報酬がもらえるはずです! なんて言ってたくせに。
 お前らがそんなことを言うから、みんな怯えてしまって、説明に時間がかかったんだろ!
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