極悪で役立たずな僕に責め苦を与えると脅迫した悪名高い公爵様が今日も僕に甘い。監禁されて迫られてるような気がするのなんて、きっと勘違いだ!
領主様の城でその一族に仕えていた魔法使いの僕は、彼らの身代わりに、ひどく残虐だと噂されている公爵に仕えるように命じられてしまう。
男爵家の生まれで、兄弟たちの中でも力も魔力も弱くて、給料を全部一族に渡すことを条件に領主様の城に売られてからというもの、魔物と戦ったり警備をしたりと、領主様に仕える部隊の一員として頑張ってきたつもりだったのに。
怯えていたら、「お前が断るなら、部隊の平民どもを全員奴隷として公爵に売り渡す」と脅されて、僕の上司だった隊長には、「こんな時までわがままを言うのか!」と、怒鳴られた。
「役立たずで足手まといのお前の面倒を見てやっただろう! 回復魔法は下手、魔物退治も鈍い、素材の回収でもドジを踏んでばかり! お前一人のために、俺たちがどれだけ迷惑してきたと思っている!!」
そんな風に怒鳴られて、何もかも嫌になる僕は、「僕が行きます」と返事をした。
だけど、これから仕えるはずの公爵様には、まるで期待なんてしていないような顔をされてしまう。
「貴様のことは引き取ったが、貴様に期待しているわけではない。途中で壊れて使えなくなれば焼いて捨てる……」
そう冷たく言われてショックだったけど、期待なんてされようがされまいが、僕のやることは決まっている。
公爵様と約束したことを果たす。それが終わったら自由になってやる!!
「今回、僕がお仕えするのは、公爵様がご所望の素材を集めるためですよね? でしたら、その素材が集まれば僕は用済みなはずです。もしも、僕がそれを全て集めることができたら、僕を解任してくださいますか?」
「分かった」
「約束ですよ……」
約束だ。解放されたら何をしようか……そんなことを考えながら毎日を過ごしてやる!
そう決意して、公爵様の領地に向かった僕。
だけど最近、公爵様の様子がおかしいし、僕を売り渡した領主様は帰ってこいとうるさい。
一体、どうなってるんだ! 約束を果たしたら……僕は自由になるんだからな!!
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