従者になりたい犬と犬に悪戯したい魔法使い様

迷路を跳ぶ狐

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第六章

67.熱く

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「……ふぃ……フィーレアさま……やっ!!」


 背中に、焼けるような熱を感じた。
 フィーレアが、チイルの背中に口付けてきたのだ。

 優しくて、柔らかい感触がチイルの背中を滑って、微かにそこが濡れていく。
 慰めるように優しいのに、怖くなるくらいに気持ちいい。
 それなのに、まるでそれから逃げるように背中を反らしてしまう。

 けれど、チイルの正面には、デスフーイがいる。
 背中を反らせば当然、彼に向かって、胸を見せつけるような体勢になってしまう。


「あー……我慢できね……」
「ひゃぁっ……!」


 小さな胸の突起に、彼の唇が触れた。
 濡れたものでしゃぶられて、舐られて、生まれた熱を抑えられるはずもなく、体は蕩けるような愛撫に晒されていく。


「……や、ぁっ……いやっっ…………ま、待って……っ!」
「今更、やだ、はないだろ……仕置き増やすぞ」
「え……? やっ、あっっ……!!」


 濡れた感触が、急に強くなる。
 小さな突起を甘く舐められて、少しだけ甘噛みされて。チイルの奥にある欲を引き起こすような、そんな刺激だった。


「ぃっ……あっ…………っ!!」


 今度は、ちくん、と刺すような、それでも、痛みを感じたのは一瞬。
 軽く押すように、柔らかい舌で摘まれて、腰が何度も揺れた。

 少しでも、快楽から逃れようと身をよじる。けれど、両腕は拘束され、体は吊るされている。
 フィーレアとデスフーイに囲まれて、逃げ場など、あるはずもない。

 まるで生き餌だ。

 吊られたまま、二人から責められて。
 両手を拘束されて、逃げるどころか、微かな抵抗すら許されない。

 何度も、背中の肌を舐られて、いくつも跡がついていく。


「あっ……や、やだぁっ……ひゃっ……!!」


 快楽から逃げようとして、体を反らせば反らすほど、正面に立つデスフーイに、体を捧げるような格好になってしまう。

 差し出した胸の突起は強く吸われて、そのたびにビクビク腰が揺れた。

 快感に、体も、理性すらも飲み込まれてしまいそうなほど気持ちいい。

 敏感になっていく胸の先。それを濡れた舌の先でくすぐられて、じわじわと、追い詰められていくのが分かった。


「やっ……っ!! ひゃっ……! ああぁっ……!」


 しゃぶるように扱われた胸が濡れていく。流れた唾液が体を伝うだけで、感じてしまう。
 何度も体を揺らして、そのたびに体は熱くなっていく。


「あっ……ひゃっ…………ふ、ふぃ……れあ……さま! ですふーいさまあ……っ! もぅっ……許してくださいっっ……いやっ!!」


 泣くたびに、ますます強く、唇をあてられる。
 そっと、優しく乳首を噛むようにされて、チイルの体がびくんと揺れると、二人の唇が離れていく。

 その頃には、チイルの体は、赤いあとだらけになっていた。
 吊るされた体のあちこちに、二人がつけた跡が残っている。それを見下ろすと、恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだ。


 すでに、チイルの中心は、散々嬲られて、欲望を溜めている。
 さっきは着物を着たままだったのに、今は裸だ。
 膨らんだそれを、二人の前で披露する羽目になってしまい、チイルはずっと、真っ赤になって俯いていた。


 もう、二人と顔なんて合わせられない。


 それなのに、背後からフィーレアが手を回してきて、チイルの顔を、無理矢理あげてしまう。
 ただでさえ汗ばんでいるのに、喘いだあとのよだれまで垂れている顔を見られて、涙が滲んできた。


「ふぃ……れあ……さまぁっ…………もぅっ……許してください…………ひっ!」


 チイルの腹のあたりと、尻に、硬いものが触れた。


 二人の猛ったものが押し当てられたのだ。


 これには、チイルも怯えた。


 チイルには、何も経験がない。膨れ上がった欲望を受け止めることなど、できるのだろうか。


 怯えた体で逃げようとして、チイルを吊るす鎖が揺れる。
 すでに体は高揚して、蕩けてしまいそう。
 逃れることなんて、できるはずないのに。


「や、やぁっ…………ま、待って…………も、もう…………許して……ひゃ!!」


 足掻くチイルの頬に、デスフーイが、そっと口付ける。

 泣いている唇の端に流れていた涙は、フィーレアの指に拭われて、ますます体が大きく震えた。


「泣かないでください……すぐに……気持ちよくします……」


 どこか酔ったようなフィーレアが、やっと、チイルの知っている顔で言う。

 それが聞こえて、チイルは、自分で顔を上げた。

 フィーレアと目をあわせると、彼の顔も、同じくらい紅潮している。



 その顔を見たら、つい、はい、と答えてしまった。



 フィーレアが、獲物でも見つけた野獣のように笑う。けれどその笑みは酷く優しそうに見えた。


「……ぁ、あああっっ!!」


 彼のドロドロに濡れた指が、チイルの尻に触れる。それだけで、そこがかあっと熱くなった。


「やっ……! いやぁぁ……な、なにっ……!?」
「怯えないでください……すぐよくします……」
「い、いやっ…………あぁっ……!!」


 ずるっと、滑るように、濡れた指が入ってくる。
 慣れていない後孔が激しく痛む。
 けれど、刺すような痛みは、一瞬だけだった。ドロドロに濡れた指が中に入ってくるたびに、そこから、体すら溶かされるような快楽が広がっていく。


「いっ……いやぁぁっ……!! な、なにっ……!? あ、あっ……ぁんっ……!!」
「媚薬です…………傷つけることは……絶対にしないっ……!」
「あっ……!!」


 彼の声を聞いたら、チイルの体から一気に力が抜けて、彼を受け入れてしまう。

 濡れた指は、チイルの狭い中を押し開けて、チイルの知らなかった場所に触れた。


「あっ……ひあぁっっ!!」


 弓形に背をそらすチイルを見て、フィーレアが笑う。悪魔じみた笑顔で、そこを何度もくすぐってきた。


「やっ……いやぁあっ…………! あっ……ひゃあっ……!! あ、あ……」


 滲んだ涙のせいか、目の前がどんどん霞んでいく。

 その時、彼の指が、ずるんと引き抜かれた。


「チイル……あなたがっ……好きですっ……!!」
「ふぇ? あっ……いやあああーーーーーっっ!!!!」


 まだ狭い後孔を押し広げ、彼自身が、チイルの中に押し入ってくる。

 喘ぐチイルを慰めるように、デスフーイの唇が、流れていく涙を拭った。



「あっ……ひっ……! あっ……あっ……」


 奥を何度も、硬く猛ったもので抉られ、チイルは何度も泣いた。
 痛かったのは、ほんの一瞬。
 後は体を溶かす快楽ばかりが広がっていく。

 その律動の中で、フィーレアの手が、チイルの中心を絞るように握って、ずっと押さえつけていたものが、先から弾けるように飛び出した。


「あっ…………あぁっ……」


 チイルの中にも、焼けるような彼の欲望が広がっていく。彼のものが抜かれると、ドロドロに濡れた後孔から、収まりきらなかったものが漏れていった。


「ふぇ……ぅっ……ぅぇっ……ひっく…………」

 初めて知った快楽に耐えきれず、泣き出すチイルの涙を、フィーレアが拭ってくれる。

「チイル……苦しかったですか?」

 いつもの彼の、優しい口調で聞かれて、チイルは何度も首を横に振った。



 すると、まだ惚けているチイルの顔をデスフーイが捕まえて、微笑む。

「……チイル…………俺はまだお前のこと、離せないから……」
「え……? あっ……あああっ!!」

 両足を彼の両手で上げられ、露わにされた後孔に、彼のはちきれんばかりに膨らんだものが突き刺される。そこから感じるのは、もう快楽だけで、奥まで何度も犯されて、意識すら籠絡されていく。

 デスフーイが、微かに微笑んだ。


「チイルっ……! 大好きだっ……お前のことっ……好きだっ……!」
「あっ……あぁっ…………!!」


 中を支配する彼のものが、チイルの意識を溶かしていく。 
 涙と共に呼んだ名前が漏れていく。
 彼の欲が後孔に溢れて、それすら気持ち良くて、チイルはずっと喘ぎ続けた。
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