誰より重くて愛がないと言われる僕の後ろには、いつも監禁趣味のあいつがいる

迷路を跳ぶ狐

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81.仕返し計画

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 騒がしく謎ばかりの誕生日パーティーがおわり、気づいたら朝になっていて、僕は、リビングのベッドの中で、目を覚ました。

 なんでこんなところにいるんだ……?

 周りを見渡しても、オーイレールもヴァルアテアも、ズモアルケもいない。

 ああ、思い出した。

 昨日、僕はフュイアルさんたちとケーキ食べて、そのあと、誕生日のご馳走を忘れてたって言いだしたフュイアルさんが、大量に料理作り出して、腹いっぱい食べさせられたんだ。
 フュイアルさんが、フォークに肉を突き刺してアーンってしてきて、死ねって言ったら、媚薬で脅された。おかげで僕は、みんなの前でフュイアルさんにごはんを食べさせられるという辱めを受けたんだ。
 ムカつくのに、媚薬の魔法に触れられたらビクビク感じてしまって、腹一杯食べて、気づいたら寝てた。

 僕は一体を何してるんだ……あんな最低男の部屋でぐっすり眠るなんて。

 そう思って起き上がろうとしたら、隣にフュイアルさんがいることに気づいてびっくりした。

 いつも一人で寝かされるのに……

 それなのに、リビングにある大きなベッドで起き上がった僕の隣には、ぐっすり眠るフュイアルさんがいる。フュイアルさんがこんな風に眠るところ、初めて見た。

 寝てるうちに抱かれたかと思って、慌てて、下半身を確認したけど、パンツ履いてるし、後ろも特に変わってない。それに、どれだけ寝てても、この人にいつもの力で押さえつけられて抱かれたら、起きるような気がする。
 じゃあ、抱かれてはいないのか。

 フュイアルさんは、珍しく熟睡してるみたいだ。

 僕は、フュイアルさんの隣でもう一回横になった。

 こんなに近くでフュイアルさんの寝顔を見るのは初めて。魔法で体を守っている様子もなくて、無防備だ。

 悪戯でもしてやろうか……そうだ。今なら、いつもの仕返しを好きなだけできるじゃないか。

 あの誕生日会でも、散々辱められたんだ。
 みんなの前であーんでケーキ食べさせられて、明らかにわざと手にクリーム落とされて、舐めとられた。
 しかも、今度は俺の舐めて、とふざけたことを言われ、生クリームのついた指を差し出された。もう殴ってやりたいのに、媚薬で脅されて、結局舐めさせられた。
 ちゃんと言うこと聞いたのに、媚薬も体に押し込まれて、ついでにフュイアルさんの魔力まで押し付けられた。殺したい。
 この辺りでヴァルアテアが「そろそろやめてやれ」って言って、フュイアルさんを止めてくれた。
 もちろんそんなことを聞くフュイアルさんじゃないけど、全く空気を読まないオーイレールが、「じゃあ俺がフュイアルとトラシュのために料理作ってやる」と言い出し、フュイアルさんが焦って止めて、僕はやっと解放された。

 フュイアルさんめ……僕が魔力使えないのをいいことに、僕をなぶりやがって!

 絶対仕返ししてやる。

 こっそりもう少しだけ、隣で寝ている男に近づく。
 かすかな寝息が聞こえた。本当に熟睡してるんだ……

 どうやって仕返ししようか、そんなことを考えていたら、だんだん隣でその寝顔を見ることに夢中になってしまい、気づけばじーっと見つめていた。

 フュイアルさんって、僕を警戒したりしないのか? 僕、仕返ししようとしてるのに。

 だけど、フュイアルさんの寝顔を見てたら、僕まで眠くなってきた。
 見つめながらうとうとしていたら、隣で寝ていたフュイアルさんが起きてしまう。

「トラシュ……体の調子はどう?」

 そう言って微笑むフュイアルさんから、すぐに顔をそむけた。

 フュイアルさん、寝起きでかすかに頭に寝癖ついてるのに、気づいていないらしい。ちょっと可愛い……でもそんなこと思ってたなんて、気付かれたくない。

 だいたい、この人の容疑が晴れたわけじゃない。

「……フュイアルさん……」
「ん? なに?」
「なんで……僕の隣で寝てたんですか?」
「だって、トラシュの体、癒してあげたかったから」
「い、癒すって……何かしたんですか!? 僕が寝てる間に……」
「回復の魔法をかけて、俺の魔力をあげてた」
「は!? ま、また勝手にそんなことしてっ……!!」
「早く回復しないと困るだろ?」
「それは困りますけど……」

 確かに、体が回復しないのは困る。

 そう言われてみると、体に力が戻ったような気がする。
 手を握ると、微かに温かい。やってみないと分からないけど、もうほとんど……もしかしたら、完全に回復しているかもしれない。

 フュイアルさん、僕の隣で寝ていたし、もしかして一晩中、僕のこと見ていてくれたのか?
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