41 / 46
41.襲撃です
しおりを挟む会長が僕の思いを汲んでくれて、僕はヴィユザと一緒に、フォーラウセがいる寮に向かって出発した。
すでに、昨日の魔法具を埋めた男がフォーラウセだったことは知れている。おそらく、それを支持したのはセルラテオ。このままだと、フォーラウセだけが拘束されて、セルラテオは逃げおおせる可能性がある。
そんなこと、絶対にさせない。
「会長……僕、頑張ります……」
僕に任せてくれた会長のことを思い出して、決意を口に出していたら、隣のヴィユザが呆れたように言う。
「お前……そんなに呑気でいいのか? おい! しっかりしろ! ディトルスティ! これから何しに行くか、分かってるか!?」
「もちろんだよ。会長の敵を消しに行くんだ……」
「消さなくていいんだよ!! やりすぎたら、お前の大事な会長も困るんだぞ!」
「分かってるよ……フォーラウセだけに罪をなすりつけて、セルラテオを逃すなんて、絶対にさせない!」
「そうだな……」
そう言って、ヴィユザは空を見上げていた。こうして、当たり前みたいについてきてくれているけど、ヴィユザは、僕を嵌めるために利用されてだんだよな……今朝だって、書類手伝ってくれて、こうして、僕を助けてくれてるんだ。
「………………あの……ヴィユザ……」
「なんだ?」
「いいのか……? ついてきてもらって。僕らのことで、巻き込んじゃってるのに」
「何言ってんだよ! 仲間だろ!! むしろ巻き込んでくれなきゃ困る! だいたい、先にフォーラウセたちに騙されてお前に絡んだのは俺だろ!」
「……僕、セルラテオに付き纏ってなんかいない……」
「分かってるよ、今では。だけど……俺にそれを話した時のフォーラウセ……セルラテオのこと、すっげー心配してるみたいだったからさ」
「……そう……」
フォーラウセ……昨日もセルラテオと一緒にいたし、すごい忠誠心だ。あんな奴の何がそんなにいいんだ。
これから会う奴のことを考えながら、僕らは、寮の前まできた。すると、ちょうどフォーラウセが出てくる。
彼は、すぐに僕に気づいたみたいだった。
「……ディトルスティ……」
「ちょっといい? 話があるんだけど」
「……お、お前と……話すことなんて…………」
そいつは言いかけて、急に俯いた。その肩に、何か乗ってる。鳥の姿をしているけど、使い魔じゃないか。
「それ……校則違反だよ。……セルラテオに渡されたの?」
「黙れっ……! お前にはっ……関係ない!!」
そう叫んで、フォーラウセは空に飛び上がる。
いきなり逃げるのかよ!!
僕とヴィユザも、魔法を使って空を飛んだ。
だけど、学園の上空を逃げるフォーラウセは、めちゃくちゃ早い。逃走の魔法は得意らしい。
それに、今の僕は、昨日魔力が尽きた影響で、まだ本調子じゃないみたい。
前を飛ぶフォーラウセは、まっすぐ学園に向かって飛んでいく。この方角……生徒会室!? 会長を狙っているのか!?
僕はすぐに、指輪に魔力を注いで会長に報告。
ついでに、授業で習ったばかりの異常を知らせる警報の魔法で、空に光の球を投げた。朝の空に強い光が瞬いて、すぐに消える。これで学園の先生や風紀委員も気づいてくれるはず。
僕とヴィユザには権限がないから、フォーラウセに僕らの求めに応じて止まる義務はない。
だから、風紀委員が来た時に「嫌だったから逃げた、風紀委員会から逃げる気はない」って言われたらそれまでだけど、このタイミングで逃げられたら、報告しないわけにはいかない。何もなければ、風紀委員会に頭を下げればいいだけのこと。また騒ぎを大きくしたって言われそうだな……
「止まって……! フォーラウセ!! 僕らはっ……! セルラテオを止めたいだけだ!!」
叫ぶと、そいつは本当に止まった。そして僕らに振り向く。
「な、何をっ……今更……お前はっっ!! お前は何も分かってないんだ!」
そう叫んで、フォーラウセは生徒会室に向かって急降下。そして、生徒会室の窓を消して中に飛び込んでいく。
僕らも飛び込むと、消えた窓はすぐに元通りになった。
生徒会室には、会長とマモネーク、セルラテオが立っている。
会長が、僕に向かって叫んだ。
「ディトルスティ……逃げて!」
「え!?」
なんでって聞く間もなく、セルラテオが僕に振り向いて、天井に向かって何かを掲げる。小さな鍵だ。だけどただの鍵じゃない。生徒会室の結界の魔法を起動するためのものだ。あれは、学生が持てるものじゃないはずなのに!
鍵が光り出して、光は生徒会室を包みだす。このままじゃ、全員閉じ込められる。会長とヴィユザたちのことは守らなきゃ。
僕が魔法をかけると、強い風が吹いて、僕とセルラテオ以外を部屋の外へ吹き飛ばした。
「ここは任せてください! 風紀委員に連絡をっ……!」
叫んだ僕の言葉に、会長が答えてくれたような気がした。
ドアがバタンと閉まって、閉ざされた生徒会室に、僕とセルラテオだけになる。
もういい加減にしてほしい。こいつ、どれだけ僕らに付きまとえば気がすむんだ。
僕は怒っているのに、セルラテオはニヤニヤ笑っていた。
「ディトルスティ……お前から来てくれるなんて思わなかった……生意気なお前にも、可愛いところがあるじゃないか」
「……気持ち悪いです。僕のことも、気安く呼ばないでください」
気色悪くて鳥肌が立つ。何でこんな奴のために、また時間を使ってやらなきゃならないんだ。僕の時間は大切な会長のために使われるべきなのに。
だけどこれで、結界の中に閉じ込められたのは僕だけ。外にいる会長が、風紀委員に連絡してくれれば、鍵を勝手に持ち出したこいつはすぐに拘束される。それまで、時間稼ぎだ。
10
あなたにおすすめの小説
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる