どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん

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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章五節 リゾート地とホルンズヒルと心臓破り-

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さて…シロの首輪を買う・買わないで揉めたマサツグとシロであったが

結局マサツグが根負けし…首輪を買って道具屋を後にすると、マサツグは

アイスを咥えながら徐に道具屋で買った地図を広げる。勿論次の目的地は

ホルンズヒル!…そこに居る曰く付きの職人に会いに行く為、場所を調べて

いるのだが…改めてこのサマーオーシャン大陸が本当にリゾート地で

ある事を自覚させられる。何故なら…


__パラッ……


「…うわぁ!…何だこれ?…ここ等辺一帯が娯楽施設で埋められてる!…

…さすが観光地…何処も彼処もリゾート地らしい設備や名所で一杯だな…

何か違う目的で来た俺達が場違いの様に思える…」


マサツグが地図の内容を確認するとそこには目的地であるホルンズヒルの他、

あらゆる観光名所や娯楽施設が多く表示されてはまるで一か所に纏めた様に

犇めき合っていた。とは言ったもののさすがに全ての観光名所がここに

集まっている訳では無く、それぞれ違う場所にも設けられている訳なのだが…

ゴルフ場にテニスコート…本当にこれはRPGゲームなのか?と疑う位に

ミニゲームが充実していた。そんな地図を手にマサツグは某配管工オヤジの

別ゲームの世界に迷い込んだか?と困惑の表情を見せつつ、地図の内容に

難色を示しているとシロがアイスを咥えてはマサツグに攀じ登り出し、

マサツグに再度肩車をして貰う形で落ち着いて見せるとマサツグも慣れたのか…

無抵抗で登られてはシロに改めてアイスの効果を聞くよう「暑くないか?」と

尋ねてみる。


「……シロ?…暑くないか?…」


「はむはむ…はひひゅほはへへひふほへはふふはひへふアイスを食べているので熱くないです!…」


「……そうか…」


知らぬ間に肩車をさせられては若干呆れた様子でシロに尋ね、シロはその

問い掛けに対して元気良く手を上げると口にアイスを咥えたまま返事をする。

その際やはり何を言っているのかは聞き取れないのだが、道具屋で見た通りの

効果が出ているのかシロは汗一つ掻かずにアイスを食べており、それを見た

マサツグは改めてアイスの効力に驚きつつ…シロの返事に対し呆れたまま

返事をすると、シロを肩車したままホルンズヒルに向かい始める。この時…

マサツグは迷わないようミニマップを表示させるのだがここでも変な表示を

目にする。


__ピピピ!…ヴウン!…


{……ッ!…何だこの赤い線?……一応この町に道なりに沿って伸びている?…

それも俺達の居る場所から離れて……場所的にはあの市場が有った方…}


マサツグが自身のミニマップを開くとそこには町の様子と共に赤いグニャグニャと

した線が表示されていた。町の構造や建物の壁と言った物に沿ってでは無く、

何故か人が通る道に対して…当然この赤い線が何なのか分からないマサツグは

バグか何かかと疑い始めるのだが、だとすれば運営からメールが届くと考えると

更に困惑し…場所が市場である事、その他に考えられる条件を色々考えては

一人悩んで居ると、その赤い線の正体が分かる様に突如として町内?アナウンスが

流れ始める。


__…ザザ!……ピンポンパンポォ~ン♪……


「え?…」


{{観光中の~…お客様に~…ご連絡を~…申し上げます~…

ただいま~…市場エリアにて~…混雑が~…起きて~…おります~…

これにより~…一時的に~…一部のエリアに限り~…一方通行~…

通行制限が~…入りますので~…ご了承~…宜しく~お願いします~…}}


__ピンポンパンポォ~ン♪……ザザ!…


「……このゲームのミニマップにはカーナビみたいな

機能まで付いてるのかよ!…」


町内アナウンスから流れて来たのは交通整理の案内…それと同時にマサツグの

ミニマップでも赤い線が消えたかと思えば今度は青い矢印が表示され、恐らく

一方通行らしき流れになったのが見て取れると、その様子にマサツグが驚くと

同時にミニマップに対してツッコミを入れる!今までのゲームでも見ない機能に

驚きを隠せないマサツグはただただミニマップを見詰め、シロはミニマップが

見えないのかマサツグが明後日の方向を向いては町の中を歩く姿に不安を覚える。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「………。」


「……ん?…如何した?…何か付いてる?…」


「ッ!…な、何でも無いです!…」


「……ッ?…」


心配する様子で見詰めて来るシロの視線に気が付いたマサツグがシロに

声を掛けるが、シロは不安の言葉を言わずにただ大丈夫と言い…マサツグも

そんなシロの様子に戸惑いつつ歩き続け、まずは町の外!と言った様子で

ホルンズヒルを目指す。その間シロから見るマサツグは圧倒的に不審に

見えたのかその後も凝視されては心配の目を向けられ、そうしてマサツグが

シロの視線を感じつつミニマップを頼りに歩いていると、何とか町の外に

通じるゲートを見つける。


「ッ!…ゲートだ!…さて!こっからが…」


「ふぅ…」


「ッ!…今なんで息を吐いた?…」


「な!…何でも無いのです!…気のせいなのです!!」


「……ッ?…まぁいいか!…とにかくこっからだ!…」


町の外に通じるゲートを見たシロは途端に安堵の表情を見せると、思わずホッと

息を漏らし…マサツグはマサツグでその溜息に気付きシロに思わず戸惑いながら

ツッコミを入れると、シロは慌てた様子で両手を振って見せては誤魔化し始める。

そんなシロの慌てて誤魔化す素振りにマサツグは疑問を持つのだが、いつまでも

気にして居られないと割り切っては外へ出るゲートを潜り…この大陸最初の

オープンマップに出ると、マサツグ達の目の前には平原と言うよりゴルフコースに

近い芝生の絨毯が広がっている!…遠目にはやはり観光用に整備されたで

あろう山や森が点在していた。


__ザアアアァァァ!!……

 -------------------------------------------------------------------------------

        「サマーオーシャン平原・第1210番コース」

 港町ホエールビアードを出て直ぐの平原兼ゴルフコース。誰が作ったか

 分からない三千有るゴルフコースの一つで、たまにここでゴルフをする

 冒険者が要るらしい。ギルド側では自己責任と言う形でゴルフをして

 良いとされているが、マナーには厳しく!…環境保全に離れた行為…

 ポイ捨て等をすれば罰金刑が課されるので注意が必要とされている!…

 またこの芝生だからこそみられるモンスター等も多く、ある意味で

 天然記念物となっており、モンスターのせいでホールインワンになったり、

 OBになったりと大変なコースになっている。因みにだがここでゴルフを
 
 して居れば当然モンスターに襲われるので、この外のコースは基本…

 冒険者達専用となっている。

 --------------------------------------------------------------------------------

{…いやいや!…それ以前に何でここにそんな物作った!?…

てかゴルフする奴いるのかよ!?……やるやらないは勝手だと思うけど…

他の冒険者達の迷惑になるんじゃ?……この場所を手掛けた人はよっぽど

好きだったんだろうか?…}


__チラッ…チラッ……


{…やっぱりゴルフしてる奴なんていねぇじゃなえか!…

…って、あの一軒家…もしかしてあれか?…}


サマーオーシャン平原…もといゴルフコースに出ると一陣の風が歓迎する様に

吹き抜け、それと同時にいつもの紹介文がマサツグの目の前に表示される。

そこにはマサツグがツッコむ様にここがゴルフコースである事・モンスターに

襲われる事・気候ならぬモンスターのせいでポイントが変わる等、無茶苦茶な事が

書かれており…ほぼほぼ名所案内では無くゴルフをする際の注意事項と化した

紹介文が表示されていた。そんな文面を目にしたマサツグは戸惑い心の中で

ツッコミを入れると辺りを見渡し、本当にゴルフをしている者が居るかどうかを

確かめるがやはり何処にも居らず!…そんな様子にマサツグがやっぱりと言った

様子で呆れてはある高台?…丘?…の上に一軒家を見つけると、その方向に

向かい歩き出す。


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「ミニマップでも確認したらアッチってなってるし…

間違い無くあの一軒家で間違いなさそうだな?…てか何であんな所に?…」


「…ッ!…ご主人様!!…前から!…」


「え?…ッ!?…」


マサツグがその一軒家の見える方へと歩き出し、その際ミニマップでも

ホルンズヒルの場所を確認すると、如何やら合っていたらしく…

シロを肩に乗せ真っ直ぐにそのホルンズヒルへ向かい歩き出すのだが、

その途中シロが何かに気が付いた様子でマサツグに声を掛けると、

マサツグに分かり易いようそのある物を指差し教え始める。そんなシロの

様子にマサツグも戸惑った反応ながら指差す方に目を向けると、そこには

負傷した冒険者達がこちらに向かい歩いて来ており!…互いに肩を貸しながら

歩いては何やらブツブツと文句を言っている様子が見て取れた。


__ザッ……ザッ……ザッ……ザッ……


「クソッ!!…あんなの聞いてねぇよ!!…何だよアレ!?…」


「ッ~~!!…まだ耳がキンキンする!!…」


{…偉くボロボロになって耳がキンキンする?……

一体何が有るって言うんだ?…}


脚を引き摺る様に歩くその負傷した冒険者達とすれ違う時…冒険者達から

文句の言葉と同時にある気になる言葉を耳にすると、マサツグは頭の中で

考え始める。見た所モンスターにでもやられたのかすれ違った冒険者達の

体は擦り傷だらけの切り傷だらけ…まるでカマイタチの渦の中へ突っ込んだ様に

ボロボロになって出血が至る所から見られた…それに耳がキンキンする…

まるで大音量の音でも聞いたかの様に表情を歪めて耳を押さえ…まだ頭の中で

その音が響いているのか苦痛の様子を見せては息を切らして居た…そうして

ボロボロの冒険者は二人揃って町へと帰って行き、とにかくこの先に何か

不穏な物が有る事を暗示して振り返る事無く歩き続ける!…まるでモンスターに

襲われない様に急ぐ様にズルズルと戻って行き、そんな彼らの様子を目にした

マサツグが改めて警戒して居るとそれに感化されるよう!…シロも辺りを

警戒し始める。


「……あのホルンズヒルってのは一筋縄じゃ行かないって事か…

ここまで何も無い上に、あの冒険者達のやられよう…

警戒は十分に!……」


「はいです!…」


マサツグとシロの二人がホルンズヒルへと近付けば近づく程、マサツグ達と

目的は同じだったであろう冒険者達が諦める様に反対の道から現れては

すれ違い…同じ様にボロボロ…耳を押さえては町へと帰って行く光景を何度も

目にする。その度にマサツグとシロは冒険者達が歩いて来た方向を見ては

索敵をするのだがモンスターの影は無く…何かトラップがある様にも見えない

光景に困惑し、徐々に近づいて来るホルンズヒルにより一層の警戒を強める。

ここまでの道中…他の冒険者みたく何かが有った訳でも無く近いのが幸いか…

モンスターとエンカウントする事も無く、ただリアルに約一時間!…道なりに

歩きに歩き続けた結果、マサツグ達はホルンズヒルの入口に到着する!


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「…ふぅ!……そこそこあったなぁ……っで?…

こっからが本番ってか?…気合い入れて行こうか!!」


「はいです!!」


__バッ!!…ジャッ!!…ガシ!!…


「ッ!…フフッ!…行くかぁ!!」


丘の玄関口に立ってまず気が付くのは所々に穴が開いている様子が見て

取れる事!…そしてその穴から微量ながら風が出ているのか時々土埃が

吹き出ている事!…これら普通の丘では見られない光景を目にしては

更に今まですれ違った冒険者達の事を思い出す様に!…マサツグが自身に

気合を入れるとシロがマサツグの言葉に返事するよう同じ様に気合を入れ、

自らマサツグの肩から降りて歩く意思を見せてはマサツグの手を握り、

その様子を見たマサツグが思わず笑ってしまうと、二人は改めて辺りを

警戒しつつホルンズヒルへと足を踏み入れる!ホルンズヒルは緩やかな

坂道の丘でいたって危険な様子はやはり見当たらない…だがマサツグ達が

丘を登り始めると時々地面が揺れてバランスを崩して転けそうになる!…


__ゴゴゴゴ!…


「ッ!…っと、あぶない!…シロは大丈夫か!?」


「はいです!…でも何でこんな揺れるのですか?…

誰かが地面の中で暴れてるのでしょうか?…」


「……あぁ~…ッ~~……分からんがとにかく!…気を付けて行くぞ!」


揺れる地面に気を付けながら歩く際、マサツグはシロの心配をしながら

手を引いて歩くと、シロはマサツグの顔を見上げては大丈夫と笑顔で答える。

ただ揺れる地面が気になるのかシロはマサツグに尋ねるよう問い掛け、

マサツグもさすがにこれが地震では無いと分かっており…何が原因かと

悩み出すのだが、結局素直に分からないと答えて先を急ぐ。丘を登れば

登る程その揺れる頻度も高くなり、その震度も大きくなる!…更に面倒な事に

揺れが大きければ大きい程耐える為のTPを消費し、揺れる地面を無理に進めば

更にTPを持って行かれる!…一気に登る事が出来ず…少し進んでは休み…

進んでは休みを繰り返して…何とかマサツグ達は中段辺りまでやって来る

のだが、ここでまた別の面倒事がマサツグ達を襲い始める!…それはマサツグの

歩く速度にシロが一度付いて来れず転けそうになった時に起きる!


__ザッ…ザッ……コケッ!…


「あっ!……」


「ッ!…シロ!…大丈夫か!?…」


「だ、大丈夫です!!…ちょっと揺れる地面に驚いただけです!!」


シロが転けそうになりマサツグが慌てて足を止め振り返ると、そこには何かに

躓いたのか…それとも揺れる地面に襲われたのか、マサツグと手を繋いでいる

とは言えフラフラとするシロの姿があった!…やはり揺れる地面を歩く

なんて事に慣れてはいないので、足をプルプルとさせながらも必死に揺れに耐える

姿勢を見せてマサツグに付いて行こうとするのだが、明らかに強がっており…

マサツグもシロの様子から一度戻ろうかと考えていると、それは突然起きる!


__ゴゴゴゴ!!…ボシュ!!…


「ッ!…え?…」


______ブオオオォォォォォォォォンンンンンンンンン!!!!


「ッ!?!?!?…」


マサツグがシロを気遣って戻ろうかと考えていた次の瞬間!…丁度マサツグの

後ろにある横穴から土埃と共に空気が漏れたかと思えば、次には大音量の

風切り音と共に突風が噴き出す!その最初の空気が漏れた音にマサツグとシロも

反応しその横穴に目を向けるのだが、その突風が噴き出した瞬間と大音量の

風切り音に吃驚すると思わず互いに手を放しては自身の耳に手を当て、苦痛の

表情でその場に座り込んでしまうと一歩も動けなくなってしまう!…


「ぐあッ!?…な、何だこれ!?……」


「すごくうるさいですぅぅ!!!…」


__オオォォォォォォォォンンン!!!…ッ~~~~…


「ッ~~~!!!……お、収まった?…」


まるで至近距離から法螺貝を大音量で吹いて居る様な衝撃がマサツグとシロを

襲い!…更にその風穴から出る風のせいか地面が激しく振動されると、

マサツグ達の座り込んで居る足元を揺らしては立てなくさせる!これが先程から

地面が揺れていた原因!…マサツグとシロが二人揃って耳を押さえては揺れと

音が収まるのを待ち…徐々に突風と地面が揺れが収まり漸く立てる様になると、

恐る恐る二人は立ち上がる。そして今まですれ違って来た冒険者が何故耳を

押さえていたのかその原因を知ると、まだ頭の中であの風切り音が響いている

のか苦痛の表情を見せ…本格的にヤバいと考え出して居ると、マサツグ達の背後より

追い抜くよう冒険者が走って来るのだが、更にマサツグ達は衝撃映像を目にする!


「……何な何だあの音は!!…鼓膜が無くなったかと!…

…それよりこれは想像以上に!!…」


__バッ!!…


「何処の誰かは知らんがおっ先ーーー♪」


「うぅ~~!……ッ!…ご、ご主人様!!…

追い越されちゃいましたよ!…」


まだ頭の中で風切り音が反響してはクラクラとした感覚を覚え…立っているのが

やっとと言った様子を見せて居ると、マサツグ達を追い抜いて行った冒険者は

ドンドン先を目指して行く!この時マサツグは今だハッキリしない自身の頭を

叩いては意識を取り戻そうとし、シロは先にマサツグより意識を取り戻した様子で

マサツグに駆け寄り腕を掴むと、慌てた様子で先程の冒険者に追い越されたと

訴える!…しかしまたもや地面が揺れ出したかと思えばマサツグ達は思う様に

動く事が出来ず、次の瞬間その時は訪れる!…


__ゴゴゴゴ!!…ボシュ!!…バシュウウウウウウウウウウウ!!!!!


「ッ!?…うわぁ!!…うわあああぁぁぁぁぁぁぁl!!……」


「ッ!?…な!?…今度は何だ!?」


またもや地面が揺れたかと思えば今度は風切り音は無いものの風穴から

突風が噴き出す!…一体如何言う条件であの大音量の風切り音が響くのかは

分からないものの、その突風の音に交じって悲鳴の様な声が聞こえて来ると、

その悲鳴にマサツグは戸惑う!…徐々に意識がハッキリして来る中、次に

目に映ったのは誰も居ない丘の頂上へ続く道だけで、先程自分達を抜かして

行った筈の冒険者の姿は何処にも無い!…忽然と姿を消した冒険者…ただ

残っているのは冒険者の足跡だけで…その足跡も途中の風穴の前からその先に

足跡は無く、ただ風が吹き出したであろう痕跡だけが残っていると悲鳴だけが

木霊の様に残り不気味さを醸し出す。大体何と無く想像が付く中、シロが

何かに気が付いた様子でマサツグを呼び始めるとある物を指差す。


「……っ!!…ご、ご主人様!!…

アレを見てください!!…」


「…ッ!?……おいおい!…マジかよ!!……」


マサツグがシロの指差す方に視線を向けるとそこは丘の一番下…先程マサツグ達を

追い越して行った筈の冒険者がボロボロの状態で倒れているのを見つける!…

その際滑落?…して行ったであろうルートを目にするとそこはその冒険者の鮮血で

彩られてレッドカーペットになっており!…更にその原因となったであろう

斜面に生えている雑草に目をやるとその葉は異常に鋭く!…剃刀の様に葉を

輝かせては青々と茂っていた!…そして滑落した冒険者はと言うと一応まだ息は

有るのか自力で起き上がると自身の惨状に驚き、アイテムポーチを開くと

手当をし始めていた。そうしてこれらの光景…今まですれ違った冒険者達の異様な

負傷具合の原因に気付いたマサツグは本気で不味いと考えると心配するシロを

余所にその場で考え出し…ある結論に行くとシロを呼んでは実行に移す!


「……ご、ご主人様ぁ!…」


「………よし!…シロ!…おんぶするから俺の背中に乗ってくれ!」


「え?……は、はい…です…」


__ヨジヨジ!…ヨジヨジ!…ガシッ!!…


マサツグが徐に決意した様子でシロにおんぶをすると言い出すとその場に

しゃがみ…シロに乗るよう指示を出すと、シロは戸惑いながらもしゃがむ

マサツグに攀じ登り始める。しかしシロは背中を通り過ぎると何故か頭に

しがみ付いては肩車の体勢で落ち着き、安心した様子で鼻からむふーっと

息を吐いて見せると、マサツグに登った事を報告し始める。


「……むふ~!!…ご主人様、準備OKです!!…むふ~!!…」


「……あぁ~っと?…シロちゃん?…

肩車はまた安全なところでやってあげるから今は背中にお願いね?…

色々と危ないから…」


「んん?…はいなのです?…」


__ゴソゴソ…ガッシ!!…


やはり幾ら不安になってもマサツグが一緒だと直ぐに落ち着けるのか、シロは

不安な表情から一転…いつもの満足げな表情でしがみ付いて見せ、マサツグに

準備が出来た事を報告すると、マサツグはおんぶの体勢のまま空しく固まる…

おんぶと言ったのに何故に肩車?…そんなツッコミを心の中でしつつもシロに

改めて背中に降りて来るよう指示を出すと、シロは不思議そうな表情を

見せつつも指示に従い…マサツグの背中に張り付くようしがみ付いて見せると、

マサツグはシロをおんぶした状態で立ち上り始める。


__ザッ!……ザッ!……ギュッ!…クルッ…クルッ…


「……すぅ~…はぁ~…すぅ~…はぁ~…」


__トン!…トン!……ピョコッ!…ワクワク!…ワクワク!…


そうしてシロがちゃんと自身の背中にくっ付いて居る事・自身でもちゃんと

シロを抱えている事を確認すると、先の道を見ては徐に大きく深呼吸をするなり

足幅を開いて走る態勢に入り出し!…その様子にシロも何かを感じたのか

妙にワクワクとした期待に満ち溢れた様子を見せ始めると、マサツグは最後に

シロへ忠告をする。


「…シロ?…しっかり捕まってろよ?…」


「…はいです!!」


__ギュッ!!…ッ!…ギュッ!!……


「ふぅ~……ッ!!…刹那!!」


マサツグがシロに注意を促すとシロは何かを悟った様子で…かつ期待した様子で

元気に返事をすると、更にマサツグのシャツを握って返事をし!…マサツグは

おんぶしているシロの様子は見えなくとも何か期待されていると感じ取ると、

改めてシロを抱える腕に力を入れては下半身にも力を入れ始める!…そして一心に

頂上を見詰めては自身の中で覚悟を決め!…刹那を発動すると同時に走り出すと、

全力疾走でシロをおんぶしたまま坂道を駆け上がり始める!


__ヴウン!!…バッ!!…


「ウオオオオオオォォォォォォ!!!」


__ゴゴゴゴ!!…ブオオオォォォォォォォォンンンンンンンンン!!!!…


「なんのぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


マサツグが刹那を発動したまま坂道を駆け上がり始めると運が良いのか悪いのか…

マサツグが風穴の前を通り過ぎるとその風穴からあの大音量の法螺貝の音と共に

突風が噴き出し、少しでも遅れて巻き込まれると突風に飛ばされ!…丘の下から

もう一度リスタートになると言う状態へと発展する!…この時もはや丘を無事に

駆け上がる事で頭が一杯のマサツグには風穴の音など関係なく!…磨り減るTPの

メーターを確認しては尽きるかもしれないと言ったその心配だけが自身の心を

焦らせる!…


__シュゥゥン!……


{クッソ!!…やっぱTPの消費が尋常じゃねぇ!!…

揺れる足場に合わせて足を出して!…風穴からの風も見る!…

少しでも遅れたら真っ逆さま!…足は素早く交互に!!…

……何とか持ってくれよ!?…俺の脚!!!…}


「ご主人様!!…すごいです!!!…

すごく速いです!!」


マサツグが急速に減るTPに焦りを覚えるその一方で…先程の冒険者の早さ等

比べ物にならない位に走って見せると、シロはマサツグの背中にくっ付いて

キャッキャッと驚き喜ぶ!…この時のマサツグの気分は某格闘漫画に出て来る

中国武術家の達人!…水に沈まないよう走っている気分になってとにかく

必死に足を交互に出し続ける!…刹那はただ相手をスローモーションに

見える様にするだけでは無い!…正確には自身の各種反応速度を格段に

上昇させる覚醒スキル!…そしてこの場合反応速度と言うのは動体視力・

運動能力・危険察知能力・直感とこの四つで有り、刹那を発動した事により

風穴の突風・揺れる地面・肝心の走る速さ等を一定時間簡易的ではあるが、

見極め走る能力を身に着ける事が出来るのである!そうして風穴の突風に

追われる様にマサツグがシロを背に走り続けていると、徐々に頂上が

近付いて来る!…


__ダダダダダダダ!!!……ッ!?…


「見えたアアァァァ!!!一軒家アアァァァぁ!!!!」


「ご主人様!!!…あと少しです!!!…頑張って!!!」


「ウオオオオオオオォォォォォォォォ!!!!!」


__ダッ!!……ブオオオォォォォォォォォンンンンンンンンン!!!!…


こんな事…ゲームの中だから出来る事である…マサツグのTPが尽きそうに

なりつつも、丘の頂上が見えて来ると遠目からでも分かったあの謎の一軒家が

近付いて来る!…その光景にマサツグが吠えるよう自分を鼓舞するとラスト

スパートを掛け!…そのマサツグの咆哮にシロも反応するよう手をパタパタと

させると、一生懸命にマサツグを応援し始める!そうしてマサツグはシロの

応援も有ってか最後の気力を振り絞って走ると、何とか最後の風穴を回避し!…

最後の風穴から祝砲と言わんばかりに今までよりも更に音量+震動の大きい

突風が巻き起きると、マサツグは遂に丘を登り切る!そしてあの謎の一軒家を

目の前に足をフラフラとさせながら辿り着くと、マサツグは限界と言った様子で

その場に崩れる。


__トッ……トッ……トッ……トッ………バタッ!!…


「ッ!?…ご、ご主人様!?…」


__ぜぇ!…ぜぇ!…


{…し、しんど!…キツ過ぎる!!…

いっその事シロを抱えて登り切ろうと思ったけど…まさかここまでとは!!…

刹那を使ってすらギリギリ!!…危なかったぁ~!!…}


マサツグが崩れる様に倒れるとおんぶされたシロもマサツグをクッションに

するよう倒れ、マサツグが倒れた事に酷く動揺し慌てて起きるとマサツグの事を

呼びながら揺り動かす!…本当ならマサツグもそのシロの呼び掛けに答えて

やりたいのだが、息が乱れては思う様に言葉が出ず…ただ心の中で苦しかった!…

と感想を思い浮かべていると、突如としてマサツグの目の前にある表示がされる。


__ピロリン♪…ッ?……ッ!…


 ----------------------------------------------------------------------------------

     隠し要素「地獄の特訓 -その一- ホルンズヒル心臓破りの坂」

     を達成しました!!


     達成条件:誰か一人を背負いホルンズヒルの坂を走り切る。
          (全風穴を通過)

     
     達成報酬:挑戦成功者のSPD+50

 ----------------------------------------------------------------------------------


{こ!…こんなもん隠し要素にすんじゃねぇ!!…しんどいだけだわ!!!…}


__ぜぇ!!…ぜぇ!!…ゴフ!!…ガフ!!…


「ご主人様!!…死んじゃヤですぅ~!!!!」


マサツグの目の前にまさかの隠し要素達成画面が表示されると、その表示に

今まで達成した冒険者プレイヤーは居たのだろうか?と言う疑問に駆られるのだが…

それ以上に今はそれ所で無いと言った様子で息を切らすと、思考も回って

いないのかただ隠し要素に対し心の中でツッコミを入れる。そして返事が

無い事にシロが心配してはただ倒れるマサツグを揺り動かし、泣きそうな

声でマサツグの事を呼んでは何とか生き返らせようと色々し始めるのであった。

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感想 63

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貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

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