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-第六章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~霊峰ウルフハウリング・前編-
-第六章六十節 キザな英雄とシルビィの嗜好とハティの訓練-
しおりを挟む控室を後に…慌てた様子でどよめくトーナメント第六試合に向けて駆けて行く
ラグナス!…そしてゲートが見えて来た時には既にそのゲートは半分位閉まり
掛かって来て居り!…兵士達も慌てて走って来たラグナスに気が付いた反応を
見せて行くが、まるで規則とばかりにゲートを閉じる事を止めようとしない!…
しかしラグナスはそんな兵士達に文句を言う事無く風の様に兵士達の隣を駆け
抜けて行くと、その閉じて行こうとするゲートに向かいスライディングを敢行!…
「フッ!!…」
__ズザアアァァァ!!!…どよぉ!?……ザワザワ!!…ザワザワ!!…
「待たせてしまって申し訳ない!!…
色々とあって少し遅れてしまったが!!…戦う覚悟は勿論ある!!!…
さぁ!!…トーナメント第六試合を始めようではないか!!!」
「ッ!!…おぉ~っと!?…
ここで遅れながらもやって来たのは我等がヒーロー!!…
ラグナストロワだぁ~~!!!
まるでこのギリギリの登場を演出と言わんばかりの華麗なスライディングで
姿を現し、観客達の心を掴んで行くうぅ!!…この男!!…
何所まで我々を楽しませる気なのだ~!?」
閉まるゲートの間をギリギリすり抜ける様にして潜って行き!…その登場の仕方に
観客達も驚いた反応を露わにすると、ラグナスも何とか間に合った!と安堵!…
そこから両腕を広げてアピールをし出す!…と言うのも遅れた事に対して謝罪を
すると、改めて戦う意思が有る!と…それはもはやワザと演出した様に堂々の立ち
振る舞いをして見せ!…司会もそんなラグナスの登場の仕方に粋な演出と勘違いを
した様子で囃し立てるよう言葉を口にし始めると、観客達も歓声を!…と、同時に
それに対して気に入らないと言った者も露わにしてしまう!…
__ワアアアアアァァァァァァァ!!!!…キャアアアアアァァァァァ!!!…
「……チッ!…」
「…ッ!…え?…」
その面白くない様に感じた者と言うのも相手闘士!…周りの視線を独り占めに!…
何なら黄色い歓声も上がって居てまるで自分が噛ませ犬の様な!…と、とにかく
歓声を浴びているラグナスの事が気に食わず!…まるで殺意を覚えたかのよう
凶悪な表情を浮かべて見せると、ただ一点にラグナスを睨む!…そして今だ鳴らない
ドラの音に対して神経を尖らせる様に身構え出すと、ラグナスも気が付いた様子で
その相手闘士の方に視線を…するとそこで向けられている視線と言うのは凶悪な
モノで!…ラグナスもそんな視線を感じて戸惑った反応を見せて居ると、更に相手
闘士は歯を剥き出しにして威嚇!…も一つ殺意を滲ませ始める!…
{……チッ!!…
後もうちょっと遅ければ俺の不戦勝でそのまま勝ち星が貰えたってのに!!…
キザったらしい登場をしやがって!!!…
…ただ遅刻しそうだったから跳び込みで入って来たくせにこの歓声!?…
こっちはちゃんと時間を守って逃げないで姿を現したってのに!!…
キザ野郎が!!…気に入らない!!…絶対にコロス!!!…}
「ッ!…あぁ~…あははははは…」
それはもはや心の声が駄々洩れとなって睨んで居るよう、闘気が殺意となって
滲み出し!…となるとそんな視線を向けられて居る事でラグナスも戸惑い!…
ただ如何したら良いのか分からず…相手闘士に対して苦笑いをする事しか
出来ない様子で立って居ると、取り敢えず相手闘士に対して身構え!…ドラ係
もそれに気が付いた様子でバチを握る!…そして大きく振り被って思いっきり
そのドラの音を響かせに掛かると、遅れながらもトーナメント第六試合が
始まりを迎え!…
と、その一方で場面は控室に戻り!…控え室ではオリハがマサツグを起こしに
掛かろうとある事を実行すると、周りからトンデモナイ様に見られて居た!…
と言うのも気絶して居るマサツグの口の中に気付け薬を三本捻じ込むと、その
様子にシルビィが慌てて戸惑い!…ハティはドン引きの表情を露わに!…が、
その対処で良かったのかマサツグは少ししてから目を覚まし、ゆっくりと辺りを
探る様に視点を動かしに掛かって行くと、言葉を口にして見せる!…
「……ッ!…ふぁれ?…ふぉふぉふぁ?…」
「控え室だよ…兄さん、ハティちゃんに締め落とされて気絶して居たんだよ?…
因みに気絶していた時間はまだラグナスの第六試合が始まったばかりだから…
然程時間は経っていないよ?…」
「……ふぉうは…」
__グッ!…ポンッ!!…ポンッ!!…
それはさも何が起きたのか分かって居ない様子で口に瓶を三本銜えつつ…とにかく
誰かに説明を求めるよう言葉を漏らして見せて行くと、オリハが至って普通に返事
を口に!…その際某・頭に鍋を被りそうな駆逐艦の口調で説明をする!…気絶して
居た事から始まって行くと、その時間についても少々!…と、その説明を聞いて
納得したのか?…マサツグはオリハに返事をしつつ、その口にくわえている瓶を
引っこ抜き出すと、さも何事も無かったかのように振舞って見せる!…すると当然
見ている側としてもそれは奇妙な光景にしかとても見えず!…ハティが今だドン
引きの様子でマサツグの事を凝視して居ると、ここである結論に至り!…
「………。」
{……ハティ…
今までにこの人達以外の人間さんに有った事が無いので…
あんまり人間さんの事はよく分からないのですが…
こんな事を普通にして居るこの人達が普通じゃない!…
なんだかその事だけはフッと分かる気がします!…}
__…ッ!…コッ…コッ…コッ…コッ……スッ…
と言うのも改めてマサツグ達が普通じゃない!と…勿論気付け薬は嗅ぎ薬であって、
飲む物では無い事をさすがのハティも知っており!…と、飲んで起きた事にも当然
驚きを隠せず!…とにかく瓶を引き抜き終えたマサツグの事を凝視!…まるで化け物
を見るかの様なそんな視線を向けて居ると、一方でシルビィがハッとした様子を!…
すると次にはスッとマサツグの方へと近付き始める!…そして徐にマサツグへ向けて
更にスッと手を差し出して見せると、次にはマサツグに瓶を求めるよう言葉を!…
「旦那様?…空き瓶をこちらに…私が処分いたします…」
「え?…あ、あぁ…すまな……ん?…」
{……何だ?…何でシルビィは笑顔を見せているんだ?…
いつもならスッと澄ましているのに…何ならゴミ捨てをさせられているのに…
それに…良く見ると尻尾も揺れている?…あれは……我慢している?…
一体何で?……ッ!……}
その際いつものシルビィなら冷静に振舞って居るのだが、この時だけは何故か
妙にソワソワしており!…と、マサツグも最初は何とも思っていない様子で
返事を口に…しかし次にはその瓶を渡そうとした瞬間!…そのシルビィが何故か
嬉々とした表情を!…何なら上機嫌に尻尾も振って居る様子を目にして行くと、
途端にその手を止めて見せる!…すると次にはそんなシルビィの様子に対して
疑問を持つと、頭の中で色々とその事について考え出し!…が、それも然程
時間が掛からなかった様子である答えが!…それに気が付いた様子でハッとした
表情を浮かべて見せると、今度は確認もして見せる!…
「…シルビィ?…一つ質問して良いか?…
この空き瓶を何所に捨てるつもりなんだ?…
見た感じこの控え室の何所にもゴミ箱らしき物が見当たらないんだが?…」
「ッ!?…そ、それは!…」
「先に行っておくが!…他の部屋に捨てに行くなんて回答は無しだからな?…
他の部屋にも捨てる場所なんて無さそうだし!…
何ならこの闘技場全体に捨てれそうな場所なんてなかった!…
外に捨てに行く事も途中退場になるって最初の署名の時に
注意事項で書いてあったから!…勿論その言い訳も通じないと思え?…」
「ッ!?…う!…うぅ!…」
それはシロやフィロみたいなイヌ科のモンスターをペットにした事で培った知識
から分かったのか?…若干問い質す様にしてシルビィに声を掛けて行くと、その
瓶を如何するのか?と質問をし!…するとこの質問に対してシルビィはピクッと
反応して見せ!…まるで何か疚しい事を考えて居た具合に戸惑って見せると、
更にマサツグが詰めに入る!…と、この時も続け様に出て来るであろう選択肢の
排除に掛かって見せると、シルビィもそれを聞いて更に詰まったよう狼狽え様を
露わに!…となるとそれはもはや自白と変わらず!…マサツグがシルビィに対して
ジト~ッとした疑いの視線を向けて行くと、遂にはシルビィも諦めたのか…
溜息を吐くなりいじけて見せる!…
「…はあぁ~…旦那様の様な勘の良い旦那様は少々苦手です…」
「……何処かで聞いた事の有るセリフが聞こえた様な気がするが…
この際まぁいいや…で、何をしようとしていたんだ?…
…大まか想像は出来るが?…」
「ッ!…うぅ……答えないと駄目ですか?…」
「…はあぁ~…もういい…」
まるで子供に戻ったようシルビィがそんな事を口にすると、マサツグは更に呆れた
反応を…と、同時にツッコミの言葉を零して行き!…改めてその瓶で何をしようと
して居たのか?について尋ねて見せると、シルビィはピクッと反応するなり
モジモジ!…そして頬を染めながらに返事をする!…この時やはり何か疚しい事
でも考えて居たのか、答え辛そうに確認の言葉を口に…と、そんな返事を聞いて
更に呆れ!…自身の頭を抱えとにかくジッとして居る様にジェスチャーをすると、
そんなやり取りを見たハティが一言…さもツッコミを入れるようシルビィに言う!…
「…シグルーンお姉さん…
お母さんからは綺麗で強い人って聞きましたが…
まさか[ムッツリスケベさん]でしたか?…」
「ッ!?…ムッ!…ムッツリ!?…」
「ぶほぉ!!!…ッ~~~!!…~~ッ!!!…」
この時何か薄っすらとショックを受けた具合に呆れた表情を…そしてシルビィを
見詰めて女王から聞いた話を口にすると、ムッツリ助平と言い渡し!…となると
そんなハティからの言葉にムッツリ助平は大いに戸惑いを露わにして見せ!…
と、同時にショックを受ける様なそんな反応を見せて行くと、思わずたじろぐ
様に後ろへ!…するとそんな一連のやり取りを見てオリハがまたもや噴き出し
始め!…そのまま腹を抱えて崩れて行き!…そこから本日二度目となる腹痛に
襲われて行ってしまうと、必死に笑いを堪えようとプルプル震える!…しかし
幾ら堪えようとした所でシルビィがショックを受ける表情がフラッシュバック
されて行くと、やはり我慢出来ずに噴き出し!…
「ひぃ~!…いたいいたいいたいいたい!…」
「……ムッツリスケベ…」
__ッ!?!?…
「んぐふぅぅ!!!…」
この時点でオリハは笑い過ぎて軽い筋肉痛に襲われ始め、ステータスに影響は
無いものの通常生活に少し支障を来たしそうなレベルになっており!…が、
そんな事など御構い無し!…マサツグが思わずハティの一言を復唱して行き…
そのマサツグの言葉を聞いてシルビィが更にハッ!とショックを受けた表情を
見せて行くと、更にそのシルビィの表情を見たオリハが大ダメージ!…腹筋に
深刻な痙攣を感じて行く!…さてこの腹筋崩壊から解放されるのはまだ先の事
であるのだが、話は戻ってハティの話に!…今だハティはマサツグの事を
見詰めて居り!…
__じぃ~~~~……
「…ッ!…そ、そんな…ハシビロコウみたいに見詰められても!…うぅ~ん…」
「…ッ!…ハシビロ?…旦那様それは?…
それに如何なされたのですか、旦那様?…」
まるで勢いが衰えず!…シロにも負けない位の羨望の眼差しを向けて見せると、
マサツグも困った様子で反応を…思わずタジタジになって見せる!…この時
ジッと見て来る様子が如何にもある鳥と重なって見えて来てしまって行くと、
ハティに落ち着くよう声を掛けながら悩み出し!…と、そんなマサツグの様子に
シルビィもハッ!と…汚名を返上する様に元のクールな様子に戻って見せると、
早速相談に乗るよう声を掛ける!…その際ハシビロコウについては知らない
様子で入り出すと、続けて質問を口に!…
「いやぁ…ずっと見て来ている理由が分からない訳じゃないんだよ?…
ただ教えるも何も…あれって自分の感覚でやってるから…
如何教えたものかぁ?って…それに教えるにしても…
教えて良いものか如何かと思ってな?……如何思うムッツリスケベ?…」
「んぼふぅぅ!!!…」
マサツグもそのシルビィの問い掛けを受けて徐にハッ!と…と言うのも徐々に
折れて来ている様子で有り、教えるに当たって如何教えるか?…何なら自身の技?…
訓練に付き合って良いモノなのか?を悩んで見せると、更に引っ張るよう言葉を!…
やはりシルビィをムッツリ助平と呼んで見せる!…するとそんな自然の流れで
口にしたモノだからオリハが更にピクッと反応をして見せると、更に噴き出しては
悶絶!…と、言われた方も珍しく取り乱し!…恥ずかしそうに顔を赤くして見せる
と、文句の言葉を口にする!…
「ッ!?…だ、旦那様!?…
さすがの私もショックを受けますよ!?」
「あはははは!…いやすまん!…
シルビィのその反応と表情が可愛くてつい…」
「ッ!?…か、可愛い!!…
そ、そんな旦那様!…それにしても酷いです♥…」
__モジモジ…モジモジ…
「……シグルーンおねえさん…チョロいのです…」
それこそさすがのシルビィでも膨れる様にショックを受ける事を口にすると、
マサツグもそんなシルビィの反応に思わず吹き出し!…と、次にはシルビィの事を
可愛い!と続け!…お世辞抜きで率直に思った事をそのままシルビィに話して
見せると、シルビィもそれを聞いてポッと赤く!…頬を染めてはモジモジし出す!…
この時それでも一応はマサツグに対してまだ文句の言葉を口にするが、それでも
もう舞い上がっている様子で照れて嬉しそうにして見せ!…するとそんなシルビィの
様子にハティも呆れ…素直にシルビィがチョロい事を小声ながらにポソッと呟いて
見せると、マサツグも改めて本題に入る!…
「ははははは!……で、如何思う?…
別に教えれるモンなら教えても良いと思うんだが…
これを機に今後ハティが好戦的に…
グラディエーター的な感じになったら色々と違う意味で不味いと思うんだが…」
照れてクネクネするシルビィの様子に笑いつつ!…マサツグが突如シルビィに
話題を振るよう声を掛けると、思って居る事も口にする!…と言うのも余計な
事をしてハティに悪影響を及ぼさないか?と若干不安を覚えている具合に話し
をすると、シルビィもそれを問われてハッ!と…となると次には気を取り直す
様にして咳払いをして見せ!…マサツグの言い分に同意しつつ!…しかしそれ
でも選ぶのはハティの自由である事を続けて話すと、マサツグの判断に任せる!
と…軽く会釈をして意見を述べ終えて見せて行く!…
「ッ!!…ン゛ン゛!!…
…確かにそれはそれで不味いとは思いますが…
ですがそれを決めるのはハティビィエール様ご本人…
私達にハティビィエール様の生き方を決める権限は御座いません…
…マサツグ様の思う様にされては如何でしょうか?…」
「ッ!……難しい事を言うのな?……じゃあ…
何所まで出来るか分からないけどやってみるか…」
するとそれを聞いてマサツグも思わずピクッと反応をして見せると、難しい!と
言っては苦笑いをして見せ!…が、一方では既に熱視線を浴びている状態にある
訳で!…マサツグもそれに気が付いて居る様子でやれやれと言った反応も見せて
行くと、次には折れた様子で言葉を零す!…するとそれを聞いてハティもパァッ!
と目を輝かせて見せると、更にマサツグへ熱視線を向けて見せるとお礼を言い
出し!…
__ぱああぁぁ!!…
「あ、ありがとう御座いますなのです!!…
ではお願いします!!…先生!!!…」
「ッ!…せ、先生?…そ、そんな言う程の事じゃないんだが?…
それに教えるにしても多分極端に時間が無いから…
覚えれるかどうかは分からないけど…良いのか?…」
「はいです!!…お願いします!!!」
「ッ!!…んん~……じゃあ…とにかくやってみるか…」
ハティはマサツグの事を先生と言い出し!…もう教えて貰う気で居るのかピーカブー
スタイルで熱視線を送り続けると、マサツグもそんなハティの態度にタジタジ!…
やはり戸惑った様子を露わにする!…そして予め教えられる事も時間がほぼ無い事も
続けて口にすると、一応最後の確認を…するとその確認の言葉に対してハティは
全力で判事をして見せ!…その様子はさすが双子かシロの姿と良く似ており!…
マサツグも思わずビックリした様なそんな表情を浮かべて見せると、次には流される
様に同意!…ハティに技を教える事になってしまう!…さてそうなると今度は場所が
悪く、マサツグは辺りを見回すと徐にシルビィに相談を…
「…ッ!…と、その前に!…ここで教えるにしても狭いし動き難いからなぁ…
…シルビィ?…少しばかり暴れられる場所ってこの近くに無いのか?…」
「ッ!…はい…それでしたらここから一つ分の部屋を飛ばした先…
その部屋が戦う前に体を温める修練場となっていますが…
今からここを離れますと恐らく次の試合の案内が聞けないかと…
…もし出番が来たら呼びに行くと言う事で宜しいでしょうか?」
「ッ!…あぁ~…じゃあ、頼める?」
__コクリッ…
ここの事を良く知って居るシルビィに良い場所は無いか?と、するとシルビィも
ピクッと反応をしては答え始め!…その際直ぐ近くに修練場がある事を口にして
行き!…そこなら問題無く暴れられる!と…何の迷いもなくマサツグに如何か?
と勧めて話をすると、同時にデメリットについても触れて行く!…と言っても
然程大した事でもない様子で連絡について不便が有ると淡々と話し!…その際
自ら連絡役を買って出て!…と、そんなシルビィの申し出にマサツグも甘え!…
シルビィにお願いの言葉を口にすると、シルビィは承った様子でカーテシー…
無言で返事をして見せる!…するとそれを見てマサツグも準備が整った事を確認
すると、ハティに付いて来るよう声を掛け!…
「よし!…じゃあ、隣の修練場の方に移動しようか?…」
「はいです!!…」
「では…お気を付けて……」
「おう!…じゃあ頼んだぞ?」
するとそんなマサツグの呼び掛けに対してハティもやる気を!…マサツグに返事を
して見せ!…先にその部屋に向かって駆けて行こうとして見せると、控室の扉前で
ビタッ!と…マサツグが付いて来るの待ち始める!…それはまるで待ちに待った
散歩が出来る!とばかりに期待に胸を膨らませ待機する子犬の様で、マサツグも
それを見て静かに噴き出し!…と、次には席を立つとシルビィがマサツグに声を
掛け!…マサツグもそれを聞いてシルビィに返事!…そして改めて連絡係の事を
お願いすると、ハティと共に控室を後に!…その修練場へと向かい始める!…さて
そうしていざ控室を後にすると、その闘技エリアではラグナスが頑張って居るのか
大歓声がその通路にまで響いて来ており!…
__ワアアアアアァァァァァァァァァ!!!!…
{ッ!!…歓声が通路に反響してる!?…
そんなにエリアの方は大盛り上がりなのか?…
どちらにしてもこの歓声を聞いている限りはラグナスの方は大丈夫そうだな…
……さて…問題はこっちの方だな?…}
「さぁ、行きますよ?…早く行きますよ?…
人間さんには時間が無いのですから!…」
「あぁはいはい…わかりましたよぉ~?……はあぁ~…」
その反響する歓声に驚きを露わに!…と、同時にラグナスが頑張って居る事を
認識しながら歩いて居ると、次にはハティに手をガシッ!と掴まれ…となると
そこから急かされに急かされる事になり!…やはり久々の散歩で張り切る
ワンコの様にマサツグがグイグイと牽引されると、ハティは尻尾をブンブン!…
上機嫌ぶりを露わにする!…その際表情はいつもの半目の眠そうな感じである
のだが、目はキラッキラとしており!…と、マサツグが引っ張られながら歩いて
居るとその様子を兵士達が目撃!…当然ここにハティが居る事にも驚きを露わに!…
何ならマサツグが連れられて居る事にも勿論気が付いた反応を見せて行くと、
更に戸惑いも感じるのだが!…
「…ッ!?…ハ、ハティビィエール皇女!?…な、何故ここに!?…」
{……あっ!…あったのです!!…行きますよ!!…}
{うぇ~い…}
__バタンッ!!…
「まさか誘拐か!?……いや、どちらかと言うと…
あの人間の方が連行されているような?…」
「どちらにしてもマグダラス様に報告を!!…」
勿論そんな兵士達の事など御構い無し!…ハティがやる気満々でマサツグを
引っ張って見せて行くと、マサツグもやはり面倒臭そうに返事をして見せ…
そして二人は目的の部屋の中へと入って行き!…この時都合よく兵士達も
視線を外していたのか互いに見詰め合ってこれは如何言う事か?と話して
行くと、次には視線を戻した後!…二人が居ない事に慌てて見せる!…それは
もしもの事を考えると当たり前の事なのだが、如何にも発想力が乏しく!…
「ッ!?…居ないぞ!?…」
「不味いぞ!?…
幾ら報告してもその二人が消えたとなったら俺達の責任に!?…」
「ッ!?!?…と…とにかく探すんだ!?…」
と言うのも近くに扉が有るにも関わらず、その兵士達は二人揃って何処に行った
のか!?と…確かにまさか闘士と皇女が二人揃って修練場で訓練をするとは到底
思えない所ではあるのだが、それでも慌ててふためいては辺りを捜索!…しかし
二人を見つける事は全然叶わず!…更に二人で勝手に慌しい様子を見せて行くと、
ただただ右往左往と走り回る!…さてその一方でマサツグ達もその修練場の様子に
若干驚きを露わにすると、一度辺りを見回し!…するとそこには木製の武器が
置かれて有る他に訓練用のマネキン等!…結構訓練するに当たって充実の設備が
置かれて有り!…そしてどれも勿体ない事に使われて様子が伺えてしまうと、
マサツグはジッと見詰め…何と無く勿体ない様に感じしまう…
「…ほぇ~…アップ用の訓練室とは聞いていたけど…
普通にそれ以外でも十分に使えそうだなぁ…
…ただ使われていないのか少し埃っぽい……後、表が妙に騒がしいが…」
__バタバタ!!…バタバタ!!…
「…ここなら大丈夫だと思うのです!…
さぁ!…早速訓練を始めるのです!!…」
__バッ!!…タッタッタッタッタ!…
「ッ!?…あぁ!?…ハ、ハティ!?…」
取り敢えずその修練場の様子を見て大丈夫!と、そして何か表が騒がしい事にも
疑問を持ち!…何ならその慌しい様子は此方にも響いて聞こえて居り!…何を
そんなに慌てて居る?と…疑問を感じて部屋の外を気にする素振りを見せて居る
と、ハティもその修練場の様子を見るなり早速駆け出し!…修練場中央へと
立って見せる!…その際そのハティが立って居る場所にはまるで相撲の土俵の
様な円形状のリングが設置されて有り、ハティはマサツグに早く始めるよう声を
掛けると、そのリングの上で跳ねて見せ!…
「さぁ!!…早く訓練を開始するのです!!…時間が!…時間が!!…」
__ブンブンブンブン!!…
「ッ!…あの様子は……どうやら引き返す事が出来ない様です…」
__…はあぁ~……コッ…コッ…コッ…コッ…
尻尾も大興奮の様子で揺れて居り!…マサツグもその様子を見てもう後戻りが
出来ない事を悟って行くと、次にはそのまま独り言を漏らして溜息!…そして
観念した様子で歩いて行く!…その際マサツグを待って居るそのハティの姿を
ジッと見ると、そこにはもうシロが居る様な感覚を覚えてしまい!…となると
それはさすが双子の言葉に尽きるモノも感じて行き!…マサツグもそんな
ハティの様子に苦笑いをしつつ!…ハティの待つリングの元まで歩いて行くと、
次にはふと疑問を…訓練をするに当たっての質問をする!…
「じゃあ…今から訓練をする……って、んん?…
訳なんだけど武器は?…俺が教える技は全部武器がいるぞ?…
ほら、武器なら壁に掛かっているやつを…」
「…武器は要らないのです!…」
「ッ!…え?…」
{……えぇ~…いきなりの拒否ですか?…}
それは今から訓練を始めようとした瞬間、ふとハティが手ぶらである事にあれ?っと
気が付き!…と言うのもハティの体格でグラップラーな訳がある筈が無い!と…
となると武器について用意は?とふと疑問を持った具合に尋ねて行くと、続けて
教える技についても触れて行く!…そしてそこで教える技が全部剣技である事を
大剣を抜きながらに話して行くと、ついでに壁に掛かって居る木製の剣や棍棒を
指差して見せるのだが!…ハティはキッパリ要らない!と返事!…ちゃんと首を
左右に振り!…マサツグのそんな予想外?の拒否に戸惑った反応を見せて行くと、
心の中で更に戸惑う!…しかし次にはハティが何故拒否をしたのか?について
明らかにすると、ハティは徐に自身の両手を合われる様に構えて見せ!…
「ハティの武器は……ッ!!…」
__シュウウウゥゥゥゥ!!!……パアァァ!!!……ブゥン!!…
自身の武器はコレ!と言い!…その両掌の内側に冷気を溜める様に何か球体状の
力を集めると、それは光りの球から剣の様なモノに!…ハティもそれを作り出す
様にルーティンを見せる!…そしてその剣を水平に生成していつの間にかその
手で上下に挟むよう構えて見せると、そこから撫でる様にそれぞれ手を左右に
伸ばし!…この時右手で柄の方へと撫でて行き、左手で刃の先端へと撫でて見せ!…
そして剣の生成を終えて見せ!…出来た剣は空中でさも握り易い様に反転して
クルンと回って見せて行くと、ハティも柄を握ってブン!と…若干重そうに
一振りする!…その際両手でその剣を握ってマサツグに見せると、マサツグも
思わず驚いた反応を!…
「ッ!?……それって!…」
「お母様に教えて貰った技で!…ラグナスお兄さんと同じ特技です!!…
…お母様やラグナスお兄さんみたいにまだまだ綺麗には出来ませんが…
これがハティの武器なのです!!…」
それは何処を如何見てもシロがあのダガーを作る工程そのもので!…思わず声に
出して驚いて見せると、ハティも自慢げに剣をマサツグに構えて見せ!…その際
それが女王直伝の技である事を話し出すと、更にラグナスとも一緒!と語り!…
が、やはりまだまだ未熟なのか出来が甘い!と…自身でもまだ練習が足りて
居ない事を認める様にマサツグへ話すと、スッと剣を降ろして見せる!…さて
そうしてハティも得物を用意した事で訓練が漸く始まるのかと思うのだが、
マサツグはその一連の工程を見て思わず吹き出し!…と言うのもそれはまるで
シロの様にやはり見え!…シロも最初マサツグにこうしてやって見せた事を
ふと思い出すと、やはり二人は姉妹!と…改めてしみじみ実感しては笑って見せて
しまうのであった!…
応援ありがとうございます!
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