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-第六章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~霊峰ウルフハウリング・前編-

-第六章七十四節 目覚めし魔王と無自覚のクラマスとトーナメント決勝戦!-

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それはまるで一瞬の出来事のようであった…バルトグロメイア自身その光景に

何が起きたのか全く分からず…突如自身の体が軽くなった様な錯覚を覚えると、

ただただ戸惑う事しか出来ない!…困惑の渦の中へと囚われてしまう!…

一方でその髪を掴まれて居たシルビィもそのバルトグロメイアの右腕ごとドタッ

とその場で尻餅を着くと、次には何とか自力で震えながらも体を起こし!…

そして自身の直ぐそばにバルトグロメイアの右腕が転がっているのを見つけて

行き、その際その斬られた断面から一滴も血が出て来て居ない事にふと気が付き

更にハッとして見せると、その斬撃が飛んで来たであろう方向に目を向ける!…


__ッ!?…ッ!!…コッ…コッ…コッ…コッ…


「……は?…はぁ?…

はあああああぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?…」


この時まだマサツグの姿は土埃の中!…しかしそれでも明確にヤバい者が近付いて

来ると言う事だけがヒシヒシと感じられると、シルビィは思わず恐怖し!…一方で

右腕を斬り飛ばされたバルトグロメイアはそれ所では無く!…その先程まで有った

右腕が無い事にとにかく仰天!…痛いと言うよりは熱いと言った熱を感じ!…

そして目の前には自身の腕の断面図!…これは何だ!?とばかりにただ狼狽える声

を上げる事しか出来ないで居ると、モツはその叫びを聞いて因果応報!と…さも

マサツグの斬撃に感動を覚える!…


「…ひゅ~♪…お見事な切れ味!…

んでもってこっからはこのトーナメントの決勝戦の開始だな?…

さぁ!…俺達も巻き込まれない様に避けとくぞぉ~?」


小粋に口笛を吹いてはそのバルトグロメイアの腕が飛んだ事に全く動じず!…

モツは改めてそんな三人に対して背を向けると、そのまま闘技エリアの端へと

移動をし出し!…その際他に一緒に降りて来た面々に下がるよう指示!…

巻き込まれる可能性がある事について注意を促す言葉を掛けて行くと、一方では

フィロがマサツグに対してもうメロメロ!…何ならまるで親にでもなった

かの様な事を口にし出す!…


「…あぁ~マサツグ♥…やっと立派にここまで育ってくれて!!…

わっちは!…わっちはとても嬉しいでありんす!!♥…

そしてこれから見せてくれる武勇!!♥…わっちはちゃんと妻として!…

目に焼き付けるでありんす!!……はあぁ~♥…マサツグ♥…」


「…本当にブレないねフィロちゃん?……にしても…

こうやって本気でキレてる兄さんを見るのもいつ振りなんだろうか?…

…まぁとにかくこれでそこの筋肉達磨の死は確定したのは変わらないけど…」


「…や、奴は本当に人間なのか!?…これではまるで!!…

!!…いや!!…それ以上の者なったようではないか!!…

…こ、これが本当のあ奴の力!…今ここで登って見せたと言うのか!?…」


それはクネクネモジモジしながら目を♥にするとマサツグを凝視!…改めて惚れ

直した!とばかりに言葉を続け!…と、そんなフィロの様子にオリハも苦笑いを

して見せ!…相変わらずと言ってツッコミを入れながらマサツグが本気で怒って

いる姿に久しぶりに見たと言った感想を口にすると、バルトグロメイアの死は

確定した!と…さも冷静に言葉を零して見せる!…するとその一方ではパルシィも

そのマサツグの怒り様にこれまた驚いた様子で戸惑って見せると、その滲み出る

力を敏感に感じ取ったのか!…もはやその実力は魔王の域に居る!と…マサツグの

底知れぬ力にとにかく戸惑った様子で固まって居ると、次にはマサツグが姿を!…

その土埃の中から姿を現す!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……ズアァァ!!…ッ!?!?!?…


「ッ!!…おおおぉぉ~~~♥…キュンキュンするのじゃあ~♥…」


「……フィロ本当に大丈夫?…な、何か危ないモノに目覚めてない?…」


その土埃の中から姿を現したマサツグの表情と言うのは勿論怒りに満ちて居り!…

そしてその身には今まで原因不明だった黒い靄が纏わり付き!…と言うより

その靄はマサツグの体から出ている様で!…まるでマサツグの怒りに比例する

よう!…ドンドン溢れて日の光に接触して霧散するを繰り返すと、その異様な

光景に観客達は凍り付く!…さも体験をした事のない恐怖を感じる!…しかし

その一方でフィロは更にその姿を見て夢中になると、もはや発情期を迎えた様に

マサツグを見詰め!…と、そんな有様にアヤが心配!…思わず気は確かか?と

ばかりにフィロに声を掛けて行くと、一方ではマサツグがバルトグロメイアに!…

睨みを利かしながら近付き続ける!…


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「ッ!?……あ、あぁ!?…な、何だってんだよ?…」


__コッ…コッ…コッ…コッ……ギン!!!!…ッ!?…ッ!?…


一点にバルトグロメイアを睨み付けては世にも恐ろしい形相で闘技開始線の前まで

移動して行き!…そしてそんな視線を浴びているバルトグロメイアも途端に警戒を

した様子でマサツグに文句を言うよう言葉を吐くと、次には何を思ったのか自身の

腕を回収!…そしてマサツグに身構える様なそんな素振りを見て行く!…そして

まだその場から逃げる事が出来ずにその場でへたり込んで居るシルビィはと言うと、

マサツグを見詰めたまま完全に委縮!…それはまるで奴隷時代の弱かったシルビィに

戻った様子で、小刻みにプルプルと震えては怯える表情!…まるで今から起きる事に

対して身構える様なそんな素振りも見せて居ると、徐にマサツグが…


「……シルビィ?…」


「ッ!?…は、はい!!!…」


「…お前はさっき…コイツに負けを認めてたよなぁ?…」


「ッ!?…そ、それは!!……ッ…」


突如マサツグがシルビィの事を呼んで見せると、呼ばれたシルビィも突然の事で

慌てて返事!…その際マサツグはシルビィの事をチラッとだけでも見る事は無く…

やはり一点にバルトグロメイアを牽制するよう睨みを利かせて見せて行くと、

更に言葉を!…先程降伏した事について質問をする!…するとその質問が飛んで

来た事で更にシルビィが青褪めるそんな反応を見せて行くと、次には何か言い訳

をしようとするのだが…ふと言葉が出て来ない様子で黙ってしまい!…やはり

奴隷闘士時代に戻ったよう自分は捨てられてしまうのか?と言った不安げな表情

を見せて行くと、マサツグは続けて言葉を口に!…


「……別に怒っている訳じゃねぇんだ…素直に答えてくれ?…

それに俺はシルビィがどんな過去を背負って居ようが!…

ハッキリ言って知ったこっちゃない!!…」


「ッ!!…」


この時だけスッと怒りを忘れて元のマサツグの表情に戻って行くと、次にはその

怯えるシルビィに微笑み掛け!…それはシルビィの事を慰める様に言葉を口に!…

何ならシルビィの過去に興味が無い事を続けて話し!…シルビィもそれを受けて

ハッ!と…目を見開き驚き戸惑った表情でマサツグの事を見詰めて行くと、

マサツグもそんなシルビィの視線に対して何故興味が無いのかについて話して

行く!…


「例え過去にどんなに人を傷付けようて居ようが!…

大変な目に追いやってしまったと言われて居ようが!!…

それは生きて行く為だったって言うのなら!!…

俺達はシルビィの事を何一つ責める気は無い!!!…

…って言うかシルビィ達に酷な選択肢しか与えなかった!!…

その連中に対しての方に怒りを覚える!!!…」


それはシルビィの人生が壮絶なモノであった事を重々理解しての言葉で有り!…

シルビィも生きる為に嫌々やって居た!とまるで背景が見えた様に語り!…

その上でその人生を強いて来た者達に対して怒りを覚える!と…シルビィに

対して嫌悪・軽蔑の意思が無い事を続けて話すと、シルビィはそれを聞いて

眼に涙を!…まるで今罪が赦されたかの様にポロポロと静かに泣き出し始める!…


__ッ!!…ッ~~~!!…ポロッ!…ポロポロッ!!…


「シルビィがこうまでして話したくない理由は俺達にも分かる!…

シルビィ自身も生きる為とは言え!…

そのやった事に対して罪の意識を感じて背負っている事も今重々承知している!!…

お前が無理しているって事はほんの少ししか一緒に旅をしていなくても!…

やっぱり分かるモンなんだよ!!……だから!…だからもう!!…」


今まで一杯一杯だった物が溢れ出て!…そしてこの赦される言葉に救われたよう涙を

流して見せると、シルビィは自身の顔を覆い!…それは今になって普通の女の子に

戻ったよう泣きじゃくって見せる様であり!…マサツグもそんなシルビィの様子を

目にしつつ!…更にシルビィの心を解く様に言葉を掛けて行くと、次にはその泣き

じゃくるシルビィへ近付き!…そしてしゃがみ込むなりギュッと抱き締めに掛かって

行く!…


__コッ…コッ…コッ…コッ……ギュッ!!…ッ!!…


「一人で戦おうとするな!…辛かったら辛いって言って居んだ!…

泣きたければ遠慮せずに思いっきり泣け!…そんで感情を爆発させろ!…

…それでも駄目だって言うんなら…そのお前の罪!…

俺達も一緒に背負ってやっから!!……大丈夫!!…

お前にはもうこれだけの仲間が居るんだ!!…もう一人じゃない!!…

俺達がずっと!!…ずっとお前と一緒に居てやる!!!…」


「ッ!?!?………うッ!…うぅッ!!…ううぅぅ~~!!!…」


若干力を強めてシルビィを抱き締め!…突如抱き締められた事でシルビィもハッと

驚き戸惑った反応を!…が、戸惑っているシルビィをそのままに!…マサツグは

更に仕留めに掛かるよう優しい言葉を口にすると、シルビィに頑張るな!と…本音

をブチ撒ける様にアドバイスをする!…それは自分達で受け止める様に話しをする

と、もう一人では無い事も続け!…その際何が遭っても放さない!とばかりに更に

ギュッ!と…抱き締めながら一緒に居てやる!と言葉を更に口にすると、シルビィ

は今完全に普通の女の子に戻ったよう!…マサツグに抱き締められながら号泣をし

始める!…さてその間何か場違いな空気が流れる一方!…バルトグロメイアは

そんな二人に対して何故か襲い掛かる事が出来ず!…と、徐々にシルビィの号泣が

落ち着き始め!…早速マサツグに本音をブチ撒ける様に悔しい!と言った言葉を

口にすると、マサツグの質問に返事をする!…


「……はい!…私はぁ!…降参しましたぁ!!……

旦那様方にも嘘を吐き!…自分の過去を隠し!……

それにも拘らず私は無様に地面に転がり!…

この男の足に縋り付いては許しを請いました!!!…

私に!!…今の私にこの男を倒す術は御座いません!!!!…

申し訳御座いません!!!!…旦那様あぁ!!!!…」


シルビィはマサツグの質問に肯定をするよう返事を!…この時また感情が昂って

来た様子で涙を流し!…その際マサツグに縋り付くよう自ら抱き付き!…今まで

隠して来た事も全部!…吐露する様に惨めに負けた事を口にすると、マサツグも

シルビィをギュッと抱き締める!…何なら今度は良くやった!…よく言えたな!

とばかりに頭を撫でると、更にシルビィは感極まり!…と、その様子に他の面々

達も思わずホッコリ!…シルビィに対して優しい笑みを浮かべて見せると、真の

意味で仲間!と…更に団結力を高めて見せる!…


__…フッ!……モジモジ…モジモジ…ッ……


「…申し訳御座いません!!!……申し訳御座いません!!!…」


因みにこの時フィロはその様子を羨ましそうに見詰めて居り…その光景に指を

銜える仕草を見せると、一人モジモジとし続け!…しかし勿論そんなフィロの

様子など全く気が付く筈等ある訳もなく!…シルビィはずっとマサツグに謝罪

をし続け!…マサツグもそれを笑顔で許しシルビィが落ち着くまで宥め続け

ようとするのだが!…当然そうは問屋が卸さず!…と言うのもここは闘技場!…

そして元凶と言ってもいい奴は今だ其処に健在して居る訳で!…


「…もう大丈夫!…安心しろ!!…お前の怒りも何もかも!…キッチリ!…

キッチリ!!…本当に何もかも熨斗付けて返してやるからな!!!…」


__どよぉ!?!?…ザワザワ!…ザワザワ!…


「グッ!!…な、何だってんだ!?…これはあぁ!!…」


最後にマサツグはシルビィに任せるよう言葉を!…さも代わりに鬱憤を晴らす様に

言葉を続け!…その際チラッと背後にいるバルトグロメイアにまたあの鋭い眼光を

向けて行くと、更に殺気を放って見せる!…するとそれに比例するようマサツグの

体から更に黒い靄が溢れ出ると、まるでそれがバルトグロメイアの動きを拘束する

様に纏わり付き!…と、ここまでバルトグロメイアが襲って来なかった理由でも

あり!…巻き付かれている本人も困惑!…振り払おうと必死に藻掻く素振りを見せる

のだが、振り払えない!…寧ろ更に悪化を一途を辿ってしまう!…さてそうして

シルビィとの会話も落ち着き、マサツグが徐にシルビィを抱えて立ち上がって見せる

と次には…


__ザッ!…ザッ!…スッ…グイン!…ッ!?…


「モツ!!…スマンが!…」


「言われなくても分かってるよ!…シルビィの事は任せろ!!…

ヤブはあのクソ野朗を倒す事だけに集中しろ!!…」


マサツグはそのままシルビィの事をお姫様抱っこ!…するとそんな突然の事に

シルビィもハッと驚き戸惑い!…となるとマサツグの腕の中で丸まる始末!…

そしてそれを見て居る観客達も思わず驚き!…一体何が起きるのか?とそんな

マサツグの様子に観客達の視線が集まって居ると、今度はモツに対して声を!…

それは今からモツにシルビィを任せる様に声を掛けると、一方でモツはそれを

全て聞かずに把握し!…ただマサツグにやってしまえ!と笑いながらにサムズ

アップ!…そして壁より少し離れ!…まるで身構えるそんな態勢を見せて行く

と、マサツグもモツに対してやる気を見せるよう笑みを!…堂々と返事をして

見せる!…


「おう!!…言われんでもキッチリ!!…

片ぁ付けてやらぁ!!……シルビィ?…投げるぞ?…」


「へ?…それは如何言う…」


まるで負ける気のない様子で言葉を口に!…そしてモツに対してスッと右腕を

突き上げて見せると、片腕だけでシルビィを抱え!…と、そんな剛腕振りに

観客達もギョッとして行き!…これから一体何が起きるのか!?と…その未だ

不気味である異様ないで立ちと一緒に驚きと戸惑いを隠せないで居ると、

一方でマサツグは徐にシルビィへ忠告を!…簡潔に投げる!とだけ話をする!…

となるとシルビィもそんな説明を聞いてえ?とばかりに戸惑って見せて行くの

だが、マサツグはそんなシルビィの事など御構い無しに投擲フォームに入り!…


__グンッ!!…ッ!?…


「そおおぉ~~~~い!!!」


__きゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!…


その際シルビィを両腕で抱え直し!…その遠方で構えているモツへ向かい勢いを

付けてブン!とシルビィを投げて行くと、闘技場内にシルビィの悲鳴が!…

伝説の闘神姫の悲鳴が木霊する!…となるとそんなシルビィの可愛らしい悲鳴に

これまた観客達も驚いて行くと、更にはシルビィを投げた事でこれまた驚き!…

と、その一方で投げられたシルビィはモツの所へ一直線!…受け取る側のモツも

まるでそう来るのは分かって居た様子でスッと腰を落として行くと、次には見事に

受け止め!…何なら勢いを逃がす様にクルリと回る!…


「オ~ライオ~ライ!…オ~ライオ~ライ!……着~弾!!」


__ぼふぅ!!!…グルングルン!!……スタッ!…ドッドッドッドッド!!…


「ッ!?……ッ!?!?…」


この時その二人の一連の様子と言うにはまるでこなれて居る様子でスムーズに

行われ!…やられた方は何度も目をパチパチさせると、動悸を早く戸惑いを

露わに!…何なら自身でもその動悸が速まって居るのが感じられ!…今だに

何が起きたのか分かって居ない様子!…とにかくモツの腕の中で丸まって見せる!…

一方でその受け取った側であるモツもそんなシルビィの反応を見て思わず同情を

すると、次には苦笑いをしながら声を!…


「あぁ~……お疲れ様…」


__タッタッタッタッタッ!!…バババッ!!…


「シルビィ大丈夫!?…他に何か妙な事はされてない!?…」


それはご愁傷様と言った様子で顔を覗き込み!…アヤ達もモツがシルビィを

受け取った事を確認すると、次にはモツ達の方へと集まり始める!…それは

勿論シルビィの治療に掛かるのと同時に、何か他にされていないか!?と

言った具合に心配もして居り!…と、一方でマサツグも無事シルビィが

モツ達の手に渡った事を確認して行き!…これで心置きなく暴れられる!と

思わずニヤッと笑って見せると、次にはまたあの鬼の形相を!…バルトグロ

メイアに対して何度も向ける!…


「……よし!…これで心置きなくぶちのめせる!!………ッ!!!…」


__ヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!……


「…はあぁ~…後生大事に右腕を持って威嚇たぁ忙しい奴!…

…じゃあそんなお前に免じて良い事を教えてやるよ!!…

その右腕!…斬られた所にピッタリと合う様に合わせて見ろよ!…

…面白れぇモンが見れんぜ?…」


「ッ!?…あ゛ぁ゛!?…」


振り返ってバルトグロメイアに視線を向けると、そこにはここに来て初めて見せる

威嚇する様子が!…それは姿勢を低くして歯を剥き出しにして居り!…何ならその

左手に斬った右腕を持って怒りを露わにすると、マサツグに負けじ!と踏ん張って

見せる!…しかしマサツグから見るその様子はもはや虚勢を張って居るようにしか

見えず、哀れに思えて来ると次にはある事を話し!…と言うのもその右腕はまだ

くっ付く!と…斬った所を合わせる様にバルトグロメイアへ助言を口にして行くと、

バルトグロメイアは更に威嚇!…嘘を言うな!とばかりに吠えて見せる!…しかし

吠えた所でマサツグの態度が変わる事は決してなく!…更に呆れた様子で言葉を…


「…一回しか言わねぇぞ?…

まぁ、やるやらないはお前次第だが?…」


「ッ!!…ッ~~~!!!…」


__……スッ…ピタァ!!…ッ!?…どよ!?…ザワザワ!…ザワザワ!…


信じる信じないはお前次第!…そしてさも見下す様にバルトグロメイアの事を

冷たく見ると、バルトグロメイアもピクッと反応!…となると勿論信じる訳が

ない所ではあるのだが、何故か気になった様子で…そこからマサツグの事を

警戒しながら!…その手に持つ右腕を斬られた場所にピタリと合う様に合わせて

行くと、次にはバルトグロメイアが驚いた表情を!…何ならその一連の様子を

見ていた観客達も戸惑って見せる!…それは何も知らない者からすればさも

神の御業の様で!…とにかくその光景に全体が騒めき!…


「ッ!?…ば、馬鹿な!?…な、何でくっ付いて!?…

…ッ!!…テ、テメェ!!…まさか魔術師か何かなのか!?…

人狼族が魔術に弱い事を知って!!…

今まで見せて来たそのデケェ剣もハリボテ!!…」


「あぁ~あぁ~どうぞご勝手にご想像ください!!っと…

…これで別にもうハンデ等は無いよな?…

何なら逆にハンデくれてやってもいいぜ?…」


「ッ!?…グッ!!…テ、テメエェ!!!…」


バルトグロメイアも実際にくっ付いた事を確認するよう!…何度も手を結んで

開いて見せ!…更に引っ張ったりその斬られた部位の境目を見る様に確認する

が、一向に取れる気配もなく!…さも斬られたのが嘘の様に!…驚きを隠せない

様子でただ戸惑いを露わにし続けると、次には何かに気が付いたよう!…

と言うのもこれも魔法か何か!と疑った様子で!…マサツグを魔術師扱いする

と、コケ脅し!と…魔術と分かれば特段慌てる必要が無い様に強がって見せる

が、マサツグは呆れる一方!…さも馬鹿にするよう返事をする!…そしてそんな

返事をされた事でバルトグロメイアも更に怒りを燃やして見せると、一方で

そのタネを分かって居る者達はさすが!と…


「…やれさすがじゃのう?…あの芸当が出来る者こそまさに剣聖!…

そしてマサツグの腕も更に上がったと言う事か!…

…にしても…こうやってあの様にやって見せてくれんと…

ほんにマサツグが剣士である事を忘れそうに…」


「……ッ?…アレ?…

じゃあ普段はマサツグの事を剣士としてじゃなくて…

一体どんな目で見ているって言うの?…

ちゃんと剣を装備して居るわよねぇ?…」


「ッ!……何の事じゃ?…わっちにはさっぱり分からんのぅ?…

…まぁ強いて言うなれば!…わっちのお婿さんなのじゃ!!…」


フィロはまさに剣聖!とマサツグを褒め!…更に腕を上げて居る事も見抜いて

行き!…と、同時に本音も漏らしてしまい…その際さもマサツグを普段から

剣士として見て居ない!…別の職業JOBをやって居る様に見える事を零して行くと、

その話にすかさずアヤがピクッと反応をする!…となると次にはフィロに対して

ツッコミの言葉を口にすると、普段から如何言う風に見て居るのか?を尋ね!…

何ならアヤはちゃんとマサツグの事を剣士として見ている様で!…一方でその

質問に対してフィロもピクッ!と…そこからさも恍ける様に視線を逸らして

あざとく返事をして行くと、モツが呆れた様子で更にツッコミ!…


「…誤魔化したな?…」


「あはははは……」


何ならフィロに喰えない奴!とばかりに苦笑い!…するとそんなツッコミにオリハも

笑い!…アヤもアヤで呆れた様子でシルビィの治療を続けて行くと、一方ではバルト

グロメイアがマサツグに対して更に威嚇を!…と言うのも自分がシルビィに言った事

をまんま返され!…その言葉でさも自身のプライドが気付付けられた様に歯を剥き

出しにして行くと、目に見えてヤバい様子を見せて行く!…それは体を強張らせる

様に小刻みに震わせて見せて行くと、欠片刀を使わずに体を膨張!…まるでパンプ

アップする様に大きくなり!…バルトグロメイアが本気になった!と…観客達も本能

的にそれを察して青褪める様子を露わにすると、一方でマサツグは…


__グルルルルルル!!!…ガルルルルルルル!!!!…


「………。」


__ザワザワ!!…ザワザワ!!…


息を荒く歯を剥き出しにするバルトグロメイアを前に!…まるで問題無い!と

ばかりに腕を組むと、依然として見下す様に見詰めて居り!…何ならまだ襲い

掛かって来ないのか?とばかりに若干呆れ!…意外に憶病なのか律義なのか?

と…とにかくバルトグロメイアを敵として見て居ない様子で構えて見せると、

更に神経を逆撫でする!…そしてマサツグがバルトグロメイアの動きをさも

本当に魔王になったかの如く見極めて居ると、一方でシルビィの治療も漸く

終わりが見え始め!…


「……よし!…外傷はこれでOKかな?…

…あとはあの時打たれた欠片刀って言うのが良く分からないけど!…

劇薬っぽいからどう対処すれば?…」


アヤがお得意の精霊魔法でシルビィを治癒!…それは蹴られた個所や乱暴にされた

個所を癒して行き!…残るは動けない状態の打開となるのだが、さすがの精霊魔法

でもそれは直せない様子で…何なら未知のアイテムと言う事で対処法も分からず!…

アヤがこのまま放って置いて不味い事になったら!と若干慌てると、シルビィが

大丈夫!と言葉を…その際何を刺されたのかを分かっている様子で説明をする!…


「ッ!……そ、それなら大丈夫です!…

…あの時私が打たれたのはあの肉体を強化する方では無く!…

調教用!…[調教の欠片刀]と呼ばれる物の方で御座います!!…」


「ッ!?…ちょ、調教って!!…」


「…名前の通り獣人や我々ライカンスロープを調教する為に用いる欠片刀!…

確かにアレに中毒性は無いものの!…

一度打たれると全身に電流が走った様な激痛!…及び感覚麻痺を覚えます!…

…それは私とてあの様に立つ事すら困難になる代物!!…

現にあの欠片刀は奴隷商に言えば安価で手に入れる事が出来ますし…

その気のある者はアレを使って人を襲い!…罪の無い者を慰み者にする!…

言わばそれ用のモノとして取り扱われて物に御座います!!…」


「ッ!?……ほんっとうに最低ね!!……とにかく解毒方法を探さないと!…

一応大丈夫だとは思うけど!…避難するに越した事は!!…」


それは過去にも何度か打たれた事が有る様子で若干暗い表情を見せると、あの肉体を

強制的に強化する物とは違う!と言い…と言うのも物は調教用と話し始め!…それを

聞いたアヤは戸惑い!…思わず驚きの表情を露わにすると、シルビィも細かな説明を

口にする!…何ならその使用用途からしてロクデモナイ使われ方がされて居る事も

話して行くと、アヤが見るからに嫌悪感を露わに!…が、そんな事を言っている場合

では当然無く!…一応ここに居る限り危険である事に変わりはない様子で話しをする

と、シルビィは倒れたまま展望デッキを!…そこに居るであろうマグダラスを睨んで

見せる!…


__キッ!!…ッ!!……


「…マグダラス!!…」


「私がバルトと戦う前!…奴は確かにマグダラスの名前を口にしました!…

恐らくこの大会に参加した闘士達が欠片刀を持っていた理由は!…」


「ッ!…奴が事前に配布した!?…」


__……コクリッ!…


シルビィが展望デッキを睨んだ事でハッと何かを察したのか、各々も見上げる様に

してスッと展望デッキを見上げ!…そしてそこに居るであろう心当たりを口にし

出し!…シルビィもバルトグロメイアと戦う前に!…ポソッと聞いた話をモツ達に

聞いた!と話して行くと、何故闘士達が欠片刀を持っていたのか?…その理由を

直ぐに理解し出す!…となるとこの重大さにアヤが戸惑った様子で言葉を漏らすと、

シルビィも静かに頷いて返事をし!…そうなって来るとバルトグロメイアも勿論!…

何なら躊躇う事無く使って来た事で十中八九!…アイツも使うのでは!?と危惧した

視線を向けて行くと、そんなモツ達の言葉など御構い無し!…空気を読まずに突如

ドラ音が響き始める!…


__ボワアアアァァァァァァァァンンン!!!!…ッ!?…


「ッ!?…」×8


__ボッ!!!…


「ウオオオアアアアアアアア!!!…」


その予告も無しに突如ドラの音が鳴り響いた事で各々が驚く一方、中には驚く

反応を見せない者達も居り!…その内の一人バルトグロメイアはそれを合図に

突貫し出し!…狼の脚力と瞬発力を活かした!…奇襲をマサツグに掛けて先制

を取って見せようとするのだが、マサツグはそれを目にしても動じず!…寧ろ

来い!とばかりに睨んでおり!…向かって来るバルトグロメイアに対して

反撃の構えをスッと取って見せて行くと、トーナメント決勝!…その波乱の

最終決戦を迎えるのであった!…
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