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-第七章-ウィンタースノー連邦-霊峰ウルフハウリング・後編~デグレアント帝国・前編-
-第七章二十八節 グレイスの夫と夫婦の馴れ初めと本当の父親の話!…-
しおりを挟むグレイスは自身の夫の話をする際…その抱えて居た刀をスッと差し出す様にして
シロとハティとマサツグに見せて行くと、慈しむ様な表情で話しをし始め!…
その際その様子にまた泣き出してしまうのでは?と心配になってしまうのだが、
今度は落ち着いた様子で淡々と!…その持っている刀を改めてグレイスの夫が
持っていた物である事を説明すると、その最初の出会いからの馴れ初めを続けて
口に!…シロとハティが生まれるきっかけの話をし始める!…
「…この剣は私の夫…[ロードレク]が持っていた剣です…
初めて出会ったのは彼が冒険者としてこの霊峰に上り…
この城の前の広場で倒れて居るのを私が見つけた時でした…
その日はいつも以上に寒く…見つけた時には既に…
彼の体は半分位が凍った様な状態でした…」
__ッ!……ッ…
グレイスの夫の名前は[ロードレク]!…その際最初に見つけた時は既に満身創痍の
状態であったらしく、見つけた際もグレイスは驚いた事をそのまま三人に語り!…
何なら今でもその時の事を鮮明に覚えている様子で懐かしむそんな反応も露わに!…
するとその話しにシロとハティも興味を持った具合でソワソワし出し!…互いに
耳をピコピコとさせながら、その初めて聞かされる自身の父親の話に思わず!…
グレイスと差し出されている刀を交互に見る様なワクワクともしたそんな素振りを
見せて居ると、マサツグもその話を聞いて途端に疑問を持った様子!…次には突如
質問をする!…
「…ん?…ちょっと待ってくれ?…冒険者?…
その言い方だとまるでシロとハティの父親は…
人間もしくは……あぁ~っと?…
とにかく人だって言ってる様に聞こえるのだが?…」
と言うのも今話して居るのはグレイスの夫の話であり、と言う事はシロとハティの
父親の話でも当然ある訳で!…その夫となった者は元・冒険者と聞かされた事で!…
冒険者と言うのは勿論人である事を指しており!…まるでその父親は人である様に
聞こえてしまい!…その事を確認するよう話しに割って入って思わずグレイスに
その事実を確認して行くと、グレイスは特にこれと言った反応を見せる事無く…
キョトンとした表情でマサツグに肯定をするよう返事をする!…
「ッ!…はい、その通りです…
私の夫はマサツグ様と同じ人間で冒険者!…
その際何か階級が有るとかで確か…
[ダイヤモンド]?…と言う階級だと聞いています…」
「「「ッ!?…え!?…ええぇぇッ!?…」」」×3
グレイスはマサツグに頷き返事!…何なら階級もマサツグより上の[ダイヤモンド]
である事を話して行き!…と、その衝撃の事実に勿論三人は驚き戸惑う羽目に
なり!…何故ならシロとハティはフェンリルと人族のハーフと言う事が今カミング
アウトされた訳で!…他の血と言う言い方も何なのだが、獣人族やエルフ!…何か
特徴的な外見等が見られない事から恐らくマサツグと同じ人間である事がここで
更に明かされて行くと、一つ驚く!…意外と近しい?存在同士である事に戸惑い
続ける!…そして三人がまさかの事実にとにかく目を見開き口を開けて固まって
居ると、更にグレイスは馴れ初めの話を続け!…
「…そんな彼を見つけた時の私は…まだ彼が人間だと言う事に気付かず…
民の一人が吹雪に襲われ倒れているのだと思っていました…」
__ッ!…ッ…
それはスッと話を戻す様に見つけた時の話を!…その際彼が人間だと言う事には
全く気が付いて居なかった事を続けて話し!…その理由にその日はブリザードが
凄かったのか?…あくまでも遭難者としか見ていた事も続けて話すと、それを
聞いた三人もピクッと反応を露わに!…と言うのもサラッと話を戻された事で
思わず戸惑って見せてしまう!…しかしそれでもそのグレイスの話に再度耳を
傾けて行くと、一方でグレイスも更に続けて何故あくまでも遭難者としか見て
居なかったのかを話し始め!…
「…実際この霊峰に挑みここまで来る人間は…
今までにマサツグ様達やロードレク位…
お父様がまだ生きていた時でも片手で数えれる位です…」
「ッ!?…え!?…」
グレイスが言うにはまずこの霊峰に乗山頂に人が来る事自体が珍しいらしく、彼女
自身が今こうしてここに居るだけでもその夫となる者とマサツグ達位にしか会った
事が無い様で!…何ならその過酷さは先代のフェンリルの時でも語られる様に!…
恐らくフェンリルの寿命として数千単位!…にも関わらずそれでも登って来れたのは
片手で数えれる程度とグレイスは話し!…となるとそんな話を聞かされマサツグは
困惑!…自分達の場合は運が良かったのか?と…今こうしてここに居る事が奇跡!
と言われている様なそんな気がして更に戸惑い続けて居ると、これまたグレイスは
そのロードレクの逸話を!…
「…そして助けた時に漸く彼が人間だと言う事に気が付いたのですが…
…驚きました…その時の状態はとても酷く!…
如何にこの霊峰が過酷であったのかをその身をもって物語って居て!…」
__ッ!?…ッ…
その際グレイスはここに来て漸く人間である事に気が付いた!と、そしてやはり
その時の事を思い出す様に…何なら思い出したら思い出したで辛そうな表情も
露わにして見せ!…この時とにかくその状態は酷いモノであった!と…シロと
ハティもその話を聞いて更に興味を持ったのか?…黙ってグレイスの話を聞き
入って見せて行くと、思わず想像もしてしまった様子!…二人揃ってその表情を
歪めて見せる!…勿論自分達がその怪我を負った訳では無いのであくまでも
うわぁ~!と言った様子なのだが、グレイスもグレイスで容赦が無いのか?…
今度はその状態が如何言うモノであったのか?を事細かにを語り始め!…
「当然彼の体は酷く傷付いてボロボロの状態!…
恐らく外の魔物に襲われたのかその体中には爪痕が残り!…
腕や足には酷い凍傷!…もはや治るかどうかも分からない位に赤紫に!…
とにかく危篤の状態でそこに倒れていました!…」
__ッ!?…ッ~~~!!!……ッ…
思わず耳を覆いたくなる様な内容を口に!…そしてそれは何故か容易に想像が
出来てしまい!…となると余計にシロとハティが揃って嫌ッ!と言いたげな
そんな表情を浮かべて見せ!…何ならマサツグもそれを聞いて思わずと言うか
当然良くは思わない具合に顔を顰め!…しかしその話も途端に着目点が変わって
行き!…グレイスが驚いた点の話になって行くと、これまた耳を疑う様な!…
そんな話を聞く事になってしまう!…
「…ですが……ですがそれでも彼はたった一人で!…
ここまで登って来たと言うのもまた事実!…」
「ッ!?…え!?…ちょ!?…
た、たった一人!?…ほ、他に誰か!?…」
何でも更にグレイスが言うには他に冒険者を連れて来ている様子はなかった様で、
本当にロードレクしか居なかった!と驚いた様子でこの時語り!…と言う事は
自動的にそれは一人で来た!と言う事を物語っており!…勿論その話を聞いて
マサツグも驚き!…思わず確認を取る様にグレイスへ質問を口にすると、更に
グレイスはも一つ続ける!…首を左右に振りながら返事をして見せると、どれだけ
異様で有るかをこれまた語る!…
「…ッ…人間がたった一人でここまで登って来るのは…
容易ではありません!…いえ寧ろ無謀の域にあります!…
そして今までここに到達して来た人間達は大体5~6人の徒党を組み!…
しかしそれでもやはりここまで来るのに満身創痍の様子が見られ!…
恐らく我々に挑む為に登って来たのか?…そのまま挑み散る…
と言うのが今まで見て来た流れであります!…」
__ッ!?…ッ…
今までにグレイスが見て来た人間達の中でも勿論特異な例である事を口にすると、
その流れで今まで見て来た人間達の事も語り!…と言うのもそれは自身の命を
狙って来た者達の事であって!…だが意に介していない様子!…大体の流れの様に
説明をして行き!…その話を突如された事でこれまたマサツグやシロにハティと
戸惑った反応を露わにすると、一方でグレイスはそんなロードレクに対して興味を
持った事を口に!…その時の自身の気持ちについて更に語る!…
「何故そんな無謀な事をしたのかが分からないのですが…
…いや寧ろそんな挑戦をしたからでしょうか?…私は彼自身が気になり…
気が付けば私はシグルーンを呼んで彼を城の中へと招き入れて居たのです…」
「ッ!…え?…」
と言うのもそのロードレクの目的について当然何も分かっていない!…だが
そんな彼の姿に心を打たれてしまったのか?…衝動的に行動を取ってしまった
事を更に続け!…何ならその事はシルビィも良く知っている様子で話しをして
行き!…となるとその話を聞いてマサツグも何度目となるか分からない戸惑い
ようを露わに!…何なら言葉も漏らしつつ!…そのグレイスの真意に詳しく
説明を視線を向けると、グレイスも当然語る!…だがやはりハッキリとしない
様子で返事をする!…
「…それは彼の勇敢さに心を動かされてしまったのか?…
或いは自分の意思で彼を助けようとしたのか?…
その時に私には自身でも何をしているのかが分かりませんでした!…」
「ッ!?…わ、分かりませんでした!…って、えぇ~?…」
グレイス曰く今となってもやはり何故あんな事をしたのか分かって居ない!と、
その際色々と理由を上げて行くのだが!…しかしどれもグレイス的にはピタッ!
と当て嵌まらない様子で疑問形に漏らし!…だがこうして夫婦になった!と…
勿論そんな返事にマサツグもこれ以上ない位に困惑する具合で返事をすると、
シロとハティも首を傾げる!…もはや気の迷いから夫婦になった様にも聞こえる
のだが、勿論まだまだグレイスの話は終わらない様子で!…
「…この時は今ほど民も人間嫌いではなかったのですが…
それでもやはり人間がここまで来た…
そして私が助けたとなると色々と疑惑を持たれる事も有り…
折角助けたのに他の者が彼をまたあの寒空の中に放り出そうとする!…
…特にまだマグダラスの様な者が居た時ですので…
それを考えた私はシグルーンを含む信用出来る者にのみ彼の存在を話し!…
バレない様に世話と護衛を設けました!…」
「ッ!!…ジィジ!!…」
それこそマサツグの戸惑った様子をスルーして行き!…今度はその当時の人狼達の
様子について話し出すと、やはりその時に少なからず不信感を持たれた事を口に!…
特にまだマグダラスが居た時の話であり、助けたにも関わらず始末しよう!と…
だがそれを良しとしないグレイスも考えた様子で信用の出来る!…シルビィを始め
とした者達でそれでも助ける為に動いた事を続けて話すと、ハティがマグダラスの
名前で反応!…ムッとした表情を浮かべて見せる!…それは容易に想像が出来る!
と言った様子で忌み嫌うと、グレイスもその表情に気が付きつつも続けて話しを!…
「…その甲斐有ってか彼は見つけたその日から約三日後に目を覚まし…
更に二日後には話せるまでに回復しました…
…そこからです…私が彼に魅かれ始めたのは…」
__ッ!?…ッ~~~!!…
それは気分直しと言った様子でまたロードレクの話に!…そこからは徐々に彼が
回復して来たと言うモノで、更にグレイスもここで漸く彼に恋をしたと言う話
でもあり!…となるとやはりそう言う話に興味が有るのかシロとハティもピクッ!
と反応!…次には待ってました!とばかりに目を輝かせ!…まるで童話を聞く様な
ワクワクとした期待に満ちた表情を浮かべて見せると、グレイスも勿論その話を!…
まずはそのロードレクが目を覚ました際の反応から話し始める!…
「…彼も最初は私を見て…
ビックリした様な怯えた様な表情を見せて居たのですが…」
{…だろうなぁ~…人の姿で会ったらトンデモナイ美人が立っていて…
狼の姿だったらデケェワンコが居るんだから…そりゃおっかねぇだろうよ…}
その際ロードレクが目を覚ましてグレイスと出会った際、その様子は手に取る様に
色々と困惑して居たであろうと言う事が伺え!…と言うのもグレイス曰く彼は
おっかなびっくりの様子であった!と…となるとそれに対してマサツグも同意を
する様に!…ロードレクが警戒をしていた気持ちが分かる!とばかりに心の中で
ツッコミの言葉を考えて居ると、一方でグレイスはそのロードレクの警戒が解けて
来た時の話も口に!…それは何度も根気よく会いに行き続けていた事を漏らして
行く!…
「それでも徐々に回復して行く彼と何度も会って居る内に…
彼も徐々に私への警戒を解いてくれて!…
…そして逢う度に私は彼と話を交わして!…
気が付けば私は彼の話に胸を躍らせ楽しむまでになって居ました!…」
__ッ!!…フンスッ!…フンスッ!…
そして何度も会う内に打ち解け合い互いに仲良くなり始めた所で色々と話しを
していた事も続けて話すと、その時のグレイスの表情は本当にとても楽しそうで!…
するとそんなグレイスの笑顔に釣られてシロとハティも笑顔を零す!…特にシロが
興奮気味で!…尻尾を振りながら鼻息を荒くそのグレイスの話を聞き入って居ると、
ここから更に話は当然明るい方に!…グレイスの惚気?パートへ入って行く!…
「…だって彼の話す外の話は!…
今までこの城から一度として出た事の無い私にとって夢物語で!…
この光景こそが私の世界で…その外の光景を見たくても出られない!…
けど彼は旅をしてその光景を私に分かる様に説明すると!…
私と一緒に楽しそうに笑ってくれたのです!…
…あの時の時間は私にとって!…本当に楽しい物でした!!…」
「ッ!!…ほえぇ~~!!…
…ッ!…って言う事はもしかしてぇ~?…」
この時それはもうシロが鉱物を目の前にした時と同じ表情をグレイスが浮かべると、
どれだけそのロードレクから語られる話が楽しかったのか?を語り!…と、同時に
そんな話をしてロードレクの反応が愛おしかった事も口に!…とにかくグレイスに
とっての至福の時間!…それが夫婦唯一の思い出とばかりに!…心の底から大切な
思い出である事を話して行くと、それを聞いてシロも想像が出来たのか楽しそうに
言葉を!…と、同時に何やら一人ある事を勝手に解釈し出す!…それは先程の話を
聞いてふと確証を持った様子で考え出すと、一方でハティもふとある事が気になった
様子で質問を口に!…
「…ッ!……では…では、おかあさま?…
何故おとうさまは居ないのですか?…」
__ッ!!…ッ!?…ッ…
「おねえさまやハティが生まれた時には居たのですか?……今は何処に?…」
それは核心に迫るもので!…何故そのロードレクが今ここに居ないのか?と…
となるとそんなハティの言葉に各々ハッ!として見せ…マサツグは慌てる様に
して反応!…シロはハティと同じく戸惑いながらも疑問を持った様子で表情を
露わにして見せると、更にハティが質問を!…それこそ二人が物心ついた時には
居なかった事を続けて話す!…するとグレイスもその指摘を受けて少し俯きまた
暗い表情を見せるが、途端に真剣な表情に戻して見せ!…
「…ッ…それについてもちゃんと話します!…
と、言うより…ここからが本題になります…」
__ッ!?…ッ…
そしてその話こそ二人を呼んだ理由で有り!…ここからが話の本番である事を
話して行くと、三人はまた何か妙な緊張感を覚える!…それは核心に迫っている事を
想起させると、同時に嫌な予感を感じさせ!…その際グレイスも母親としてその夫の
話を続けて行く!…まるでそのロードレクと言うモノが立派な者であった様に!…
自分達の誇りと指摘居て欲しい様にまずはロードレクが回復して来た事を話して行く
と、シロとハティが出来た事も続けて語り!…
「…そうして療養が功を奏したのか奇跡的に後遺症も無くロードレクは回復し…
幾度と無く彼と出会い、話をする内に私は夫のロードレクと恋に落ち…結ばれ…
スコルティナとハティビィエールと言う二人の可愛い娘を出産しました…
…ですがそんな幸せの時間は突如として崩れたのです…」
二人を身籠った部分は簡潔に!…さすがにまだ小さな子供に聞かせると言うか
そう言う話をする展開でも勿論無く!…とにかく二人は愛し合い二人を出産!…
ここまでは良い!…何ならこの話もここで終わって欲しい!とハッピーエンドを
願うのだが!…そうは問屋が卸さない!…グレイスは不穏な空気を放って行く!…
と言うのもここからは既にシルビィから聞かされた話と合流して行き!…その
不穏な空気を感じてマサツグが思わず一言!…
「ッ!!…デグレアント!!…」
__ッ!?…ッ…
ここで出て来るのはもはや因縁に近い忌み嫌われるデグレアントの名前!…
それこそマサツグも憎む様に!…思わず顔を顰め若干怒りを露わにする様子で
その名前を口にすると、シロとハティも無言で機敏に反応!…ハッ!と嫌な
予感を感じた表情を露わにする!…するとそのマサツグの一言にグレイスも
静かに頷き肯定をして見せると、更にそこから続けて話しを語って行き!…
「……はい…何を考えたのか…
霊峰一合目と二合目の境に居城を構えるデグレアントが…
突如として大軍隊を連れて我々の居城に攻め入って来たのです!…
この時私は二人の出産で動けず…戦いに参加する事は叶いませんでした…
…我が軍勢は数百に対して相手は二千五百と大群!…
それでも奮闘し、残りを千にまで削ったのですが!…」
と言うのもここで初めて聞かされるデグレアントの位置についても如何でも
良く!…恐らく誰かからか聞かされたであろうその出来事をグレイスは話し!…
この時グレイスは出産で動くに動けなかった事を漏らして行き!…まるで
タイミングを読んで来たかの様なこの奇襲に!…その時のグレイスもやはり
驚いた事を続けて話すと、それでも善戦していた事を口に!…だがその話も
最後の方で不穏にする!…と言うのもその結末は既にシルビィから聞かされて
おり、マサツグも思わず拳を握ってしまうモノで!…
__…ギュウゥ!!!…
「あの魔術師達が遂に我が軍を壊滅!…
そしてデグレアントの兵達は我が居城に乗り込み!…
…ティナを誘拐したのです……そしてこの時です…
我が夫…ロードレクが…ッ~~~!!…スンッ!!…
戦死したと言う知らせを聞いたのは!…」
__ッ!?!?……ッ…
シルビィの時より事細かに説明!…やはり今まで出会って来たあのデグレアントの
魔術師達が厄介らしく、結果は人狼軍が壊滅に至った!と…そして更にデグレアント
の蛮行はこれに終わらず!…戦利品として誘拐を働き!…その時シロが連れ去られた
事も口にすると、グレイスは静かにプルプルと震える!…その時の悔しさを滲ませて
見せる!…何ならその話についても内部で転覆を図った者が居た事もここに来て
分かっており、その者はマサツグが無残にも始末をした後で!…だがそれでもシロが
誘拐された事に変わりはなく!…更に追い打ちを掛ける様に凶報も!…ここで
グレイスの夫・ロードレクが戦死した事も明かされて行き!…その話を
聞いてシロとハティが共に目を見開きグレイスを見詰めて固まってしまうと、ただ
ただ何も言えない様子でショックを受ける!…それは時が止まったかの様な動揺具合
を露わにする!…と言っても一応話の流れから分かっていた事なのだが、それでも
改めて言われてしまうとショックを受けるもので!…
__…ッ…ッ~~~!!!……ッ…
ここで聞かされる自分達の父親の死の言葉にシロとハティは涙を流す!…それは
徐々に溢れ出る様に!…声を上げる事無く静かに涙を流して行くと、マサツグも
もう余計な事は言わない!…ただ黙ってそのグレイスの話を聞いて同じく悲しむ!…
そして改めてデグレアントさえ居なければ!と言った恨みにも近い感情を持って
居ると、グレイスは更にもうロードレクの存在を隠せなかった事についても話しを
し出し!…
「…この時にはロードレク!…彼の存在はもう隠せない程に知れ渡っており!…
表に居ても裏に居ても同じ状態となって居ました!……故に!…
もはや隠す必要も無いと感じた私はその出産に合わせて城内へ!…
解放した所でその奇襲!……勿論快く思わない者からは疎まれ!…
蔑まれると言った事もあったようですが!…それでも彼は我々の為に!…
この剣を握り!…城内に進入して来たデグレアントを相手に単身!…
獅子奮迅の戦振りを見せたと後から近衛兵から聞かされました!…」
__…ヒッグ!!…スンッスンッ!…ッ~~~!!!…
グレイスとしてもこのまま拘束し続けるのも不憫と感じた様子でロードレクを
解放!…だがそのタイミングでデグレアントが攻めて来た事を再び話し!…
更には不遇な目に遭っていた事も口にするが、それでも彼はグレイスやシロと
ハティの為に剣を握った!と…更に近衛兵達から話を聞かされた事を続けて
行く!…その際その話を聞いてシロとハティも更に泣いてしまう事になるのだが、
それでも当然話す事を止めず!…ロードレクの奮闘ぶりはもはや伝説の様に
語られているらしく、その事についてもグレイスは続けて話しをして行き!…
「宛らそれは!…
手負いの獅子が我が子を守る為に我が身を犠牲にする様子そのモノ!…
並み居る敵を凍てつかせて一刀両断し!…傷を負おうとも一歩も退かない!…
背に我が子を守りながら戦い続ける!…
…一緒に戦っていた近衛兵も思わず畏怖してしまう程の光景!…
…であったのですが…敵は数に任せて襲い掛かり!…
ロードレクは徐々に押されて…最後は…ッ~~~!!…」
__ズビイィ~~~!!!……ヒッグ!!…エッグ!!…
それは自分達の父親の勇敢さ!…或いはその愛の深さを語る様に!…どれだけまだ
見ぬシロとハティの事を愛して居たかをその武勲で語り!…それは周りに居たで
あろう近衛兵達を震撼させ!…まさに獅子の様であった事をシロとハティに話して
行くと、それを聞かされて更に感極まる!…シロとハティはボロボロ泣きながら
鼻を啜る!…そしてボロボロの股大粒の涙も零して行くと、次第にグレイスもまた
涙ぐみながら話を続け!…
「…ロードレクは最後まで抵抗の意志を見せたと聞きます!…
傷付き倒れようとも!…槍で滅多刺しにされ様とも!…
…ですがティナが誘拐されてしまい!…相手も目的を達せた事で撤退!…
…その後です…私がロードレクの凶報を聞いたのは!…
勿論その話を聞いて居ても立っても居られず!…
残った体力で私はそのロードレクの元に!…
すると…ッ…そこには既に…息も絶え絶えの…ロードレクが居て!…
彼は!…私の顔を…目にするなり!…ッ…そのボロボロの手を!!…
…はぁ~…ッ…そっと私の顔に手を伸ばして…最後にこう言ったのです!…」
例えどんな目に遭おうとも決して折れない心!…それを彼は持って居た!とばかりに
グレイスは語り!…そして自身がロードレクの凶報を聞いた事を改めて!…更には
我が身を押してそのロードレクの元まで向かった事も話して行くと、徐々にその声は
涙声に!…だがそれでも語る事を止めようとしない!…何から何まで知って欲しい!
とばかりに語るグレイスの話に二人も涙を流しながらジッと話を聞き続けて居ると、
その話も遂に終盤になって来て!…その最後の最後だけグレイスがロードレクの
死に目に会えた事を口にすると、そのロードレクが残した言葉も二人に話す!…
{……ゴメン!…ハティだけしか守り切れなかった!…
…でも…これだけは…これだけは覚えておいて欲しい!…
…あの子はきっと君の元に帰って来る!…
例え何十年!…何百年掛かろうとも!…絶対に帰って来る!!…
…それまでの間…ハティを!!…しっかり見てやってくれ!!…
一人でも寂しくない様に!!……ティナが戻って来た時!!…
仲良く出来る様に!!!……だから!…だから!…
…帰って来た…時は…暖か…く!…迎え…入れて…欲しい!!…
君が…ぼ…くを…迎え…居れ…て…くれ…た……}
__ッ!!!…ッ~~~…ッ~~~~~!!!!…
その残された言葉と言うのもロードレクからの愛が感じられる!…まるで未来を
予測した様にまた会える!と…決して悲観をする事無く!…帰って来た時の事を
考えて温かく迎え入れられる環境を作る様にグレイスへ残すと、自身が死ぬ事も
覚悟したよう!…最後まで二人の事を気にして居た様子で言葉を残す!…そして
既にグレイスはそれが出来ていた事も口にするが、最後まで言い切る事無く
冷たくなり!…と、グレイスの話からはそう言う風に感じられ!…シロとハティも
もひとつ感極まった様子で涙をボロボロと零して見せると、グレイスも〆に入る
よう!…その後の事も話して行く!…
「…その後は…何度揺すっても…呼び掛けても…
彼が目を覚ます事は…ッ…有りませんでした!…
恐らく最後に彼…スンッ…ロードレクが言ったあの言葉は…
マサツグ様がティナを連れて来ると言う意味だったのでは?と…
今はそう感じています!……最後の最後で…
デグレアントがティナを誘拐し損ねたのは!!…
ロードレクが守ってくれたのではと!!!…ッ~~~…」
グレイスもその様子を目の当たりにして辛かったであろう事を話して行く!…
それこそ夢だ!と願う様に…色々と試しても尚ロードレクが目を覚ます事が
無くなった事を涙ながらに話して行くと、今こうして再会出来た事も口に!…
と言うのもこれもロードレクのお陰では!?と…勿論マサツグが連れて来た
事もあるが!…それでもロードレクがシロの事を守ってくれて居た様なそんな
気がする事を話して行くと、我慢の限界か!…次にはシロとハティは振り返り!…
マサツグに向かって抱き付きに掛かる!…
「ッ~~~!!!…ごじゅじんばばああぁぁ~~~!!…」
「ぜんぜぇ~!!…ぜんぜええぇぇぇ~~~!!!」
__ガバアァ!!!…ッ!?…ギュウウゥゥゥ!!!……ッ!?…ッ…ッ~~~…
それはロードレクとマサツグを重ねる様に!…だがそれとこれはしっかりと分ける
様子でそれぞれマサツグの事を呼び!…とにかく感極まって大号泣のままマサツグ
に飛び付き!…そして甘える様にギュッと抱き付く!…二人がそれぞれ何とも
言えない感情に襲われている様に!…ただ如何する事も出来ずに泣きじゃくる事
しか出来ないで居ると、グレイスもその様子を見てハッ!と…何かが見えた様子で
目を見開く!…そしてまたグレイスもグレイスで涙を流すと、一方でマサツグも
そんな二人の様子を見て戸惑いながらも!…
「…シロ…ハティ…」
__……ギュッ!…ッ!?…ッ~~~!!!…
シロとハティの名前をそれぞれ呼び!…そしていつもの様に優しくその甘えて来る
二人の頭に手を置いて行くと、そのまま優しく頭を撫でる!…まるで宥める様に
して二人の事を落ち着かせに掛かる!…しかし次にはそれが逆効果を招く様に!…
シロとハティは更に声を上げて大泣きし始め!…その際また近衛兵達が飛んで
来そうな程に部屋中に声を響かせ!…が、不思議な事に飛んで来ない!…届いて
いるの居ないのか?…とにかくその場の空気がとても悲しい物に包まれて居ると、
その間マサツグはただ二人を宥める!…父親の代りを果たして見せる!…
さてそれからどれくらいの時間たったのだろうか?…シロとハティは泣き疲れた
感じで落ち着いて行くと、そのままマサツグにしがみ付いたまま眠ってしまい!…
__……ファサァ…
「……これで良し…あれだけ泣いてたから大人しいな…」
「…ッ!…最後に少し良いでしょうか?…」
「ッ!…え?…い、いいですけど?…」
この時マサツグは丁寧にそれを引き剥がして行き!…そしてグレイスの隣に
寝かせるよう!…二人並べてシーツを掛け!…夜も遅い事から自分も部屋を
後にしようとするのだが、ここでグレイスがハッ!と…徐にマサツグを呼び
止めて行く!…その際グレイスも泣きに泣いて目が若干腫れて居り、マサツグも
呼ばれた事で戸惑いつつ…その目を見ても一つ戸惑い!…が、グレイスは
御構い無しにマサツグに話しを!…その際スッとその見せて居た刀をマサツグに
差し出し!…受け取って欲しい様子を露わにすると、言葉でもその事を伝えて
見せる!…
「…マサツグ様にこれをと思いまして……」
-----------------------------------------------------------------------
雪冬刀 四式
レア度C
ATK+75 MATK+10 MDEF+30
[雪冬の加護]
一定時間ごとにHPを2%ずつ回復する。
開放条件:雪or氷の力を身に宿す
-----------------------------------------------------------------------
「ッ!?…こ、これって!?…で、でも!!…」
「受け取ってください!…今何故かは分かりませんが…
この剣をマサツグ様に託した方が良い様な気がするのです!…
ですから何も言わずに受け取ってください!…」
言わずもがなその差し出して来た刀と言うのはロードレクの遺品!…グレイスが
それを差し出して来た事でマサツグは当然戸惑いを露わに!…が、グレイスも
一歩として引く様子を全く見せず!…いや寧ろマサツグに受け取って貰う事で
必死!…戸惑い後退りをするマサツグを前に!…再度呼び止める様にしてその刀を
両手で差し出して見せると、もう一度受け取る様に声を掛ける!…この時決意に
満ちた表情を露わにする!…それはまるでこうする事が最善!と言わんばかりに
見詰めて行くと、マサツグもそれに気圧された様子で更に返事を!…
「ッ!?…わ、分かりました…」
__……スッ…チャキッ…ッ!……ッ…
大事な遺品である筈の刀を手渡された事で当然困惑!…だがそれでもマサツグは
それを両手で受け取って行き!…その際何かいつもと違う!…刀の重さとは別に
何か重い物を感じて行くと、思わず緊張をしてしまう!…すると一方でマサツグが
刀を受け取ってくれた事でグレイスも安堵!…途端にほにゃっと表情を崩し!…
となると今までの空気が嘘の様に軽いモノに!…何なら未だグレイスはゴスロリ
衣装!…そのせいか更にマサツグがも一つ混乱すると、一方である覚悟も!…
マサツグの中で沸々と湧いて来るのであった!…
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