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-第七章-ウィンタースノー連邦-霊峰ウルフハウリング・後編~デグレアント帝国・前編-

-第七章二十七節 強化された鬼教官と父親の影とグレイスの泣く声-

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緊張の場面から一転、一同は休憩を取る事に…となる筈だったのだが!…まさかの

訳の分からないちょっとした出来事でホラー展開?と化して行き!…その出来事に

対してシルビィもただクールに得意げな表情を浮かべて見せると、ずっと会釈を

状態で固まり続ける!…となるとそんなシルビィの様子に更にモツ達も困惑する事

になって行き、それは一体如何やって?と悩ませる一方!…何でわざわざこんな

怪しい雰囲気の中やって見せたのか?とこれまた悩ませ!…


__……ッ……


「…これは旦那様に対する忠誠心により身に着けた技に御座います…

別に特段不思議なものでは…」


__…ッ!…ヴウン!!…ヴンッ…ヴンッ…


一方でシルビィはマサツグのお陰!と…そして姿勢を崩す事無く!…とにかく

全員が集まるのを待って居るかの様に会釈の状態で固まって居ると、その

シルビィの言葉にマサツグが疑問を持ち出す!…そして別に何もして居ない…

寧ろ何かしたっけ?とばかりにここで徐にシルビィのステータス画面を開いて

行くと、そこで見覚えの無いあるものの存在を確認!…そこで言葉を零して

見せる!…因みにその見慣れないモノが有ると言うのはスキル欄の所で有り、

そこにはつい最近獲得したのだろうか「New」と言う文字が…


「……あれ?…」


「ッ!?…な、何!?…今度は如何したんだ!?…」


となるとマサツグが疑問を持った具合で言葉を零し!…そのマサツグの言葉に

モツ達も機敏に反応を!…それこそ今度は何事!?と言った様子で振り向き

出すと、特にモツが何があった!?と…やはり戸惑った具合に言葉を漏らす!…

するとマサツグもチラッとシルビィの方へ視線を向けると、モツ達に返事を

する事無くその画面を開いたまま…特に戸惑うと言った反応も見せる事無く、

淡々とシルビィに質問を!…


「…シルビィ?…いつ[]なんて覚えたんだ?…」


「「「ッ!…え!?…」」」×9


それはその不気味な現象の正体を尋ねる様に!…マサツグがシルビィの新スキル!…

[分身の術]について尋ねて行くと、そのマサツグの言葉に仲間の面々やグレイスに

ハティが一緒になって驚いた表情を露わに!…そして全員が一斉にシルビィの方へ

視線を移して凝視をする!…それこそこれ分身してるの!?とばかりにアヤや

シロがギョッとすると、一方でスキルを言い当てられた!…いや気付いて貰えた事で

パァッ!と喜びを露わにして見せ!…思わず尻尾まで振ってしまうそんな上機嫌振り

を見せて行くと、その種明かしをし始め!…


「ッ!!…さすが、見事な御慧眼に御座います旦那様!!…」


__…ギイイィィィ……コッ…コッ…コッ…コッ……スッ…ッ!?…


「ッ!?…おぉ!!…」


この時シルビィはマサツグの事をヨイショして行き、そしてその扉の陰に隠れて

いるもう一人の自分を自身の隣に移動させ!…するとそこにはシルビィの分身と

言うだけあって瓜二つの分身が姿を現し!…その際分身もマサツグ達に対して

カーテシーで会釈!…まるでドッペルゲンガーか双子が居る様な!…とにかく

奇妙な光景をマサツグ達に見せて行くと、思わずマサキも感嘆の言葉を漏らす!…

そしてシルビィも更に話しを続ける!…


「…旦那様の御慧眼通り!…そして先程申し上げた通り!…

扉を開けたのは私…いえ、正確には私の分身に御座います…」


「……ッ!?…で!…でも何で?…いつ分身なんて覚えたんだ?…

今までの様子でそんな素振りは…」


それこそまるで別々に意思を持っているか様な動きを見せる分身にモツ達は唖然!…

一方でシルビィはマサツグの言った通り!…自身でも言った通り!と話しをし!…

先程の扉の開閉に関しても分身と改め!…これでまたもう一つ!…マサツグの役に

立てる!と言った様子で若干嬉々とした表情を見せて行くと、次にはモツがハッ!

と我に返る!…そして当然の如く質問も口にし始める!…と言うのも今までそんな

様子が感じられなかった事を話すのだが、シルビィはそのモツの問い掛けに対して

こう返事を!…


「…私もこの分身を覚えたのはつい先程の事です…理由としましては…

あのグラトニアと名乗る娘が幾度と無く私の訓練から逃げようとしまして…

その都度追い掛けては捕獲!…逃げては捕獲を繰り返しまして…

その際あの者も中々の曲者!…この様に分身をして逃げようとするので…

私も出来るかと思いやって見た所!…この様に!…お陰で作業の効率が良くなり!…

更に監視の目を強くする事が出来る次第に!…」


__………。


シルビィ曰く間接的にグラトニアのお陰!と…何なら何度もグラトニアは逃走を

図ったらしく、しかし逃げ切る事が出来なかった様子で話は語られ!…そして

それが仇となりシルビィは強化!…と言う事は今も何処かで監視下に置かれて

いるのか?…そんな風に聞こえるシルビィの話に各々がまた固まりその鬼畜具合

を感じて居ると、全員が思わず黙ってしまう!…その際想像をしたのかグラトニア

の事を不憫に思う!…と言うのも!…


{…シルビィの話を聞く限り…

グラトニアも本気で逃げる為に分身したんだよな?…}


{でも見様見真似で同じ様に分身されて追っ駆け回されたって事だろ?…}


{…怖かったやろうなぁ?…そら鬼教官が分身して追っ駆けて来るんやから…

…何やそん時のそのこの顔が容易に想像出来そうやぁ…}


鬼の形相で分身しながら追い掛けて来るシルビィ!…更に抵抗しようにも相手の

方が実力は上なので組み伏せられるとそのままゲームオーバー!…シロとハティに

追い掛けられた時以上に恐怖を覚えたであろうグラトニアにマサツグ達も同情!…

何ならその時のグラトニアの気持ちや表情が容易に想像出来てしまい!…今度

会ったら優しくしよう!と…そんな事を考えつつ…とにかく扉が独りでに開閉した

謎も解けた事で全員が安堵すると、一行はそのシルビィ先導のもと食堂に!…

そこで食事について行く!…そして用意された食事を各々が心行くまで堪能を

する中…マサツグだけは未だ悩むそんな様子を見せて居り!…


__カチャカチャ…もぐもぐ…


「…ッ!…いかが為さいましたか、旦那様?…

…ッ!?…もしかしてお口に合わなかった!?…」


となると勿論あんまり食が進んで居る様には傍から見えず!…シルビィもそんな

マサツグの様子に気が付き声を!…それこそ心配をする様に如何した?と言葉を

掛けて行くが、次にはハッと気が付いた様子!…そして途端に食味について不安

を覚える!…それこそ分身が出来る様になった事で浮かれていた!とばかりに

慌て出すと、マサツグもそんなシルビィの様子に気が付くなり戸惑い慌てて違う!

と否定!…


「ッ!…へぇ!?…え、あぁ!!…ち、違う違う!!…

ちょっと考え事をして居ただけだから気にしないでくれ!!…

……うん!…大丈夫!!…めっちゃ美味しいよ!!…あ、あははは……ッ…」


__…チラッ?…ッ!…


その際素直に考え事をしていた!と話し、シルビィが見ている前でステーキを

一口!…そして笑顔で美味しい!とばかりにサムズアップをして見せ!…言葉

でも美味しい!と言ってシルビィを安心させて行くと、思わず苦笑い!…

そして何気無しにチラッとシロに視線を向ける!…するとそこには口に周りに

ソースをべったり付けながらステーキを口一杯に頬張り満面の笑みを浮かべる

シロの表情がマサツグの目に映り!…


「あ~~ん!!…むぐむぐ…」


「あぁ!…ほらシロ?…

もう少し大人しく食べなさい?…口の周りが…」


となるといつもの流れに!…それを見たマサツグがナプキンを手に!…呆れた様子で

シロを呼び!…振り向かせた所でシロの口の周りをそのナプキンで綺麗に拭いて行く

と、同時にいつもの調子で注意をする!…それは全く!と言った様子で呆れながらに

笑って見せる!…するとその様子と言うのは誰が見ても微笑ましい光景の様に映って

行くと、思わず周りに居る面々も釣られて笑みを零してしまい!…一方でシロも

マサツグに口元を拭われて息を漏らし!…そして注意に対して返事を口にして見せる

と、いつもの様に手を上げる!…


「んぐんぐ…ぷぁ!…は~いですぅ~!」


「……ふふふ!…」


さてここまでの一連の様子を見てグレイスも思わず笑みを零して見詰めて居ると、

グレイスの隣に座って居るハティもその様子をジッと見詰め…だがその様子は

決して笑って居らず…と言っても何か考える様な?…とにかくその様子を観察する

様にジッと!…ただシロの事を見詰め思わず心に思ってしまったのかポロッと

言葉を口にすると、その言葉を聞いたグレイスはピクッ!と…途端に驚いた反応を

露わにする!…と言うのもその際ハティが漏らした言葉と言うのは!…


「……もし…」


「ッ!…え?…」


「…もし、お父様が居たら…こんな感じだったのでしょうか?…」


「ッ!!……ッ…」


それは少し悲しそうな様子で話し始め!…そのハティの一言にグレイスも戸惑った

表情で尋ね返すと、ハティはマサツグを父親として見てしまったのか…家族の団欒

を想像した様な一言を漏らしてしまう!…その際ジッとシロとマサツグの二人の

様子を見詰めながら表情も何処か思い詰めるそんなモノを浮かべて見せると、その

表情にグレイスが更に戸惑い!…しかし次には何か決意をした様な表情を浮かべ!…


「…ティナ?…ハティ?…そしてマサツグ様?…」


「ッ!…はいですはい?」×3


「…後で大事なお話が有ります!…

…私の部屋まで来てくださいませ?…」


「…ッ?…はいですはい?」×3


徐にマサツグ・シロ・ハティに声を!…まるで何か用が有る感じで声を掛け!…

すると突如グレイスに呼ばれた事でシロとハティも戸惑い返事!…一方で

マサツグもついでの様に呼ばれた事で同じく戸惑った具合に返事をすると、

グレイスは更に話しを続ける!…と言うのもこの後何か用が有るらしく、自身の

私室に来て欲しい!と三人に言い!…となるとこれまた突如そんな事を言われた

ので三人は戸惑う羽目に!…だが了承をした様子で返事を口に!…そしてジッと

グレイスの事を見詰めて行き!…他の面々も如何した?とばかりに様子が変わった

グレイスの事を見詰めて居ると、グレイスはそのまま席を立つ!…食事を終えた

様子でその場後にしようとする!…


「…ふぅ……申し訳ありません…

皆様はそのままお食事を続けて下さいませ…

私は少し急用を思い出しましたのでこれで…」


「ッ!…あっ…は、はい…」


この時自身のせいで何か微妙な空気になってしまったのでは?と感じて見せると、

グレイスは何でも無い!とばかりに謝罪をし!…そしてゆっくりして居て欲しい

旨も言葉にして行き!…その際自身は先程の話の事か?…何か用が有る事を続けて

語りながら歩いて行ってしまうと、食堂を後にしようとする!…その際グレイスの

言葉に対してマサツグが返事をして見せると、やはりその場の空気は何か微妙な

モノになってしまい!…と、一方でグレイスはそのまま進むと次には!…


__コッ…コッ…コッ…コッ……ピタッ…


「…ん?…」


「……マサツグ様?…」


「は…はい?…」


突如その出入り口前でグレイスが足を止めてジッと黙り!…その様子に気が付いた

マサツグも思わず反応!…チラッとその足を止めて固まって居るグレイスの姿を

見つけると、またもやグレイスがマサツグを呼ぶ!…その際グレイスは振り返る事

無く言葉を口に!…何かやはり意味深にとにかくマサツグの名だけを呼んで見せる

と、マサツグもそんなグレイスの様子に戸惑い続け!…何ならその様子にシロと

ハティも思わず不安感を覚えた様子!…グレイスの後ろ姿をジッと見詰め!…思わず

不安気なそんな表情も浮かべて見せると、グレイスはそんな二人の様子に気が付いて

いるのか!…ただとにかく来て欲しい事を伝えて行く!…


「…この話はマサツグ様にも聞いて頂きたいので…

ティナとハティの二人と一緒に来てもらえますか?…

…恐らくこの話はマサツグ様にとっても大事な話なので…」


「へ?…あ、あぁ…はい…分かりました…」


大事な事なので二回言いました!とばかりにもう一度来て欲しい事をしっかり

ゆっくり伝えて行くと、それだけ本当に重要な事であるよう臭わせて行き!…

となるとそんなグレイスの言葉を聞いて一同は更に戸惑い!…だがそれでも

マサツグはちゃんと返事!…とにかく分かった事を伝えて行き!…その念押し

された理由について思わず疑問を持ってしまうと、一方でグレイスはもう一度

マサツグに謝罪を!…それからお願いをして食堂を後にして見せる!…


「…申し訳ありませんがよろしくお願いします……それでは…」


__…ギイイィィィ…バタンッ!!……ッ…


そうして今度こそグレイスが食堂を後にすると、その場の空気はも一つ何か重苦しい

モノになってしまい!…となると各々妙な緊張感を感じて行く中、特にマサツグ!…

シロの事も当然在り!…そこに加えてグレイスと何か揉めるかもしれない!と…心の

中で何か嫌な予感を感じて静かにソワソワと焦燥感を感じて居ると、そんな空気の

中でも何とも思わない者が居るのもまた事実!…次には先陣を切る様に突如声を

上げて見せる!…


「シルビィ~!!…おかわり~!!」


__ッ!?…どよ!?…


「ッ!?…え?…あっ…は、はい!!…ただいまぁ!!…」


それは一応この空気を換えようと考えての行動なのか?それとも素なのか?…突如

オリハが自身の食べ終えたステーキプレートを持ち上げて見せると、声を上げ!…

となると周りの者達としても判断が着かない!…とにかくシルビィに対してお代りを

要求するオリハの姿に戸惑って見せると、シルビィも当然戸惑った反応!…だが

次には承った様子で返事をする!…その際慌ててそのステーキプレートを受け取って

行くと、そのままそそくさと厨房の中へと入って行き!…と、一方でそんなオリハの

様子に一同はこれまた戸惑い凝視!…それこそ何事?と言った具合で困惑して見せ!…

思わず固まってしまいつつジッとオリハの事を見詰めて居ると、オリハも気が付いた

様子でピクッと反応!…そして周りに質問をする!…


「…ッ!…え?…何?…如何したの?…何か変な事でもあった?…」


「…いや、お前は相変わらずだなと思っただけだ…」


「…え?…それって如何言う意味?……ッ?…」


その際これも演技なのか素なのか?…オリハは先程までの話を聞いて居なかった

様子で戸惑い質問を口に!…何ならワザとらしさと言ったモノは感じられず!…

そんなオリハの反応にマサツグも呆れ!…この際どっちでも良い!とばかりに

一応は感謝をする感じで少し空気が変わった!とばかりにツッコミを入れると、

更にオリハへ笑って見せる!…となるとオリハもそのマサツグからの返事に更に

戸惑って首を傾げる!…と、そんなやり取りを見て他の面々も苦笑いをする様な

そんな反応を見せて居ると、少ししてシルビィがお代わりを持って来て!…


そうして時間も過ぎて全員が食事を終えてオリハもお代わりを食べ終えた頃位…

食堂ではもうこのまま解散する事になって行き!…各々が部屋に戻ったり散策に

出たりと!…色々な自由時間に入り出すと、一方でマサツグは一度部屋に戻って

武器等を置き…グレイスに頼まれた通りにグレイスの自室へ向かって歩いていた!…

その際当然シロとハティも連れて一緒に手を繋ぎそのグレイスの自室に向かって

歩いて居ると、ハティが何やらマサツグの事をチラチラと見ては笑みを浮かべ!…


__コッ…コッ…チラッ?…コッ…コッ…チラッ?……チラッ?…


「…ん?…如何したハティ?…」


「ッ!…な、何でも無いのです…」


その頻度的には2~3歩歩く毎にチラッと確認!…となると幾ら鈍感のマサツグでも

気付くもので、次にはハティに視線を落として質問を口に!…それこそ何か気になる

のか?と言った具合に声を掛け!…その問い掛けに対してハティも思わず動揺をする

様なそんな反応を露わにすると、慌てて何でも無い!と…視線を逸らして誤魔化して

見せる!…となるとそんな返事をされた事でマサツグも当然疑問を持つが、一方で

ハティは満足げな笑みを浮かべて居り!…


__……ッ?…ギュッ!…ッ~~~♪…


「…ッ!…えへへへ~♪」


__ギュッ!…ッ~~~♪…パタタタタタ!!!…


それこそシロに感化されたよう控えめながら甘える様に!…ギュッ!とマサツグの

手を握り!…若干恥ずかしそうにしながらも頬を染めて尻尾を振るそんな素振りを

見せて居ると、シロも気が付いたのかチラッと確認!…と、次には同じ様にギュッ!

とその手を握って行く!…それは決して対抗するとかそう言うのでは無い様で、

何か嬉しくなった様子でコッチも甘え!…と、同じ様に揃って尻尾を振る出す!…

そして上機嫌な二人の様子にマサツグも戸惑い!…一体何事?と思いつつも揃って

歩き続けて居ると、その様子は傍から見るとまるで不審者!…人攫いの様に見えて

しまう!…そして遂に件のグレイスの部屋の前までやって来ると、近衛兵が気が

付いた様子で声を掛け!…


「…ッ!…あぁ、お待ちしておりました!…

既に女王陛下様より通すよう伺っておりますので…どうぞ…」


「あぁ、ありがとう…」


__ガチャ!…ギイイイィィィ……


近衛兵が待って居た事を笑顔で口にして行き!…既にグレイスから話を聞いている

事も続けて話すと、中に入るよう促す!…マサツグもそれに対してお礼を言う!…

するとこの時門番の近衛兵は扉の両端に二人居るのだが、その内の一人が扉を開けて

中に入るよう軽くエスコート!…と、そんな近衛兵の対応にマサツグも恐縮した

具合に会釈をして行き!…すると二人も釣られて会釈をして見せ!…そして中に

入って二度目となるその煌びやかな通路の様子を見て居ると、今度はその最奥から

漏れて聞こえる様に何やら声が!…


__ウッ!…ウゥッ!!…ウゥ!…


「…ッ!?…え?…な、泣いて居る声?…」


それは如何にも誰かが泣いている様に聞こえる声で、この部屋で泣いている人物?

となると一人しか居らず!…一方でマサツグ達が中に入っていた事で近衛兵は

退場!…何なら逃げ道を閉じる様に扉も閉め!…余計にその泣き声が響いて聞こえて

来る様になってしまうと、次にはシロとハティも機敏に反応!…途端に二人揃って

慌て始める!…その際繋いでいた手も放してマサツグの事を見上げて見せると、

これまた揃ってマサツグを呼び!…


「ッ!!…ご主人様先生!?…」


「ッ!……あぁ!…行くぞ!!…」


と、二人揃って慌てた様子で声を掛けられた事でマサツグもハッ!と…そして若干の

間を空けつつ!…それでも気を引き締め二人に対して返事をすると、そのまま奥へと

向かって行く!…すると当然その泣く声も徐々に徐々に大きくなって耳の中に入って

来ると、余計に何か不穏さを感じさせて行き!…それはシロとハティも同じ様子で

何故か警戒をしており!…勿論別に襲われる事は無いだろうが…それでも何か心の

ソワソワ感が刺激させる様なそんな感覚を覚えて居ると、遂に三人は扉の前に!…


__ウッ!…ウゥッ!!…ウゥ!……チラッ…チラッ……コクリッ!…


扉の前に立って分かるその泣き声の主はグレイスで有り!…その扉を開ける前に!…

マサツグがチラッとシロとハティの様子が気になった感じで視線を落とすと、

そこには二人揃ってマサツグの顔を見上げる!…如何やら同じ事を考えて居た二人の

様子を目にして行く!…その際シロとハティは揃ってマサツグの視線に気が付いて

反応を露わにすると、静かにマサツグへ向かって頷いて見せ!…その際警戒も忘れて

いない様子で身構えて居り!…マサツグもそんな二人の様子を見てグッと覚悟を

決めて行くと、次にはその扉を開けて行く!…何なら自分が今丸腰である事も忘れて

しまう!…さてそうしてマサツグが勢い良く扉を開けて中に入ると、そこには!…


__バアァァァン!!!…バババッ!!!…


「女王様!?…大丈夫で!?……って、あれ?…」


__ッ!?…ヴヴヴヴン!!!……ッ!…


この時あのバカ王子の件もあった事からまた敵襲か!と…寧ろそっちの方を

主気に置いて奇襲を掛ける様に三人が突貫!…その際シロとハティはそれぞれ

氷のツインダガーとロングソードを生成しては構えて見せ!…るだが…そこに

居たのは勿論グレイス一人だけで…その肝心のグレイスも何事も無い様子で

ベッドの上にへたり込む!…何なら一本の刀?らしき物を抱えており…涙を

流して居た様子を露わにすると、その突貫して来たマサツグ達に対して吃驚した

反応を!…何なら無詠唱魔法まで展開する!…しかし互いに杞憂であった事が

分かって行くと、これまた互いに脱力して行き!…


「…あ、あぁ…マ、マサツグ様でしたか…てっきり敵襲かと…」


「…あぁ~っと…申し訳ない…

部屋から泣く声が聞こえたので何か有ったのかと…」


グレイスは驚いた事を口にすると、次には勿論その魔法を解除して見せ!…そして

涙も引っ込んだ様子で途端にホッと安堵!…何なら自身の胸に手を当て行き…

心拍数を押さえる様なそんな素振りを露わにすると、マサツグもマサツグで苦笑い

をしながら謝罪!…素直に心配をした事も話して行く!…だが早合点をした事に

変わりは無く、マサツグは気不味そうに後頭部を掻いて見せ!…と、そんな騒ぎは

当然あの門番達の耳にも届いた様子で有り!…次には慌しい足音を響かせ!…

マサツグ達の居る現場に駆け付け槍を構えると、やはり大事となって行き!…


__ダッダッダッダッダ!!!…チャキッ!!…


「女王陛下!?…ご無事ですか!?…」


「ッ!…え!?…あ、あぁ!!…

な、何でも有りませぇん!!…大丈夫です!!!…」


「そ、そうです!…ただの誤解です!!…」


勿論その場で疑われるのはマサツグであり!…マサツグに対してまさか!?と

思いつつも警戒を怠らないそんな反応を見せて行くと、まずはグレイスの心配を!…

となるとそんな近衛兵達の様子に面々は慌て!…マサツグは両手を上げて敵意が

無い事をアピール!…グレイスも慌てて大丈夫である事を同じくアピールして

見せると、更には何でも無い!と近衛兵達に返事をする!…その際近くに居る

シロとハティもマサツグが無実である事を訴える様に!…その駆けて来た近衛兵の

前に立っては両手を上げてピョンピョン跳ね!…


__何でもないです!!…何でもないでぇ~す!!!…ピョイン、ピョイン!!…


「ッ!…え?…あっ…は、はぁ…そうですか…

なら良いのですが……ッ?…」


何でも無い!と皇女が二人!…その跳ねる様子にも気が付き更に戸惑う反応を

見せると、近衛兵達も渋々!…その構えを解いて見せる!…その際片方の口には

既に笛が銜えられた状態にあった為、もっと話がねじれて居れば大事に!…が、

とにかく誤解も解けた様で!…近衛兵二人が首を傾げつつその場を退場!…

その様子を見てマサツグ達!…グレイスももう一度安堵の溜息を漏らして行くと、

改めて本題に入り出す!…


__…はあぁ~…


「…ッ!!…それよりもおかあさま!!…

さっき泣いて居た声が聞こえたのです!!…何か有ったのですか!?…」


「ッ!?…そうです、おかあさん!!!…如何したのですか!?…」


それは先にグレイスの涙を思い出した様子でハッとすると、ハティが慌てて

グレイスにその涙を流していた理由を質問し出し!…となるとそれに続いて

シロも途端にハッ!と反応!…同じく慌てて言葉を口に!…何ならハティと

共にベッドへ上がり!…そのへたり込むグレイスの元までズズイ!と詰め

寄って見せて行くと、グレイスもその予想外?の反応に戸惑を露わに!…

しかし先程の慌て様も理解した様子で返事をする!…


「ッ!?……ッ!…あっ…そう言う…

…いえ、あなた達にお話をする為にこの剣を持って来たのですが…

…この剣を見て居るとあの人との思い出が……ッ~~~…スンッ!…」


何でもきっかけとしてはここにマサツグ達を呼んだ理由と関係している様で!…

特に今グレイスが抱えている刀に意味がある!と…と言うのもそのグレイスが

抱えている刀は遺品らしく、元の持ち主をあの人!と…それは何かグレイスに

とって非常に大切な人であった事が伺えると同時に!…何故それを引っ張り

出して来たのか?と言う疑問も感じさせ!…と、その一方でグレイスはまた

その人の事を思い出してしまったのか、またもや目をウルウルと涙ぐませ!…

となると次にはマサツグもハッ!と察せた様子で…その事について率直に思った

事を質問すると、シロとハティも興味を示す!…


「…ッ!…あの人?…って事はその刀…もしかして女王様の旦那様の?…」


「ッ!…え?…これが…お父様の…剣?…」


「ッ!!……ッ?…でもなんだかぁ?…

ご主人様の持っている剣に似ている様な?…」


__ッ!!……ッ…


と言うのもマサツグは戸惑いつつもその遺品の刀がグレイスの夫である誰かの物で

ある!と考え質問をすると、そのマサツグの言葉にシロとハティもピクッと反応して

見せ!…それはハッとした様子で目を見開くと次には刀を凝視し出し!…ハティは

初めて見る!とばかりに戸惑いを露わに!…しかしシロは見覚えがある様子でその

例にマサツグが持っている刀に似ている事を口にすると、ハティもそれを言われて

ハッ!と…気が付いた反応を露わにする!…そしてそんな二人の反応をそれぞれ

目にしてグレイスも徐々に落ち着きを取り戻し始めると、やっとここに呼んだ理由の

話を口に!…そこで語られるのはグレイスと夫との馴れ初めで有り!…その話が

始まった事で三人も思わず反応!…その話にスッと耳を傾けて見せるのであった!…

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