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忍び寄る影
しおりを挟む「ごめん、スイ。すまなかった。....スイを悲しませてしまう兄なんて必要ないね。私の存在を持って償おう。」
えっ....?
今なんて言った?
「...なんで、そんなこと言うの?ロイ兄は、私の家族なんでしょ?私と家族なのは、もう嫌?」
「スイ....。」
「ロイ兄...一人ぼっちは...もう...嫌だよ。」
1人になるのは...嫌だ
自分から始めた事なのに、どうすればいいのか分からなくなって俯くと頬にロイ兄の手が添えられた。
驚いて顔を上げるとロイ兄に抱きしめられた
まるで壊れそうな宝物を扱うように
「悪かった。大袈裟すぎたね。大丈夫、私はどんな事があっても、ずっとスイの家族だから......だからもう、泣かないでくれ。」
この時、知ってしまった。
たった少ししか一緒にいなかったロイ兄が大切になっていたと
自分の中で思っていたよりも、大きな存在になっていたことに
「ロイ兄。ごめんなさい。」
「何でスイが謝るんだい?謝るのは私のほうだと思うんだけどね。」
「最高神が妹に謝るって....。」
「可笑しいかい?」
私たちは顔を見合わせて笑った。
この幸せな時間がずっと続けばいいのに
そう思いながら
他の神達も、その兄妹の幸せそうな顔に、普段は滅多に笑わないロイドが笑っていたことに安堵していた。
だから気がつかなかった。
.......それを見ていた何者かがニヤリと怪しい笑みを浮かべたことに。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃあ、そろそろ行こうか。話は歩きながらするから。」
「わかった。」
あの後、しばらくロイ兄と笑っていると神様の一人が来た。
何か言いたそうな神様を見て他の神様達がいることを思い出し辺りを見回すと、皆微笑ましそうに温かい目をこちらに向けていた。
(恥ずかしい///!!!)
私の顔は.....ものすごく赤かったと思う......
絶対に.....
あっ、ちなみに何か言いたそうにしていた神様の用件は、
「あのロイド様。スイ様を異世界にお連れしなくても良いんですか?」
というものだった
ロイ兄と私はそういえばと思い出したけど、迷惑を掛けてしまったみたいで申し訳なかった
そのことを伝えると、
「とんでもありません。むしろもっと迷惑を掛けてほしいくらいです。」
と言われてしまった
しかも爽やかに....
そんなことがあって今、私はロイ兄と一緒に神界を散歩いている
「話って何?」
「私のことを絶対に忘れてはいけないよ。」
「......何言ってるの?」
いや、ほんとに何言ってるんだろ。いくら寂しいからって、普通そんなこと言わないと思うけど。
「神は世界に干渉することができないのは言ったね。」
「....普通そうじゃないの?」
「....聞いてなかったね?」
いや、聞いたんだろうけど.....ごめんなさい。
「それで?」
「まぁ、いいか。実はね、神を知っている人には干渉してもいいことになっているんだ。」
「それって【神託】とか【神助】のこと?」
「そんな言葉よく知ってるね。【神託】ならともかく【神助】なんて普通は使わないからね。(神託も普通は使いません。)」
「まぁ、いろいろあって。」
私は、まだ父が生きていた頃のことを思い出していた。
その日、偶々テレビで“神とは何なのか”という意味不明な番組をやっていたから父と一緒に見たことがあった。その中で、昔は全ての物に神が宿っていたとされる八百万の神々や神話なんかで出てくるゼウスとかアテナとか
昔の人たちはそれを信じ、神の声を聞く巫女や聖女を立てて神託が.....って感じのことを専門家の人がツラツラ言ってたな全然意味分からなかったけど。
「それで、その事とロイ兄ってどんな関係があるの?」
「本来、神と話をするためには才能と血の滲むような努力をしなければならない。最高神である私と話をしようとするならば、それ以上の努力が必要になる。けれどスイはこうやって私を見て話をしている。本当に例外なんだよ。」
「だから、ロイ兄のことを忘れてしまうと、そんなことはできなくなる。神は世界に干渉してはいけないから思い出すこともできなくなる。」
「そういうことだ。だからスイ、決して忘れないでほしい。私のことを、お前の家族に兄がいることを。あと教会に行けば話ぐらいはできる。」
「それなら毎日教会に行かないとね。」
「そうか。それは良かった。」
私の顔を見て微笑むロイ兄
もし私がロイ兄のことを忘れてしまったら
ロイ兄とは話せなくなってしまう。
........いやだ。ロイ兄は私の家族になってくれた。今は私の唯一の兄で両親と同じくらい大切な人になっている。
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