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012 おねだり…?
しおりを挟むーーーーーートントントンッ!
「失礼します!エレーヌ・ジュグラリス様をお連れしました!」
意外と早かったわ!!どうしましょう!!!この扉の向こうにオルセイン様がいらっしゃるのね…!!
「どうぞ。」
団員の方がドアを開けて頂いて、中に入ると
美しい男性が窓辺に立っていたわ…。
やっぱり…カッコいい……。
思わず見惚れていると、後ろから…
「コホン。お嬢様?」
とっても良い笑顔のサリィがいます。はい。
妄想はほどほどにします……残念。
「オルセイン様、御機嫌よう。
本日は突然押し掛けてしまい、申し訳ありません。」
「いえ、エレーヌ嬢、そのような事はありません。こちらから出向かなければならないのに、御足労頂き誠に申し訳ない。」
とても厳しい表情でいらっしゃいますが、私達2人に部屋にある立派なソファーを勧めて頂いて、座ることにしました。サリィも遠慮していましたが、オルセイン様に言われて座っています。
侍女とか侍従に対して居ないように扱う方もいらっしゃるのですが、オルセイン様は優しいですわ。キュンとしちゃいます♪きゃっ!
「エレーヌ嬢、改めて先日は大変失礼な事をした。か弱い淑女に対して謝って許されることでは無いが、大変申し訳無かった。エレーヌ嬢の怒りは最もだと思う。何でも言ってくれ…!!」
深々と頭を下げてしまって、オルセイン様はこちらを見てくれないわ。そしてやっぱり誤解しているみたい……!
「頭を上げてください、オルセイン様…!
私の方こそ先日は大変失礼な事をしてしまって……申し訳ありませんでしたわ。
あと、道に迷っていたところを助けて頂いて本当にありがとうございました。」
「本当にお嬢様を助けて頂いてありがとうございます。」
2人で頭を下げてみると、オルセイン様はとてもびっくりしたみたいで、目を大きく見開いています。
「いえ、自分はその様に頭を下げてもらう様な人間ではありません!!」
「いえいえ、どう考えても先日のは私のせいですわ!オルセイン様こそ謝る事ではありません!!」
「いや、」「いえ、」
ーーーーーーーパンッ!
乾いた手の音でビクッと体が震えましたが、大きな音がした方を見てみると、笑顔のサリィがいました。はい、黙ります。
「お二人とも、少し落ち着いてください。」
「「はい。」」
あら、オルセイン様も大人しく従っております。サリィは流石ね…!!
「お嬢様、私はお茶を入れて参ります。その間に例の物、お渡しする方がよろしいかと…」
「そっ、そうね……」
「シュレヴィッツ様、申し訳ありませんが、お湯をお借りしたいのですが…」
「お茶も出さず、申し訳ない。
こちらに簡単なお湯を沸かす所がある。」
サリィはオルセイン様に案内してもらって、持参した茶葉とポットを持って部屋へ入っていった。
ここは副団長の私室みたいだけど、前世で言う給湯室の様な部屋があるみたい。大きなデスクと大きな本棚があって、普段はこちらでお仕事をしているのよね……
あの大きなデスクって人が寝ても充分広さがありそうよね……。
…………大きなデスクを背に、オルセイン様が前から覆い被さる。
必然的に私はデスクの上に背を預けてしまい、オルセイン様の大きな手が私の顔の横に手をつく形になってしまう……。
「エレーヌ……」
少し掠れた声で囁かれ、思わずぞくりと体が震えてしまうが、オルセイン様は気にせず顔を近づけてくる………。
これからのことを期待して、私は目を瞑る。そうするとすぐそばに、愛しい方の息がかかるのが分かる……。最初はゆっくり触れるだけの口付け………次第にどんどん深く口付けをしていくと、頭がぼーっとしてくる。
つい微睡んで目の前の方をみると、紅い目が獣のように欲を孕んで見える。気がつくと、大きな手が顔の横からいつのまにか胸へ移動していてーーーーーーーー
ーーーーーーー「…嬢? エレーヌ嬢?」
「はいっ!?」
「どうされましたか?
もしかして気分が優れませんか?」
「いっ、いえ!そんなことはありませんわ!少しぼーっとしてしまって申し訳ありませんわ。」
「いえ、体調が優れないかと思いましたが、そうでないならば良かったです。」
お恥ずかしいわ…!!
一瞬で脳内がピンクの妄想に滾ってしまいましたわ!!
気を取り直して、今日のミッションを遂行しなくてわ………!
「あの、オルセイン様…。私、今日は昨日のお詫びとお礼を兼ねて、クッキーと…お弁当を作りましたの……。良かったら貰ってくれませんか?」
バケットから出して、オルセイン様の前にクッキーの入った袋とお弁当箱を差し出します。チラッと上目遣いになってしまいましたが、ジェシーに言われた通りに出来ましたでしょうか?
………あら?オルセイン様は無反応のようね??
顔は真顔ですが、耳は真っ赤になっていて可愛いので、私はずーーーっと見ていられますが………。ちょっとせっかくなので観察させて頂きましょう。
オルセイン様は今日の装いも黒の団服を着ていて美しいですわ~。
改めてみると、オルセイン様の見た目は前世で言うと……人類最強の駆逐系男子というか……殺しを教える教室の体育教師って感じかしら……
目線は厳しいけど、多分照れると耳が赤くなって分かりやすい所も可愛いわ♪
「あの、それは、俺に、ですか?」
何故片言なのでしょうか?
「もちろん、オルセイン様の為に作りました。もしかして甘い物や手作りの物はお嫌いでしたか?」
そういえば前世でも人の手作りは食べれない方がいたわね……。
どうしましょう……断られたらお家で残念会かしら……。
「いえ!!甘い物も大好きですし、手作りも、あの、とても…嬉しいです。」
「良かったですわ!私が作ったので、形などは少し歪なのもありますが……」
「エレーヌ嬢の手作り……」
口を覆って顔を真っ赤にしているオルセイン様を見て、嫌がっていないのが分かります。なんかとても可愛いです!!
カッコいいのに可愛い所があるとか反則ですよね!!
「あの、お弁当の中を見ても良いでしょうか?」
「はい!是非確認ください。なるべく冷めても美味しいのを作りましたが、お口に合うかどうか……一応フォークも持参しましたので……こちらを使ってください。」
蓋を開けているオルセイン様は、少し笑顔になっているようで嬉しいですわ!
ぼそっと美味そうって言ってるのも聞き逃しませんよ♪
「しかし、こんなにしてもらって申し訳ない。俺は先日のお詫びもしなくてはと思っていたのだが……。お弁当のお礼を含めて何か欲しい物はありますか?
恥ずかしながら、あまり女性の好む物などには疎い自覚があるので、お店を言ってもらえればなんでも買ってくる。」
「そっ、そうしましたら……お願いがあるのですが……」
「なんだろう?なんでも言って欲しい!」
「あの、あーんをさせてください…。」
「えっ?」
「ですから、私がオルセイン様にあーんを…させてくださいませんか……?」
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