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042 被害者視点…?(Part8)
しおりを挟む俺はまだまだ騎士団の中では若造だが、副団長に就任するまではそれなりにやばい場面にも出くわしてきた。
団長にもお互いに団長、副団長になる前は良くザックと共に稽古をつけてもらったし……その稽古が地獄で死にかけたが……入りたての頃は地方にも赴いて野党や野獣に囲まれて死を覚悟した時もあった。
だけど逃げ出したいとは一度も思わなかった。俺には剣しかないから逃げるなんてことは男としてのプライドが許さなかった。
だが今、俺はとてつもないピンチに立たされている……。正直なところ、いつかは向き合うことだとは思っていたが、まだまだ先だと思っていた。どうしよう。でも逃げるという選択肢は無い。逃げたらせっかく掴んだ幸せが、エレーヌが俺から離れていくのが目に見えて分かる。
だから俺は立ち向かわなければならない!!
***
時は少し遡り、デートからの翌日の朝の自分の執務室に到着した時に戻る
昨日は幸せを噛み締め騎士団寮にて眠りについた。エレーヌと付き合ったことは自分の両親にはまだ話してない。早く両親に報告して、婚約の手続きをとりたいが……エレーヌにも確認したい。このまま進めても良いのか……。あと結婚は女性の一大イベントと聞く。できるならばエレーヌの希望は全て叶えたい。
そういったのをエレーヌと2人で少し話し合って徐々に実感を感じたい。
そう思っていたのだが……朝一番でエレーヌから手紙が届いた。朝一番とはとても早く感じたが、昨日のことかと思い、時間はまだあったから先に手紙を読むことにした。
手紙の内容はやはり昨日のこと……花がとても綺麗だったからまた行きたいと、いくらでも連れて行きたい。またシャツのお礼と宝物にすると……シャツくらいいくらでもあげるが…果たしてあれが宝物で良いのだろうか?
あと、付き合うことへの喜び……エレーヌが可愛すぎる。
エレーヌからの可愛らしい便箋を心穏やかに読んでいると、最後の一文が俺の心臓を止めるくらい驚いた。
……エレーヌの母上が俺に逢いたいと……?
えっ?あの、伝説と言われた白薔薇姫に??
いやいや、俺なんかが逢えるのか??
いいのか?白薔薇姫親子の前に俺がいても……エレーヌは大丈夫だったが、エレーヌの母上は気を失わないか?あの儚いお方に俺は怯えられないといいのだが……
「というか…なんで呼ばれたのだろうか……」
やはり……エレーヌとの交際の反対…だろうか…
というか、それしか無いよな……
どうしよう……いつかは直面する問題だと思っていたのだが……
「正面から反対されたら…キツイな~……」
いや、反対されるのが当たり前なんだよな…
エレーヌはそんな俺でも良いのだろうか……これでエレーヌと別れることになってしまったら………
一度掴んだ幸せを知ってしまった今、昔と同じではいられない……。
とりあえず午後でも2、3時間の空いた時間でも大丈夫と書いてあったから、2日後なら午前中に書類の整理をして、午後は何も無かったから新人の育成を視察しようとしていただけだからその時が良いだろう。
急ぎで返事を書いて、確実に休みを取れるように動こう。とりあえず団長にも話を通さないと……。ついでに手土産の相談もしよう……。あの白薔薇姫親子に渡す洒落たものなんて思いつかない……。
良し、やるか!
***
そうやって意気込んで仕事を片付けて…無事に2日後の今日、俺はエレーヌの屋敷の前にいる。
シャドールと共に団服で。本当は貴族用の礼服を着た方が良かったのだろうが……
エレーヌの方から忙しい中来てもらうからそのままで良いと言われて来てしまった。今からでも着替えた方が良いか?でもそうすると時間がかかるし、何より最近着ていないから実家に戻らないといけない。そして貴族用の服はどうにも似合わないんだよな………。
迷ったがこのままで行こう。というか家の前まで来たのにここから引き返せない。
手土産の今人気のケーキを持って、花束を持って、忘れ物は無い…はず。
よし!行くぞ!!
***
「奥様達はこちらのサロンにいらっしゃいます。」
やばい。ドキドキを通り越して心臓が痛い。緊張で手汗がやばい。ケーキの箱は今案内してもらったメイド長?らしき女性に渡してお願いした。良かった、箱がひしゃげてしまうところだった……。花を握り潰さないように持って、意を決してドアをノックする。
ーーーーーートントントンッ
「どうぞ」
中から美しい声が聞こえてちょっと怯みそうになったが、深呼吸をして、ドアを開ける。
「ようこそおいで下さいました。さぁ、こちらにどうぞ。」
…………俺は死んだのだろうか…?ここは天国か?女神が3人もいる…?
柔らかな白金の髪を結い上げて、落ち着いたクリーム色のドレスを着た女神…あっ、エレーヌだ。
もう1人は同じ白金の髪を肩に流していて、青色のドレスを着た女神……若いが、この方が母上だろうか…?エレーヌに姉上はいないよな?
もう1人は金髪を腰まで綺麗に流していて、薄い桃色の可愛らしいドレスを着た少し幼い女神……あれ?この女性は……
「貴女は確か…ウィームス家の御息女だったか…?」
俺の呟きに、大きな目をくりっとさせてにっこりと微笑んだ。
「えぇ。お久しぶりです。今日は私の親友のお相手に逢いたいとマリアンヌ様にお願いしてお茶会に参加させて頂きましたわ。お邪魔かしら?」
「いや、そのようなことはありません。失礼しました。」
「オルセイン様お忙しいのに突然申し訳ありません。私もジェシカ様がいらっしゃるの今日知りましたの。」
「うふふ~ごめんなさいね。サプライズにしたかったの~♪」
もう!っと青色のドレスを着た女神にエレーヌが頬を膨らませている……可愛いな。
エレーヌが俺のそばに来てくれて、そっと腕に手を伸ばしてくれる。
「オルセイン様、今エミリアが美味しいお茶を入れてくれるので、こちらにお掛けになってください。」
「あっ、ああ。…その前に、エレーヌにこれを…」
手に持っていた花束をエレーヌに渡すと、エレーヌの美しい顔が……頬を染めて、目が潤み、花のような…いや、花が霞むような美しい笑顔を見せてくれる。やばい、可愛すぎる……。俺の理性が切れそうだが、今は駄目だ!
エレーヌが花束を受け取ってくれて
「オルセイン様、ありがとうございます!私…花束を男性から頂くのは初めてで…とっても嬉しいです……」
ああ、貴女のその笑顔が見れるなら俺はいくらでも花束をあげたい。そう思っていると、エレーヌが花束を抱えながら俺の胸元へ甘えるように飛び込んで来た。流石にエレーヌに飛び込まれても倒れたりはしないが、思わず抱きとめてしまう。そうすると、エレーヌがまた可愛い笑顔を見せてくれて………
ーーーーーチュッ
ほっぺに、柔らかな、感触が、きた?
エレーヌにほっぺにキスをされた事を認識した瞬間に俺は恥ずかしながら立ったまま気を失ったようだ……。
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