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王都でも渦中
091:未来図。
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馬車が動き出してもベラのお尻を叩き続けたこと約百回をして罰を終えた。
「ありがとうございます。これから何かすればまた罰をお与えください」
「罰って意味知ってる? 今後やらないためにやるんだよ?」
また罰を受けるために何かしでかしそうで怖いんだが。何が怖いかって、どんな罰を要求してくるかだよね。受ける側なのにおかしいよね。
「ッ……!」
俺の正面に座ろうとしたベラだが、お尻が痛いのか顔をしかめたのが分かった。微妙な顔の動きだったが分かった。
「大丈夫? 治そうか?」
「いいえ、これは罰なので大丈夫です。アーサーさまに与えられた傷を刻み付けておきます」
「あー、うん」
どうしてこうなった。もしかしてグリーテンと会話してそっち方面に向かってしまったのではないか? 俺が監視していたはずだが、俺のいないところで何か話していたのかもしれない。
「でも座ると痛いんだよね?」
「はい。ですがそれも罰の一部ですから」
ベラに言われるがままにお尻を叩いていたし、何なら少しだけ楽しいと思っていた自分がいたことに恐怖を覚えたが、それでも少しだけ罪悪感がある。
「膝枕をしてあげるよ」
座席の端によって、俺の膝の上をポンポンとする。
だがベラは俺の膝の上を凝視するだけで何も答えようとはしなかった。
「もしかして嫌だった?」
「い、いえ……お言葉に甘えます」
「うん、そうしたらいいよ」
ベラは俺の横に来て、おそるおそる俺の膝の上に頭を乗せた。
「何だかこうしていると変な感じだね。いつもは膝枕をしてもらっているのに、今日は僕がしてる」
「私も同じ気持ちです。……少し、眠たくなります」
「いつでも寝ていいよ」
「それはあり得ませんので」
ベラが寝ているところは七天教会にカチコミに行った時しか見たことがないからな。
俺の膝枕ごときで眠るとは思えない。
ベラの頭を見ていると、何だか頭を撫でたくなってきた。でも女性の頭を撫でるのはあまり良くないからな。
男性が女性の頭を撫でる時はイケメンに限ると相場が決まっている。
だが、俺には主という立場があるし、何よりほぼ全能があるから撫でても全く問題ないようにできるのだ!
「あっ……」
「ダメだった?」
「いいえ、少し驚いただけです」
ベラの綺麗な髪にそって頭を撫でる。
何だかいつもは逆の立場だから変な感じになるが、それでもベラの頭を撫でたいという欲求は止まらない。
どうせだからベラを眠らせるつもりで撫でていると、急にベラが起き上がった。
「アーサーさま」
「どうしたの?」
「その撫で方は気持ちが良すぎるのでおやめください」
「あっ、うん。ごめんね?」
「いえ、アーサーさまの才能に感服いたしましたが、今はおやめください」
ベラの目が本気だったから手加減をして撫で続けることにした。
また三日もかけて帰らないといけないのかと考えると、少しだけ時間の無駄だと思ってしまう。
こういう時間は別に嫌いではないが、三日もいらない。一日くらいで十分だ。
ランスロット家も飛行船を持ってもいいのかもしれない。でもどうせだから考えていた空飛ぶ列車を作ってもいいような気がする。
だがそれをするのなら、絶対に公表しないといけないから厄介ごとになりそうなんだよな。だから飛行船を作った方が簡単に済む。
でも文明を発達させるということは、物流も活発にさせないといけないから、人と物を短時間で運ぶ移動手段は重要だ。
「ねぇ、ベラ」
「はい」
「ベラはこういう移動する時の時間は好き?」
「アーサーさまが一緒なら、好きです」
「それはありがとう」
「アーサーさまはお好きではありませんか?」
「僕も好きだけど、一日くらいがちょうどいい気がする」
「やることもなければ退屈でしょうね」
ベラに少しだけこれからのことを話しておくか。
「僕はね、人とか物が簡単で短時間で移動できるものを考えているんだ」
「どんなものですか?」
「先端以外は同じ箱がいっぱい連なっているものだよ」
「あまり想像ができないですね。それで人や物を運ぶのですか?」
「箱と言っても、一つ一つがこの馬車より大きいものだよ」
「それをマンガとかでかいてくだされば、分かるかもしれません」
あぁ、そうか。そうすればイザベルさんの説明やお父上様の説明も簡単にできるのか。
それにマンガかアニメでそれを見せていれば、それを簡単に受け入れることが可能だ。どうしてそれを早く気が付かなかったんだ。
「ありがとう、ベラ。いいことを気が付けた」
「お役に立てたのなら何よりです」
ランスロットの家を改良するのもしつつ、お父上様からどこか空いている土地があればもらいたいところだ。
そこで前世の地球、いやそれ以上の文明を作り出すことは今の俺は可能だ。そこで自動運転を始め、地下をふんだんに使って超文明都市を作るのもアリだな。
そしてそれをマンガやアニメの作品の舞台にして、何かの作品を作ればそこに興味を持ってくる人がいるだろう。
それが一番手っ取り早い気がする。前世の世界では異世界ファンタジー系が人気だったけど、この世界はどういう作品が人気になるのか分からない。
だからそこはイザベルさんに確認してもらって作品を出していこう。
「ランスロット領地で、どこか誰も住んでいなくて、何もない場所はあるのかな?」
「無駄にしている場所はあります。そんなところで何かをするおつもりですか?」
「うん。僕が都市を作りたいなぁって」
「……どういう都市をお作りになるおつもりですか?」
前の世界の人間だと分かるが、こちらの世界の人間だとあまり分かりづらいから、ここは魔道具で分かりやすくすることにした。
円盤のような形をした手のひらサイズの魔道具を作り出し、風魔法でゆっくりと足元に設置した。
その魔道具を起動すると、俺とベラの前にホログラムで何もない大地が出現した。
「これは……リアルタイムマップのようなものですか?」
「ううん、違うよ。これは空想を可視化したもの。だからこの大地は僕の想像でできたもので、こうすればランスロットの屋敷も出てくる」
俺がホログラムに触れて大地をタッチするとランスロットの屋敷が中央に現れた。
「僕が言いたかった、箱が連なっているものがこれだよ」
前世の世界だとお馴染みな至って普通の列車を出現させた。
「これが……見たことがないものですね」
「列車って言うんだけど、これは線路の上を走るもので、特定の場所に停車して動き回る乗り物だよ」
試しに線路を引いて列車を走らせておく。
「……これくらいの速さで動くのですね」
「これよりも速い列車、新幹線も考えているよ。列車って言っても、運行用途によっては多種多様な列車を用意しようかなって考えてるかな」
「それで人や物の移動を活発にするわけですね」
「そう思っているよ。だからその一歩に、僕が考えている都市を作りたいなぁって考えているところだよ」
この世界で交通革命を起こそうとしているわけだ。できることなら色々な革命を起こしていかないと文明は発達しない。
まあ、そこら辺は追々といこうか。色々と手を回しておいた方がいいだろう。
前世の環境を整えてダラダラと暮らすのを目標にするのはいいが、それにしてはかなり文明が遅れていることを痛感してしまう。
何でこんな世界で前世のような文明にしようと思ったのか。俺がダラダラしたいから。
適当にホログラムをいじっていくと、段々と前世で見たような都市部のような高層ビルがあったり地下鉄が通っている場所になっていく、ランスロットの屋敷が中央にある状態でね。
「……変なところですね」
そのホログラムの街並みを見たベラは、体を起こして興味津々な目をしていた。
「これは都市部だから、それ以外はこれみたいに賑やかではないよ」
「なるほど……」
こういうところをクレアと一緒に見ようとしたのだが、最初に見るのがベラになってしまったか。
でもこういうイメージ図を相手に共有するのはいいことだから、協力者には積極的に伝えて行こう。
今までは小道具を作っていただけに過ぎないが、今度は大規模にするつもりだ。
その後、一日も経たずしてグリーテンが馬車に転移してきて、このホログラムを見て興味津々に聞いてきたのは言うまでもない。
「ありがとうございます。これから何かすればまた罰をお与えください」
「罰って意味知ってる? 今後やらないためにやるんだよ?」
また罰を受けるために何かしでかしそうで怖いんだが。何が怖いかって、どんな罰を要求してくるかだよね。受ける側なのにおかしいよね。
「ッ……!」
俺の正面に座ろうとしたベラだが、お尻が痛いのか顔をしかめたのが分かった。微妙な顔の動きだったが分かった。
「大丈夫? 治そうか?」
「いいえ、これは罰なので大丈夫です。アーサーさまに与えられた傷を刻み付けておきます」
「あー、うん」
どうしてこうなった。もしかしてグリーテンと会話してそっち方面に向かってしまったのではないか? 俺が監視していたはずだが、俺のいないところで何か話していたのかもしれない。
「でも座ると痛いんだよね?」
「はい。ですがそれも罰の一部ですから」
ベラに言われるがままにお尻を叩いていたし、何なら少しだけ楽しいと思っていた自分がいたことに恐怖を覚えたが、それでも少しだけ罪悪感がある。
「膝枕をしてあげるよ」
座席の端によって、俺の膝の上をポンポンとする。
だがベラは俺の膝の上を凝視するだけで何も答えようとはしなかった。
「もしかして嫌だった?」
「い、いえ……お言葉に甘えます」
「うん、そうしたらいいよ」
ベラは俺の横に来て、おそるおそる俺の膝の上に頭を乗せた。
「何だかこうしていると変な感じだね。いつもは膝枕をしてもらっているのに、今日は僕がしてる」
「私も同じ気持ちです。……少し、眠たくなります」
「いつでも寝ていいよ」
「それはあり得ませんので」
ベラが寝ているところは七天教会にカチコミに行った時しか見たことがないからな。
俺の膝枕ごときで眠るとは思えない。
ベラの頭を見ていると、何だか頭を撫でたくなってきた。でも女性の頭を撫でるのはあまり良くないからな。
男性が女性の頭を撫でる時はイケメンに限ると相場が決まっている。
だが、俺には主という立場があるし、何よりほぼ全能があるから撫でても全く問題ないようにできるのだ!
「あっ……」
「ダメだった?」
「いいえ、少し驚いただけです」
ベラの綺麗な髪にそって頭を撫でる。
何だかいつもは逆の立場だから変な感じになるが、それでもベラの頭を撫でたいという欲求は止まらない。
どうせだからベラを眠らせるつもりで撫でていると、急にベラが起き上がった。
「アーサーさま」
「どうしたの?」
「その撫で方は気持ちが良すぎるのでおやめください」
「あっ、うん。ごめんね?」
「いえ、アーサーさまの才能に感服いたしましたが、今はおやめください」
ベラの目が本気だったから手加減をして撫で続けることにした。
また三日もかけて帰らないといけないのかと考えると、少しだけ時間の無駄だと思ってしまう。
こういう時間は別に嫌いではないが、三日もいらない。一日くらいで十分だ。
ランスロット家も飛行船を持ってもいいのかもしれない。でもどうせだから考えていた空飛ぶ列車を作ってもいいような気がする。
だがそれをするのなら、絶対に公表しないといけないから厄介ごとになりそうなんだよな。だから飛行船を作った方が簡単に済む。
でも文明を発達させるということは、物流も活発にさせないといけないから、人と物を短時間で運ぶ移動手段は重要だ。
「ねぇ、ベラ」
「はい」
「ベラはこういう移動する時の時間は好き?」
「アーサーさまが一緒なら、好きです」
「それはありがとう」
「アーサーさまはお好きではありませんか?」
「僕も好きだけど、一日くらいがちょうどいい気がする」
「やることもなければ退屈でしょうね」
ベラに少しだけこれからのことを話しておくか。
「僕はね、人とか物が簡単で短時間で移動できるものを考えているんだ」
「どんなものですか?」
「先端以外は同じ箱がいっぱい連なっているものだよ」
「あまり想像ができないですね。それで人や物を運ぶのですか?」
「箱と言っても、一つ一つがこの馬車より大きいものだよ」
「それをマンガとかでかいてくだされば、分かるかもしれません」
あぁ、そうか。そうすればイザベルさんの説明やお父上様の説明も簡単にできるのか。
それにマンガかアニメでそれを見せていれば、それを簡単に受け入れることが可能だ。どうしてそれを早く気が付かなかったんだ。
「ありがとう、ベラ。いいことを気が付けた」
「お役に立てたのなら何よりです」
ランスロットの家を改良するのもしつつ、お父上様からどこか空いている土地があればもらいたいところだ。
そこで前世の地球、いやそれ以上の文明を作り出すことは今の俺は可能だ。そこで自動運転を始め、地下をふんだんに使って超文明都市を作るのもアリだな。
そしてそれをマンガやアニメの作品の舞台にして、何かの作品を作ればそこに興味を持ってくる人がいるだろう。
それが一番手っ取り早い気がする。前世の世界では異世界ファンタジー系が人気だったけど、この世界はどういう作品が人気になるのか分からない。
だからそこはイザベルさんに確認してもらって作品を出していこう。
「ランスロット領地で、どこか誰も住んでいなくて、何もない場所はあるのかな?」
「無駄にしている場所はあります。そんなところで何かをするおつもりですか?」
「うん。僕が都市を作りたいなぁって」
「……どういう都市をお作りになるおつもりですか?」
前の世界の人間だと分かるが、こちらの世界の人間だとあまり分かりづらいから、ここは魔道具で分かりやすくすることにした。
円盤のような形をした手のひらサイズの魔道具を作り出し、風魔法でゆっくりと足元に設置した。
その魔道具を起動すると、俺とベラの前にホログラムで何もない大地が出現した。
「これは……リアルタイムマップのようなものですか?」
「ううん、違うよ。これは空想を可視化したもの。だからこの大地は僕の想像でできたもので、こうすればランスロットの屋敷も出てくる」
俺がホログラムに触れて大地をタッチするとランスロットの屋敷が中央に現れた。
「僕が言いたかった、箱が連なっているものがこれだよ」
前世の世界だとお馴染みな至って普通の列車を出現させた。
「これが……見たことがないものですね」
「列車って言うんだけど、これは線路の上を走るもので、特定の場所に停車して動き回る乗り物だよ」
試しに線路を引いて列車を走らせておく。
「……これくらいの速さで動くのですね」
「これよりも速い列車、新幹線も考えているよ。列車って言っても、運行用途によっては多種多様な列車を用意しようかなって考えてるかな」
「それで人や物の移動を活発にするわけですね」
「そう思っているよ。だからその一歩に、僕が考えている都市を作りたいなぁって考えているところだよ」
この世界で交通革命を起こそうとしているわけだ。できることなら色々な革命を起こしていかないと文明は発達しない。
まあ、そこら辺は追々といこうか。色々と手を回しておいた方がいいだろう。
前世の環境を整えてダラダラと暮らすのを目標にするのはいいが、それにしてはかなり文明が遅れていることを痛感してしまう。
何でこんな世界で前世のような文明にしようと思ったのか。俺がダラダラしたいから。
適当にホログラムをいじっていくと、段々と前世で見たような都市部のような高層ビルがあったり地下鉄が通っている場所になっていく、ランスロットの屋敷が中央にある状態でね。
「……変なところですね」
そのホログラムの街並みを見たベラは、体を起こして興味津々な目をしていた。
「これは都市部だから、それ以外はこれみたいに賑やかではないよ」
「なるほど……」
こういうところをクレアと一緒に見ようとしたのだが、最初に見るのがベラになってしまったか。
でもこういうイメージ図を相手に共有するのはいいことだから、協力者には積極的に伝えて行こう。
今までは小道具を作っていただけに過ぎないが、今度は大規模にするつもりだ。
その後、一日も経たずしてグリーテンが馬車に転移してきて、このホログラムを見て興味津々に聞いてきたのは言うまでもない。
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