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第2章
32. 後悔
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急遽、ネフライトに洋服を用意してもらい、その足で魔王様の元へ向かった。
「魔王様、モリオンが第一次性徴を迎えました。」
僕がそう声をかけると魔王様はゆっくりと上体を起こし「おぉ、そうか…5年経ったのだな…。」と感慨深くもらす。そして「モリオン、近くに来てくれ。」と告げる。
モリオンは嬉しそうに「父様!」と魔王様に抱き着いた。
「…モリオン、大きくなったな。」
「はい!でも母様が急に僕が成長してビックリしています。」
「母様…?」
魔王様はそう呟くと僕の方をジッと見る。
「あっ、いや!僕は母親じゃないと言ったのですが…!」
慌てて訂正するも「いえ!母様は母様です!僕をここまで育ててくれました!」とモリオンは怒っている。
「はぁ…モリオン、落ち着きなさい。サトーはお前の母親ではない。死んだ母親の代わりにお前を育てた育ての親だ。だからこれ以上サトーのことを母親と呼んで困らせるんじゃない。」
「そっ…そんな…僕にとっては母様なのに…。」
モリオンは悔しそうに顔を歪ませる。僕は彼の肩にそっと手を添えると「モリオン、急に言われてびっくりしたよね。でも僕は君の本当の母親じゃない、だから僕のことはこれからショウって呼ぶんだ。」と伝える。
「………。」
彼はそのまま黙って魔王様の胸に顔を埋めた。
しばらく様子を見守ったが魔王様はこのまま話が進まないと分かったのか僕に向かって告げる。
「サトー、悪いが今日はモリオンを我が預かる。落ち着いたら部屋に行かせるから今日は戻ってくれ。」
「…はい、分かりました。」
僕は静かに返事をすると魔王様の部屋を後にした。
部屋に戻り、久しぶりに一人の時間を過ごす。部屋の中がシーンとして落ち着かない。
「はぁ~…落ち着かない。」
ベッドに仰向けになりながら独りぼやく。いつもはモリオンという人の気配があり、更に泣き出した場合はその世話に振り回される。普通ならやっと1人になれて清々するはずが、そんな存在がいないだけで不安に駆られる。
「(あんなにショックを受けるなんて思わなかった…。)」
母親じゃないと言っただけだが、モリオンにとっては相当だったのだろう。酷いことをしてしまった。
僕は自責の念にかられながら目を瞑った。
「魔王様、モリオンが第一次性徴を迎えました。」
僕がそう声をかけると魔王様はゆっくりと上体を起こし「おぉ、そうか…5年経ったのだな…。」と感慨深くもらす。そして「モリオン、近くに来てくれ。」と告げる。
モリオンは嬉しそうに「父様!」と魔王様に抱き着いた。
「…モリオン、大きくなったな。」
「はい!でも母様が急に僕が成長してビックリしています。」
「母様…?」
魔王様はそう呟くと僕の方をジッと見る。
「あっ、いや!僕は母親じゃないと言ったのですが…!」
慌てて訂正するも「いえ!母様は母様です!僕をここまで育ててくれました!」とモリオンは怒っている。
「はぁ…モリオン、落ち着きなさい。サトーはお前の母親ではない。死んだ母親の代わりにお前を育てた育ての親だ。だからこれ以上サトーのことを母親と呼んで困らせるんじゃない。」
「そっ…そんな…僕にとっては母様なのに…。」
モリオンは悔しそうに顔を歪ませる。僕は彼の肩にそっと手を添えると「モリオン、急に言われてびっくりしたよね。でも僕は君の本当の母親じゃない、だから僕のことはこれからショウって呼ぶんだ。」と伝える。
「………。」
彼はそのまま黙って魔王様の胸に顔を埋めた。
しばらく様子を見守ったが魔王様はこのまま話が進まないと分かったのか僕に向かって告げる。
「サトー、悪いが今日はモリオンを我が預かる。落ち着いたら部屋に行かせるから今日は戻ってくれ。」
「…はい、分かりました。」
僕は静かに返事をすると魔王様の部屋を後にした。
部屋に戻り、久しぶりに一人の時間を過ごす。部屋の中がシーンとして落ち着かない。
「はぁ~…落ち着かない。」
ベッドに仰向けになりながら独りぼやく。いつもはモリオンという人の気配があり、更に泣き出した場合はその世話に振り回される。普通ならやっと1人になれて清々するはずが、そんな存在がいないだけで不安に駆られる。
「(あんなにショックを受けるなんて思わなかった…。)」
母親じゃないと言っただけだが、モリオンにとっては相当だったのだろう。酷いことをしてしまった。
僕は自責の念にかられながら目を瞑った。
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