皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ

手塚エマ

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第二章 死がふたりを分かつとも

第40話 ダビデと昼三

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 呼吸を一度整えてから見上げると、大階段の踊り場で下男が数人、声をひそめて話している。
 踊り場には篝火が置かれ、背中を丸めて顔を寄せ合う黒影が、壁や手摺りに伸びていた。

「サリオン!」

 半袖膝丈の 貫頭衣かんとういに麻縄の帯を締めた下男の一人が踊り場で、驚いたように声を上げた。サリオンも、つられて階段を駆け上る。

「どうしたんだ? こんな所で集まって」
「いや、ちょうど皆で手分けして、お前を探しに行こうとしてたんだ。ダビデ提督は戻られたのに、陛下はお見えにならないから……。何がどうなったのかをサリオンに聴いて来るよう、旦那様に言われて……」

 
 と、下男達は互いに顔を見合わせながら説明した。
 旦那様とは館の主人のことだろう。

 踊り場まで上り切ったサリオンは、困窮顔の彼等に先に問いかけた。

「それで、お戻りになられた提督は?」


「それがもう、支度が済んだオリバー様の居屋に案内したら、急に大人しくなっちゃって」
「魔王みたいな顔つきで、怒鳴り散らして戻ったくせに」
「鼻の下伸ばしてニヤニヤしてな?」
「寝所持ちの値段で、昼三のオリバー様が買えたんだ。そりゃあ、もう上機嫌でオリバー様の部屋に籠もられた。……ったく、あんなに大騒ぎしたくせに、ちょっとオリバー様に色目使われただけで、コロッと機嫌直しやがって。みっともねえったらありゃしねぇ」

「……おい! お前等、声が大きいぞ。こんな陰口、提督の耳に入ったら、俺達全員、円形競技場で野獣に喰われる見世物の刑にされちまう」

「つまり、お気に召して頂けたんだな?」

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