皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ

手塚エマ

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第二章 死がふたりを分かつとも

第48話 ミハエル

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「入ってもいいか?」
「もちろんです。むさ苦しい部屋ですが、とにかく早くお入り下さい。提督はまだ館内にいらっしゃいます。皇帝陛下が、ミハエル様にも報復などなさらないよう、提督にくれぐれもと釘をさして下さったようですが、やはり今夜は提督の目に触れない方が……」

 サリオンはミハエルを中に招き入れた。

 念のため、廊下を左右に見回したが、大引おおびけの午前二時を過ぎたばかりの館内は、闇と静寂に包まれて、廊下を歩く人影も見られない。
 どうやらミハエルは側付きも連れずに、一人でやって来たらしい。

 西館の一階には、厨房と下男用の浴場と、位の低い下働きの者達が寝起きする大部屋がある。

 二階には、廻しのように位の高い下男の個室が数部屋と、敷布などの洗濯場や物置き部屋があるだけだ。
 一階は賑やかだが、夜ともなると、西館の二階の外れは人気ひとけもなくなる。


 ミハエルの突然の来訪を、誰にも見咎められずに済んで胸を撫で下ろし、サリオンはドアを注意深く静かに閉じた。

 振り返るとミハエルが、手燭を窓際のテーブルに置いている。

 焦っていたので見落としたのだが、ミハエルは銀の食器をいくつか並べた銀の盆も、同じくテーブルに乗せていた。

「ミハエル様、それは……」

 粗末なテーブルには不似合いな、銀の盆に並べられた食器から、白い湯気が上がっている。

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