皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ

手塚エマ

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第三章 争奪戦

第41話 飛んで来た

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 サリオンは瞬きしながら、か細い声で問いかけた。

「お前がベータの居住区にいる報告が、衛兵達から入ったからだ」
「衛兵?」

 と、今度は語尾を跳ね上げる。

 街中の治安を維持する名目で、軽装の衛兵達が巡回してはいるものの、彼等は一片のパンを取り合う下層階級のベータ同士がナイフを持ち出し、切りつけ合う喧騒を横目にしながら無視をする。

 彼等の仕事は、配属された区内を一日かけて歩き回ることであり、取るに足らない抗争の仲裁に入るような手間なども、回避する。


 その衛兵が自分にだけは目をつけて、わざわざ宮廷に駆け戻り、アルベルトの耳に入れるなど考えもしなかった。

 サリオンは呆気にとられて呟いた。


「あんた……、衛兵に俺を見張らせてるのか?」
「見張らせたりなどしていない。もちろん尾行もさせてない。ただ俺は、公娼以外のどこかでお前を見かけたら、報告するよう指示しただけだ」

「……何のために、そんなこと」
「もちろん、会いたいからに決まっているだろ。他に何の目的がある?」

 言葉を失くしたサリオンの左右の頬を両手で挟み、アルベルトが言い募る。


「お前がいると聞いた時は、まだ夕方近くだったんだ。それなら一緒にワインだけでも呑みたくなって飛んで来た」
「飛んで、……来た?」

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