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第一章
第35話 魔道兵工房
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「ハヤトさん!」
「ほ~お前がハヤトという冒険者か」
ベロニカさんが駆け寄ってくる。横柄そうな横に大きな男が僕を見て声をあげる。のそりと立ち上がると僕へと握手を求めてきた。
「儂は奴隷商を営んでいる商人のアキムじゃ。お前がオークに襲われた儂の馬車を発見したハヤトじゃな?」
「は、はい……」
握手に答えると微笑む男。あわせてニカ達を見回すとアイラを見てよだれを垂らす。
「おっとしつれい。よき仲間をお持ちのようだ」
「……」
流石に気持ち悪すぎて顔が引きつる。アキムはよだれを拭うと席について僕にも座るように促してきた。
「そちらの猫族の獣人を返していただきたい」
座ると早速要件を話してきた。
「奴隷は私の財産。助けた冒険者の物になるというルールは知っていますが私の物だったのです。返すのが通りでしょう?」
アキムの言葉にルキナちゃんが怖がって僕にしがみつく。
「彼女は僕らの仲間になっています。既に奴隷と言う立場だとは思っていません」
「仲間? おとりにして魔物を狩ったりしているのではないのですか? 奴隷の価値などその程度の物ですよ?」
ルキナちゃんの頭を撫でながら話すとアキムが首を傾げて恐ろしいことを言ってくる。
この世界の奴隷はそんな使われ方をするのか。怖すぎる。
「あなたはそんなことに使うつもりなんですか。それなら絶対に返せません」
「ふむ、そうですか。私は冒険者ではないのでね。そんなことには使いませんよ。猫族の獣人は希少価値も高くてね。貴族や同じ獣人の方には高く売れるのでね」
返さないというとアキムは席を立って出口の方へと歩いていく。怯えるベロニカさんをよだれを垂らして見ていて、いい印象は受けない。
「そうですか、そうですか。返せないんですね。そうですか……ではあなたの冒険にさちあらんことを」
アキムはそういって宿屋を出ていった。
「……は~」
「気持ち悪いねお兄ちゃん……」
大きなため息をつくとニカが声をもらす。ルキナちゃんもずっと抱き着いたままだ。
「あのような商人が主人だったとは……オークに襲われたのが不運だと思っていたがルキナちゃんにとっては幸運だったようだな」
アイラが感慨深く話してルキナちゃんの頭を撫でる。
「だけどお兄ちゃん。あの人なんかやってくるんじゃない?」
「うん。確かにね」
ニカの言葉に頷いて答える。
アキムの言葉もそうだけど、表情が不穏だったよな。
「ハヤトさん達が来るまでずっと私を見てきて、ニヤニヤしていたの。ちょっと怖かったわ」
「母ちゃんは美人だからな~」
ベロニカさんが悩んで話すとニカが褒めて抱き着いた。
ベロニカさんを狙ってくるなんてことになるかもしれないか。
「私が残るって言うのもありだけど」
「アイラお姉ちゃんそれはダメだよ! 僕たちは仲間なんだからいつも一緒じゃないと」
アイラが提案するとニカが声をあげた。
思わずニカの頭を撫でてしまう。
「マスター。ベロニカが危ないにゃ」
「ん、そうだよな~」
ルキナちゃんも心配してるな。
「じゃあ」
「ん? ハヤト何かいい案が?」
僕の呟きにアイラが首を傾げた。ステータスウィンドウを開いて異世界商店を開く。そして、施設の魔道兵工房を購入。
北に街道から帰ってきて、町のごみを拾ってやっと100万G獲得できた。
商人ギルドに砂糖を卸すお金がなかったから買っていなかったんだけど、そんなこと言ってられないので魔道兵工房を買うことにした。
「マスター?」
「お兄ちゃん何してるの~」
みんなから見て、僕は宙を指でなぞっているように見える。ルキナちゃんもニカも不思議そうに首を傾げてる。しまいには宙をなぞっている指に顔をつけてきたりじゃれてくる。ルキナちゃんは本当に猫なんだな。ニカが真似するから凄いことになってるぞ。
「はいはい。ベロニカさんはニカをアイラはルキナちゃんを」
「「はい」」
一向に収まらない二人をベロニカさんとアイラに抱かせる。その間に魔道兵工房を操作していく。
「なるほど」
腕を組んでウィンドウを見つめる。
魔道兵工房は買うことで稼働を始める。コンベヤが動き出して魔道兵と言われるゴーレムが作られていくようだ。
住宅のように中に入って見ることはできないのかな? こういう工場の景色は肉眼で見たいな。
「あ、【入口】のマーカーがついてる!」
住宅と同じように入れるようだ。これは見てみたいぞ。
「あ~お兄ちゃん! 住宅に行くんだ~」
「マスター。ルキナも行きたいにゃ!」
呟きに気づいたニカとルキナちゃんが反応した。バタバタとベロニカさんとアイラの上で暴れてる。
「じゃあ、みんなで行こう。ベロニカさんは驚かないでくださいね」
「え? 行くって?」
僕の言葉にベロニカさんが首を傾げる。
みんなで手を繋いで入口のマーカーをポチッと触る。一瞬でベルトコンベヤーの前の風景に変わっていく。
「え? ここは?」
驚くベロニカさん。周りをキョロキョロ見て僕らに首を傾げてくる。
「僕のスキルの中です。魔道兵工房っていう施設なんですけど」
「施設?」
説明してもわからない様子のベロニカさん。こういうのは男の子の方が理解できるよな。
「わ~おにいちゃん! 何かこっちに来るよ~」
ニカが目を輝かせて指さす。ベルトコンベヤーが動いていて、鉄の塊が運ばれてる。
思わず運ばれてる鉄の塊について歩く。みんなも気になったみたいでついてくる。
「わ~、わ~!」
「形が変わったにゃ~!」
キラキラした視線を送るニカとルキナちゃん。鉄の塊が機械によってプレスされて人の形に変わっていく。僕もこういった工場が好きだからワクワクする。
「こっちは馬?」
「え? 人以外にもあるのか」
アイラが別のベルトコンベヤーで声をあげた。魔道兵って色んな種類あるのか。
「ここで完成?」
最終地点でポトリと落ちてくる鉄の人形。地面に落ちると立ち上がってコンベヤの前に並ぶ。
「馬も並びだした?」
次々と出来上がる魔道兵。出来上がるとコンベヤの前に並んでいって十体ずつ出来るとコンベヤが止まった。
「終わりにゃ?」
「そうみたいね」
ルキナちゃんとベロニカさんが呟く。
人型の魔道兵と馬が十体ずつ並んでいる。
「外に出せるってことかな? 材料なしに際限なく生み出せるのか……チートすぎるような……」
流石のチートに呟きが止まらない。みんなは不思議そうに人形たちを触ってる。
「この子達を宿屋に配置しておけば安心だ」
「そうだね。どのくらい強いのかわからないけど、数で押せそうだ」
十体の魔道兵を置いていってベロニカさんを守らせる。アキムが自ら来るとは思えないから、部下の人が可哀そうになってくるな。
「ほ~お前がハヤトという冒険者か」
ベロニカさんが駆け寄ってくる。横柄そうな横に大きな男が僕を見て声をあげる。のそりと立ち上がると僕へと握手を求めてきた。
「儂は奴隷商を営んでいる商人のアキムじゃ。お前がオークに襲われた儂の馬車を発見したハヤトじゃな?」
「は、はい……」
握手に答えると微笑む男。あわせてニカ達を見回すとアイラを見てよだれを垂らす。
「おっとしつれい。よき仲間をお持ちのようだ」
「……」
流石に気持ち悪すぎて顔が引きつる。アキムはよだれを拭うと席について僕にも座るように促してきた。
「そちらの猫族の獣人を返していただきたい」
座ると早速要件を話してきた。
「奴隷は私の財産。助けた冒険者の物になるというルールは知っていますが私の物だったのです。返すのが通りでしょう?」
アキムの言葉にルキナちゃんが怖がって僕にしがみつく。
「彼女は僕らの仲間になっています。既に奴隷と言う立場だとは思っていません」
「仲間? おとりにして魔物を狩ったりしているのではないのですか? 奴隷の価値などその程度の物ですよ?」
ルキナちゃんの頭を撫でながら話すとアキムが首を傾げて恐ろしいことを言ってくる。
この世界の奴隷はそんな使われ方をするのか。怖すぎる。
「あなたはそんなことに使うつもりなんですか。それなら絶対に返せません」
「ふむ、そうですか。私は冒険者ではないのでね。そんなことには使いませんよ。猫族の獣人は希少価値も高くてね。貴族や同じ獣人の方には高く売れるのでね」
返さないというとアキムは席を立って出口の方へと歩いていく。怯えるベロニカさんをよだれを垂らして見ていて、いい印象は受けない。
「そうですか、そうですか。返せないんですね。そうですか……ではあなたの冒険にさちあらんことを」
アキムはそういって宿屋を出ていった。
「……は~」
「気持ち悪いねお兄ちゃん……」
大きなため息をつくとニカが声をもらす。ルキナちゃんもずっと抱き着いたままだ。
「あのような商人が主人だったとは……オークに襲われたのが不運だと思っていたがルキナちゃんにとっては幸運だったようだな」
アイラが感慨深く話してルキナちゃんの頭を撫でる。
「だけどお兄ちゃん。あの人なんかやってくるんじゃない?」
「うん。確かにね」
ニカの言葉に頷いて答える。
アキムの言葉もそうだけど、表情が不穏だったよな。
「ハヤトさん達が来るまでずっと私を見てきて、ニヤニヤしていたの。ちょっと怖かったわ」
「母ちゃんは美人だからな~」
ベロニカさんが悩んで話すとニカが褒めて抱き着いた。
ベロニカさんを狙ってくるなんてことになるかもしれないか。
「私が残るって言うのもありだけど」
「アイラお姉ちゃんそれはダメだよ! 僕たちは仲間なんだからいつも一緒じゃないと」
アイラが提案するとニカが声をあげた。
思わずニカの頭を撫でてしまう。
「マスター。ベロニカが危ないにゃ」
「ん、そうだよな~」
ルキナちゃんも心配してるな。
「じゃあ」
「ん? ハヤト何かいい案が?」
僕の呟きにアイラが首を傾げた。ステータスウィンドウを開いて異世界商店を開く。そして、施設の魔道兵工房を購入。
北に街道から帰ってきて、町のごみを拾ってやっと100万G獲得できた。
商人ギルドに砂糖を卸すお金がなかったから買っていなかったんだけど、そんなこと言ってられないので魔道兵工房を買うことにした。
「マスター?」
「お兄ちゃん何してるの~」
みんなから見て、僕は宙を指でなぞっているように見える。ルキナちゃんもニカも不思議そうに首を傾げてる。しまいには宙をなぞっている指に顔をつけてきたりじゃれてくる。ルキナちゃんは本当に猫なんだな。ニカが真似するから凄いことになってるぞ。
「はいはい。ベロニカさんはニカをアイラはルキナちゃんを」
「「はい」」
一向に収まらない二人をベロニカさんとアイラに抱かせる。その間に魔道兵工房を操作していく。
「なるほど」
腕を組んでウィンドウを見つめる。
魔道兵工房は買うことで稼働を始める。コンベヤが動き出して魔道兵と言われるゴーレムが作られていくようだ。
住宅のように中に入って見ることはできないのかな? こういう工場の景色は肉眼で見たいな。
「あ、【入口】のマーカーがついてる!」
住宅と同じように入れるようだ。これは見てみたいぞ。
「あ~お兄ちゃん! 住宅に行くんだ~」
「マスター。ルキナも行きたいにゃ!」
呟きに気づいたニカとルキナちゃんが反応した。バタバタとベロニカさんとアイラの上で暴れてる。
「じゃあ、みんなで行こう。ベロニカさんは驚かないでくださいね」
「え? 行くって?」
僕の言葉にベロニカさんが首を傾げる。
みんなで手を繋いで入口のマーカーをポチッと触る。一瞬でベルトコンベヤーの前の風景に変わっていく。
「え? ここは?」
驚くベロニカさん。周りをキョロキョロ見て僕らに首を傾げてくる。
「僕のスキルの中です。魔道兵工房っていう施設なんですけど」
「施設?」
説明してもわからない様子のベロニカさん。こういうのは男の子の方が理解できるよな。
「わ~おにいちゃん! 何かこっちに来るよ~」
ニカが目を輝かせて指さす。ベルトコンベヤーが動いていて、鉄の塊が運ばれてる。
思わず運ばれてる鉄の塊について歩く。みんなも気になったみたいでついてくる。
「わ~、わ~!」
「形が変わったにゃ~!」
キラキラした視線を送るニカとルキナちゃん。鉄の塊が機械によってプレスされて人の形に変わっていく。僕もこういった工場が好きだからワクワクする。
「こっちは馬?」
「え? 人以外にもあるのか」
アイラが別のベルトコンベヤーで声をあげた。魔道兵って色んな種類あるのか。
「ここで完成?」
最終地点でポトリと落ちてくる鉄の人形。地面に落ちると立ち上がってコンベヤの前に並ぶ。
「馬も並びだした?」
次々と出来上がる魔道兵。出来上がるとコンベヤの前に並んでいって十体ずつ出来るとコンベヤが止まった。
「終わりにゃ?」
「そうみたいね」
ルキナちゃんとベロニカさんが呟く。
人型の魔道兵と馬が十体ずつ並んでいる。
「外に出せるってことかな? 材料なしに際限なく生み出せるのか……チートすぎるような……」
流石のチートに呟きが止まらない。みんなは不思議そうに人形たちを触ってる。
「この子達を宿屋に配置しておけば安心だ」
「そうだね。どのくらい強いのかわからないけど、数で押せそうだ」
十体の魔道兵を置いていってベロニカさんを守らせる。アキムが自ら来るとは思えないから、部下の人が可哀そうになってくるな。
応援ありがとうございます!
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