闇精霊に好かれた精霊術師(旧題:ダンジョン最下層でパーティに見捨てられた精霊術師の少年、闇精霊に気に入られ最強の精霊使いになる。)

お茶っ葉

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ニ章

35話 解放戦

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「早くウィズリィ様に会いたいなぁ! 待ち遠しいなぁ!」

 フィリスは何度も伸びをしながら、意気揚々と声を上げた。
 まだ陽も昇っていない早朝の生温い空気を肌に感じながら、僕たちは準備に取りかかる。
 適当に朝食をとり、寝ぼけまなこのトルの世話を焼いている間も、フィリスは上機嫌だった。

 これから戦いになるというのに随分と余裕があると思う。
 心強い、というよりは無理をしていないか心配だった。気持ちが空回りしているような。
 見ていると物を落したり、躓いたり、いつも通りのようで、らしくない。変な違和感がある。

「ふ~んふ~ん。今日は雨じゃなくて良かったね~」
「本当、朝から騒がしいわね……頭に響く」
「フィリス……ご機嫌!」
「だって、だって。もうすぐウィズリィ様に会えるんだよ? そりゃご機嫌になっちゃうよ!」
「あの説教魔の何がいいのやら……。まぁ転生して大人しくなったのかもしれないけど」
「うぃずりぃ? 誰?」
「トルちゃんと同じ精霊様だよ~今度教えてあげるね!」

 どうもさかのぼってみると、小屋で合流した時点から様子がおかしい……気がする。
 調子に乗りやすい性格はいつもの事だけど、それが今は少しばかり焦っている風にも見えた。
 幼馴染だからこそ気付けた些細な変化。杞憂であって欲しい。
 
 フィリスにとってウィズリィ様が、特別な存在であるというのは知っている。
 近くに感じるだけで心が浮ついてしまう気持ちも理解できる。
 僕もノート様に関しては同じようなものなので、こればかりはあまり強く言えない。
 
「……ケイシアさん、フィリスをお願いします。できる限り目を離さないようにしてください」
「えっ、私が……ですか?」

 フィリスに気付かれないように小声で伝える。
 ケイシアさんは装備を確認している最中で、僕の頼みを聞いて若干戸惑いを見せていた。
 普通に考えてみれば逆だ。本来は中級冒険者であるフィリスが引っ張っていくべき立場にある。

「ちょっとニノ君、聞こえているんだからね! ケイシアは私に任せたんじゃなかったの!?」
「そうなのですか? フィリス、頼りにしていますね」
「いやいや、勝手に話を捏造しないでよ。ケイシアさんも納得しないで」

 どう考えてもこの場で一番良識があってリーダー向きなのはケイシアさんだ。
 最初は彼女も功を焦っているのではないかと心配だったけど、それ以上に危うい人物がいるんだ。
 いざって時にフィリスの手綱を引けるのは彼女しかいない。

「そういえば二人は仲良くなったんだね、いつの間にか呼び方が変わってるし」
「あっ、気付いた? いいでしょ~。ケイシアとは帰ったら文通する約束もしたんだ!」
「はい、文をしたためるのはあまり得意ではないのですが、心を込めて送りますね」
「私も! あ~なんかこういうのいいよね。男の子相手じゃ中々できないし」
「ふふっ、せっかくですのでニノさんも参加されます? 男性の書かれる文の内容も気になりますし」
「んー、僕は遠慮しておきます。お邪魔だろうから」
「ほらっ、やっぱり面倒臭いと思ってるんでしょ」
「それは残念です、気が向いたらいつでもお声を掛けてくださいね」

 二人は仲良さげに今後の事を語り合っている。
 一晩共に過ごしただけでもうここまで打ち解けているとは。
 気軽に名前を呼び合う姿はまるで古くからの友人のようで、少しだけ羨ましい。
 僕には決して真似できない芸当だ。
 
 ……話が逸れた。
 二人の仲が深まったのならこちらとしても好都合。
 再度ケイシアさんにフィリスの事を頼んだ。その間、幼馴染は不機嫌そうに頬を膨らませていた。
 
「やっぱりニノ君、私を信用してなかったんだ。……私より年上のケイシアの方がいいんだ」
「何で拗ねてるんだよ。……昨日も言ったけど、フィリスの実力は知ってるし信頼もしてるってば」
「それじゃあ――」
「……でも! これは、その、何か、違うんだよ……!」
「……違うって?」

 疑問符を浮かべるフィリスに僕は何も伝えられなかった。 
 この言いようもない不安を形容する言葉が見つからなかったから。
 これは盗賊団の件とは関係ない。僕の奥底に眠る微かな記憶が勝手に訴えかけているだけ。
 
 ――このままウィズリィ様と会わせてもいいのか、と。
 何故そう思ったのか自分自身でもよくわからない。ただ漠然としすぎていて説明も難しい。
   
「……わかりました。二ノさんの願い確かに承りました。情けない話ですが、戦力面ではあまり役に立ちそうにありませんので、少しでもお力になれるのであれば喜んで。フィリスは私に任せてください」
「もー! ケイシアまで!」
「ごめんなさい、ニノさんがとても真剣な表情をなされるので……!」

 言葉に詰まる僕に心優しいケイシアさんが助け舟を出してくれた。
 相変わらず不貞腐れているフィリスをやんわりと抑えながらウィンクをくれる。
 その気遣いに感謝しながらこの話は一旦終わりになった。

「ちょっとケイシア。出発前から戦力にならないなんて弱音を吐いてどうするの! 仮にも私たちの代表なんだから手柄の一つくらいは立ててきてよね。ユニオンの命運は託したよ!!」
「当然、善処はします。リディアも大人しく待っていてくださいね? 足はなるべく使わないように。約束ですよ」
「はーい」

 小屋の中で元気よく手を上げたリディアさんは今日は留守番だ。
 そしてラフな格好で寝癖を付けた背の高い獣人が二人の前に立った。
 
「それではあとはこのレックにお任せください。無事にお二人を連中の元にまでお届けしますよ」

 レックさんは縄を器用に動かしフィリスとケイシアさんの腕を拘束する。
 見た感じ縄はしっかりと結ばれてあって身動きが取れないようになっているけど、実は簡単に解ける。 
 このまま奥で待機しているセレーネに引き継いでもらう手筈となっていた。

 盗賊団は話を聞く限り、精霊様の力に支配されていて些細な事で感情を暴発しかねない。
 奇襲や力押しといった手段では倒し切る前に水門を破壊される可能性が高いだろう。
 まずはフィリスがウィズリィ様と接触して説得、弱体化させる必要があった。
  
 こうして捕らえられたていで近付き、相手の油断を誘う。
 
 ケイシアさんが同行するのは、本人たっての希望もあるけど敵側に顔を覚えられている事が重要だった。
 最初からこの場にいなかったフィリスだけでは連中に怪しまれる恐れがある。
 僕は別で動く必要があったし、リディアさんは足を負傷している。消去法で二人が選ばれた。

「レック、くれぐれも信頼を裏切るような真似だけはしないでくださいね? 貴方は少し……抜けているから」
「ハハハ、ノート様も疑い深いですね。たかだか小屋の掃除の言い付けを忘れていたくらいで」
「その態度に反省の色が見えないからです!」
「おぉ、凄い迫力だ。あっ――約束の時間も迫っています、いざ参りましょうか!」
「わわっレックさんってば強引! それじゃニノ君、行ってくるねー!」
「ニノさんと精霊様方にもご武運を!」
 
 レックさんは早足で逃げるように樹海の奥へと進んで行く。
 縄で繋がった二人も引き摺られる格好で走り出す。ノート様は不安げに三人の背中を見つめていた。
 もしかしたら僕と同じ懸念を抱いているのかもしれない。

「……予定通り、こちらも派手に暴れるとしようか」

 いつまでも人の心配をしている暇はない。次は僕たちが動く番だ。

「やっと私の出番が来たの? 適当に敵を引き付けて手当たり次第に吹っ飛ばせばいいのね」
「あらかじめ忠告しておきますが、本気を出しては駄目ですよ? これはあくまで戦力の分散と獣人たちの安全の確保の為であって、戦うのが主目的ではありません」
「……ニノを襲った連中なのよ、慈悲を掛ける必要がある? 全員苦しみながら朽果てればいい」

 フィアーが僕の腕の怪我を指して憤りを露わにする。
 この傷は精霊魔法の反動で負ったものだと説明してあるのにそれでも許せないらしい。
 元を辿れば原因は彼らにあるとしても、今は忘れて欲しい。

「自分の鬱憤を晴らす為にニノを困らせる気ですか? 気持ちは理解しますが我慢してください」
「僕からも頼むよ、手加減してあげて欲しいな。獣人たちとの溝を深めたくないんだ」
「フィア! 加減、するの!」
「何よ、私が悪者みたいに。……わかったわ。特別に獣人連中は見逃してあげる」
「フィアーはいい子ですね」
「いちいち頭を撫でるな!」

 どうなるかと思ったけど、フィアーの破壊衝動をすかさずノート様が止めに入ってくれた。
 僕とトルだけではどうしても押し切られる場合もあるので、同じ実力者が傍にいてくれるのは心強い。
 フィアーは普段隠している羽を発現させ闇属性を形成していく。
 
「それじゃ手始めにソウル――いえ、トルに任せるわ。ほら、出番よ」
「うん、わかった」

 背中に強い視線を感じたのか、フィアーは大人しく身を引いた。
 今、黒死球ソウルスティールを生み出そうとしていなかったか? ……思い過ごしだといいけど。 
 代わりに指名されたトルは翼を広げると上空に黒雲を生み出していく。
 降り注ぐ雷撃が激しい音を鳴らして木々の一部を燃え上がらせた。
 


 ◇



「おー向こうも派手にやってますね。巻き添えを喰らわないように我々も急ぎましょう」
「だね。フィアーちゃんもトルちゃんもニノ君以外には容赦ないから……!」
「あの精霊様方はニノさんの事を一途に想われていらっしゃるのですね」
「でしょう? みんな可愛いし素直で……できれば私にも優しくして欲しいけど」
「……少しだけ羨ましく思います」
「……?」

 荒れ狂う属性力と黒煙が天を昇っている。
 ここまでやれば必ず盗賊団は異変を察知して動き出すだろう。

 ニノたちには獣人の大部分を引き受けてもらう手筈になっていた。
 水の精霊と接触する前に、少しでも敵戦力を削っておく必要があるからだ。
 弱体化に成功した後の事も考えると、盗賊団と獣人を同時に相手するのは流石のフィリスでも厳しい。
 
 それと時機を見誤れば逆に人質として利用される可能性もあったが、
 敵の内情を知るセレーネが味方なのでその点は問題ない。然るべきタイミングで引き渡してもらえるだろう。

「そこにいるのは誰だ!? ……レック? レックじゃないか! お前、どうしてここに!?」

 道中、通りがかった獣人たちが先頭を歩くレックの姿を見て驚く。
 数にして三十は超えているだろうか。どうやら誘導には成功したらしい。
 皆一様に焦りを表情に浮かばせながら駆け寄ってくる。
 
「貴方たちが逃がした冒険者を捕らえたんですよ。いやぁ苦労しましたよ。是非、褒めてください」
「お前、余計な事を……俺たちが本当に人族を追っていると思っていたのか! 何故黙って逃がさなかった!? 奴らの元に連れていけばどうなるかわかっているだろうに!」
「あの炎は俺たちに対する報復じゃ……大地の精霊様を怒らせてしまったんじゃないのか!?」

 獣人たちはレックを責め立てる。
 どうやらわざと捜索の手を緩めていたらしい。本心では盗賊団に加担しているつもりはないと。
 人質を取られた彼らのできる最大限の抵抗だった。

「まぁまぁ今更いい子ぶったところで既に拳を振り下ろしているのです。泣き言を喚いて許してもらえると思いますか。染まるならとことん染まりましょう。盗賊の一味さん?」
「そ、それは……」

 冷静な物腰でレックは鋭い言葉を投げかける。
 正論をぶつけられ力なく俯く彼らには悲壮感が漂っていた。
 
(……揉めるかと思いましたが、このままいけば大丈夫そうですね)
(レックさん、もしかして村ではあまり上手くいってなかったのかな? 喧嘩慣れしてるというか)
(しっーあまり大きな声を出すと聞こえてしまいます。獣人の方々は耳も優れていらっしゃるのですから)
「しっかりと届いていますよ。お二人とも酷いですね」

 フィリスとケイシアは捕らえられた恰好のままコソコソと会話を続ける。
 どこか余裕のある二人の姿に違和感を見出す者はいない。
 それだけ獣人たちは切羽詰まった状況なのだろう。

「……お前たち、何を立ち止まっているんだ!」

 銀髪の少女が上空から降り立つ。
 小型の弓を脇に抱え、鋭い眼つきで仲間に対して叱咤する。

「セレーネ、お前の父親がまた余計な事をしでかしてだな。お前からも何か言ってやってくれ」
「おー娘よ。元気にしていましたか?」
「パ――う、うるさい! 馴れ馴れしく話しかけるな!」

 白々しい挨拶を送るレックをセレーネは慌てて拒絶する。
 冷たい態度の裏で隠し切れない愛情を感じ取り、フィリスとケイシアは微笑ましさを覚えた。

「こんな男にかまけている暇はない。早急に暴れている冒険者を止めないと樹海ごと村が消し飛ぶ羽目になるぞ」
「その通りなんだが。人族には大地の精霊様がついているんだぞ? 俺たちで止められるのか?」
「……異変は奴らにも報告済みだ、こちらも動かなければ連中の怒りを買う羽目になる」
「はぁ……どちらにしろ行き着く先は破滅か。一体どうしてこうなってしまったんだ……!」
「それは今更な話だな。矢は放たれたんだ、どんな結末を迎えたとしても受け止めるしかないだろう?」
「……まったくお前ら親子は似たような事を。……わかった。俺たちは暴れている冒険者を止めに行く。セレーネ、そこの捕らえられた人族を頼んだぞ。お前の父親は当てにならん」
「あぁ、わかった」

 当初の作戦通り獣人がニノたちのいる方角に誘い出されていく。
 そして盗賊団の一部も動き出し、敵戦力の大部分が拠点から離れた。

(拠点に残った盗賊は三人ですか。上出来ではないでしょうか?)
(あとはセレーネちゃんに案内してもらうだけだね!)

 これでお膳立ては全て整った。残るは水の精霊のご機嫌次第だ。



 ◇



「フィアーたちはどこに行ったんだろう?」

 爆音と悲鳴が交差する樹海を一人散策する。
 フィアーとトルは一目散に獣人を狙って走り出してしまった。
 後ろを追いかけるもすぐに見失ってしまう、その過程でノート様ともはぐれてしまった。
 
「嘘だろ!? 何故大地の精霊様ではなく闇精霊様が襲いかかってくるんだ!」
「し、しらん。幻覚でも見せられたんじゃないのか? 闇精霊様が人族に味方するはずがない!」
「確かに見たんだ! 目の前で六人も闇に呑み込まれたんだぞ? まるで悪夢を見ているかのようだった……」
「おい、それ以上前に進むな! 罠が仕掛けられているぞ!!」
「――うわあああああああ!!」

 足を糸で絡め取られた獣人が、茂みに引き摺り込まれていく姿が見えた。
 その奥では暗黒の靄が標的に纏わりついていた。これは二人のしわざだろうか。

「誰か手を貸してくれ! 靄から抜け出せないんだ!!」
「だ、駄目だ。三人掛かりでもビクともしない! あまりにも闇の力が強すぎる!!」
「クッ、俺から、は、離れ――ああああああああああ」

 悲痛な叫びと共に靄が覆い被さり全ての人影が消失する。
 転移に近い反応を感じるので命に別状はないと思う。ちょっと脅かしすぎな気がするけど。

「いた、人族の強い兄ちゃんだ!」
「今度こそ負けないぞ!」

 僕の前に躍り出た獣人の子供たち。確か名前はニーアとロットだったはず。
 同じ斑模様の耳と尾を見る限り兄妹なんだろうか、二人は再戦を申し込んできた。

「あれ、兄ちゃん腕に怪我してる?」
「誰かにやられたのか?」
「ん、これ? 魔法の反動でちょっとね」

 腕の包帯が気になるのか、二人は興味津々で話しかけてくる。
 前回はちょうどゴーレムの腕を装着していたから、怪我に気付かなかったんだろう。

「そっか、兄ちゃんもまだまだ未熟だね」
「使い慣れてない武器は安易に扱うなって父ちゃんがよく言ってた」
「……そうだよね。今後は気を付けるよ」

 尻尾を振りながら耳に痛い忠告をくれる。
 包囲網を抜けるのに無理をし過ぎた。現に今も動きが鈍い。
 精霊魔法がいかに優れていても、使い手がこれでは力を貸してくれている彼女たちに示しがつかない。
  
 間合いを取りながら言葉を掛け合う、どうも二人は攻めあぐねている様子に見えた。
 
 手負いの相手とあまり戦いたくないのだろうか。不意打ちを避けわざわざ名乗り出たくらいだ。
 他の獣人たちと違い余裕がある。もしかしたら大人から事情も聞かされていないのかもしれない。

「ごめん兄ちゃん、怪我をしてても手加減はしないよ!」
「怖いおじちゃんに捕まえろって言われたんだ!」

 そう宣言してから、二人は左右に分かれ挟み込んできた。
 初戦の反省からか同時に攻める事はしない、数の利を生かした時間差攻撃。
 最初にロットが身軽な動作で蹴りを放ってくる。

「とりゃーー!」

 掛け声は可愛らしいけど威力は相変わらず馬鹿げていた。
 身を屈めて避けるも、風圧だけで激しい衝撃が襲いかかる。
 横に転がり岩槍グレイブランスを召喚、先端を地面に突き刺し反動で飛び上がり距離を取って着地する。

 その間に背後に回っていた小さな獣が接近してくる。
 
「逃がさないよ、必殺パーーーーンチっと見せかけて、えいっ!」
「め、目暗まし!?」
「単純な攻めは簡単に受けられるんでしょ? 兄ちゃんが言ってたことだよ!」

 ニーアは大胆にも至近距離で一度急停止、足で地面を蹴り上げ泥を飛ばしてきた。
 単純にして強力な目暗まし。目に入ったゴミを拭い取るのに致命的な隙を晒す。

「いいぞニーア! 今こそ同時攻撃だ!」
「これで終わりだあああああ!!」

 息を合わせた必殺の拳が前後から迫る。
 この距離で喰らえば人の身体では耐えられない。本当に手加減はないらしい。

 慌てて闇属性を展開する。幻影を生み出し回避してそれから――

「――はい、勝負はここでお預けです。大人しくするように。暴れたら落ちますよ?」
「にゃあああ、捕まったあああああ!」
「お、おろせぇ! い、いや落とさないでェ!」

 背後から見上げるほど大きな土人形ゴーレムが二人をつまみ上げた。
 獣人なのに高い所が苦手なのか、二人は全身の毛を逆立てて泣きべそをかく。
 ノート様が軽く脅しつけるとしゅんと大人しくなった。

「危ないところでした。ニノ、相手が子供だからといって侮ってはいけませんよ?」
「た、助かりました……!」

 本人たちは遊び感覚でも、こちらとしては命懸けだ。
 この子たちの成長力を甘く見過ぎていた。反省しないと。

「それに貴方は怪我で本調子ではないのですから。私の傍から片時も離れないでください」
「わわっ」
「兄ちゃん、精霊様、ごめんなさい!」
「高いよ、怖いよぉ!」

 ノート様は僕までゴーレムで優しく包み込む。
 ニーアとロットが駆け寄って来た。抱きつかれモフモフして暖かい。
 そのまま元いた小屋まで移動すると、既にそこには大勢の獣人たちが捕縛され転がっていた。

「ニノ見て! トル、頑張ったよ! 褒めて!」

 トルが僕に気付いて手を振りながら走ってくる。
 ゴーレムから降りると身体に衝撃。何度も頭を擦りつけてきた。
 頬を撫でてあげると蕩けるような表情で喜んでくれる。
 
「残念だけど私の方がたくさん捕まえたわ。トル、そこを退きなさい」

 指で数えながらフィアーも近付いてくる。
 どうやら捕らえた数で競い合っていたらしい。どうりでヤル気に満ち溢れていた訳だ。
 標的となった彼らには気の毒に思うけど。見たところ怪我はなさそうなので約束は守ってくれたみたいだ。

「むぅ……トルの方が、いっぱいだもん。フィアの負け!」
「ちゃんと数えたの? トルは十六、私が十八よ。私の方が二つも上よ!」
「……嫌、フィア来ないで。盗らないで」
「何でよ。そこから離れなさいってば! 勝った方が好きにできるって約束でしょ!?」
「それって僕の事? また人を裏で勝手に景品にして……」

 僕の所有権を巡ってお互い一歩も譲らない。
 睨み合う両者を無視してノート様は子供たちを地面に降ろす。
 その様子を見逃さなかったトルは腰を抜かして抱き合う二人を掴んだ。

「……これで十八だもん」
「なっ、卑怯だわ! それはノートの獲物でしょ!! 貴方いつからそんなズルを覚えたの!?」
「ズルくないもん! 早い者勝ちだもん!」
「捕らえた数でしたら私はこの子たちで二十を越えましたよ?」
「………え?」「……嘘っ!?」
「本当です。勝者としてニノは貰いますね」
「駄目!」「許さないわよ!」

 ノート様の参戦で、掴み合いの喧嘩にまで発展していた二人の動きが止まる。
 しばらく話し合い勝負は一旦お預けとして片付けられた。こういう時だけ息が合うんだから。

 よくよく見ると、ノート様の捕らえた獣人はニーアとロットの二人だけだ。
 ノート様は僕にしか見えない角度で指を口元に当てていた。
 フィアーもさっき自分で数えていたはずなのに、信用されているって強みだと思う。

「兄ちゃん、僕たちどうなるの?」
「……も、もしかして毛皮にされちゃう?」

 子供たちの腕を緩めに縛っていると声を掛けられた。
 怯え切った表情の二人に安心してもらえるように優しく頭を撫でる。

「少しだけここでじっとしてもらうだけだよ。安心して、痛いことは絶対にしないから」
「本当? でも失敗したら怖いおっちゃんに叩かれるよ?」
「嘘じゃない? 叩いたりしない?」
「しないしない。ここにいるお兄ちゃんは怖くないでしょ?」
「うん、でも精霊様は怖かった」
「死ぬかと思った」

 余程ゴーレムが怖かったのか疑心暗鬼が止まらない。
 というか僕たちは盗賊団以上に彼らに心傷トラウマを与えていないだろうか。
 何とか誤解を解消できないかと考え、まずは一人ずつ紹介していく事にした。

「ここにいる精霊様は優しい人たちばかりだよ。あそこにいるフィアーはね――」
「――魔力反応!? ニノ、避けてください!!」
「っ!!」

 ノート様の声が届くのと同時に、視界に大きく飛び込んだのは巨大な水の蛇だった。
 フィリスが昔使っていたのを覚えている。かなり攻撃的な精霊魔法だったはず。
 瞬時に避けようとして、位置関係的にこの場から動くのは不味いと判断した。

 その場に留まり義手を前に出して大蛇を掴む。
 拳の中で暴れる水属性を強引に抑え込み握り潰す。
 闇属性の魔光石が込められた腕だからこそできる荒業だ。

「これでも、かなりキツイか……!」
 
 ウィズリィ様の領域内だからなのか単純に威力が強い。
 蛇の消滅に合わさり、衝撃で義手が後ろに弾き飛ばされてしまった。
 腕の先端が裂け、血飛沫が舞うが思ったより傷は浅い。

「チッ、防がれたか。だが奴の腕一本は持って行ったぞ」
「ったくテメェは使い方が下手くそなんだよ。俺なら一撃で殺れていた」

 茂みからガラの悪い男たちが現れた。
 盗賊団の一味であることを示す赤い髑髏の刺青が腕に刻まれている。
 遠目に見てもそれはよく目立つ。わかりやすくて何よりだ。

「貴様ら、子供たちを巻き添えにするつもりだったのか! 何て非道な! 恥を知れ!!」

 一人の獣人が怒りを吐き出した。周りもそれに呼応する。
 僕があのまま避けていれば、水蛇は後ろの子供たちに直撃していたはず。
 威力から察するに五体満足では済まされなかった。受け止めて正解だった。

「あぁん? 助けに来てやったってのに、何だその態度は。ぶっ殺すぞ!?」
「揃いも揃って餓鬼に捕まっちまって。獣人ってのも大したことないんだな。ギャハハハ」

 男たちは倒れている獣人を蹴りつけ優越感に浸っている。
 もう人として最低限の理性も残されていないのか。これではただの獣――魔物そのものじゃないか。
 こんな連中に精霊様の力を扱われているのだと思うと、怒りがこみあげてくる。

「に、兄ちゃん……腕が……!」
「僕たちを庇ったせいで……!」
「大丈夫。実はアレ、作り物なんだ。外れたらまた付け直すだけだからね?」

 片腕がなくなった僕を見て、顔が真っ青になり泣き出してしまう子供たち。
 今の一撃で義手に損傷があれば、青くなって倒れるのは僕の方だけど。
 修理費だけで数ヶ月の貯金が吹っ飛ぶから。……命には代えられないから安いものだ。

「で、奇襲には失敗したみたいだけど、どうする? このまま僕たちと戦う?」
「ハッ、強がるなよ。今ので俺たちの強さが身に染みてわかったんじゃねぇのか?」
「腕がなくなってさぞかし痛いだろうなぁ? 楽にしてやろうかぁ?」
 
 どうやらこの二人は僕たちの事を何も聞かされていないらしい。
 もし、彼らが事前に情報を得ていたなら。奇襲に失敗した時点で即座にこの場を後にしただろう。
 何しろここには、人程度のちっぽけな存在では計り知れない、最強の精霊様がいるのだから。

「……殺す。殺すコロス。殺してやる! ……バラバラに切り刻んで泥沼の底に沈めてやる!!」
「ヒェッ…………な、何だこの寒気は……!?」
「あ……ああああ。こ、これは、ヤバくねぇか……俺は何も、き、聞いていないぞ!!」

 フィアーは低くくぐもった声を震えわせながら、深淵なる闇を引き出していた。
 その威圧感もさることながら、明確な殺意を剥き出しにしている。
 ここまで本気の姿を見せたのは光の精霊と戦った時以来だろうか。それをただの人に対して。
 
「……ニノ、大丈夫? 腕、持ってきた」
「トル、ありがとう。……よし、目立った傷はなさそうだ。流石、高価なだけある」
「フィアーが時間を稼いでいる間に後ろに下がりましょう。怪我をよく見せてください」

 トルとノート様に義手の取り付けを手伝ってもらいながら前方を見やる。
 男たちは圧倒的な魔力の前に無様にひれ伏していた。声も出せずただ惨めに震えている。
 今にも暴走しかけているフィアーを止めない辺り、ノート様も怒っている気がする。

「がぎゃあああああああああああああああああああ」

 そして惨劇が始まった。
 片手でトルを引き寄せ目を覆い隠す。赤黒い体液がこちらにまで飛んできた。
 男の両腕がありえない方向に曲がり、そして何度も捩じれ回転する。
 気味の悪い骨と肉の裂ける音が何度も何度も繰り返される。

「こ、これが闇精霊様の力……な、何て恐ろしいんだ……!」
「ひいっ……こ、殺される……次は俺たちが殺されるんだ……!」
「どうか我々にご慈悲を……!」

 いくらなんでもやり過ぎだ。
 子供を巻き添えにされて、怒りを露わにしていた獣人たちでさえも引いてしまっている。
 嘔吐する者。次は自分の番だと泣きだす者。許しを請いだす者まで現れ始めた。

「フィアーこれ以上はもういいよ! 僕は怪我なんてしていない! 腕だって付け直すだけだよ!」
「私の、目の前で、傷付けられて、許せるもんか!! 殺す、殺す、嬲り殺してやる!!」
 
 水蛇を受け止めたのは作り物の腕で、それはフィアーも知っているはずだ。
 それでも身体の一部が欠損する瞬間を見た彼女が、どういった心境になったのか想像するに容易い。

 例えばこれが襲われたのがフィリスだったとしたら。僕もきっと奴らを許せなかっただろう。
 自分の力に自信があるからこそ、それを防ぎ切れなかった自責の念もあるのかもしれない。
 だけどこれ以上はフィアーの為にも止めないといけない。

 徹底的にいたぶられた男の一人は血の海に倒れていた。
 フィアーに無理矢理立たされ、まだ無事だった足を踏み潰される。

「……めてぇくれぇ……ゆ……して」
「次は耳よ、その次は鼻、目は最後にしてあげる。……楽に死ねると思うな」
「あぁ……ああああ。く、来るな!! く、くるなあああああああ!!」

 フィアーはただ空気を吐き出すだけの肉塊となった男を投げ捨て、もう一人の男に冷たい視線を向ける。
 仲間の無残な姿を目の当たりにし、何度も転げ倒れながら男は精霊魔法を放ち逃げようとする。
 それも全てフィアーの前で霧散する。膨大な闇属性が力尽くに水属性を打ち消していた。

「ぐぅぎゃあああああああああああああ!」
  
 吐き気を催す肉の匂い。男の腕が溶けていた。
 腕だけじゃない、全身に小さな穴が生まれている。歩くのも困難になり倒れ伏す。
 強力な酸を含んだ濃霧が男の周囲を漂っていた、その規模が徐々に拡大していく。

「う、うわあああああ、霧がこっちにもくるぞ!」
「闇精霊様。お怒りを鎮めてください! どうか、どうか!」

 浸食が進みついには獣人たちまでも呑み込まんとしていた。
 もう誰が相手だろうと見境なく、ただ目に映る全ての生物を滅ぼそうとしている。
 僕が知識で知る歴史の中での人類の敵であった闇精霊そのものだ。

「フィアー! このままじゃ獣人たちも巻き込んじゃうよ! 正気に戻れ!!」
「コイツらだって、傷付けた、許せない。許せない! 同罪よ。全員、消えてなくなってしまえ!!」

 僕の声もフィアーには届かない。
 激情に駆られた少女に言葉だけの説得は通じない……なら取れる手段はただ一つ。

「まったく、世話のかかる精霊様なんだから……!」

 彼女が全力を出し切る前に、闇属性を振り払いながら傍に駆け寄る。
 いくら契約しているとはいえ、全身に浴びる闇はかなりの痛みを伴った。
 血反吐を吐きながら怒り狂う少女の前に立つ。

「いい加減に――――しろ!!」
「ニノ!? どうしてここに!? 今すぐここを離れ――はうう」

 闇を突破した僕の姿に驚くフィアー。その柔らかい頬を掴んで強めに引っ張った。
 それなりに痛かったのか目に涙を溜めながら、僕の腕をポカポカと叩き出す。

「やめでよ、わだじはニノのだめに……!」
「誰もこんなの望んでいない。周りを見なよ、みんな怯えているじゃないか! フィアーはこれでいいの? 嫌われて、恐れられて、このままじゃ誰も君の事を見てくれない! ずっと一人になってしまう」
「わ、私は、私にはニノがいてくれればそれだけで――」
「それじゃあ君は生きていけないだろ!? 僕に対する優しさをもっと他の人にも振り分けてよ……!」
「……ニノ?」

 真剣に瞳を覗き込みながら、目の前の少女を叱りつける。
 僕がここまで怒るとは思っていなかったのか、フィアーはただ茫然としていた。

 闇精霊の力の源は魔族と亜人の信仰力によるもので、それは彼女の人格の構成に密接に関わっている。
 
 フィアーの時より見せる残忍な性格は魔族のものに近い。
 子供は親の背中を見て育つもので、破滅の願いによって生み出された彼女には難しい注文なのかもしれない。
 それでもこの先、フィアーがこの世界で生きていく為には必要な事なんだ。

「僕はフィアーが本当は優しい子なんだって、色んな人たちに知って欲しいんだ。闇精霊は怖いだけの存在じゃないって。誰かの為に本気で怒れるなんてそうできる事じゃないんだよ?」
「……そんなの、他の連中に知られたくない。きっと……馬鹿にされる」
「そうかな? フィアーは可愛いし、友達もたくさん増えると思うよ」
「……ッ!! う、うるさい。お世辞なんか言われても、嬉しくない!」
「本当の事なのに……変なところで頑固なんだから」

 僕だっていつまでも一緒にいられる訳じゃない。
 昔のように人と敵対して最期には討ち滅ぼされる。そんな未来は想像するだけで悲しい。
 一人になる暇もないくらい、多くの友人たちを作って欲しい。そしていつまで幸せでいて欲しい。

 これは僕だけじゃない誰かの願いも込められている気がした。

「……ごめんなさい。もうこんな事はしないから……許して。私、ニノに嫌われたくない」
「それじゃあ約束。これからはむやみに命を奪わないこと、もちろん必要だったら僕は止めないよ。でもその時は周りに気を遣うこと。できる?」
「……約束する」 
 
 手を合わせてお互い契りを結び合う。
 それから僕の為に怒ってくれて嬉しかったと告げる。
 それで少しは気が晴れたのか、フィアーはちょっとだけ元気を取り戻した。
 
「フィアーがここまで素直に従うだなんて……。ニノ、貴方は本当に……」
「ノート様、どうかしましたか?」

 僕たちの様子を見ていたノート様の仮面の奥の瞳が揺れていた。
 表情は隠されているので、それがどういう意味を持つのかはわからない。

「いえ、私も手伝えなくてごめんなさい。頭に血が上っていたみたいで……まだまだ未熟ですね」
「フィア……怖かった」
「……怖がらせて悪かったわね。もう……暴れたりしないから」

 素直に謝るフィアーに驚きながらもトルは『いいよ』と返していた。
 それから倒れた男たちの元に向かう。大地が血で染まっていて近付くだけで靴が赤く汚れる。

「……この人はもう駄目か」

 最初の犠牲となった男は既に息絶えていた。
 余罪がどれだけあるのかは知らない。ただ捕まれば極刑になる可能性は高かった。
 冒険者が犯罪を犯すというのはそういう事だ。彼もわかっていたと思う。

「ニノ、この男は今すぐ治療すればまだ助かりそうです。小屋まで運びましょう手を貸してください」

 もう一人の男は、痙攣し全身の穴から血を流しながらもまだ息はあった。
 純粋な属性力による浸食で負った傷だ、ゴーレムを使うと干渉して傷が広がりかねない。
 けど力の抜けきった大人を運び出せるほど僕の身体は強くない。

「せーので持ち上げるよ、フィアーとトルも手伝って」
「わかったわ」
「うん」
「いくよ? せーの! お、重い……!」
「……駄目ですね」
「ニノ、疲れた」
「ちょっと、トル。諦めるのが早いわよ!」

 フィアーが一人で頑張っているけど、どうする事もできなかった。
 最悪ここで治療するしかない。しかし衛生的にあまりよいとはいえない。
 ここにいる獣人たちに手伝ってもらうのが一番手っ取り早いが、果たして承諾してくれるだろうか。
 
「少年よ、ここは俺に任せてくれ。あの資材置き場に運べばいいのだな?」
「わっ! いつの間に!?」

 頼み込む前に獣人の一人が男を担ぎ上げていた。そのまま小屋へと運び出してくれる。
 振り返るとほぼ全員がここに集まっていた。一応、縄で縛っていたはずなんだけど。

「兄ちゃん助けてくれてありがとう!」「ありがとう!」
「あの程度の拘束、ちょっと力を入れるだけで簡単に外せるさ。どうだい中々の演技力だっただろ?」
「いやいや捕まった時は本気で殺されるかと思ったぞ。まぁ少年に悪意がないのはわかっていたが」
「俺たちを助けようとしてくれていたんだよな? 流石にここまで手を抜かれていれば気が付くよ」
「奴らを懲らしめてくれてスカッとしたよ。ちょっと怖かったけど、やはり闇精霊様は偉大だ!」

 監視役がいなくなった為か、それぞれ思い思いに感謝を告げてくれる。
 抑圧されて相当鬱憤が溜っていただろうに、それでも男を助けるのに積極的に動いてくれる。

「闇精霊様、私からもお礼を言わせてください!」
「お、俺も!」
「祈らせてください!」
「ちょ、ちょっと。何で私の方に集まってくるのよ!? や、やめなさい! 恥ずかしいから!!」

 そしてフィアーは大勢に囲まれていた。祈られたり、平伏されたりと忙しい。
 魔族の血を引く亜人にとって闇精霊は神に近い存在。たった一度の過ちで見捨てられるはずがなかった。
 
 たとえ身体に流れる血による信仰心、恐怖心からくるものだとしても。
 きっかけがどうであれ、彼女の存在を許してくれる彼らのような味方が増えていけば。
 彼女が抱える闇を払ってくれるはずなんだ。少しずつ、一歩ずつ。変わっていけばいい。
 
「こっちは終わったよ……フィリス。あとは任せたからね」
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