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第二章
サンイラズ侯爵
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「さて、そろそろ行くぞ。大尉や少尉も直じきに来るだろうしな」
大尉と少尉とはマルタン商会で別れた。
手持ちの武器を預けに帝都の屋敷に寄ってから此処に来る事になっている。
俺もさっき聞いたばかりなんだけど、貴族主催の園遊会やパーティーで招待客は武器を持って来てはならない決まりなんだそうだ。
俺の刀は軍服と一緒にマルタン商会に預けてきたけど、大尉と少尉の武器は結構値が張るものらしくて預かってもらえなくて、仕方なく一旦屋敷に戻っている。
どうせ俺の刀は価値がないですよぉだ!
まぁ、それはおいて中将はこのままでいいんだろうか?
ドレスも着ないで軍服姿だけど。
「中将は軍服のままでよろしいのですか?」
「私は将官だからこれで十分なんだ。それにヒラヒラしたドレスはどうも好かん」
それが通るなら俺も勘弁して欲しかったな。
とは言っても、それより先に昇進しないとダメなんだろうけど。
でも、中将ならドレスの方が似合いそうだけどなぁ。
「中将のドレス姿はお預けですか。いずれ拝見したいものです」
「ふふふっ、見たければ私を嫁にでもするんだな」
中将が挑戦的な目で俺を見る。
相変わらず戯れが好きな人だなぁ。
しかし、ここで真面目に答えるのも野暮というものか。
「高嶺の花でありますな。しかし、小官は崖登りは得意でありますよ」
「ほぅ……これは大尉と少尉に恨まれるな……ふふふっ」
挑戦を受けられたと感じたのか、若干頬を紅潮させた中将がボソッと言った。
それにしても何で大尉と少尉が関係するんだろ?
まぁ、いいか。
きっと色々あるんだろう。
俺と中将は馬車を降りて、サンイラズ侯爵邸に入っていった。
「おや? これはジェニングス女男爵。遂に卿にも良い人ができたのか? 随分と若いようだが、あまり虐めてはいかんぞ」
屋敷のエントランスホールにいた身なりの良い中年男性が、中将に声をかけてきた。
「サンイラズ侯爵。お久しぶりでございます。お変わりないようで、何よりでございます」
中将が儀礼的な挨拶を返した。
この方がサンイラズ侯爵様か。
男爵様の寄親って聞いたから同系統の筋肉男かと思ってた。
「つまらんなぁ。たまには恋する乙女のような初々しい卿も見たいものだが。では、其方の連れ添いは誰かな?」
「小官は帝国軍所属ダウスター男爵領軍のリクト・シュナイデン軍曹であります」
俺は飛空艇で習った貴族式の礼を持って挨拶をする。
「おおっ! 貴官がシュナイデン軍曹かっ! オーマンの離叛騒動では随分と活躍したそうだな! ダウスター卿の寄親である私も鼻が高い! 今日はゆっくりするが良い! 後で私からも褒美をやるからな!」
満面の笑みを浮かべながら、俺の肩を叩いて話すサンイラズ侯爵様。
なんか想像してた貴族像ともかけ離れてるから、少し戸惑う。
俺をひとしきり褒めた後に、侯爵様は家令に呼ばれ、メインホールの方に行ってしまった。
「なんか思ってたより親しみのある方でしたね」
「軍曹。サンイラズ侯爵は帝国の外交面でのトップだ。清濁併せ呑むだけの度量がなければ務まらん。さっきの間にも貴官の有効的な使い道を考えていたはずだ。無理難題を押し付けられぬよう、油断せん事だ」
前言撤回だな……やっぱり、都会は怖い。
大尉と少尉とはマルタン商会で別れた。
手持ちの武器を預けに帝都の屋敷に寄ってから此処に来る事になっている。
俺もさっき聞いたばかりなんだけど、貴族主催の園遊会やパーティーで招待客は武器を持って来てはならない決まりなんだそうだ。
俺の刀は軍服と一緒にマルタン商会に預けてきたけど、大尉と少尉の武器は結構値が張るものらしくて預かってもらえなくて、仕方なく一旦屋敷に戻っている。
どうせ俺の刀は価値がないですよぉだ!
まぁ、それはおいて中将はこのままでいいんだろうか?
ドレスも着ないで軍服姿だけど。
「中将は軍服のままでよろしいのですか?」
「私は将官だからこれで十分なんだ。それにヒラヒラしたドレスはどうも好かん」
それが通るなら俺も勘弁して欲しかったな。
とは言っても、それより先に昇進しないとダメなんだろうけど。
でも、中将ならドレスの方が似合いそうだけどなぁ。
「中将のドレス姿はお預けですか。いずれ拝見したいものです」
「ふふふっ、見たければ私を嫁にでもするんだな」
中将が挑戦的な目で俺を見る。
相変わらず戯れが好きな人だなぁ。
しかし、ここで真面目に答えるのも野暮というものか。
「高嶺の花でありますな。しかし、小官は崖登りは得意でありますよ」
「ほぅ……これは大尉と少尉に恨まれるな……ふふふっ」
挑戦を受けられたと感じたのか、若干頬を紅潮させた中将がボソッと言った。
それにしても何で大尉と少尉が関係するんだろ?
まぁ、いいか。
きっと色々あるんだろう。
俺と中将は馬車を降りて、サンイラズ侯爵邸に入っていった。
「おや? これはジェニングス女男爵。遂に卿にも良い人ができたのか? 随分と若いようだが、あまり虐めてはいかんぞ」
屋敷のエントランスホールにいた身なりの良い中年男性が、中将に声をかけてきた。
「サンイラズ侯爵。お久しぶりでございます。お変わりないようで、何よりでございます」
中将が儀礼的な挨拶を返した。
この方がサンイラズ侯爵様か。
男爵様の寄親って聞いたから同系統の筋肉男かと思ってた。
「つまらんなぁ。たまには恋する乙女のような初々しい卿も見たいものだが。では、其方の連れ添いは誰かな?」
「小官は帝国軍所属ダウスター男爵領軍のリクト・シュナイデン軍曹であります」
俺は飛空艇で習った貴族式の礼を持って挨拶をする。
「おおっ! 貴官がシュナイデン軍曹かっ! オーマンの離叛騒動では随分と活躍したそうだな! ダウスター卿の寄親である私も鼻が高い! 今日はゆっくりするが良い! 後で私からも褒美をやるからな!」
満面の笑みを浮かべながら、俺の肩を叩いて話すサンイラズ侯爵様。
なんか想像してた貴族像ともかけ離れてるから、少し戸惑う。
俺をひとしきり褒めた後に、侯爵様は家令に呼ばれ、メインホールの方に行ってしまった。
「なんか思ってたより親しみのある方でしたね」
「軍曹。サンイラズ侯爵は帝国の外交面でのトップだ。清濁併せ呑むだけの度量がなければ務まらん。さっきの間にも貴官の有効的な使い道を考えていたはずだ。無理難題を押し付けられぬよう、油断せん事だ」
前言撤回だな……やっぱり、都会は怖い。
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