食うために軍人になりました。

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第四章

強者達

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「ちょっと待て。俺は今さっき陛下からこの手紙を貰ったんだぞ? それがなんで2年後なんだよ?」

「四勲章競合戦は4年に1度と決まっているからだ。テラーズが言ったように参加希望者は大勢いるからな。選定のためにそれだけ期間を空けている」

「4年は空け過ぎじゃないですか?」

「旦那様、帝国全土からたった15名しか選ばれないのですよ? 4年でも短いくらいです」

 そういうもんか?
 しかし、2年後か。
 うーん、なんかピンとこないなぁ。

「気を抜いている暇はないぞ、リクト。帝国全土ともなれば実力者も大勢いるのだ。あのルーストレーム並みの奴等もいるんだぞ」

「ほ、本当ですかっ!?」

 思わず身を乗り出して聞いてしまった。
 はっきり言って帝国でめっちゃ強い人って会った事ないから、正直強い人はいないのかと不安だったんだよねぇ。

「当たり前だ。南方のローゼンハイム、東方のバランディン、コクトー、オリオール、そして北方のテーニセンなど強者はいくらでもいるのだ。付け加えるなら別任務でテーニセンが北方を離れていなければ、共和国の侵攻を許す事はなかっただろうな」

 マジか?
 そのテーニセンって人は、あのルーストレームを退けれるくらい強いのか?
 でも、考えてみれば当然だよな。
 共和国にも百勇士とかいうエリート集団がいるんだから、帝国に対抗する戦力がないならとっくにやられちゃってるだろう。
 
「それだけ強い人達なら是非会ってみたいな」

「帝国は文字通り《常在戦場》ですからな。実力者が一地域に固まってしまうと他が手薄になります。ですから旦那様が他の方々とお会いになるのは、四勲章競合戦以外では少々難しいでしょうな」

「そういう事だ。今回、テーニセンを一時的とはいえ北方から離れさせたのも、代わりがいたからだしな」

「代わり……ですか?」

「お前の事だよ、リクト。テーニセンが抜けても最悪お前を北方に派遣すれば何とかなると思ったんだ。光栄に思え。お前はすでに先に言った奴等と同格であると私は認めているのだからな」

 う、うれしくねぇ……
 それって単に良いように使われるだけって事じゃないのか?
 軍人だから仕方ないけど、ポンポン任地を変えられるのも面倒だよなぁ。
 俺としては一地域に留まってのんびりと過ごしたいんだけど。

「そんな顔をするな。別に便利屋扱いしようとは思っていない。あくまで今回だけだ。その内、お前にはやってもらいたい事もあるしな」

「何をやらせていただけるのですか?」

「それは今は言えんな」

 陛下のニヤニヤした笑顔の裏に何か恐ろしいものを感じる……
 絶対碌な事じゃないな!

「差し当たって明日から高等士官学校できっちり色々と学んでこい。お前には特別に教官を2人、専属で付けてやったからな。ビシバシ鍛えてもらうが良い」

「専属の教官って普通じゃないですよね? いいんですか? そんな事して……」

「私は皇帝だぞ? これぐらいは命令出来るのだよ」

 ドヤ顔がうぜぇ……
 
 
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