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第五章
東の思惑
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「辺境伯についてはまだ確証がないから断言はできない。だが、西の謀反が陽動である事は状況的に見ても間違いないだろう」
「それにしても帝国の要とも言える方面軍をたかが陽動に使うなんて……随分と舐められたものですわね」
クリスティーヌの言う通りだ。
ジェニングス辺境伯もレッドウッド辺境伯もかなり怒っていたからなぁ。
南方を預かるローゼンハイム閣下も表には出さなかったけど、内心穏やかではなかっただろう。
この代償は高くつくぞ。
「しかし、先の話ではありませんが、フェンドラはどういうつもりなんでしょうか? 我々の目を西に向けさせ、その隙にジェニングス領を攻めたとしても占領維持は難しい筈です」
「そう言えばそうだよねぇ~大艦隊でジェニングス領に侵攻して占領できたとしても中央軍や方面軍、元帥軍とかが集結したら奪還は簡単だろうしぃ」
「奴等が戦争を仕掛けてくることは無いさ」
「えっ? そ、それはどういう事ですか?」
「フェンドラは貿易によって栄えた国家だが、軍事力はそれほど強くない。帝国と戦えば万に一つも奴等に勝ち目はない」
「別の目的があるって事ね」
「そう、奴等はゲリラ戦をやるつもりだ。工作員を使って盗賊やならず者を使って商店や商人を襲い、西の経済に壊滅的な損害を与えるつもりだ。そして経済疲弊したところで友好をアピールしながら金銭的援助をし、裏から西の経済を支配する。そして、そこを橋頭堡としていずれは帝国全土を経済的に支配するつもりなんだろう」
「ひ、卑劣なっ! 軍人の風上におけません!」
「なにそれぇ~、めっちゃムカつくぅ! やるんだったら正面から来ればいいのにぃ!」
「落ち着きなさい、お馬鹿さん。正面からだと敵わないから裏から来るのよ。作戦としてはわからなくもないわ。好きじゃないけどね」
怒ってるなぁ。
まぁ、この四人はタイプは違っても全員が直接戦闘を好むタイプだからなぁ。
こういう裏工作的な作戦は性に合わないんだろう。
「しかし、中佐。どうされますか? ゲリラ作戦ともなれば正規軍ではなかなか対応が難しいかと……」
「そうね。ゲリラ戦や少数の相手との戦いに慣れた指揮官が必要だわ。普通の軍人では翻弄されるだけで役に立たないわよ?」
「アリシアとクリスティーヌの言う通りだ。そこで、ちょいと詳しそうな奴等を助っ人に呼んだ。さっき魔導通信で連絡してこちらに向かわせている。明日の夕方には到着するだろうからその時に紹介する」
「どんな人達ぃ? 軍のゲリラ戦の専門家とかぁ?」
「帝都の暴徒鎮圧部隊でしょうか? それとも……」
「いや、彼らは万が一に備えて帝都防衛に当たる。呼んだのは俺の使用人だよ」
「し、使用人……ですか?」
「そう。楽しみにしているといい」
実は俺も楽しみにしている。
どうやら俺の知らない間にテラーズがあいつらに色々と仕込んだらしい。
さて、実力はいかに。
「それにしても帝国の要とも言える方面軍をたかが陽動に使うなんて……随分と舐められたものですわね」
クリスティーヌの言う通りだ。
ジェニングス辺境伯もレッドウッド辺境伯もかなり怒っていたからなぁ。
南方を預かるローゼンハイム閣下も表には出さなかったけど、内心穏やかではなかっただろう。
この代償は高くつくぞ。
「しかし、先の話ではありませんが、フェンドラはどういうつもりなんでしょうか? 我々の目を西に向けさせ、その隙にジェニングス領を攻めたとしても占領維持は難しい筈です」
「そう言えばそうだよねぇ~大艦隊でジェニングス領に侵攻して占領できたとしても中央軍や方面軍、元帥軍とかが集結したら奪還は簡単だろうしぃ」
「奴等が戦争を仕掛けてくることは無いさ」
「えっ? そ、それはどういう事ですか?」
「フェンドラは貿易によって栄えた国家だが、軍事力はそれほど強くない。帝国と戦えば万に一つも奴等に勝ち目はない」
「別の目的があるって事ね」
「そう、奴等はゲリラ戦をやるつもりだ。工作員を使って盗賊やならず者を使って商店や商人を襲い、西の経済に壊滅的な損害を与えるつもりだ。そして経済疲弊したところで友好をアピールしながら金銭的援助をし、裏から西の経済を支配する。そして、そこを橋頭堡としていずれは帝国全土を経済的に支配するつもりなんだろう」
「ひ、卑劣なっ! 軍人の風上におけません!」
「なにそれぇ~、めっちゃムカつくぅ! やるんだったら正面から来ればいいのにぃ!」
「落ち着きなさい、お馬鹿さん。正面からだと敵わないから裏から来るのよ。作戦としてはわからなくもないわ。好きじゃないけどね」
怒ってるなぁ。
まぁ、この四人はタイプは違っても全員が直接戦闘を好むタイプだからなぁ。
こういう裏工作的な作戦は性に合わないんだろう。
「しかし、中佐。どうされますか? ゲリラ作戦ともなれば正規軍ではなかなか対応が難しいかと……」
「そうね。ゲリラ戦や少数の相手との戦いに慣れた指揮官が必要だわ。普通の軍人では翻弄されるだけで役に立たないわよ?」
「アリシアとクリスティーヌの言う通りだ。そこで、ちょいと詳しそうな奴等を助っ人に呼んだ。さっき魔導通信で連絡してこちらに向かわせている。明日の夕方には到着するだろうからその時に紹介する」
「どんな人達ぃ? 軍のゲリラ戦の専門家とかぁ?」
「帝都の暴徒鎮圧部隊でしょうか? それとも……」
「いや、彼らは万が一に備えて帝都防衛に当たる。呼んだのは俺の使用人だよ」
「し、使用人……ですか?」
「そう。楽しみにしているといい」
実は俺も楽しみにしている。
どうやら俺の知らない間にテラーズがあいつらに色々と仕込んだらしい。
さて、実力はいかに。
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