食うために軍人になりました【一人称版】

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第七章

魔殻解放

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「リクトっ!?」

「リっくん?」

「……リクト様」

「あ、貴方って方は……っ!?」

 表に出ると懐かしい人達がいた。
 アリシア、ファンティーヌ、イリア、クリスティーヌ。
 中将と同じく、一年ぶりの再会だ。
 そのはずなのに、何でそんなに険しい顔してるんだ?

「あら? ヤキモチなんてみっともないわよ。お嬢ちゃん達」

「ルーストレーム。貴様というやつは、またそうやってリクトを!」

 えっ? ちゅ、中将までが怒ってる?
 なんで? 何が原因だ?

「おい、こら。お前はいつもそうやって、女をたらしているのか? 僕としては相棒パートナーが節操なしというのは嫌なんだがなっ!」

「フォ、フォルネアのせいでぶっ倒れてたんだから仕方ないだろ! 俺は相棒として、そのフォローを……」

「だったら、もういいだろ! さっさとその辺に下ろしとけ!」

 な、なんでフォルネアまで怒ってるんだよ……しょうがない。

「ルーストレーム。この辺でいいな?」

「ええ、ありがとう。この御礼はいずれするわ。何なら、今日の夜にでも……」

「お前……今度は死にたいようだな」

「フォ、フォルネア! よせ!」

「あら、怖い。そうね、戦士としては今は貴女に敵わないから引くわ」

 そう言うと、ルーストレームは軽い足取りで俺から離れた。
 普通に歩けたんなら、さっさと離れればいいものを、面倒なことだ。

「チッ、気に入らない! 全員その場を動くなよ! リクト、今すぐ始めろ!」

「始めろって、いいのか? 今の場所で?」

 皆んなが俺を囲むように立っているが、フォルネアの側にいるのはウォーレイク閣下だけだ。
 しかも、結構距離が近い。
 この位置だとヤバくないか?

「構わない! これも修行だ」

「そうか? なら、いいか。じゃあ、全員しっかり耐えろよ」

「耐える? 一体、何を……」

「魔殻、解放ぉおおおおお!」

 中将の質問に答えず、俺は魔殻を解放させた。
 腹の底から湧き上がった魔力は爆発したかのように一気に膨れ上がり、俺の周囲を縦横無尽に荒れ狂った。

「ぐあっ!」

「きゃあああああ!」

「くっ……」

「じょ、冗談でしょ!」

 周りから悲痛な声が微かに聞こえるが、俺の魔力はこんな程度じゃない。
 そして、これから戦う魔族どももそれは同じ。
 それを身をもって味わう必要がある。
 だから、容赦はしないぞぉおおお!
 
「うぁあああああああああああああっ!」

「ま、まだ上がるのかよっ! 化け物かっ!」

「か、神よ……こんな事が……」

 周囲を荒れ狂う魔力は更にその凶暴さを増していく。
 圧縮され高密度となった魔力は雷のように迸り、魔力の圧に負けた地面が抉れていく。
 いい、すごくいいぞ。
 この昂ぶり、この高揚感、そして魔力が身体の隅々まで行き渡って満たされていく充実感!
 まだだ、まだまだいけるぞ!

「うぉおおおおおおおおおおおおおっ!」

「リ、リクト……お前は……」

 膨れ上がっていく魔力は更に周囲の地形を変えていきながら暴れ狂っている。
 初めはこの魔力に振り回されて、死にかけたが、扱いがわかればどうって事ない。
 あとはこの暴れ狂っている魔力を、俺の身体の中に収めるだけ。
 一気に行くぜ!

「だぁああああああああああ!」

 俺を中心に全ての飲み込むような大爆発が起こると荒ぶる魔力は一気に消え去り、残ったのは変わった地形と舞い上がる土埃だけ。
 やっぱり外でやると影響がでかいなぁ。
 さて、皆んなは無事……げっ!
 いるのはフォルネアとウォーレイク閣下だけ?
 他の皆んなはどこいった!?
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