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魔の森 旅編
12話
しおりを挟むお昼になり、簡単に食事を済ませて、また歩いていく。
「流石にペース早くないですか?」
「大丈夫!早く森から出たいし!」
「そうですか。」
それから、早歩きで歩きながら、魔獣を見かけてもバレないように少し迂回して魔獣をかいくぐり、歩いていった。
ちなみに、アキとフェレーナの関係だが、一切発展しなかった。
「なんで?」
「さあ?」
「ねえ、なんでよー!」
「分かりませんよ。ぼくが嫌そうなの分かっててアキちゃんも嫌なんじゃないですか?」
「じゃあ、王子様、嫌そうにしないでよ!」
「無理ですよ。嫌なんですから。」
「っ、泣いていい!?」
「面倒臭いからやめてください。」
「酷いよー!」
「ほら、もう少しで外に出られますよ。」
「うそ!?」
「ホントですよ。ほら前、木が無くなってきていますよ。」
「ホントだ!やっとだー!」
昨日より早く歩いたからか、日が沈む前、夕方に森を出られた。
「やったー!」
「よかったですね。」
ようやく魔の森を出られた。
「「「あっ!!」」」
「ん?」
「「「フェレーナ様ー!」」」
「あれ?なんでお前達居るんだ?」
「誰?」
「あ、王子様、ごめんね、この子達は、父の商会の子達。わたくしの部下よ。」
「ふーん」
「っ、ぐすっ、フェレーナ様、っ、ホントに、無事で、よかったですーっ!」
「はいはい、なんでここに居るの?」
「オッサンに、『お前らの上司、魔の森に居るぞ』って、言われて、事情を聞いたら、金で雇われて魔の森に置いてきたって言われて。」
「そうだったの。」
「はい、嘘だと思ったんですが、御屋敷に行って執事さんに話しを聞いたら、フェレーナ様は、朝声を掛けに行った時には既に居なかったって言われて、本当なのかもしれないと思ったんで、此処で待ってました。」
「そう。ありがとう。」
「中まで入って探せば良かったんじゃないんですか?」
「は?なんだ、このガキ。」
「だって、そうでしょ。この人、歩いて2日ぐらいで森から出られるような浅い所に置いてかれてたんですよ。あなた達に助け出せるようにと浅い所に置いたんじゃないんですか?」
「なんだと?」
「魔の森で殺せって言われてたのなら、もっと深い所に置いて魔獣に食わせればお終いですからね。なのに浅い所に置いた。なんで助けに入らなかったんですか?」
「「「っ、」」」
「そんなに、責めないであげて。」
「ふぅー、では、貴方のお仲間が居るのなら、もうぼくは居なくて大丈夫ですね。では、さようなら。」
「ちょ、ちょっと待て!」
「では。」
魔の森を出てすぐの所に豪華な馬車が止まっていて、3人が馬車の周りに居た。
ハルとフェレーナが森から出てきたら、慌てて駆け寄ってきた。
フェレーナの安堵した表情を見てハルは、その場を後にした。
「え、っと、フェレーナ様、あの子供は?」
「彼は、わたくしをオークから助けてくれた方です。」
「「「え!?」」」
「オ、オーク、ですか…。」
「ええ。」
「じゃ、じゃあ、お礼をしないと!なんで、行かせたんですか!?」
「あの子は、わたくし達になんとか出来るような人物ではありませんよ。」
「「「へ?」」」
「彼は、父の商会を知らなかったのよ。」
「「「え!?」」」
「そのうえ、多分だけど、魔の森で生活していたと思うわ。」
「嘘だ…。」
「ホントよ。」
「なにを根拠に…?」
「目よ。」
「目、ですか…?」
「ええ。彼の目は、何も写していなかった。」
「どうゆう、意味ですか…?」
「彼は、多分だけど、虐待の末に捨てられたんだと思う。」
「え、」
「人間を信用してない。あの子が抱っこしてた猫がいたでしょ。」
「ええ、」
「あの子も人間を信用してなくて、彼に害をもたらすかわたくしをずっと観察していたわ。」
「そうなんですか…。」
「ええ、だから、あまり手を出し過ぎない方が良いわ。」
「わかりました。では、僕達も帰りましょう。」
「ええ。」
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