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39.私は今日も幸せです
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「おかあさまー、このハーブはどうするのー?」
「ああ、これはね……」
5歳になる私の可愛い娘、ローズがハーブを手に、とことこと歩いて来たので、私はローズを抱き上げて、説明をする。
昔、ハーブの知識をお母様に叩き込まれたように、私も娘にその知識を継いでいけるのが嬉しくてたまらない今日この頃。
「エルダー、ティナから手紙が来てるぞ」
「オリヴァー」
「あ、おとうさまーー!」
私たちの部屋に帰ってきたオリヴァー様が手紙を手にひょっこり顔を覗かせると、ローズは顔を輝かせて走って行く。
「おお、ローズ、またハーブのお勉強してたのか?」
「うん! わたし、おかあさまみたいになるのー!」
小さなローズを抱き上げると、オリヴァーは目を細めて娘の話に耳を傾けていた。
何気ない日常。私の幸せ。
一人ぼっちだった私は沢山の家族が出来て、オリヴァー様とは本当の家族にもなれた。
そんな幸せを胸に、私は妹からの手紙の封を開け、目をやる。
ティナも元気にやっているようだ。
「ティナ、何だって?」
「うん、来月の調合師学校の卒業式を視察に来る、ですって。アーヴィン様と一緒に」
「あそこはどうなってるんだろうな」
来月、私たちが作ったハーブの調合師学校が初めて卒業生を出す。
この国に調合師が誕生するおめでたい日だ。
オスタシスとはあれから良好な関係で、この卒業式にはアーヴィン国王陛下が視察に来るのが決まっていた。
その視察に、ティナもついて来ると手紙にあった。
アーヴィン様とティナは国王と聖女として、お互い独身のまま、仕事に打ち込む毎日だけど。
オスタシス国内では二人のロマンスが囁かれているのだと、ロジャーが教えてくれた。
聖女として頑張っているティナに、今度こそ幸せが訪れると良いな。
「ローズも、おかあさまのがっこうにいくのー!」
ティナのことを考えていると、ローズからそんな可愛いことを言われて、思わず頬が緩んだ。
オリヴァーを見れば、彼も同じ表情をしている。
「おとうさまとおかあさま、うれしそうねー?」
私たちの顔を交互に見て、ローズが笑う。
私たちはお互いの顔を見て、増々笑顔になった。
ローズを抱き上げたまま、オリヴァーが私を抱き締める。
「お父様もお母様も、ローズが笑ってくれていると幸せなんだ」
オリヴァーの言葉に胸が温かくなる。
私は本当に幸せで。その感謝を噛み締めていた。
「ローズにきょうだいができればもっとしあわせ、っておじさまがいってたー!」
ローズの言葉に、私はぎょっとする。
ローズにそんなことを吹き込んだのはライアン様だろう。
ライアン様とエレイン様の間には、お二人目のお子様が生まれたばかりで、オリヴァーとローズと三人で先日会いに行ったのだ。
「もう、ライアン様……」
顔を赤らめていると、オリヴァーがローズに笑って言った。
「そうだな、ローズも弟か妹、欲しいか?」
「ローズ、ほしいーー!」
「オ、オリヴァー」
無邪気に笑う旦那様とローズ。
赤くなっているのは私だけで、逆に恥ずかしい。
「エルダーも家族が増えたら幸せだと思わないか?」
「お、思う……よ?」
そんな聞き方、ずるい。
私は赤くなりながらも、オリヴァーに返した。
「卒業式を終えれば、しばらく落ち着くだろう?だから……」
「!」
ローズに聞こえないように、耳元でオリヴァーが囁く。
「もう、甘すぎる、オリヴァー!」
私は耳を押さえながら、真っ赤な顔でオリヴァーに返した。
「おかあさま、まっかー」
「真っ赤だな」
そんな私を他所に、ローズとオリヴァーは笑いあった。
「もう……」
溜息をつきながらも、私は二人の笑顔を見て、幸せを噛みしめる。
ああ、幸せだなあ。
ハーブに携われて、その力が人の役に立って、そして、愛する人の隣にいる。
そんな幸せがあるなんて、知らなかった。
ロズイエに嫁いで来られて、オリヴァーと結婚出来て、本当に良かったと思う。
「エルダー」
幸せを反芻するように二人を眺めていると、オリヴァーから声をかけられて視線を上げると、突然キスが降ってきた。
「?!」
「エルダーが綺麗でつい、したくなった」
目を塞がれ、首を傾げながらもキャッキャするローズを抱えながら、オリヴァーが熱っぽい視線でそう言うので、私はまた顔を真っ赤にした。
結婚して、家族が出来ても、甘々な旦那様に翻弄される毎日。
私は今日も、幸せなのです。
「ああ、これはね……」
5歳になる私の可愛い娘、ローズがハーブを手に、とことこと歩いて来たので、私はローズを抱き上げて、説明をする。
昔、ハーブの知識をお母様に叩き込まれたように、私も娘にその知識を継いでいけるのが嬉しくてたまらない今日この頃。
「エルダー、ティナから手紙が来てるぞ」
「オリヴァー」
「あ、おとうさまーー!」
私たちの部屋に帰ってきたオリヴァー様が手紙を手にひょっこり顔を覗かせると、ローズは顔を輝かせて走って行く。
「おお、ローズ、またハーブのお勉強してたのか?」
「うん! わたし、おかあさまみたいになるのー!」
小さなローズを抱き上げると、オリヴァーは目を細めて娘の話に耳を傾けていた。
何気ない日常。私の幸せ。
一人ぼっちだった私は沢山の家族が出来て、オリヴァー様とは本当の家族にもなれた。
そんな幸せを胸に、私は妹からの手紙の封を開け、目をやる。
ティナも元気にやっているようだ。
「ティナ、何だって?」
「うん、来月の調合師学校の卒業式を視察に来る、ですって。アーヴィン様と一緒に」
「あそこはどうなってるんだろうな」
来月、私たちが作ったハーブの調合師学校が初めて卒業生を出す。
この国に調合師が誕生するおめでたい日だ。
オスタシスとはあれから良好な関係で、この卒業式にはアーヴィン国王陛下が視察に来るのが決まっていた。
その視察に、ティナもついて来ると手紙にあった。
アーヴィン様とティナは国王と聖女として、お互い独身のまま、仕事に打ち込む毎日だけど。
オスタシス国内では二人のロマンスが囁かれているのだと、ロジャーが教えてくれた。
聖女として頑張っているティナに、今度こそ幸せが訪れると良いな。
「ローズも、おかあさまのがっこうにいくのー!」
ティナのことを考えていると、ローズからそんな可愛いことを言われて、思わず頬が緩んだ。
オリヴァーを見れば、彼も同じ表情をしている。
「おとうさまとおかあさま、うれしそうねー?」
私たちの顔を交互に見て、ローズが笑う。
私たちはお互いの顔を見て、増々笑顔になった。
ローズを抱き上げたまま、オリヴァーが私を抱き締める。
「お父様もお母様も、ローズが笑ってくれていると幸せなんだ」
オリヴァーの言葉に胸が温かくなる。
私は本当に幸せで。その感謝を噛み締めていた。
「ローズにきょうだいができればもっとしあわせ、っておじさまがいってたー!」
ローズの言葉に、私はぎょっとする。
ローズにそんなことを吹き込んだのはライアン様だろう。
ライアン様とエレイン様の間には、お二人目のお子様が生まれたばかりで、オリヴァーとローズと三人で先日会いに行ったのだ。
「もう、ライアン様……」
顔を赤らめていると、オリヴァーがローズに笑って言った。
「そうだな、ローズも弟か妹、欲しいか?」
「ローズ、ほしいーー!」
「オ、オリヴァー」
無邪気に笑う旦那様とローズ。
赤くなっているのは私だけで、逆に恥ずかしい。
「エルダーも家族が増えたら幸せだと思わないか?」
「お、思う……よ?」
そんな聞き方、ずるい。
私は赤くなりながらも、オリヴァーに返した。
「卒業式を終えれば、しばらく落ち着くだろう?だから……」
「!」
ローズに聞こえないように、耳元でオリヴァーが囁く。
「もう、甘すぎる、オリヴァー!」
私は耳を押さえながら、真っ赤な顔でオリヴァーに返した。
「おかあさま、まっかー」
「真っ赤だな」
そんな私を他所に、ローズとオリヴァーは笑いあった。
「もう……」
溜息をつきながらも、私は二人の笑顔を見て、幸せを噛みしめる。
ああ、幸せだなあ。
ハーブに携われて、その力が人の役に立って、そして、愛する人の隣にいる。
そんな幸せがあるなんて、知らなかった。
ロズイエに嫁いで来られて、オリヴァーと結婚出来て、本当に良かったと思う。
「エルダー」
幸せを反芻するように二人を眺めていると、オリヴァーから声をかけられて視線を上げると、突然キスが降ってきた。
「?!」
「エルダーが綺麗でつい、したくなった」
目を塞がれ、首を傾げながらもキャッキャするローズを抱えながら、オリヴァーが熱っぽい視線でそう言うので、私はまた顔を真っ赤にした。
結婚して、家族が出来ても、甘々な旦那様に翻弄される毎日。
私は今日も、幸せなのです。
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