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第2章 ゼンパンの素質とシークレットガチャスキル

第74話 中級ダンジョン『アクア』

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この世界にはダンジョンが溢れていた。
初級ダンジョン、中級ダンジョン、上級ダンジョン、災厄ダンジョン。ダンジョンには魔物が溢れている。そして定期的に魔物を倒さないと、魔物はダンジョンの外に出てくる。モンスターパレードという現象だ。

モンスターパレードが起きない様にダンジョン周辺の街では、定期的に魔物討伐の依頼を出している。もちろんリスクばかりではなくダンジョンにはメリットも多い。

一つ、出てくる魔物は1階層に付き1種類なので、対策が立てやすい
一つ、魔物は倒されると消えてなくなるが、魔石とたまにドロップアイテムを落とすので、素材の解体などの手間が省ける
一つ、帰還玉でいつでも入口まで戻れるので、比較的安全だ

メリットも多いので、利用する冒険者は多い。

「マリアもDランクになったし、中級ダンジョンに挑戦するのでいいのよね?」

「ああ。たしか中級ダンジョンはアクアマリンの街の近くにあるんだよな?」

「はい。丁度ここから王都に向かって進むと途中で、アクアマリンの街があります。そこの近くに中級ダンジョン『アクア』があります。」

「王国武道会まであと5ヶ月よね?ダンジョンに籠ったらギルドでしていた剣術の指導を受けれないけどそれはどうするの?」

「そうだな。今回は中級ダンジョンの攻略が目標じゃないから予定としては1カ月間ダンジョンに挑戦する。そして、次の1カ月はフロンダールで剣術の訓練しながらギルドで手頃な魔物討伐の依頼を受ける。ユリウスさんから王都の情報もききたいからな。そして、又ダンジョンに挑戦する。っていう感じが良いかなって思ってるよ。」

「そうですね。それなら格上の魔物との戦闘もできますし、剣術の訓練もできますね。」

「ああ。中級ダンジョンならEランクとDランクの魔物が出てくるし、ボスはCランクだろ?いろんな戦闘の経験を積んでおけば武道会でも役立つだろうしな。それに帰還玉もあるから正直ダンジョンの方が安全に魔物と戦える。お金はけっこう貯まってきたし、武道会対策を集中して行っても問題ないだろ。」

「そうね。それにダンジョン攻略は楽しいから私は賛成よ。特にラッキーのドロップが気になるわね。」

「そうですね。ラッキー様のダンジョンでのドロップ率は異常でしたから・・・。」

『俺はダンジョンよりもオークが狩りたいんだぞー』

通常、ダンジョンでは約10%の確率で魔物がドロップアイテムか帰還玉を残す。だいたいは通常ドロップと呼ばれるモノがドロップされるが、ごくまれにレアドロップ品を落とす事。更に稀に激レアドロップを落とす事がある。

レアドロップや激レアドロップは滅多に遭遇する事がないので、宝探し的な面からもダンジョンは人気が高かった。

そして、ラッキーの場合は運の数値が異常に高い。この世界の運の数値の上限は99だ。その中でラッキーの運の数値は890になっていた。

リスボーンのダンジョンを攻略している時は約8割の確率で魔物からドロップアイテムを手に入れる事が出来た。そして、フロンのダンジョンでは9割の確率で魔物からドロップアイテムを手に入れていた。

「そうだな。どういった感じになってるかわからないが、ダンジョンの最後の方は全然ドロップしなかったけどな。まあその辺はこれからアクアに挑戦すればわかるだろうな。」

「そうね。でも、ドロップした時は必ずレアドロップか激レアドロップだったじゃない?きっとラッキーの場合は通常ドロップがでないかわりにドロップした場合はレアドロップ以上が確定してるんだと思うわ。」

「はい。私もそう思います。」

フロンダンジョンで9割近くドロップしていたドロップアイテムだったが、ラッキーの運が890になったと同時に全くドロップしなくなったのだ。ラッキー達は不思議に思いながらも魔物討伐をしながらフロンダンジョンの攻略をしていた。その後、ラッキーが倒した魔物からドロップアイテムが出た場合は、必ずレアドロップだったのだ。

「そうだな。その点は俺もそんな気がしてるよ。その辺も色々まとめないといけないかもな。モンスターガチャスキルから出た素質だってけっこう偏ってるしな。同じ素質が出る確率が高いのも気になるし・・・。」

『俺はダンジョンよりオークを狩りたいんだぞーー。』

「そうね。ラッキーの運の数値が今は890って言ってたわよね?アクアのダンジョンでもきっとラッキーの運は上がり続けると思うわ。ゼンパンの素質はどんな文献にも載ってないから、手探りで検証していくしかないわね。」

(そうだな。俺一人じゃないんだ。シルフィーもマリアもリルだっている。相談しながら俺の素質の事をもっと理解していかないとな。素質の事、能力値の事、考える事はたくさんだな。それにしてもリルはダンジョンよりもオークか・・・アクアマリンの近くでもオークが出ればいいけど・・・。)

「そうだな。俺一人じゃ何もわからないからシルフィー、マリア、リル。協力してくれると助かる。」

「もちろんよ。」

「まかせてください。」

『俺にまかせるんだぞーー。』

ラッキー達は、フロンダールの街で準備を行い、ユリウスさんと情報交換し、1カ月後に戻ってくる約束をして、アクアマリンへ旅立ったのだった。
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