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41. 戦いながら求婚するのは反則です
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だが……黒い騎士たちは、数の上で圧倒的に有利だ。防具すら身につけていないジョーは、剣一つでその身を守っている。そのため、時折敵の剣が当たるようで、顔を歪め必死に耐えている。いつの間にか隊服の背中が破れ、血が滲んでいた。
さすがのジョーでも、この圧倒的多数の敵には勝てないのかもしれない。だけどジョーの負けは、ジョーの死を意味する。そもそも、ジョーを危険に追いやったのは私だ。ジョーを死なせてはいけない!
私は落ちている短剣を拾い上げる。私に出来るか分からないが……それを精一杯投げた。
私が投げた短剣は、ジョーを背後から狙っていた黒い騎士の鎧にガンッと音を立てて当たった。そして黒い騎士は、
「このクソ女!!」
怒りの矛先を私に向けた。そしてそのまま、剣を私に向けて突進してくる。
ジョーを少しでも守ろうと思ったのに、いざターゲットにされると言いようのない恐怖が襲った。丸腰で突っ立つ私に突進するこの騎士は……カーンといい音を立ててジョーの剣に跳ね飛ばされた。そして、ジョーは私の前まで来て、ぎゅっと私を抱きしめる。
「アン!もう離さないから!」
ジョーは私を抱きしめたまま、片手で剣を振るった。私はその体にしがみついたまま、幸せを感じている。
「アン!結婚してくれ!俺の側にいてくれ!!」
ジョーがあまりにも普通に言うから、その言葉が信じられなかった。だけど、それはずっとずっと私が待っていた言葉だった。
「ありがとう、ジョー」
ジョーに抱きしめられたまま、真っ赤な顔で告げる。その間にも、ジョーは片手間みたいに右手で剣を振るっている。ジョーはその噂通り、私の想像の遥か上をいく強さなのだろう。
「ジョー、大好きだよ!」
思わずそう告げると、ジョーはすごく嬉しそうに笑ってくれる。この笑顔が大好きだ。命が尽きるまで、このジョーの笑顔をずっと見ていたい。
甘い世界に浸る中、お兄様がまだ懸命にラッパを吹いていた。澄んで大きく響く音色は、山々に反響して何度も響いてくる。だが、お兄様の吹いた旋律とは違う音も、少しずつ聞こえてきた。もしかして、オストワル辺境伯領騎士団が助けに来てくれたのだろうか。
響くラッパの音は、次第に大きくなってきた。そして、気付いたら周りがさらに騒然としていた。
「ジョセフ団長!よくぞご無事で!!」
ひときわ大きな声が響き渡り、ジョーと私の周りを金色の鎧を着たオストワル辺境伯領騎士団が行き交う。それを見て、ようやくホッとした。オストワル辺境伯領騎士団は、ジョーのピンチを察して、総力を挙げて助けに来てくれたのだ。
ジョーは私を離し、すくっと背を伸ばす。その手には、どこからともなく血が滴り落ちていた。だが、その怪我にも負けないほどの凛とした声で、オストワル辺境伯領騎士団に呼びかける。
「ありがとう、よく来てくれた。
こいつらは、我らがオストワル辺境伯領と我が妻となるアン・ポーレットを傷付けるものだ。
オストワルの名に恥じぬよう、全力でかかれ!」
金色の騎士が怒涛のように押し寄せる。国内最強ともいわれるオストワル辺境伯領騎士団を前に、黒い騎士団は逃げるしかなかった。そして、勝負がつくまでは一瞬だった。
黒い騎士団の大半は捉えられ、残りは散り散りに逃げていった。ジョーによって折られた剣を持つ騎士団長も、例外なく捕らえられていた。
誰よりも多くの黒い騎士を打ち負かしたジョーは、彼らが縄で縛られるのを見て、ゆっくりと私に歩み寄る。
その顔は優しげで嬉しげで、先程まで死闘を繰り返していただなんてとても思えないほどだ。
「アン!」
ジョーは笑顔のまま私に手を伸ばして……崩れ落ちるように倒れた。
「えっ!?」
パニックを起こしながら、慌ててジョーに駆け寄る。
ジョーが倒れたところには、少しずつ血溜まりが出来はじめていた。ジョーはすでに意識がなく、微笑んだまま目を閉じている。
せっかく幸せになれると思ったのに。……私のせいだ。私のせいで、ジョーがやられてしまったんだ。
さすがのジョーでも、この圧倒的多数の敵には勝てないのかもしれない。だけどジョーの負けは、ジョーの死を意味する。そもそも、ジョーを危険に追いやったのは私だ。ジョーを死なせてはいけない!
私は落ちている短剣を拾い上げる。私に出来るか分からないが……それを精一杯投げた。
私が投げた短剣は、ジョーを背後から狙っていた黒い騎士の鎧にガンッと音を立てて当たった。そして黒い騎士は、
「このクソ女!!」
怒りの矛先を私に向けた。そしてそのまま、剣を私に向けて突進してくる。
ジョーを少しでも守ろうと思ったのに、いざターゲットにされると言いようのない恐怖が襲った。丸腰で突っ立つ私に突進するこの騎士は……カーンといい音を立ててジョーの剣に跳ね飛ばされた。そして、ジョーは私の前まで来て、ぎゅっと私を抱きしめる。
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ジョーがあまりにも普通に言うから、その言葉が信じられなかった。だけど、それはずっとずっと私が待っていた言葉だった。
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ジョーは私を離し、すくっと背を伸ばす。その手には、どこからともなく血が滴り落ちていた。だが、その怪我にも負けないほどの凛とした声で、オストワル辺境伯領騎士団に呼びかける。
「ありがとう、よく来てくれた。
こいつらは、我らがオストワル辺境伯領と我が妻となるアン・ポーレットを傷付けるものだ。
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「えっ!?」
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