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56. 故郷の皆さんから歓迎されました
しおりを挟むこうして、ポーレット侯爵邸に着いた瞬間、私とジョーは引き離された。そして私は小部屋に通され、黄金のドレスに着替えさせられる。髪も綺麗にアップされ、鏡に映った私はまるでお姫様だ。
だが……
「このドレス……派手ではないですか?」
思わず侍女に言ってしまった。
だが、侍女は満面の笑みを浮かべて答える。
「ヘンリー様が特別に準備されたのです。
ジョセフ様の髪の色をイメージしたドレスです」
そうなんだ……確かに、ジョーの流れるブロンドヘアと同じ色だ。そして、こんなジョー色のドレスを着ているのを見られるのが、恥ずかしくも思う。
それでも、お兄様がこんなに祝福してくださるのはすごく嬉しい。
「アン様。とてもお綺麗ですよ!」
なんて侍女に褒めてもらえたが……
準備を終えて扉の前に辿り着くと、消えたくなった。だって……そこにいるジョーは、それはもう神々しいほどかっこよかったから。
黒い燕尾服に白いタイを付け、そのブロンドヘアをセットしたジョーは、この世の者とは思えない輝きを放っていた。イケメンが着飾ったらこうなるのも事実だ。
そして、侍女の「お綺麗」という言葉を間に受けてしまった自分を呪った。
それなのにジョーは頬を染め、
「アン、綺麗だ」
嬉しそうに言う。そのまま抱きつこうとするから、慌てて身を避けた。
ジョーに綺麗だなんて言われると、からかわれているとしか思えない。そして、私は完全な見せ物だろう。人々は私を哀れな女と嘲笑うのかもしれない。
それなのにジョーが頬を染めて熱い目で私を見るから、目が離せなくなる。
そんなに嬉しそうに笑わないで欲しい。それを見ると、見せ物でもいいかと思ってしまうほどだから。
扉が開かれると一斉に拍手が湧き起こる。きっと、美しすぎるジョーを見てだろう、ため息すら漏れた。その中を、ジョーと手を組んで歩いた。
「アン様、おめでとうございます!!」
私はポーレット侯爵領にいなかったのに、みんなが祝福してくれる。
「アン様は、ポーレット侯爵領の平和に関する希望の星です!」
「それって、私がジョーと結婚するからだよね」
笑いながら小声でジョーに告げると、
「そうかもな」
ジョーも笑いながら答える。
「でも、アンはこの地ですごく歓迎されているようだ」
その事実がとても嬉しかった。私はヘンリーお兄様のお荷物でしかないのに、お兄様含めみんながこんなにも喜んでくれるなんて。
改めてお兄様の前に行くと、ジョーと同じように燕尾服を着ているお兄様は、固くジョーと手を握り合う。それでまた歓声が沸き起こった。
「ジョー、アン。今日は婚約披露パーティーだけど、無礼講だよ?
いっぱい食べて、いっぱい楽しんでいってね」
お兄様の言葉が嬉しかった。
お兄様、私はお兄様の妹で本当に幸せです。
ジョーと一緒に美味しい料理を食べ、お酒も少々嗜み、挨拶回りをした。
驚いたことに私がこの地にいたことを覚えていた人もいて、大きくなったと喜んでくれた。私の居場所はもちろんオストワル辺境伯領だが、ポーレット侯爵領にも居場所があると分かり、嬉しくなった。
こんな素敵なパーティーを開いてくださったお兄様に、感謝の気持ちでいっぱいだ。
ジョーはジョーで有名人のため、強そうな男性に囲まれていた。そして、剣の話や領地の話をしている。
人々はジョーを屈強な山男だと思っていたようで、爽やかイケメンを目にして驚くばかりだった。そして、ジョーが楽しそうにしているため、私は少し夜風に当たろうと外に出た。
ポーレット侯爵邸の中は煌びやかに照り輝いてお祭り騒ぎだが、外はもうすでに夜の帳が下りていた。
水面に反射する舟や家の光がゆらゆらと揺れ、それがなんだか幻想的だった。ここが私の故郷なんだ……
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