魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

9『オリエンテーション』

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 今日は一年生のオリエンテーションを兼ねて、近郊の森に採取に来ている。
 何故、今頃オリエンテーションなのか?それは入学時が初冬で、本格的な冬が近かったからに他ならない。
 だが今は春だ。
 森の植物は芽吹き、食べ物が豊富になった獣たちの行動は安定する。
 生徒たちも、準成人を迎えたものはギフト授与式でギフトを得て、職業を持つ事になる。
 これで、その生徒の将来への道が決定した事になるので、学院側も扱いやすくなるのだ。


「やっぱり私も……参加しなきゃ駄目なのかな」

 自分だけ個人行動したいアンナリーナだが、担当教官の目が光っている。
 まあ、クラスメイトのお守りを任されるよりはマシかもしれない。
 アンナリーナは集合地点に向かって歩き出した。

 いつものフード付きローブの下にはチュニックとレギンス。
 アイテムバッグをたすき掛けにし、ベルトには採取用のハサミやコテ、小型のスコップなどが収納されている。
 それと、ミスリル製のククリ刀。
 愛用のブーツは頼りない地面をしっかりと捉えている。

「主人、大丈夫ですか?」

 昨日ヒトガタをとれるようになったセトが、小さなリザードに姿を変えて、アンナリーナのローブの中、肩に留まっている。

「こんな浅い森に何か出るとは思えないし、適当に距離をとって時間潰しかな。今の時期ならちょうど新芽が出る頃だから良いのが手に入るかもしれない」

 その前に、クラスメイトたちに踏み潰される可能性の方が高そうだが。



 きゃぴきゃぴと、クラスメイトたちの賑やかな声にアンナリーナは辟易としながら森を進む。
 ちゃんと【探査】で周囲を窺い、危険がないか確認して進んでいる。

『主人、気づいているか?
 少し、変わった反応がある』

『うん、近づいて来ているから魔獣か獣だと思うんだけど……ちょっと変ね』

 微妙な地面の揺れを感じて、ようやく気づいたアンナリーナとセト。
 だがそれは一瞬遅かった。

「きゃあーっ」

「うわぁーっ」

 逃げ惑う生徒たちをなんとか集め、結界を張る、引率の教官たち。
 生徒の幾人かは怪我をしていて、特に “ 直撃 ”を受けた一人の怪我は酷い。

 急に土が盛り上がり、土砂を振りまきながら何かが土中から姿を現した。

「ワーム?!」

 それはアンナリーナが、話には聞いた事があるが見たことのなかったワームだった。それもかなりの大きさだ。

「冬眠明けの手頃なおやつとでも思ったのかしら?
 先生! これをやっつけたら、私にくれます?」

 こんな時に何を言っているのだろう。
 教官たちは訳がわからなかった。
 それほど彼らとアンナリーナの間には温度差があるのだが、軽いパニックに陥っている彼らにはわからない。

「皆も! このワームの権利を私に譲ってくれなきゃ、やっつけないわよ」

 どこまでも物欲まみれのアンナリーナである。

「わかった!代表して私が認める!
 早く討伐してくれ!」

「りょーかい」

 アンナリーナは考えていた、どうしたらこの珍しい素材を、損なわずに手に入れる事が出来るかを。

「血も欲しいから【血抜き】は駄目、急所がわからないからレーザーも駄目、一番良さそうなのは【サファケイト】だけど……地下に潜って生活しているワームに効くかわからない。
 でも、第一案は【サファケイト】だね。
 第二案は成り行きって事で」

 穴から身体を2mほど出して、アンナリーナに襲いかからんとするビッグワーム。それを一瞥したアンナリーナはひと言【サファケイト】と言った。

 苦しさのあまり、声にならない声で鳴くビッグワームは、それでも倒れ臥す事なく、アンナリーナは次の手に出る。
「【結界】そしてもう一度【サファケイト】」

 何が何でも無傷で手に入れたいアンナリーナはサファケイトにこだわる。
 今度はビッグワームを密閉空間に閉じ込めて魔力を強く込めたサファケイトで “ 息の根を ”止めにかかった。

『主人、インフェルノあたりで燃やしてしまいましょう』

『駄目よ、これは絶対このままで持って帰るの。こんな貴重な素材なかなか手に入らないでしょ?』

 まるで圧をかけるように、結界内を【サファケイト】で満たしていく。
 次第にビッグワームの動きが鈍っていき、その動きを完全に止めるまで一刻を要したがアンナリーナはしごくご機嫌だった。

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