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第一章

39.王太子の目論見ー確認編ー

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 アルベルトは、スノーベル侯爵家へ乗り込む前に、早急さっきゅうに確認すべきことを済ませようと該当の人物を呼び出した。

「アルベルト殿下、お呼びだと聞いたのですが……」

 グロリオーサ王宮の執務室で待機していたアルベルトの前に、グレース公爵家子息――ライモンドが連れて来られた。
 数日前、カトレアへの謝罪の場を設けて以降、アルベルトとライモンドに接触はなく、これがその後、初の対面である。

「わざわざご足労いただきありがとう。貴殿にはいくつか確認したいことがあって、このように召喚させてもらった」

 ピンと張り詰めた空気に、ライモンドは、今、己の目の前に座っているのが、グロリオーサ王立学園高等部の生徒ではなく、グロリオーサ王国王太子としてのアルベルトであると気づき、サッとその場に跪いた。
 ライモンドの案内をしてきた騎士たちが、音もなく後ろに下がり敬礼をする。

「ああ、お前たちはもう下がって良い。グレース公爵家子息殿、畏まった挨拶はそのくらいにして、そちらへ掛けてくれ」

 アルベルトは、騎士たちに指示を出して退出させ、ライモンドには己の向かい側のソファを示した。

「は、失礼いたします」

 ライモンドは立ち上がり、アルベルトの向かい側に腰を下ろした。

「回りくどいことはせず、単刀直入に問う。その問いは、貴殿には耳の痛いことかと思うが――これから私が行なう聴取は、ある重罪事件の調査に関わっており、公式に記録される。私の問いに、嘘偽りなく、隠蔽することもなく、全て正直に答えるように。よろしいな?」

「は、畏まりました。私――ライモンド・グレースは、此度のアルベルト王太子殿下からの問い掛けに、真実を偽ることなく、全て正確にお答えすることを宣誓いたします」

 ライモンドは右手を己の胸に当て、真っ直ぐアルベルトの顔を見据えて誓った。

「よろしい。では、まず一つ目の問いは――」

 アルベルトは、手元の書状を開示し、ライモンドの聴取を開始した。
 
 そして、次々と判明していく事実に、沸々ふつふつと湧き起こる怒りを何とか堪え、全ての問答を終えることができたのであった――
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