付喪神、子どもを拾う。

真鳥カノ

文字の大きさ
2 / 44
1巻

1-2

しおりを挟む
「甘いだろ」
「あま……い?」

 仕上げに入れた砂糖さとうの甘さは、子どもが喜ぶこと間違いなしだ。
 葛湯くずゆこごえた身体を温められるし、砂糖さとうをたくさん入れれば子どもが好きそうな甘い飲みものに早変わりする。剣はこの状況にぴったりの選択だと思った。
 だが、目の前の子どもは、不思議そうな顔で湯呑ゆのみの中をじっと見つめている。

「どうした? 甘いのは嫌いか?」

 剣がそうたずねるも、まだ子どもは首をかしげている。

(味がわからなかったのだろうか? それにしては、さっきは美味おいしそうに口に含んでいた。ではいったい、どうしたのだろう)

 剣が考えていると、子どもはおずおずと言葉を口にした。

「これ……『あまい』?」

 味をなんと表現するかわからなかったのか、と剣は合点がいく。

「そうだ……ほら、饅頭まんじゅうなんかと同じ感じがしないか? ケーキのほうがわかるか?」
「ケー……キ?」

 子どもの様子に剣は唖然あぜんとした。

(この子は自分の足で歩いてここまで来た。言葉もわかるようだし、詳しい年齢はわからないが、おそらく四歳か五歳くらいだろう。それなのに、甘いものの一つも食べたことがないとは……)

 剣はそんな風に考えながらも、このみすぼらしいちを思えば、うなずけることかもしれないと思った。
 どうしてこんなにせっぽちなのか、どうして甘いものも知らないのか。疑問はたくさんあるが、ひとまず今はそれらはわきに退けておこう。剣はそう思い、おどろいた表情を引っ込める。

「そっちの葛湯くずゆには、俺のよりずっとたくさんの砂糖さとうを入れたからとても甘いはずだ。その味が、『甘い』だ」
「『あまい』……さとう?」
「そう、砂糖さとう。どんなものも甘くしてしまう魔法の調味料だ」
「まほう⁉ ……ちょうみ……⁉」
「あ、いや、すまん。一度には無理だな。この最後に入れた白い粒々つぶつぶ砂糖さとうだ。めてみな」

 剣は砂糖さとうつぼを引き寄せて一つまみ取り出し、子どもの手にのせてやる。
 子どもはそれをじっと見つめて、ぺろっと口に入れた。

「!」
「な? こいつと同じで、『甘い』だろう?」

 剣がそう言うと、子どもはびっくりするほどの勢いで首をぶんぶん縦に振る。

「あまい……あまい!」
「そうか。『甘い』は好きか?」
「『すき』?」

 子どもは、またしても首をかしげてしまった。

「あ~つまり……もっと飲むか?」
「!」

 子どもは目をキラキラ輝かせて、湯呑ゆのみの中身を一気に飲み干して、空の湯呑ゆのみを剣によこす。

「わかったわかった。じゃあそれを飲んでる間に、今度は何か食べるものを作ろうな」

 剣はもう一度同じ手順で葛湯くずゆを作ってやりながら、あれこれ思案していた。
 甘くて、胃に優しくて、食べやすい、見た目も食欲をそそるもの……
 子どもが顔をほころばせて葛湯くずゆを飲む姿を横目に、剣は冷蔵庫の中身と今日の献立こんだてを相談し始めるのだった。


     ❖


 剣は視線を感じていた。自分の手元を穴が開くほど見つめる小さな目が二つ。
 さっきまで音を立てて葛湯くずゆを必死に飲んでいたが、もう飲み干したらしい。
 剣は少し困ってしまう。葛湯くずゆは熱々だったから飲み干すまでもう少し時間がかせげると思っていたのだ。土鍋どなべに米を少し入れ、たっぷりの水と昆布こんぶを入れて火にかける。
 煮立つまでの間に、ニンジンとネギを刻んでいると、子どもの視線を感じるようになった。まな板がトントンと鳴る音が気になったらしい。

「……見るか?」
「!」

 剣がちょいちょいと手招きして呼ぶと、子どもは調理台の近くまでおずおずと寄ってくる。少し背伸びをして、かろうじて目が調理台より上にくるくらいだ。調理台に置いた手にほっぺたがちょこんとのっているさまに、剣は少し笑いそうになりながらも、包丁ほうちょうを動かし続ける。
 ニンジンを短冊切たんざくぎりからさらに細かく刻み、まな板の端に寄せていく。橙色だいだいいろの山がどんどん大きくなる様子を、子どもは目を見開いて見ていた。土鍋どなべの隣で火にかけていたもう一つのなべに、醤油しょうゆやみりん、砂糖さとうを入れると、子どもは何かに気付いたようだった。

「さとう?」
「そう、砂糖さとうだ」
「あまい?」
「甘いと思うぞ」

 その言葉を聞くと同時に、子どものほほが少し赤くなる。喜んでいるようだ。剣は内心で『よしよし』と思いながら、砂糖さとうに続いてさっき切った野菜を入れる。

「ここからちょっと待つ」

 剣がそう言うと、子どもは小さくうなずいた。
 さっきからやけに従順じゅうじゅんだ。おそらく、葛湯くずゆの時点で大分と心を……いや胃袋いぶくろつかんでしまったらしい。剣にしてみれば、葛湯くずゆだけでつかんでしまったというのは少し張り合いがない。本当に胃袋をつかむのは、この料理を食べてもらってからだ。そう思っていた。
 なべが両方ともぐつぐつ音を立てると、子どもは目をぱちくりさせて、のぞもうとする。
 剣は作っておいた白い液体をなべに注ぎ入れた。

「それ……」

 子どもは先ほどの葛湯くずゆに使った葛粉くずこをちらっと見る。

「これはちょっと違う。水溶き片栗粉だ」
「……?」
「まぁ見てな」

 流し込んだ水溶き片栗粉を軽く混ぜ合わせ、そこに今度は溶き卵を流し込む。すると、黄色い卵がふわっとなべの中に広がり、先に煮ていたネギやニンジンを優しく包み込んでいった。
 そして、折よく土鍋どなべのほうもいい具合に仕上がったようだ。

「できたぞ。そっちに座りな」

 子どもが先ほど座っていた場所にきちんと座るのを見届けて、剣は土鍋どなべをテーブルまで運ぶ。
 そして、わくわくしているような、緊張しているような面持おももちの子どもの目の前で、ふたを取る。中から現れたのは、とろっと煮立てた真っ白な白粥しろがゆだった。
 雪原のような米から、吹雪のような湯気ゆげが勢いよく飛び出して、子どもの鼻先をかすめて消える。しかし、この真っ白な湯気ゆげは吹雪とは違い、とても温かい。湯気ゆげが落ち着くと、剣は深皿に白粥しろがゆすくる。
 作ったのは八分粥はちぶがゆ。口に含めば、たちまちめてしまうほどやわらかく仕上がっている。
 そして、その上に流しかけるのは、小さく刻んだ野菜が入ったとろとろのあんだ。緑、黄色、赤……鮮やかな野菜と卵が絡み合ったあんは、まるで草木や花を閉じ込めた琥珀こはくのようだ。

「さあできた。卵と野菜のあんかけがゆだ」

 剣がそう言うと、子どもは目玉が落っこちてしまうのではないかと心配になるぐらい、料理を一心に見つめている。口もあんぐり開けている。
 やわらかい白粥しろがゆに、醤油しょうゆとみりんと砂糖さとうで甘く味付けしたあん。その優しい香りは、子どもの鼻孔びこうを刺激してやまないようだった。見た目も美しく、単なる白粥しろがゆよりは食欲をそそるだろう。そう考えていた剣を、子どもはキラキラ光るひとみで見つめて、言う。

「これ……たからばこ?」
「さ、さぁ……そこまでは、どうかな?」

 剣は言葉をにごしたが、子どもはそうに違いないという目で皿を見つめる。
 そして剣が目の前にれんげを置くと、子どもは待ちきれないというように白粥しろがゆ頬張ほおばった。

「‼」

 子どもはさっき初めて葛湯くずゆを飲んだときと同じ反応をする。熱かったのだ……
 はふはふっと、口の中に冷気を取り込もうと必死になりながらも、口の中のものを決して出そうとはしない。

「熱いだろ。ふーふーってしながら食べるんだよ」

 子どもの口の中を案じつつ、剣は安堵あんどしていた。

(よかった、また一つ、役目を果たせた)

 剣は包丁ほうちょう付喪つくもがみ。数々の料理人の技術と知識、そしてたましい顕現けんげんした存在である。
 そんな剣にできることは、料理を作ること。ただそれだけなのだ。

「ご飯粒、ついてる。逃げないから、落ち着いてゆっくり食べな」

 小さなほほをそっとぬぐいながら、剣はそんなことを思うのだった。



   第二章 まっしろうどん


 もくもくのぼるけむり……じゃなくて『ゆげ』のむこうは、同じくらいまっしろだった。
 まっしろな中にときどき黄色と緑、そしてまたしろい……タコみたいなものがふんわり浮かんでる。まるでどこまでもどこまでも続く雪の野原みたい。
 だけど雪とはちょっとちがう。
 これは、ちょっぴりあまい匂いがする。
 それに、どこを食べてもあったかくて、ぽかぽかするんだ。


     ❖


「よしちびっ子、風呂に入るぞ」
「ふろ?」

 おかゆを食べて少し血色が戻った子どもを、今度は洗ってやらねば。剣はそう思い、食後に一息ひといきついている間に湯を溜めておいたのだ。風呂という単語にピンときていない子どもを引きつれ、剣は風呂場へ向かう。だが剣はこのとき、重大なことを見落としていた。
 手早く自分の準備を済ませ、子どもの準備を手伝う。改めて見ても、おどろくほど小さく細い。見た目では幼稚園児ぐらいに見えるが、実際はもう少し年齢は上かもしれない。
 この子どもは思いのほか受け答えがしっかりしているので、たずねれば自分についてもう少し話してくれるかもしれない。それには裸の付き合いがもってこい――そんな風に思って、剣は大胆に子どもの服を取っ払ったのだが……

「‼」
「?」

 固まる剣を、子どもは瞬きしながら見つめる。

「……おまえ……女の子、か……?」
「……?」

 子どもは、まだきょとんとしていた。かたや剣は、頭の中を整理する。てっきり男の子かと思っていたが、現実を目の当たりにしてしまっては気にしないわけにはいかない。

(風呂に入れるのは俺でいいのか? 洗ってやってもいいのか? いや違う。それ以前に、連れて帰ってきてよかったのか?)
「……っくしゅん!」

 剣が脳内で様々なことを巡らせていると、くしゃみの声がそれらを打ち消した。子どもも自分も裸のままだ。ここにいたら風邪を引いてしまう。

(――ええい、ままよ!)

 剣は子どものためと自分に言い聞かせて、子ども――改め少女を風呂場へとうながす。
 洗い場でお湯をかけてやり、もうかなくても済むように、まず体を洗ってやることにした。だが少女の背中にはりついたあかはなかなか落ちない。
 途中で一度湯船につからせると、湯はおどろくべき色に変色した。剣は丹念たんねんに、ゆっくり背中と頭をごしごし洗う。その間少女は、嫌がる素振りを一つも見せずに、むしろ心地よさそうにしていた。

「なあ、おまえ……名前は?」
「……なま、え?」
「ああ、名前だ」

 たずねる剣を、少女は不思議そうな目で見上げる。どうもこの問いに対する答えを持っていないらしい。

「名前……わからない、のか? お父さんやお母さんからなんて呼ばれてる?」
「……? 『はい』?」
「え……」
「『ほら』?」
「……なんだ、そりゃ……」

 剣はおどろきのあまり手を止める。しかし少女はどうして剣がおどろくのかわからず、戸惑とまどっているようだった。

「じ、じゃあ……お父さんとお母さんは? 一緒にいたのか?」
「……おとう、さん……?」
「お父さんは……いないのか? じゃあお母さんは?」
「おかあさん……ない」

 少女は、『お母さん』という言葉に反応し、大きく首を横に振った。

「どういう……ことだ……?」

 疑問は解消するどころか深まるばかりだ。だが今は、とにかく子どもを洗うことに全力を注ぐことにする。
 風呂から上がると、少女は剣が用意した大きすぎる服にくるまれて、あっという間に眠りについてしまった。きっと疲れたのだろう。静かな寝息を立てる姿を見届けて、剣はスマートフォンを手にする。このままではいけない。まだ小さいから両親の居場所や元いた場所がわからないのかもしれない。きちんと大人が探し出さなければ。
 そう思い、剣はとある番号に電話をかけた。

『もしもし――』

 短い呼び出し音のあと、声が聞こえる。

「もしもし、ちょっと頼みたいことがあるんだが――」

 剣は電話口の人物に、そう切り出すのだった。


     ❖


 翌日。日が高く昇っても、少女はまだ眠っていた。
 剣はそのまま寝かせてやることにした。無理に起こしても自分には何もできない。
 せこけたほほは痛ましいが、それは食べれば治っていくはずだ。
 しかしこれから先、この少女にそれができるのだろうかと剣は密かに案じていた。

(親元に帰ることで不自由なく食べられるようになるのか。いやそもそも、親元に帰してやれるのか――)

 すると、剣の不安を払拭ふっしょくするように、能天気な声が玄関から聞こえてきた。

「ちはーっす。剣、来たぞー」

 剣は少女を置いて、玄関へ向かう。
 そこに立っていたのは、片手にスーパーの大袋を抱えた、剣と同年代の長身の男だ。ジーンズとダウンジャケットを身につけ、髪はセミロングまで伸びているが清潔感がある。彼こそ、剣が昨晩連絡を取った相手だ。

「すまんな、突然」
「ちょうど前の依頼も終わったところだ。代金はその自慢の腕による手料理ってことにしといてやる。あ、それと頼まれてた諸々もろもろも買ってきてやったぞ」
「やっぱり、それが目当てか。あと、買い出しありがとな。まあ、上がってくれ」

 剣は男の持つ袋を受け取ると、そのまま居間に通す。客間に案内するほどかしこまった間柄ではない。彼は居間につくなり、こたつに遠慮えんりょなく足と手を突っ込み、冷えた末端まったんを回復させていた。

「で……伊三次いさじ、どうだった? 何かわかったか?」
「わかるわけないだろうが、なんの情報もないってのに」

 この男の名は伊三次。普段は『菅原すがわら伊三次』と名乗っている私立探偵しりつたんていだ。剣とは浅からぬ縁があり、困ったことがあると料理を代金代わりに、色々と手助けしてもらっている。

「ただまぁ、この近辺を探ったところ、子どもが行方不明になっている家庭はなかったな」
「そうか……じゃあご近所ではないんだな」

 剣はまだ安堵あんどしていないものの、少しだけ不安が消えた。近所にあんな不憫ふびんな子がいて、それを見逃していたとは思いたくない。

「!」

 ふと、居間の襖付近ふすまふきんで、誰かが息をむ気配がする。あの少女だ。

「ああ、起きたのか」
「へえ、この子が?」

 剣が少女に声をかけると、伊三次が視線を向ける。
 汚れは落ちたものの、男物のシャツを着ているちぐはぐなちを、伊三次は興味深そうに見つめる。少女は、伊三次の視線に身をかたくしたが、伊三次は構わずじろじろと全身を見回していた。一応、これは探偵たんていという職業上のくせであって、決してやましい性癖せいへきがあるわけではない。少女がおびえているのを見かねて、剣が間に割って入る。

「はいはい、そこまでだ。知らない人間から見たら、おまえすごく怪しいぞ」
「なんだと? 現状で言えばおまえのほうが『変質者』だぞ。こんな小さい女の子を警察けいさつにも届けないで勝手に家に連れ込んで……」

 伊三次にそう言われ、剣は顔をしかめる。
 確かにそのとおりだ。そして、それこそが、剣が伊三次を呼んだ最大の理由だった。
 昨今、近所づきあいが希薄化きはくかし、児童誘拐じどうゆうかいなどの事件も少なくはない。迷子を見かけたら警察けいさつに届け出て、子どもを引き渡すのが普通だ。未成年者を、警察けいさつや保護者の許可なく、届け出もせず、家に連れ帰るなど言語道断ごんごどうだんなのだ。相手は小さな女の子で、剣は大柄な成人の男の姿をしている。どこからどう見ても罪に問われてしまうだろう。
 しかし、そうは言っても剣は付喪つくもがみである。身元を証明できるものなど持っていない。こういうときに警察けいさつになんて話をしたらよいものか。

「で、俺に両親をさがさせて親元に帰し、何事もなかったことにしたいわけだ」
「ところどころ言い方にとげがあるが……まぁそうだ」
「しかしなぁ……」

 伊三次がちらりと少女に視線を向ける。

「……なんだ?」
「いや、なんでもない」

 そう言うと、伊三次は口をつぐむ。剣はそれ以上問おうとはしなかった。
 一方、少女は剣と伊三次を見比べている。話している様子を見て、どうも怖い人間じゃないと察してきたようだ。

「こっち来な。寒いだろう」

 剣は自分の横に少女を呼び寄せ、こたつに入るようすすめる。うながされるままこたつに足を入れると、少女はまたしてもおどろいていた。

「あったかいだろ」
「『あったかい』……?」
「あ~……ぽかぽかするか?」
「『ぽかぽか』?」

 どの言葉もピンと来てはいないようだが、少女はとにかく温かいその空間が気に入ったようだった。

「よしよし。じゃああったかいものを飲まないとな。ちょうど、そのおじさんがいいもの買ってきてくれたところだ」
「おい、『おにいさん』だろ」
「……おまえ、いくつだ?」
「……」

 剣が問うと、伊三次はむすっとしてだまむ。
 先ほど『変質者』呼ばわりされたことへの、ささやかな仕返しは成功したようだ。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。