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パーティーでは淑女を演じさせていただきます
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夕映は、初めて目にした旭の想い人の姿にぽかんと口を開けたまま、信じられないといったように何度も瞬きを繰り返した。
「せ、先生……なんですか、あの人は!」
「静かに」
つい大声を上げる夕映に、しっと言いながら右手の人差し指を口元にあてる旭。そんな旭は、約束通り18時に夕映を迎えに行った。スーツに身を包んだ旭が小柳家のインターフォンを鳴らし、母親に挨拶をした。
「先生、すみません! 夕映がわがままを言ったみたいで。同期の方との大切なパーティーなんでしょう?」
詳しい事情を話せるはずのない夕映が母親に適当な理由でパーティーへの参加を話したものだから、母も戸惑うばかりだった。
断ろうにも旭の連絡先はわからず、だからといって私用で病院に電話をかけるわけにもいかず、とうとう当日を迎えてしまった。
旭と約束している以上、当日になってから断るのも失礼だからと夕映に支度をさせたものの、母は深々と頭を下げた。
「いえいえ、とんでもない。参加自由のパーティーですし、4月からは晴れてうちの病院の職員になるわけですから。全く無関係というわけでもないですしね」
「まぁまぁ、本当に何から何までお世話になって。ここ1ヶ月ずっと楽しみにしていたものですから……先生にはご迷惑をおかけしますが、母としてはありがたくも思っております。手術を決めた時にはずっと部屋にこもって随分落ち込んでいたものですから」
家を出る前に御手洗に寄ってくると言ってその場を外した夕映がいない内に、母はこそっと旭にそう言った。
「せ、先生……なんですか、あの人は!」
「静かに」
つい大声を上げる夕映に、しっと言いながら右手の人差し指を口元にあてる旭。そんな旭は、約束通り18時に夕映を迎えに行った。スーツに身を包んだ旭が小柳家のインターフォンを鳴らし、母親に挨拶をした。
「先生、すみません! 夕映がわがままを言ったみたいで。同期の方との大切なパーティーなんでしょう?」
詳しい事情を話せるはずのない夕映が母親に適当な理由でパーティーへの参加を話したものだから、母も戸惑うばかりだった。
断ろうにも旭の連絡先はわからず、だからといって私用で病院に電話をかけるわけにもいかず、とうとう当日を迎えてしまった。
旭と約束している以上、当日になってから断るのも失礼だからと夕映に支度をさせたものの、母は深々と頭を下げた。
「いえいえ、とんでもない。参加自由のパーティーですし、4月からは晴れてうちの病院の職員になるわけですから。全く無関係というわけでもないですしね」
「まぁまぁ、本当に何から何までお世話になって。ここ1ヶ月ずっと楽しみにしていたものですから……先生にはご迷惑をおかけしますが、母としてはありがたくも思っております。手術を決めた時にはずっと部屋にこもって随分落ち込んでいたものですから」
家を出る前に御手洗に寄ってくると言ってその場を外した夕映がいない内に、母はこそっと旭にそう言った。
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