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友達、あげようか?
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今の私は1人ぼっちだ。そう思うと更に泣けてくる。詩や希星に相談することはできても解決にはならないし、友達でもないから気を遣う。
「ま、全くいないってわけじゃないんでしょう?」
「いないようなものです……院内に仲良くしてくれる友達でもいればよかったんですけど……。先輩は先輩ですし……」
「まぁ……そうね」
それだけ言って希星も黙ってしまった。まさか本当に友達が全くいないとは思ってもみなかったのだ。夕映はとても元気で明るく、笑顔の絶えない子だった。だから、就職後にこんな姿を目の当たりにすること自体驚いた。
希星がいつでも話を聞いてあげられるわけではないし、主治医と患者の間柄を利用したと他でも言われようものなら、夕映の立場は更に危うくなるだろうとにっちもさっちもいかない状況に頭を悩ませた。
どうしたものか……そう思ったところに1人思い当たる人物がいた。友達と呼ぶには程遠いが、先輩でもなく主治医でもなく、まして肩書きだけの彼氏でもない。どのポジションにも属さない院内の人間がいたことに気付いた。
「あ……ねぇ、友達あげようか?」
「……え? 友達……ですか?」
夕映は、不思議そうに目を瞬かせた。友達というものは、あげようと思ってあげられるものなのかと疑問が募る。
「院内じゃなんだからさ、ちょっと会ってみない? 悪いヤツではないからさ」
「……ヤツ?」
垂れてくる鼻水を啜りながら、夕映は希星の思い浮かべている人物を想像できずにいた。
「ま、全くいないってわけじゃないんでしょう?」
「いないようなものです……院内に仲良くしてくれる友達でもいればよかったんですけど……。先輩は先輩ですし……」
「まぁ……そうね」
それだけ言って希星も黙ってしまった。まさか本当に友達が全くいないとは思ってもみなかったのだ。夕映はとても元気で明るく、笑顔の絶えない子だった。だから、就職後にこんな姿を目の当たりにすること自体驚いた。
希星がいつでも話を聞いてあげられるわけではないし、主治医と患者の間柄を利用したと他でも言われようものなら、夕映の立場は更に危うくなるだろうとにっちもさっちもいかない状況に頭を悩ませた。
どうしたものか……そう思ったところに1人思い当たる人物がいた。友達と呼ぶには程遠いが、先輩でもなく主治医でもなく、まして肩書きだけの彼氏でもない。どのポジションにも属さない院内の人間がいたことに気付いた。
「あ……ねぇ、友達あげようか?」
「……え? 友達……ですか?」
夕映は、不思議そうに目を瞬かせた。友達というものは、あげようと思ってあげられるものなのかと疑問が募る。
「院内じゃなんだからさ、ちょっと会ってみない? 悪いヤツではないからさ」
「……ヤツ?」
垂れてくる鼻水を啜りながら、夕映は希星の思い浮かべている人物を想像できずにいた。
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